9月1日の長野県知事選挙で、田中前知事が当選されました。私
とすれば、民意が決めたことですから、当然のことながら尊重しな
ければならないと思いますし、新知事には、長野県のために一生懸
命取り組んでいただくことを、期待したいと思います。
県知事と県都の市長は、当然のことながら協力し合うことが必要
だと思いますので、十分連携を取り合って共に県政・市政に取り組
んでいきたいものと考えています。ただ、協力するということは、
全て賛成ということではなく、地方自治体の長である知事と市長が
対等の立場で議論し、お互いに県民益・市民益のためにどうするか
考え、施策を行っていくことであると考えています。
私自身が市長の立場でありながら、今回の知事選において反田中
色を鮮明にしてきたことへの批判は承知しています。それは、1年
8ヶ月間の知事としての田中さんの行動が、どうしても納得できな
いのと、明らかに市民益とは合致していないという理由からであり、
長野市民に対する市長としての当然の責務として行ってきたことな
ので、このことについて後悔はしていません。
田中県政1年8ヶ月間のどこが市民益に合致していなかったかと
いう点ですが、これはいくつかあると思います。私は自身で経験し
てきた長野市にとって明らかに不利益になる点について一点だけ申
し上げてみたいと思います。
私は、浅川ダムを今回の選挙の争点にはして欲しくないと主張し
た手前、選挙中にはこのことについて、できるだけ触れないように
してきました。しかし選挙も終わり、今後改めて論議になると思わ
れますので、申し上げることにいたしました。
浅川ダムのプロジェクトは、昭和60年4月1日、河川管理者・
吉村元長野県知事と水道管理者・柳原元長野市長との間で契約書を
取り交わしてスタートし、国もそれを認可した事業です。そこに至
るまでの経過は長くなりますので省きますが、要は、長野市は浅川
ダムの共同事業者なのだということです。事業の中での長野市の比
率は低いですが、しかし共同事業者であることは事実です。その共
同事業者に対し前知事は何にも相談、話し合いもせずに「共同事業
を止めた」とおっしゃいました。でも、それはおかしい。世の中の
常識として県と市が契約しているものを止める場合には、具体的に
今までの決め事をどうするか話し合い、そして、せめて方針を示し
たうえで理解を求めることは当たり前でしょう。このことが私には
どうしても理解できませんでした。
私は、県が設置したダム等検討委員会の浅川部会に地元市長とし
て参加し、その席上で県はダム無しとした場合の代替案を示すべき
であると主張しましたが、「県はその立場にない」ということで、
とても納得のいくものではありませんでした。これは、行政執行の
責任ある立場として、無責任極まりないものだと感じました。その
後、関係市町の連名で公開質問状という形で回答を求めましたが、
やはり明確な回答はありませんでした。
(詳細はhttps://wwws.city.nagano.nagano.jp/mail-mgz/backno/2002/0723161600.html
をご覧ください)
ダム無しとした場合、県と市における問題はほかにもたくさんあ
ります。例えば長野市は浅川ダムの共同事業者として、県に負担金
として5億6千万円余りお支払いしています。これは市民の財産で
あり、今後も合計で11億円以上お支払いする予定です。契約を破
棄するというなら、この負担金をどのようにされるのですか。
また、計画を認めてもらうに当たって地元の皆さんといろいろな
約束というか、協定をしているのですが、それも全て反故にするの
ですか。例えば現在、鐘鋳川など三本の中小河川の水を浅川に放流
していますが、それは地元の皆さんとの話し合いで、下流域の河川
の負担を軽くするために、浅川ダムができるなら計算上水害になる
可能性は低いので受け入れましょうということで決まったことで、
県がそれを認めた事業です。既に非公式には、ダムが出来ないなら
あの河川の水は浅川へ入れることを拒否するというお話も聞いてい
ます。
さらに、新幹線の車両基地の建設に当たっての約束はどうなるの
ですか。当然のことながら新幹線の長野以北延伸の時、問題になる
話です。基本高水流量が450立方メートルについても当面の目標
ということではなく、きちんとしたものにしていただくことは当然
でしょう。一つの条件を前提として進められてきた事業の場合、市
町村の立場というのは理念だけで解決できるほど単純なものではな
く、具体的な方策を説明し理解をいただかなければならないのです。
こういう重要な決定をするうえで一言の話し合いもないということ
が私の我慢できなかった理由です。
ローマの昔から都市にとって、水は大変重要であるということは
広く認識されていることであります。長野市は幸い先輩方の努力に
よって現段階では心配なく、市民の皆さんに安心していただける状
況です。ただ長い将来を考えたとき、危機管理という立場から水源
は「多様」にすべきであること、ポンプアップ等をせずに「自然流
下」でコストの安い水が得られること、等の観点から検討した結果、
先輩の皆さんは浅川ダム以外に新しい水源を見つけることは困難で
あるとの結論に達し、ダムから水道水を取水するという決断をされ
た。私はこの決断は目先のことにとらわれず、将来を見据えた素晴
らしい決断だったと信じています。契約の履行を要求するのは、当
然の行為であり、市民益です。
以上、私が今回の選挙に当たって考えたことです。ご理解をいた
だきたいと思います。当然のこととして、今後県には納得のいく具
体論をお聞きし、話し合っていきたいと思いますし、地元の皆様と
もお話していかなくてはならないと考えています。
行政の継続性ということはどういう意味か、最近分からなくなっ
てしまいました。直接選挙で選ばれた地方自治体の首長というのは、
前政権の約束事には責任はもてない、守る必要がないのだから全て
壊してよいということなのでしょうか?
最低限、影響を受ける人、責任のある人に説明をする義務がある
と私は思います。それが真の意味での情報公開であり、説明責任で
あり、私の言う説得責任なのです。