2003年2月13日木曜日

なぜ民営化なのか(その2)


 先週号では、近年における厳しい財政状況とそれに伴う行政改革
の必要性について書かせていただきました。

 さてそうなると、長野市がやらなくてはならないことは何かについ
て、検証してみたいと思います。
 財政運営を立て直すための、最も分かりやすい方策は、

1.収入を増やす
2.支出を減らす
 このどちらかしかないことは、お分かりいただけると思います。

 収入を増やすことは大切ですし、できる限り増やしたいのが本音
です。しかし、これだけの不況真っただ中では、税収は落ち込む一
方ですし、他都市に比べてかなり好調だった収納率も下がってきて
おります。例えば東京都のホテル税のように何か新しい税金をいた
だければ良いのですが、長野市にとっては補助金を出してでも、観
光やコンベンションを振興させ、一人でも多くのお客様に来ていた
だきたいという気持でして、とてもホテル税のような税金をいただ
くなんてことはできません。加えて、税外収入とでも言うべき下水
道(長野市は100%の普及率を目指す立場)の使用料や介護保険
料の値上げも避けられないといった現状では、税収を増やすことは、
かなり困難なことだと思わざるを得ません。その上、遊休財産の売
却も、現状では、なかなか買い手が見つからないのが実情です。

 要は収入を増やすということを考えても、借金以外の方法は困難
なのです(行政では借金すると、お金が入ってくる訳ですから、一
応収入と考えます。変ですが・・・・・・)。もう一つ、長野市が
投資をして税金ではない収入を得ることは考えられますが、民間企
業に対する圧迫という批判は当然ですし、民間感覚を行政に入れる
ことを目標に、市長になった私とすれば論外の話です。それに“武
士の商法”が上手くいく保証はありません。

 収入を増やすことが難しいとなれば、支出を減らすことを考えざ
るを得ません。そこで何を減らすかが問題になります。行政の支出
を大きく捉えると、次のように大別できると思います。

 (ア)投資的経費
    道路、建物、公園、上下水道等の建設事業など
 (イ)経常的経費 
    人件費、給付費、補助金、公債費(市債の元金償還と利子
    の支払い)など
        
  では、どの分野を減らすべきでしょうか? 
 (ア)の投資的経費は、下水道事業以外はしばらくは我慢の時代
になると思います。景気に直接的な関係があるものですし、生活道
路や公民館、児童館、高齢者の施設など、各地の行政懇談会では沢
山の要望が出るものですから、やめるということは出来ない。でき
るだけやろう、こんな時は多少借金しても、行政が元気を出さなく
ては、という思いは多分にあります。長野市とすれば、投資的経費
の総額を決めて、国や県の補助のあるものを優先的にやるという選
択を取らざるを得ない状況でして、当初は5年でやると約束したこ
とが、10年かかるというようなことも有り得る訳でして、このこ
とについては、お許しいただかなくてはなりません。

 (イ)の経常的経費の部分も、厳しいでしょうね。給付金や補助
金は、市民の皆さんの生活に直結するもの、即ち福祉関係が主体で
すから、減額するとすれば一番最後になります。市民の皆さんに、
どうにもならないことを理解していただいてからになるでしょう。
ただ新しい助成事業はまず無理であろうし、多少の手直しは必要と
感じています。

 市債の元利償還金は過去の契約ですから、支払わないわけにはい
きません。そうなると、次には人件費に目がいきます。

 市長を含む特別職や管理職については、既に平成14年度から管
理職手当の減額をしています。しかし、一般の公務員の場合、会社
組織のように利益の追求を目的とすることができないうえ、労働基
本権が制限されています。代わりに人事院勧告というのがあって、
地方自治体でもこの勧告を参考に給与を決めています。この人事院
勧告もはじめてマイナスになるなど、公務員の給与も初めて前の年
より下がるという現象が起きてきました。

 それともう一つ、公務員の数も問題になります。行政が全てのこ
とをやる時代から、市民、地域、NPO等との連携を進め、小さな
市役所をつくるということも、やらなくてはならない方向にあると
思います。

 来週は、民営化を推進するに当たっての視点について、お話しし
たいと思います。