2009年3月5日木曜日

平成21年3月市議会 施政方針の骨子


 2月26日(木)、3月市議会定例会が始まりました。通常は3
月に開催されるのですが、今年は2月の開会となりました。
 初日、私が市長として施政方針を、教育長、上下水道事業管理者、
各部局長からそれぞれの担当部署の方針と予算を発表し、副市長か
ら補正予算の提案を行いました。

 私の施政方針は、読み終わるまで約70分かかったとのことで、
かなりの長文です。詳細は長野市のホームページに掲載しています
ので、そちらを読んでいただければ幸いです。ただ、全文を読んで
いただくのは大変だと思いますので、ここでは、私がどういう意図
で施政方針を組み立てたのかをご理解いただきたいと思い、解説的
にお話しさせていただきます。

 まず、一番分かりやすいと思いますので、施政方針をつくるため
に、職員と一緒に議論しながら準備した骨子を以下に載せさせてい
ただきます。

(はじめに)
 1.議員への出席御礼
 2.市職員の飲酒運転事件のおわび
(市政運営所信)
 1.市政運営の基本方針『きらめく人づくり・地域づくりで、元
   気なまち』へ
 2.内需拡大を目指した中山間地域の活性化
(財政運営と新年度予算案)
 1.財政運営と新年度予算案
 2.経済対策(定額給付金とプレミアム付き商品券、中小企業へ
   の融資制度)
(新年度の施策の大要)<きらめく人づくり・地域づくりで、元気
 なまち>
 1.「きらめく人づくり」への取り組み
 (1)快適で安全な教育環境の整備
 (2)子育て・子育ち支援の推進
 (3)スポーツを軸としたまちづくり
 2.「きらめく地域づくり」への取り組み
 (1)地域の魅力を磨き、存在感を大きくする取り組み
   ア.中山間地域の活性化
   イ.訪れてみたくなる地域づくり
   ウ.企業立地の推進
   エ.都市を支える基盤整備(コンパクトシティ、中心市街地
     活性化、長野駅の顔づくり、長野駅東口区画整理)
 (2)安全で安心な地域への取り組み
   ア.防災体制の整備
   イ.生活衛生の推進(斎場の整備)
   ウ.保健・福祉・医療分野
 3.「きらめく人づくり」「きらめく地域づくり」を横軸に貫く
   取り組み
 (1)環境対策
 (2)公共交通の再生
 4.「健全で効率的な行政経営」に向けた取り組み
 (1)都市内分権の推進
 (2)行政改革の推進
 (3)信州新町と中条村との合併
 (4)市役所第一庁舎と長野市民会館の在り方
 5.その他
 (1)上下水道事業について
 (2)組織・機構の見直し
(むすび)
 1.クリアウォーター市姉妹都市提携50周年
 2.結びの言葉
 3.提出議案
******************************

 以上の骨子を読んでいただければ、私の考えや、長野市の将来に
どんな夢を描いているのかが、大ざっぱにはお分かりいただけるも
のと思いますが、その中から特に強調したかったことを、説明させ
ていただきます。

 まず、決意表明ですが、私は市長就任以来、以下の5原則を座右
の銘とし、絶対にブレないことを心に誓い、市民の皆さんにお伝え
してきました。
(1)入りを量りて出ずるを為す
(2)市民とのパートナーシップ
(3)簡素で分かりやすい市政運営
(4)民間活力の導入
(5)市職員の意識改革ときちんとした行政の遂行

 この上に立って、平成21年度の施策の中では、次の5項目を意
識的に考えたつもりです(予算が大きいということではなく、現在
そして将来の長野市に何が重要かという観点でご覧いただければ、
幸いです)。
(1)都市内分権
(2)内需拡大策
(3)中山間地域の活性化策
(4)環境対策(化石燃料の消費削減・新エネルギーへの転換)
(5)公共交通の再生

 これらは、独立した項目ではありますが、相互に関連しています。
例えば中山間地域を活性化することは、内需拡大に貢献することで
しょうし、農林業の再生にもつながり、環境問題にも関連があるは
ずです。公共交通を再生することは、環境対策に大きく貢献してく
れると考えていますし、すべての施策を実行していく上で、新たな
住民自治が必要になる、それが住民自治協議会であり、都市内分権
のシステムです。

 都市内分権は、平成20年度末までに、市内30の行政区すべて
で、住民自治協議会が設立されるめどが立ちました。平成18年度
を「都市内分権元年」と宣言し、その基礎となる住民自治協議会の
立ち上げをお願いしてから3年、予定より1年早く30地区での立
ち上げに至ったわけです。
 平成21年度は、さらに準備期間として組織強化をしていただき
ながら、平成22年度からの本格実施に向けて、さらに意見交換を
していきたいと考えています。

 内需拡大策は、現在の不況を克服するためには、輸出には頼れな
い、内需を拡大するしかない、との認識のもと、「市内中小企業の
支援」と「農業・林業の再生」に全力を挙げていこうという決意で
す。特に農業は、日本の安全・安心のよりどころ、セーフティーネ
ットとして、なんとしても“もうかる産業”に育てたい、そんな思
いで市農業公社とともに頑張っていく決意です。

 中山間地域の活性化は、長野市域の約7割が中山間地域であり、
間もなく合併する信州新町、中条村の区域も中山間地域ですから、
この地域の活性化なくして、長野市の活性化はあり得ないとの認識
のもと、内需拡大策とも関係がありますが、可能なことはすべて実
施しようと決意しています。

 環境対策は、幅の広いテーマですが、ごみの減量と再資源化、そ
して新エネルギーとして太陽光発電の導入やバイオエネルギーの研
究に取り組みます。

 公共交通の再生は、中心はバス交通の再生ですが、軌道交通も経
営が大変になってきているということで、「公共交通は都市のイン
フラである」との信念のもと、持続可能なシステムを作ることに全
力を挙げていきます。

 以上、骨子部分をご覧いただきながら、特に強調したいと考えて
いることを紹介させていただきました。

 なお、今回の定例会に提案している新年度の一般会計予算ですが、
経済不況の影響もあり、実は、市税や譲与税・交付金などの収入が、
前年度に比べて38億円も減ってしまう見込みなのです。わずかに
増えそうな交付税に加え、合併特例債なども活用することにしてい
ますが、この減収分を補いきれそうもありません。そこで、苦肉の
策として、これまで抑制してきた基金の取り崩しを増やすことで編
成できた予算なのです・・・複雑な思いですが、地域経済の活性化
を図るためにも、なんとか前年度並みの金額を確保することができ
ましたので、今は、ホッとしています。