2003年2月20日木曜日

なぜ民営化なのか(その3)


 2週にわたり、厳しい財政状況下における民営化の必要性につい
て書かせていただきました。そこで、今週は民営化を推進するに当
たっての視点について、お話ししたいと思います。

 国や地方自治体の財政がひっ迫している今日において、民営化は
優先して進めるべき施策であり、世の中の流れでしょう。小泉首相
も「地方でできることは地方に、民間でできることは民間に」と言
っておられますが、私もそう考えていますし、そのために私が立候
補したのだ、という気概をもっているつもりです。

 私の考える民間委託・民営化の条件は次の三つです。

 1.サービスが落ちない
 2.競争条件が存在する
 3.コストが下がる

 もちろんこれらの条件が満たされるとともに、市民合意が必要な
ことは言うまでもありませんが、私は市長選の際に「民間感覚を行
政に入れる」ということを唯一の公約に掲げてきました。また、冒
頭で申し上げたとおり、民営化は世の流れであることは多くの皆さ
んの認めるところであり、私が思いつきで申し上げていることでは
ありません。

 民営化に反対する方々がおっしゃっていることは、民営化は企業の
利益追求になってしまい、心配だということです。行政を信用してく
ださることはありがたいのですが、民間も信頼に足りるだけの力をつ
けていると私は思います。

 例えば、皆さんは長野市民病院をご存知でしょう。市民の皆さんに
大変評判が良くて、病室の稼働率が100%近い状況が続き、病院関
係者は嬉しい悲鳴を上げているのですが、あの市民病院はお医者さん
や看護師さんなど、医療に直接携わる人は、病院で雇用している職員
ですが、それ以外の病院窓口事務、食堂、清掃業務・・・などは、全
てといって良いほど民営化されています。病院経営が順調に推移して
いることは、このことが大きいと感じています。その他にも、ボラン
ティア組織「はづきの会」の皆さんがこの病院を支えていただいてい
ることも、好評をいただいている要因でもあり、大変ありがたいこと
です。

 エムウェーブも、地方自治法の制限から、長野市が50%出資する
第三セクターの株式会社により経営しており、限定的ではありますが、
黒字経営をしていただいています。ここにもエムウェーブを支えるボ
ランティア組織「エムウェーブ友の会」の皆さんのご協力があります。

 即ち、行政が民間経営より優れているというのは、神話に過ぎない。
やり方によっては、民営化した方が素晴らしい市民サービスを提供し、
成果を挙げることが可能であり、その実例もあるということです。

 民間団体としてボランティアやNPOが育ってきたことも、民営化
に拍車がかかる要因であると思います。市民の皆さんとパートナーシ
ップで行政を行うというのは、私の市長就任以来のテーマです。行政
を与えられたものと考えず、直接参加しようと考える人達が増えてき
ているようです。民間団体がどこまで成長するか、行政がどこまで民
間に任せる決心をするか、今問われているようです。

 競争条件が存在するということも、大切な条件ですし、そのことが
サービスの低下を防ぎ、コストの低下を生み出す原動力であると私は
信じます。民営化はコストが下がらなくては意味がありません。それ
はおそらく大丈夫でしょう。民間のコスト削減への努力、行政ではや
りにくい運営上の工夫、もちろん人件費の節約もあると思いますが、
これらは当然のことながら、行政の真似の出来ない点です。

 サービスの水準を下げることなく行政コストを下げる切り札が、民
営化であると私は信じています。