2005年7月7日木曜日

市内商工団体の統合が進み始めました


 6月3日(金)に市内9商工会が、また、7月1日(金)には市
内3商工会議所が、それぞれ統合することに同意し、統合に係る基
本協定書の調印式が行われ、1行政1商工団体に向けての動きが本
格化してきました。

 経済団体というと、商工会議所、商工会、経営者協会、中小企業
団体中央会、経済同友会、長野青年会議所・・・等々たくさんあり、
それぞれの団体は目的も違い、独自の活動をしているのですが、そ
の中で商工会議所、商工会は、それぞれ法律に基づいて設けられて
いる団体で、地域の中小企業の育成を主たる目的としています。そ
して、それぞれの法律で1行政1商工団体と決められているのです
が、合併によって一つになった行政団体の場合は、当面の間は、並
存してもよいことになっています。

 長野市の場合、昭和41年に大合併したわけですが、合併前の旧
市町村には、それぞれ当時から商工団体がありました。本来なら行
政が合併したのですから、商工団体も合併へと進むところであった
のでしょうが、それぞれに事情があり、また前述のように、法律が
特例を認めていることもあって、3商工会議所(長野・篠ノ井・松
代)、5商工会(若穂・川中島・更北・七二会・信更)の体制が今
日まで続いてきました。

 この間、何度か統合の話があり、いろいろな努力をされた時期も
あったのですが、それぞれ独自の活動に取り組んでいて、地域中小
企業の経営指導だけでなく、地域の祭りやイベント等に取り組み、
地域活性化の中心になってきました。本来、行政がやらなくてはな
らない分野まで、商工団体に頼ってきた・・・ともいえるわけで、
統合することで、地域が活力を失うおそれもあって、統合に踏み切
れなかったということだと思います。

 そして今回の周辺4町村との行政合併により、さらに4商工会
(豊野・戸隠・鬼無里・大岡)が増えて、3商工会議所、9商工会
になったわけです。このような状況については、全国的にも例はた
くさんあるようで、長野だけの状況ではないようですが、景気の低
迷もあって、組織率が低下、財政的にもかなり厳しさが増してきて
いるという状況にあります。

 商工団体を維持するためには、構成員に会費をいただいたり、保
険関係の事業を行って手数料を得たり、事業を行うため構成企業か
ら寄付金を募ったりしていますが、主体である経営指導員の人件費
等は、行政の補助金が中心になっていることもあり、長野県が1行
政1商工団体の原則のもとに(若干の時間的余裕はあるのですが)、
補助金の大幅な削減方針を示したがゆえに、急速に統合の動きが始
まった・・・という状況があります。昔は国が補助金として県を通
して、経営指導員の人件費を負担していたのですが、ある時期から
補助金を止めて、県の交付税に算入されました。すなわち商工団体
への補助は、県の事業ということになり、県の裁量に任された・・・
ということですから、結局、県の方針で補助金の額は決められるこ
とになったということです。

 もちろん、基本的には長野市も補助をしておりますが、現在のと
ころ県の補助金は市の3倍ぐらいの金額がでているようで、比較に
なりません。その県の補助金が一挙に2分の1以下ぐらいになると
いう話ですから、商工団体としては、自立しようとしても非常に厳
しい状況にあります。そのようなことから、統合という合理化を受
け入れ、財政基盤を強化する手段を取ったということです(長野市
の補助金は、将来のことは言えませんが、今のところ、減額予定は
ありません)。

 なお、念のため若干の説明をさせていただきますと、商工会議所・
商工会の役員(正副会頭、委員長、常議員、議員等)は全て無報酬、
逆に役員の会費負担は一般会員に比べて、非常に多額です。加えて、
いろいろな催事を行うにあたって、寄付を求められることも多く、
ある程度所属する企業に負担能力がないと、役員就任は難しい面が
あります。一般的に、経済団体は、企業のボランティア精神、ある
いは地域を思う気持ちによって運営されているものです。

 商工会議所の調印式の内容ですが、統合に関しいろいろ準備して
きた「商工会議所合併準備委員会」の座長・長野商工会議所の青木
副会頭が経過説明をされ、3商工会議所の会頭(仁科長野商工会議
所会頭、渡邉篠ノ井商工会議所会頭、市川松代商工会議所会頭)と
立会人として私が、基本協定書に署名しました。その後、私が挨拶
させていただきました。その全文を以下に掲載させていただきます。

 「商工団体の統合は、昭和41年の長野市大合併以来の懸案でご
ざいましたが、本日ここに、市内3商工会議所の統合に係る基本協
定書の調印が行われ、将来に向かって大きな一歩を踏み出したわけ
でございます。ここに至るまでの間、役員の皆様方には条件整備等
に多大なご努力をいただきましたことに対し、敬意を表するもので
ございます。

 商工団体の統合につきましては、長野市商工団体連絡協議会にお
いて、市内12商工団体が一本化することで合意が得られ、まず、
9商工会が平成18年4月、また、3商工会議所が平成18年10月
に統合し、その後、平成21年4月を目途に両団体の一本化を図る
ことで、協議が進められているところでございます。

 去る、6月3日には9商工会においても、合併に関する合意書並
びに基本協定書の調印が行われ、現在、合併協議会が設立されまし
て具体的な協議が進められているとお聞きしています。

 地域経済をめぐる環境が大きく変化し、地域住民の生活行動や経
済活動が多様化・広域化する中で、商工団体が一本化することで事
業の効率化や合理化が図られ、安定した財政基盤のもとで、会員へ
の多種にわたる高度なサービスの提供が可能になるものと考えてお
ります。

 今後は、合併協議会において、組織、財政、事業等の本格的な協
議を行うわけでありますが、統合により財政基盤や組織を強化し、
事業活動の充実を図りながら、各地域の独自性と伝統、文化を生かし、
地域の活性化につなげていただくことを期待するものであります。

 都市間競争の激化や企業活動の広域化等への対応に対しても、商
工団体が一つになって、地域の会員に強力な指導と支援を行える体
制を整備することは、行政にとっても非常に重要であると考えてお
ります。それと同時に、「いかにこれまでの地域活動を継承してい
くことができる支部体制を構築していくか」ということが地域の活
性化にとっても大変重要なことであると考えております。

 統合に向けての懸案事項もたくさんあると思いますが、市として
も積極的に支援を行ってまいりたいと考えておりますので、皆様方
のさらなるご努力によりまして、合併協議会による統合準備がスム
ーズに進められることを期待するとともに、その後の商工会との一
本化に向けまして、取り組みを進められることをお願いするところ
でございます。

 最後になりましたが、地域を支える経済団体として3商工会議所
がますますご発展するとともに、皆様方がそれぞれにご健勝でご活
躍されますことをご祈念申し上げまして、お祝いのご挨拶といたし
ます。」

以上です。

 その後、長野地方事務所長の祝辞、そして3商工会議所の会頭が
それぞれ挨拶をされました。各会頭の話は、いずれも先輩会議所役
員の方々の長い努力への敬意、統合に到るまでの会員の思い等を語
りながら、将来に向けての抱負・展望を力強く述べておられました。

 この調印式で、商工会議所と商工会のそれぞれの統合が現実のも
のとなってきました。財政基盤を確立し、支部制度を充実され、さ
らに発展していただくことを期待しています。