昨年の1月に、旧ダイエービルの買収についての市民会議を長野
市民会館で開催して以来、6月の市議会定例会で買収のための予算
が議決され、9月の市議会で整備方針が認められました。その後、
建物の改装工事などが始まり、並行して愛称募集が行われてきまし
た。
ビルの愛称については、たくさんの応募の中から『もんぜんぷら
座』に決定しました。この愛称は、市内にお住まいの金澤真由美さ
んからご提案いただいたもので、「もんぜん」は「門前町」を、
「ぷら座」は広場を意味しており、「座」を漢字に表記したのは、
人が大勢集まってほしいとの願いを込めたとお聞きしています。
善光寺御開帳に合わせて1階部分を4月4日(金)に開館、その
後地下1階と地上2・3階は6月にグランドオープンということで、
準備が進んでいます。
市民会議以来、行政としての手続きや安全性の確認、今後の運営
についての検討など、やらなくてはならないことが沢山あり、随分
時間がかかりましたが止むを得ない面があるようにも感じています。
私としては無事に一つのプロジェクトが始動できて、ホッとしてい
るところです。
空洞化して寂しい街の現状を改善するためにも、運営をお願いし
た団体には、大いに活用できるような運営をお願いしたいし、近隣
の皆さんには、街全体の活性化に繋がるような取り組みをぜひ期待
したいと感じています。
まだ腹案の域を出ない話ですが、上層階に常設の市民会議場とか
記者会見場、あるいは市民だれでもいつでも自分の主張を述べるこ
とが出来る『スピーカーズ・コーナー』みたいなものを作ったらなど
と構想を練っています(東京駅には銀の鈴という有名な待ち合わせ
場所がありますよね、そんな使い方でも良いですね)。時には有名
人を呼んだりして、そして市民あらゆる方の力を借りて、人が集ま
る場所にしていければ良いなあと思います。
さて、現実論に戻るといたしまして、4月にオープンする1階は、
TMO(注)に委託して、『とまと食品館』という食品を中心とし
たスーパーをテナントとして入れたり、障害をもつ皆さんが授産施
設で製造した品物を販売するコーナーを設けるとともに、昭和通り
側に公衆トイレなどが設置されます。
物販はかなり厳しいとは言われていますが、ダイエー長野店の撤
退、ながのそごうの倒産で、近所の皆さんが買い物に不便になった
ということから、TMOにお願いして株式会社を設立していただき、
多くの出資をいただいて、出店の運びとなりました。もちろん、商
売として出店していただくのですから、家賃は頂戴いたしますが、
ぜひ街の賑わいの為にも、市民の皆さんに大いに利用していただ
いて大盛況になるよう、期待しています。
障害をもつ皆さんが授産施設で作った製品の売り場も、できるだ
け多くの皆さんにご利用いただければ、自立のためのお手伝いにな
りますので、こんな嬉しいことはありません。
6月にオープンする残りの3フロアーは、2階が子供さんのため
のスペース、3階はミニ市民ギャラリーやNPOの拠点などの市民
活動広場、地下1階は音楽や演劇の練習スペースとしてお貸しする
ことになりました。若干の使用料をいただくようですが、なるべく
安くして、多くの皆さんに来ていただける場になれば良いなあと期
待しています。
少し気が早いかもしれませんが、4階~8階をどう使うか、これ
については、皆さんに多くの提案をしていただけたらと思っていま
す。まあ古いビルですから、多少の使い勝手の悪さは我慢していた
だくより仕方ないのですが、あれだけ好条件が揃った場所です。使
い方によっては色々あるのではないでしょうか。
物販はあの有名大型店が撤退した場所ですから、難しいと思いま
す。何に使うか、改造費やメンテナンスを含めてなかなか難しい問
題があります。そして大型店ビルの特徴とも言えるのですが、あの
ビルには窓がありません。自然光を利用するには窓を設置しなくて
はならないのですが、これはかなりお金がかかる工事になりますし、
スプリンクラーを含めて配管の手直しやトイレの改造を含めたバリ
アフリーの発想も入れなくては困ると思いますので,展示場的な使
い方なら一番可能性があるのではないでしょうか。
中央通りの銀座地区の皆さんからは、ぜひ全館オープンをして使
用して欲しいという要望をいただいており、街の活性化にはそれが
一番良いとは思っています。ただ古いビルですからあまり大きな投
資をしたくないというのも、行政としては本音です。
来年度からは信越放送(SBC)を含む銀座A-1地区の再開発
もいよいよ始動します。その辺を軸に、中心市街地が活性化して
いくことを夢みて頑張りたいと思います。
『もんぜんぷら座』の詳細については
http://www.city.nagano.nagano.jp/ikka/machi/monzenplaza-layout.pdf
をご覧下さい。(PDFファイル:462KB)
(注)TMO(タウン・マネージメント機関)
様々な主体が参加して街づくりをマネージ(運営・管理)す
る機関。たとえば、商店街組織等を中核として設立された第
三セクターや商工会・商工会議所など。
2003年2月27日木曜日
「もんぜんぷら座」がオープンします
2003年2月20日木曜日
なぜ民営化なのか(その3)
2週にわたり、厳しい財政状況下における民営化の必要性につい
て書かせていただきました。そこで、今週は民営化を推進するに当
たっての視点について、お話ししたいと思います。
国や地方自治体の財政がひっ迫している今日において、民営化は
優先して進めるべき施策であり、世の中の流れでしょう。小泉首相
も「地方でできることは地方に、民間でできることは民間に」と言
っておられますが、私もそう考えていますし、そのために私が立候
補したのだ、という気概をもっているつもりです。
私の考える民間委託・民営化の条件は次の三つです。
1.サービスが落ちない
2.競争条件が存在する
3.コストが下がる
もちろんこれらの条件が満たされるとともに、市民合意が必要な
ことは言うまでもありませんが、私は市長選の際に「民間感覚を行
政に入れる」ということを唯一の公約に掲げてきました。また、冒
頭で申し上げたとおり、民営化は世の流れであることは多くの皆さ
んの認めるところであり、私が思いつきで申し上げていることでは
ありません。
民営化に反対する方々がおっしゃっていることは、民営化は企業の
利益追求になってしまい、心配だということです。行政を信用してく
ださることはありがたいのですが、民間も信頼に足りるだけの力をつ
けていると私は思います。
例えば、皆さんは長野市民病院をご存知でしょう。市民の皆さんに
大変評判が良くて、病室の稼働率が100%近い状況が続き、病院関
係者は嬉しい悲鳴を上げているのですが、あの市民病院はお医者さん
や看護師さんなど、医療に直接携わる人は、病院で雇用している職員
ですが、それ以外の病院窓口事務、食堂、清掃業務・・・などは、全
てといって良いほど民営化されています。病院経営が順調に推移して
いることは、このことが大きいと感じています。その他にも、ボラン
ティア組織「はづきの会」の皆さんがこの病院を支えていただいてい
ることも、好評をいただいている要因でもあり、大変ありがたいこと
です。
エムウェーブも、地方自治法の制限から、長野市が50%出資する
第三セクターの株式会社により経営しており、限定的ではありますが、
黒字経営をしていただいています。ここにもエムウェーブを支えるボ
ランティア組織「エムウェーブ友の会」の皆さんのご協力があります。
即ち、行政が民間経営より優れているというのは、神話に過ぎない。
やり方によっては、民営化した方が素晴らしい市民サービスを提供し、
成果を挙げることが可能であり、その実例もあるということです。
民間団体としてボランティアやNPOが育ってきたことも、民営化
に拍車がかかる要因であると思います。市民の皆さんとパートナーシ
ップで行政を行うというのは、私の市長就任以来のテーマです。行政
を与えられたものと考えず、直接参加しようと考える人達が増えてき
ているようです。民間団体がどこまで成長するか、行政がどこまで民
間に任せる決心をするか、今問われているようです。
競争条件が存在するということも、大切な条件ですし、そのことが
サービスの低下を防ぎ、コストの低下を生み出す原動力であると私は
信じます。民営化はコストが下がらなくては意味がありません。それ
はおそらく大丈夫でしょう。民間のコスト削減への努力、行政ではや
りにくい運営上の工夫、もちろん人件費の節約もあると思いますが、
これらは当然のことながら、行政の真似の出来ない点です。
サービスの水準を下げることなく行政コストを下げる切り札が、民
営化であると私は信じています。
2003年2月13日木曜日
なぜ民営化なのか(その2)
先週号では、近年における厳しい財政状況とそれに伴う行政改革
の必要性について書かせていただきました。
さてそうなると、長野市がやらなくてはならないことは何かについ
て、検証してみたいと思います。
財政運営を立て直すための、最も分かりやすい方策は、
1.収入を増やす
2.支出を減らす
このどちらかしかないことは、お分かりいただけると思います。
収入を増やすことは大切ですし、できる限り増やしたいのが本音
です。しかし、これだけの不況真っただ中では、税収は落ち込む一
方ですし、他都市に比べてかなり好調だった収納率も下がってきて
おります。例えば東京都のホテル税のように何か新しい税金をいた
だければ良いのですが、長野市にとっては補助金を出してでも、観
光やコンベンションを振興させ、一人でも多くのお客様に来ていた
だきたいという気持でして、とてもホテル税のような税金をいただ
くなんてことはできません。加えて、税外収入とでも言うべき下水
道(長野市は100%の普及率を目指す立場)の使用料や介護保険
料の値上げも避けられないといった現状では、税収を増やすことは、
かなり困難なことだと思わざるを得ません。その上、遊休財産の売
却も、現状では、なかなか買い手が見つからないのが実情です。
要は収入を増やすということを考えても、借金以外の方法は困難
なのです(行政では借金すると、お金が入ってくる訳ですから、一
応収入と考えます。変ですが・・・・・・)。もう一つ、長野市が
投資をして税金ではない収入を得ることは考えられますが、民間企
業に対する圧迫という批判は当然ですし、民間感覚を行政に入れる
ことを目標に、市長になった私とすれば論外の話です。それに“武
士の商法”が上手くいく保証はありません。
収入を増やすことが難しいとなれば、支出を減らすことを考えざ
るを得ません。そこで何を減らすかが問題になります。行政の支出
を大きく捉えると、次のように大別できると思います。
(ア)投資的経費
道路、建物、公園、上下水道等の建設事業など
(イ)経常的経費
人件費、給付費、補助金、公債費(市債の元金償還と利子
の支払い)など
では、どの分野を減らすべきでしょうか?
(ア)の投資的経費は、下水道事業以外はしばらくは我慢の時代
になると思います。景気に直接的な関係があるものですし、生活道
路や公民館、児童館、高齢者の施設など、各地の行政懇談会では沢
山の要望が出るものですから、やめるということは出来ない。でき
るだけやろう、こんな時は多少借金しても、行政が元気を出さなく
ては、という思いは多分にあります。長野市とすれば、投資的経費
の総額を決めて、国や県の補助のあるものを優先的にやるという選
択を取らざるを得ない状況でして、当初は5年でやると約束したこ
とが、10年かかるというようなことも有り得る訳でして、このこ
とについては、お許しいただかなくてはなりません。
(イ)の経常的経費の部分も、厳しいでしょうね。給付金や補助
金は、市民の皆さんの生活に直結するもの、即ち福祉関係が主体で
すから、減額するとすれば一番最後になります。市民の皆さんに、
どうにもならないことを理解していただいてからになるでしょう。
ただ新しい助成事業はまず無理であろうし、多少の手直しは必要と
感じています。
市債の元利償還金は過去の契約ですから、支払わないわけにはい
きません。そうなると、次には人件費に目がいきます。
市長を含む特別職や管理職については、既に平成14年度から管
理職手当の減額をしています。しかし、一般の公務員の場合、会社
組織のように利益の追求を目的とすることができないうえ、労働基
本権が制限されています。代わりに人事院勧告というのがあって、
地方自治体でもこの勧告を参考に給与を決めています。この人事院
勧告もはじめてマイナスになるなど、公務員の給与も初めて前の年
より下がるという現象が起きてきました。
それともう一つ、公務員の数も問題になります。行政が全てのこ
とをやる時代から、市民、地域、NPO等との連携を進め、小さな
市役所をつくるということも、やらなくてはならない方向にあると
思います。
来週は、民営化を推進するに当たっての視点について、お話しし
たいと思います。
2003年2月6日木曜日
なぜ民営化なのか(その1)
私は、昨年一年間「行政が全てをやる時代は終った。市民の皆さ
んとパートナーシップを組んで、一緒に元気なまちをつくりましょ
う」と申し上げてきました。
高度経済成長時代からバブル期にかけて、行政は市民の皆さんの
ご要望に応えるべく、職員を増やし、仕事も増やしてきたことはお
分かりいただけると思います。まだ不十分とおっしゃる方もいるか
もしれませんが、道路や新幹線をはじめ、公民館・保育園・学校な
ど、身の回りの公共施設も整備されてきましたし、福祉施策で弱者
に対する配慮(バリアフリー等)なども以前とは比較にならないく
らい、充実してきていると感じています。また、オリンピック関連
の施設等も、同規模の都市では考えられないような素晴らしいもの
ができたことは事実でしょう。
これらは、高度経済成長のおかげで、企業や市民の皆さんの収入
が増えて、それとともに税金をたくさん納めていただいたから出来
たことでして、昔の貧しい時代にはやりたくても出来なかったこと
でしょう。ここ10年ぐらいでしょうか、日本経済もバブルが崩壊
して、過去経験したことがないデフレ状態に陥り、厳しい状況に見
舞われていることは皆さんご存知のとおりです。長野市の税収も、
最も税収の多かった平成9年度には625億円近くあったのですが、
平成15年度の当初予算見積りでは530億円程度となり、100
億円近く減る見込みです。100億円と言っても、私を含めてピン
と来ない数字ですが、新しい共和小学校を建設する予算が約60億
円、今工事をしている第二学校給食センターが約20億円ですから、
その金額の大きさをご理解いただけるものと思います。
これでは新しい事業をはじめることが困難であることは当然とし
て、過去にやってきた行政の仕事を見直して、中止するものや方法・
手法を変える事務・事業が出てきて当然ではないでしょうか。今ま
でどおりにやることは、財政的に不可能なのですから、お許しをい
ただかなくてはならないのです。もちろん、乾いたタオルを絞るよ
うに行政コストを削減することは、当然ですが・・・・。
ここ10年ぐらいの間で考えてみますと、複雑多様化する市民要
望、併せて行政組織の肥大化の流れの中で、借金の巨額化(国では
国債、市では市債の増発)が進んで、いずれはどうしようもなくな
るという兆候は既に見えていたはずですし、現段階で厳しい財政運
営を強いられているのは、そのツケを払わされている面は確かにあ
るのです。ただ誰もデフレ時代がくるとは予測していなかった(い
ずれインフレになって、借金は実質的に減るという予測はあったの
でしょうが・・・・・・・)。
次週は、このような財政危機に瀕している状況の中で、長野市が
直面する課題に対し、どうしようと考えているのかを述べてみたい
と思います。