2002年9月30日月曜日

メールマガジン第25号について(お詫び)


 9月26日配信のメールマガジン第25号「田中知事にお会いし
ました」において、「裾花川に2つのダムができて以来、浸水被害
がでたことは記憶にありません。」との記載をいたしましたが、こ
の内容は、長野保健所から下流の岡田町地籍で裾花川が溢れ、
街の中に氾濫するというような大きな浸水被害を想定し記述したも
のであります。
 なお、「平成7年に上流(妻科地籍)において、浸水があった。」
とのご指摘をいただきましたが、この点につきましては、事実、床
上浸水等の被害があったことを率直に認めさせていただきます。
 メールマガジンの配信にあたり、配慮に欠けていたことにつきま
して訂正し、裾花川沿川で被害を被られた皆さんに対し、お詫び申
し上げます。

2002年9月26日木曜日

田中知事にお会いしました


 9月20日、田中知事が長野市役所に来庁されました。すでに新
聞等でご存知の方もいらっしゃると思いますが、用件は浅川ダムに
関することでした。

 当初は選挙期間中にお話のあった「お出かけ知事室」としてお越
しになるのかなと考え、全庁的に何をお話しすべきかということの
検討をしていたのですが、その後、お出かけ知事室ではなく、浅川
ダムの件でお越しになるということが分かりましたので、長野市と
しては、9月市議会定例会での討論やメールマガジンで明らかにし
ていることをきちんと整理し、申し上げるべきことを事前に準備い
たしました。

 当日は、知事や同行者の外にも、メディアの皆さんがカメラも含
め大勢お見えになりましたので市長室は満員、おそらくこんなに人
が入ったのは初めてだと思います。

 田中知事が言われたことは、

 1.浅川ダムを止めることについて了解して欲しい。
 2.浅川の治水について、議会に示した枠組みのお話があり、ダ
   ム無しの代替案を作成するので協力して欲しい。

 という二点が中心でした。

 私からは、選挙期間中に知事が今後市町村と十分話し合っていく
ということを言っておられましたので、あえてそのことを確認させ
ていただいた後、選挙期間中に個人的な批判をしたつもりはないが、
もし誤解して受け止められているようなら申し訳ないとお詫びした
上で、ダムに関しては、次のようにお答えいたしました。

1.ダムを止めるということについては、事業主体の県がおっしゃ
  ることですから、長野市としては賛成とか反対とかのコメント
  は控えさせていただく。なぜなら、私は治水にこだわっている
  わけで、その手段であるダムにこだわっているわけではないか
  らです。

2.県では推進本部をおつくりになって治水の代替案を検討してお
  られるそうですので、長野市としては代替案が示された後に、
  検証して対処させていただく。

 ということです。そして、長野市としては今後の課題として二つ
に分けて考えているので、対応をお願いしたいと申し上げました。
その二点とは、

1.ダムを造るにあたっては長野県と長野市、それと地元の対策委
  員会等と結んだ確認書、契約書等がいくつもある。これらは治
  水問題とは関係なく、ダムを止めるとすれば、一括解決しなく
  ては行政の信頼は失われる。県がダムを止める以上、まずこの
  問題に主体的に取り組み、至急解決して欲しい。もちろん長野
  市も契約の一方の当事者でもあるのでお手伝いはする。

2.もう一点は浅川の治水問題で、これについても新幹線にからむ
  県、市、鉄建公団と地元との確認書が存在するし、契約書はな
  いまでも、何十年かの間、地元住民の皆さんと積み重ねてきた
  約束が沢山ある。これらについては、県が作成する代替案が示
  されてからでないと対処出来ないので、なるべく早く示して欲
  しい。その後、長野市からの提案として、国、県、関係市町村、
  地元団体等と協議会を作って話し合ったらどうか、という意味
  のことを申し上げました。

 知事からは「ダム無しの代替案作りを長野市も一緒にやって欲し
い。」というお話がありましたが、私から「県知事の脱ダム宣言以
来、河川の安全度を切り下げないで、ダムによらない代替案を長野
市なりに検討してきた。しかし、財政的な問題も含め、流域の状況
を考えると実務的には困難であるという報告を受けている。一緒に
と言われても、長野市としてこれまで検討してきた以上の治水対策
の提案をすることは困難と考えられ、かえってご迷惑になる可能性
もある。ご相談があれば、もちろん最大限の協力はさせていただく
が、基本的には代替案は県の責任で作成していただきたい。なお、
あえて“一緒に”というご要請であれば、庁内で検討します。」と
お答えいたしました。消極的と取られたかも知れませんが、現実的
な問題としては仕方ない対応と考えています。

 会談の中で知事は、県の土木部では「ダム無し」での治水は可能
であり、その可能性を実現する立場に立っており・・・・・・とお
っしゃっているわけですから、その理由、根拠、データ等を是非と
も具体的にお聞きしたい、それを基に長野市としても検討していき
たいと考えています。

 私から提案した協議会の設置については、平成9年に改正された
河川法のもとで河川整備計画を変更する場合には、流域市町村の意
見を聞くことが義務付けられていますし、国の認可も得なくてはな
らない。そうであるならば、皆が一堂に会して話す方がスムーズに
いくのではないかと、県の立場を考えた上での提案だったのです。
しかし、会談後に行われた県庁での記者会見の席上、知事は否定的
な見解を示されたようです。

 私とすれば、県から代替案が提案されて意見を求められた場合、
市民の意見はもちろんですが、国や流域市町村の意見を聞かなけれ
ば、長野市として勝手な答えは出せないと思いますので、一堂に会
して協議する方が早いと考えた上での提案だったのですが、ご理解
いただけなく残念です。

 以上が田中知事との会見の内容ですが、長野市長とすれば、知事
の脱ダム宣言を受けて以来(私個人は途中からですが)いろいろな
問題を庁内組織で検討してきた結果を誠実にお話ししたもので、こ
れで良かったと考えています。

 ちょっと意外だったのは、浅川の治水対策は「最初にダムありき」
ではなく、昭和40年代に長野県が行った沿川住民への提案は河川
改修案であった。しかし、それではどうしても河川の幅が広くなり
すぎるということで、地元の理解が得られず、結果としてダム案が
浮上したという事実をお知りになっていなかったように感じたこと
です。

 なお、この問題については、私が治水の安全度の切り下げは絶対
に困る、ということを申し上げている根拠を最後に付け加えさせて
いただきます。

 具体的な例をあげるとするならば、裾花川(浅川ではありません)
は過去に何度も氾濫し、長野駅周辺から犀川の周辺まで水浸しにな
った記録が幾つも残っています。その裾花川に2つのダムができた
のは昭和40年代から50年代にかけてのことでした。それ以来、
浸水被害が出たことは私の記憶にはありません。以後、裾花ダムは
私達長野市民の水瓶としても毎日お世話になっていることは皆さん
ご承知の通りです。

 平成7年7月に梅雨前線の影響で大雨が降って、裾花川の堤防が
溢れる寸前になったことは、まだ記憶に新しいと思います。でも、
裾花川には2つのダムがあったからこそ、ぎりぎりのところで溢水
せず助かったことは事実であり、そのダムは国の従来の安全度の基
準に基づいて造られていたのです(浅川ダムの計画も同じです)。

 もし裾花川が国の安全度の基準を下げて造られていたら、どうな
っていたのだろうか。結果論ですので、「もし」という話は意味が
ないかも知れませんが、私は大変な事態になっていたと思います。
ましてや、最近は世界的な異常気象と言われており、いつどんな雨
が降るか誰も予測がつかないのではないでしょうか。せめて国が決
め、全国で実施してきた安全率は最小限守る、それは行政として当
たり前のことだと思っています。
 「ダム無しで安全が守れる代替案」を是非作りたい、それが現在
の心境です。

2002年9月19日木曜日

若穂川田地籍で林野火災が発生


 長野市総合防災訓練の翌日の9月1日に若穂川田地籍で林野火災
が発生しました。私は連絡を聞き、すぐに現地に向かいましたが、当
日は強い風が吹いており、現地は山のあちこちから煙があがっており
ました。通常の火災の範囲を超えていることや急峻な地形からみて、
消火作業がなかなか進まないと判断し、災害対策本部設置を決定しま
した。

 火災の発生原因は、お年寄りが果樹栽培用の袋を燃やしていたと
ころ、折からの強風に煽られ、雨が少なくて乾燥しきっていた林野に
一気に燃え広がったようです。普段は日常的にやっていたことなの
でしょうが、予想も出来なかった大きな災害になってしまったという
ことです(昨年安茂里で発生した林野火災も焚き火が原因とのこと
です)。

 消火活動は、長野県はもとより近隣県(群馬、山梨、埼玉、岐阜)
へ消防防災ヘリコプターの出動を要請しました。また、自衛隊のヘリ
コプターにも県を通じて消火活動の要請を行い、空から大量の水を
散水してもらいました。各県の消防防災ヘリは1回に概ね1tの水を
犀川や千曲川からくみ上げましたし、自衛隊のヘリは大型ですので
概ね7tの水を小田切ダムや犀川からくみ上げ散水したのですが、
その威力はすさまじく、見ていて大変頼もしく感じました(結局ヘリ
コプターは全部で10機飛来していただき、林野火災に対する有効性
を実感させていただきました。この火災では、消防防災ヘリ及び自衛
隊のヘリが435回にわたり空中消火を実施し、全放水量は622t
に達したとのことです)。

 しかし、空からのヘリでの散水は効果が大きいのですが完全には
消えません。また、まずいことに、火災現場に高圧送電線が通過し
ているため、その付近の消火活動には危険が伴いました。このため、
陸上では、長野市消防局職員、長野市消防団の皆さん、そして北信
地域5消防本部からの応援もいただきましたが、消火作業は難航し、
一箇所の火が消えたと思うと、離れた場所から煙があがり、しばら
くすると消えたはずの場所からまた炎があがるといった状況で、活
動する皆さんの疲労は想像を絶するものがありました。一台約80
kgある「小型動力ポンプ」を担ぎ上げたり、20kgもある「背負式
消火水のう」を担ぎ、山を登って消火活動を続ける、そして、徹夜の
監視という重労働を想像してみてください。
 3日間に及ぶ消火活動には、延べ1,692人の方が消火活動に
従事していただき、また地元の若穂の方々にも炊き出し等に、ご協力
いただいたことは大変ありがたく、様々な場面でご協力いただいた
全ての皆様に心から感謝申し上げます。

 幸いなことに、火は2日目の夕刻には、大きな炎が見えなくなり、
ヘリコプターは撤収いたしましたし、3日目は残火の処理に明け暮
れましたが、その夜、待望の雨が降ったおかげで完全に鎮火し、人
家に被害が出ることなく終わりました。

 この林野火災で感じたことをいくつか書かせていただきます。

1.長野県消防相互応援協定の存在は大変ありがたかった。長野
  県の協力はもとより、緊急連絡で4県の防災ヘリが飛来して消
  火活動をして下さったことは頼もしかった。ただ最高時10機が
  飛来したための騒音と砂埃は、これは非常時であることは分か
  っていただいたとしても、近隣の方々には大変ご迷惑をかけた
  と思います。

2.現地指揮本部を設置した松代消防署若穂分署内でも、情報の整
  理と今後の対策のための作業が夜通し行われました。このこと
  もご近所の方々にご迷惑をかけたことと思います。

3.近隣の消防本部との協力関係もありがたいことでした。消防機
  材も長野市のものだけでは足りず、関係機関から調達させてい
  ただきました。

4.非常災害であっても、消防局の職員を全て投入するわけにはい
  かない。他にも災害発生の可能性はあるわけで、現に発生日に
  は火災も起きていました。その戦力の補完をしていただける消
  防団の力は、ありがたいものです。その機動力、活動力は大き
  な役割を果たしていただきました。消防団員も普段は自分の仕
  事を持ち、一種のボランティアとして活動していただいている
  わけですが、災害時には大きな役割を果たす組織です。

5.火災がなかなか沈静しなかった原因の一つには、松くい虫の駆
  除のために伐採した木に火が燃え移り、それが上から転がり落
  ちてきて燃え広がるということも原因の一つだったようです。
  松くい虫対策の方法も考え直さないといけないのかも知れませ
  ん。

6.消火活動中、何人かの負傷者が出てしまいました。幸い比較的
  軽い怪我であったとの報告ですが、1日も早い回復をお祈りい
  たします。

7.普段何気なくやっていることからでも、何かの拍子に大きな災
  害になってしまう、お互いに気をつけなくてはいけないと思いま
  す。長野市の統計では非火災に分類していますが、渇水期に芝が
  燃えたとか、畑のゴミを燃やしていたら枯草に火がついたとか、
  そういう類の事故は毎日のように起きています。一歩間違えば、
  今回のような大火災につながる可能性がありますので、常日頃か
  ら火の用心を心がけていただきたいと思います。

8.ヘリの運航には多額の費用がかかりますが、今回、他県から応
  援いただいた消防防災ヘリに関する出動経費等は、(財)全国市
  町村振興協会が交付してくれる規定があるそうです。この規定
  は、大規模災害発生時に都道府県の範囲を越えて、迅速かつ
  円滑な応援活動を促進し、被災市町村の負担を軽減するという
  目的のものです。
  しかし、県内で応援に来ていただいた消防機関の費用は、それ
  ぞれの消防機関が負担するということです。災害の時はお互い
  様ということなのでしょう。今年3月下旬に発生しました松本
  市の本郷林野火災、上田市の下之郷林野火災には長野市消防局
  からも応援出動いたしましたし、これからも他の市町村で災害
  があったときは、全力で応援してまいりたいと思います。
  それにしても、今回は本当にありがたかった。

 市民の財産と生命を守ることは、行政にとって最も基本的な役割
であるということは以前にも申し上げたことがあります。今後も市民、
関係機関及び行政の連携を密にし、災害の未然防止と被害の抑制
に努めていきたいと、この災害を通して改めて感じました。

 最後に余談ですが、災害に際して緊急車両に乗ることになりまし
たが、しかし、サイレンを鳴らしながら走る車の前を平然と車が走
行している、交差点でもなかなか止まってくれない。緊急車両には
一刻も早く現地に着かなくてはいけないという大きな役割がある。
ぜひご理解とご協力をいただきたい。併せて道に車を停めて火事を
見物されている方にも、ご協力をいただきたいと感じました。

2002年9月12日木曜日

田中新知事の誕生について


 9月1日の長野県知事選挙で、田中前知事が当選されました。私
とすれば、民意が決めたことですから、当然のことながら尊重しな
ければならないと思いますし、新知事には、長野県のために一生懸
命取り組んでいただくことを、期待したいと思います。

 県知事と県都の市長は、当然のことながら協力し合うことが必要
だと思いますので、十分連携を取り合って共に県政・市政に取り組
んでいきたいものと考えています。ただ、協力するということは、
全て賛成ということではなく、地方自治体の長である知事と市長が
対等の立場で議論し、お互いに県民益・市民益のためにどうするか
考え、施策を行っていくことであると考えています。

 私自身が市長の立場でありながら、今回の知事選において反田中
色を鮮明にしてきたことへの批判は承知しています。それは、1年
8ヶ月間の知事としての田中さんの行動が、どうしても納得できな
いのと、明らかに市民益とは合致していないという理由からであり、
長野市民に対する市長としての当然の責務として行ってきたことな
ので、このことについて後悔はしていません。

 田中県政1年8ヶ月間のどこが市民益に合致していなかったかと
いう点ですが、これはいくつかあると思います。私は自身で経験し
てきた長野市にとって明らかに不利益になる点について一点だけ申
し上げてみたいと思います。

 私は、浅川ダムを今回の選挙の争点にはして欲しくないと主張し
た手前、選挙中にはこのことについて、できるだけ触れないように
してきました。しかし選挙も終わり、今後改めて論議になると思わ
れますので、申し上げることにいたしました。

 浅川ダムのプロジェクトは、昭和60年4月1日、河川管理者・
吉村元長野県知事と水道管理者・柳原元長野市長との間で契約書を
取り交わしてスタートし、国もそれを認可した事業です。そこに至
るまでの経過は長くなりますので省きますが、要は、長野市は浅川
ダムの共同事業者なのだということです。事業の中での長野市の比
率は低いですが、しかし共同事業者であることは事実です。その共
同事業者に対し前知事は何にも相談、話し合いもせずに「共同事業
を止めた」とおっしゃいました。でも、それはおかしい。世の中の
常識として県と市が契約しているものを止める場合には、具体的に
今までの決め事をどうするか話し合い、そして、せめて方針を示し
たうえで理解を求めることは当たり前でしょう。このことが私には
どうしても理解できませんでした。

 私は、県が設置したダム等検討委員会の浅川部会に地元市長とし
て参加し、その席上で県はダム無しとした場合の代替案を示すべき
であると主張しましたが、「県はその立場にない」ということで、
とても納得のいくものではありませんでした。これは、行政執行の
責任ある立場として、無責任極まりないものだと感じました。その
後、関係市町の連名で公開質問状という形で回答を求めましたが、
やはり明確な回答はありませんでした。
(詳細はhttps://wwws.city.nagano.nagano.jp/mail-mgz/backno/2002/0723161600.html
をご覧ください)

 ダム無しとした場合、県と市における問題はほかにもたくさんあ
ります。例えば長野市は浅川ダムの共同事業者として、県に負担金
として5億6千万円余りお支払いしています。これは市民の財産で
あり、今後も合計で11億円以上お支払いする予定です。契約を破
棄するというなら、この負担金をどのようにされるのですか。

 また、計画を認めてもらうに当たって地元の皆さんといろいろな
約束というか、協定をしているのですが、それも全て反故にするの
ですか。例えば現在、鐘鋳川など三本の中小河川の水を浅川に放流
していますが、それは地元の皆さんとの話し合いで、下流域の河川
の負担を軽くするために、浅川ダムができるなら計算上水害になる
可能性は低いので受け入れましょうということで決まったことで、
県がそれを認めた事業です。既に非公式には、ダムが出来ないなら
あの河川の水は浅川へ入れることを拒否するというお話も聞いてい
ます。

 さらに、新幹線の車両基地の建設に当たっての約束はどうなるの
ですか。当然のことながら新幹線の長野以北延伸の時、問題になる
話です。基本高水流量が450立方メートルについても当面の目標
ということではなく、きちんとしたものにしていただくことは当然
でしょう。一つの条件を前提として進められてきた事業の場合、市
町村の立場というのは理念だけで解決できるほど単純なものではな
く、具体的な方策を説明し理解をいただかなければならないのです。
こういう重要な決定をするうえで一言の話し合いもないということ
が私の我慢できなかった理由です。

 ローマの昔から都市にとって、水は大変重要であるということは
広く認識されていることであります。長野市は幸い先輩方の努力に
よって現段階では心配なく、市民の皆さんに安心していただける状
況です。ただ長い将来を考えたとき、危機管理という立場から水源
は「多様」にすべきであること、ポンプアップ等をせずに「自然流
下」でコストの安い水が得られること、等の観点から検討した結果、
先輩の皆さんは浅川ダム以外に新しい水源を見つけることは困難で
あるとの結論に達し、ダムから水道水を取水するという決断をされ
た。私はこの決断は目先のことにとらわれず、将来を見据えた素晴
らしい決断だったと信じています。契約の履行を要求するのは、当
然の行為であり、市民益です。

 以上、私が今回の選挙に当たって考えたことです。ご理解をいた
だきたいと思います。当然のこととして、今後県には納得のいく具
体論をお聞きし、話し合っていきたいと思いますし、地元の皆様と
もお話していかなくてはならないと考えています。

 行政の継続性ということはどういう意味か、最近分からなくなっ
てしまいました。直接選挙で選ばれた地方自治体の首長というのは、
前政権の約束事には責任はもてない、守る必要がないのだから全て
壊してよいということなのでしょうか?
 最低限、影響を受ける人、責任のある人に説明をする義務がある
と私は思います。それが真の意味での情報公開であり、説明責任で
あり、私の言う説得責任なのです。

2002年9月5日木曜日

改革の本質(その2)


 先週号では、改革ということをテーマに取り上げ、その中で、第
1のポイントとして既存の枠組みからの脱却について、第2のポイ
ントとして改革のための説得責任について配信しました。
 今週号では、前回お伝えできませんでした改革のポイントについ
て2点と、長野市の改革を今後どのように進めていくのかについて
書いてみたいと思います。
(先週号はこちらをご覧下さい)
https://wwws.city.nagano.nagano.jp/mail-mgz/backno/2002/0829091141.html

 改革の第3のポイントは、民営化をする場合に競争条件が整うか
ということです。戦後に行われた電力会社の民営化の経緯からみて、
民営化しても地域独占の考えでは競争条件は整わず、一定の期間
は良いとしても、本当の意味でのサービス向上にはつながらないで
しょう(電力会社も最近は規制緩和で、多様な取り組みがなされる
ようになってきました。独占は良くないという流れでしょう)。
 競争条件が備わってこそ、より良いサービスが期待できるのだと
私は思います。道路公団の民営化という命題は、競争条件の整備
という点からは難しそうで、ひと工夫いるところでしょう。併せて
民営化のマイナス要因をきちんと説明することも大切だと思います。

 改革の第4のポイントは、結局は人件費の問題にたどり着くと思
います。平成大不況といわれる今日、民間企業は中国等へ安い人
件費を求めて進出したり、リストラしたり、あるいは賃金カットに踏
み切ったりと、極めて厳しい生き残り策をとっている中で、公務員や
その外郭団体等の職員は倒産がないから、のうのうとしていて給与
も高い、楽で良いなあという感じで、公に対して不満がどんどん大
きくなっているのが現実でしょう。
 また、長野市の上級職職員の採用試験に千人を超える応募者が
あったことは、これを喜んで良いのかどうか困っています。公務員
志望がこんなに多いというのは、決して良い社会ではありません。

 9月号の文芸春秋に猪瀬直樹氏の発言として、大赤字で悩んでい
る本州四国連絡橋公団の総裁の年俸が2500万円と書いてありま
した。退職金はどうなのか知りませんが、昔、国の官僚は組織を渡
り歩いてその度に大変な金額をもらっているという話を聞いたこと
があります。公団の総裁の仕事がどれだけ大変かは知りませんが、
本来的には公務員OBの二度目のお勤めでしょう。国にはそんな機
関がたくさんあるのだろうなあと思いながら許せない気分になって
しまいます。
 昔から、公務員は清貧に甘んじているから権力を与えられる。そ
して勲章も立派なものが与えられるのだと教わってきました(ただ、
最近は民間でも良い勲章が欲しいと運動するようですから、随分変
わってしまったようです)。

 長野市にも外郭団体はたくさんあって、そこの管理者は職員OB
にお願いしていることが多いのですが、報酬は二度目のお勤めとい
うことで、現役時の2分の1から3分の1ぐらいの金額です。それでも
皆さん、仕事に意義を見出して頑張ってもらっています。せめて現役
の職員の平均ぐらいは支払いたいと思ってはいますが・・・。

 今年の人事院勧告は初のマイナスということだそうですが、ようや
くかというのが私の感想です。平成18年度から公務員制度も変わ
り、業績評価とか成果配分の考えや降格という民間では当たり前
の発想が入るようです。いささか遅いとは思っていますが、徐々に
行政も変わるようです。
 
 最後に、私は長野市長選に立候補するに当たり、「長野改革」と
いう言葉を標榜してきましたが、私の目指す「改革」とは、民営化
のみを指して言っている訳ではありません。もちろん長野市が行っ
ている事業の中で民営化可能なものは全て民営化したい。具体的
には、既に行政と民間が同じことを競合的にやっている分野、ある
いは採算的に考えて十分民間でやれそうな事業、民間の方が良い
サービスを提供できそうな事業、そういうものを今検討しています。

 でも、改革はそれだけではありません、まず長野市職員の意識改
革に取り組んでいます。例えば 

1.何か新しい提案があった場合、行政の人はまず出来ない理由を
  探してしまうことが多い。そうではない、まずやることを前提
  に考えよう。結果的に出来ないかも知れないが、まずはやるこ
  とを前提に考える癖をつけよう。

2.スピードを上げよう。どうもお役所仕事は時間がかかる。
  時と場合によっては朝令暮改は悪いことではないと考えよう。 

3.情報公開に伴う説明責任は、説得責任も伴う。
 
4.財政問題を常に考えて取り組もう。 

5.現場主義に徹しよう。

 まあこんな点に力を入れて意識改革に取り組んでいます。

 以上、私の考えている改革の本質です。私は確実な形で民間発想
を行政に入れることを念頭に力一杯取り組んでいきます。