私は、昨年一年間「行政が全てをやる時代は終った。市民の皆さ
んとパートナーシップを組んで、一緒に元気なまちをつくりましょ
う」と申し上げてきました。
高度経済成長時代からバブル期にかけて、行政は市民の皆さんの
ご要望に応えるべく、職員を増やし、仕事も増やしてきたことはお
分かりいただけると思います。まだ不十分とおっしゃる方もいるか
もしれませんが、道路や新幹線をはじめ、公民館・保育園・学校な
ど、身の回りの公共施設も整備されてきましたし、福祉施策で弱者
に対する配慮(バリアフリー等)なども以前とは比較にならないく
らい、充実してきていると感じています。また、オリンピック関連
の施設等も、同規模の都市では考えられないような素晴らしいもの
ができたことは事実でしょう。
これらは、高度経済成長のおかげで、企業や市民の皆さんの収入
が増えて、それとともに税金をたくさん納めていただいたから出来
たことでして、昔の貧しい時代にはやりたくても出来なかったこと
でしょう。ここ10年ぐらいでしょうか、日本経済もバブルが崩壊
して、過去経験したことがないデフレ状態に陥り、厳しい状況に見
舞われていることは皆さんご存知のとおりです。長野市の税収も、
最も税収の多かった平成9年度には625億円近くあったのですが、
平成15年度の当初予算見積りでは530億円程度となり、100
億円近く減る見込みです。100億円と言っても、私を含めてピン
と来ない数字ですが、新しい共和小学校を建設する予算が約60億
円、今工事をしている第二学校給食センターが約20億円ですから、
その金額の大きさをご理解いただけるものと思います。
これでは新しい事業をはじめることが困難であることは当然とし
て、過去にやってきた行政の仕事を見直して、中止するものや方法・
手法を変える事務・事業が出てきて当然ではないでしょうか。今ま
でどおりにやることは、財政的に不可能なのですから、お許しをい
ただかなくてはならないのです。もちろん、乾いたタオルを絞るよ
うに行政コストを削減することは、当然ですが・・・・。
ここ10年ぐらいの間で考えてみますと、複雑多様化する市民要
望、併せて行政組織の肥大化の流れの中で、借金の巨額化(国では
国債、市では市債の増発)が進んで、いずれはどうしようもなくな
るという兆候は既に見えていたはずですし、現段階で厳しい財政運
営を強いられているのは、そのツケを払わされている面は確かにあ
るのです。ただ誰もデフレ時代がくるとは予測していなかった(い
ずれインフレになって、借金は実質的に減るという予測はあったの
でしょうが・・・・・・・)。
次週は、このような財政危機に瀕している状況の中で、長野市が
直面する課題に対し、どうしようと考えているのかを述べてみたい
と思います。