6月30日(木)、戸隠地区での「みどりの移動市長室」で、N
PO法人「べとの会」と「戸隠塾」の皆さんを訪問しました。6月
市議会定例会で、戸隠地区選出の小林議員さんから、「べとの会」
についての質問をいただき、庁内議論で、基本的には地域活動とし
て有意義であると認識していましたので、一度視察して直接お話を
お聞きしたいと考えていました。この時期に懇談する機会が得られ
たのは、グッドタイミングでした。
最初に「べとの会」を訪問し、堆肥を作っているサイロを見せて
いただきながらお話を伺いました。現地にはサイロが6つ出来てお
り、その建設費等は約900万円で、700万円を借り入れたとの
こと。運営は順調に推移し、計画どおりにいけば借入金の返済は出
来る予定だったそうです。
ところが今年1月、長野市との合併の結果、長野市が生ごみを事
業系一般廃棄物として安く受け入れているため、生ごみ処理を「べ
との会」に依頼していた飲食業や旅館などの事業者の方々が安い価
格で収集している運搬事業者に出すようになって、「べとの会」に
生ごみが集まりにくくなってしまった、そのために経営が成り立た
なくなりそうだというお話でした。処理費が安く済むとすれば、事
業者の方々にすれば当然の行為でしょうが、「べとの会」にすれば
合併の余波で倒産する可能性があるということです。
一般論とすれば、合併によって出る余波を行政に持ち込まれても
困るし、経営責任ということから言えば、経営者自身で考えてくだ
さいということです。しかし、この事業は、行政としても清掃セン
ターの負荷を減らすことが出来るものであり、地球環境を守るとい
う立場からも、地域内循環で処理できている大切な事業であるとい
う認識があります。
長野市としては、生ごみの堆肥化はリサイクルの面から大切なこ
と、この地で堆肥化することは、市の清掃センターの負担が減るこ
とになるし、輸送費用も少なくて済むこと、この種の施設はどうし
ても臭いが出るということで、なかなか適地がないことから、地域
の支持を受けているとすれば貴重な存在であること、合併によって
経営が成り立たなくなるのは残念・・・等々の視点から市の環境部
と十分相談してほしいとお伝えしました。
堆肥を作る材料としては、飲食業や旅館などから出る生ごみとそ
ばがら(戸隠名物「そば」粉を作る時の副産物でそばの実の表皮)
を主原料として使用します。信州大学の酒井教授の指導で生ごみの
中にZ菌を入れて、サイロの中へ幾層にも重ねて積み上げ、サイロ
の底へ太いパイプを入れて通気性を保ちながら、6つのサイロを順
繰りに使い、時間を十分かけて完熟堆肥を作っているとのことでし
た。「そばがら」は通気性を保つための必需品で、近くのそば工場
から有価で供給を受け、「生ごみ」は飲食業や旅館などから処理料
を取って受け入れてきたということです。
私が一番心配していたのは、出来た製品の売れ行きだったのです
が、完熟堆肥ということで、周辺農家に契約販売しており、地区内
に販路があり心配はしていないとのことでした。
視察を終えて、そば博物館「とんくるりん」へ移動。背後の高台
のあずまやで、「戸隠塾」の皆さんと懇談を行いました。戸隠塾の
名簿を拝見しますと、山口塾長さん以下47名で、戸隠の中社、宝
光社、越水等で、多分商売をやっておられる方々や商工会職員の若
手行動派の方々とお見受けしました。旧市内でいえば、青年会議所
や長野都市経営研究所のような存在なのでしょう。
塾長さんのお話や総会資料を見せていただき、わかったことは「
自分たちも楽しみながら」をモットーに、まちの景観形成・地域活
性化・史跡などを守る等を目的に結成された会であるということで
す。地域にあまり知られていない史跡・伝説・自然について知識を
広げ、わかりやすい看板を作って、統一感のある景観をつくり、ま
ちづくりに対する住民意識の向上を図る・・・といったことを目標
に掲げ、行動しておられるようです。「べとの会」に所属する方も
かなりいらっしゃって、共に行動しているというお話でした。
この組織も、先日訪問した大岡地区の「すわろびくすサークル」
と同様、長野市が行っている平成17年度「ながのまちづくり活動
支援事業補助金」に応募し、見事100万円の補助を獲得されたそ
うです。
時間があまりなかったのですが、懇談の席で皆さんの関心は指定
管理者制度とのからみで、スキー場の将来についてでありました。
私からは、県内スキー場の現状や戸隠スキー場の数字的な実情をお
話しした後、次のように申し上げました。
1 戸隠スキー場のもつ雇用創出力や場内レストランなどへの商品
納入事業者、地元の宿坊・民宿など、地域経済に与える影響を考
えると、当面廃止という選択肢はない。
2 現在累積赤字があるけれど、長野市の財政力からすれば、大変
厳しいものの、補填が不可能という金額ではない。
3 しかし、このまま赤字の累積だけは、避けたい。
4 指定管理者制度導入については、地方自治法の改正によって可
能になったことであり、民営化も含め、まだどうするかは未定で
ある。
5 いずれにしろ、これは戸隠スキー場に関係する中社・越水・宝
光社の方々を中心に、戸隠地区全体、場合によっては飯綱地区の
方々も加わって、十分協議するテーマではないでしょうか?皆さ
んがバラバラでは行政も手の打ちようがないと思います。
と、申し上げました。
以上、戸隠塾の皆さんもまだ意見がいろいろあったようですが、
時間の都合もあって終了させていただきました。
スキー場経営については、行政側でのもう少し突っ込んだ研究が
必要なこと、そして戸隠塾の方々だけでなく、もっと範囲を広げて
話し合いをする必要性を強く感じました。