先週号では、改革ということをテーマに取り上げ、その中で、第
1のポイントとして既存の枠組みからの脱却について、第2のポイ
ントとして改革のための説得責任について配信しました。
今週号では、前回お伝えできませんでした改革のポイントについ
て2点と、長野市の改革を今後どのように進めていくのかについて
書いてみたいと思います。
(先週号はこちらをご覧下さい)
https://wwws.city.nagano.nagano.jp/mail-mgz/backno/2002/0829091141.html
改革の第3のポイントは、民営化をする場合に競争条件が整うか
ということです。戦後に行われた電力会社の民営化の経緯からみて、
民営化しても地域独占の考えでは競争条件は整わず、一定の期間
は良いとしても、本当の意味でのサービス向上にはつながらないで
しょう(電力会社も最近は規制緩和で、多様な取り組みがなされる
ようになってきました。独占は良くないという流れでしょう)。
競争条件が備わってこそ、より良いサービスが期待できるのだと
私は思います。道路公団の民営化という命題は、競争条件の整備
という点からは難しそうで、ひと工夫いるところでしょう。併せて
民営化のマイナス要因をきちんと説明することも大切だと思います。
改革の第4のポイントは、結局は人件費の問題にたどり着くと思
います。平成大不況といわれる今日、民間企業は中国等へ安い人
件費を求めて進出したり、リストラしたり、あるいは賃金カットに踏
み切ったりと、極めて厳しい生き残り策をとっている中で、公務員や
その外郭団体等の職員は倒産がないから、のうのうとしていて給与
も高い、楽で良いなあという感じで、公に対して不満がどんどん大
きくなっているのが現実でしょう。
また、長野市の上級職職員の採用試験に千人を超える応募者が
あったことは、これを喜んで良いのかどうか困っています。公務員
志望がこんなに多いというのは、決して良い社会ではありません。
9月号の文芸春秋に猪瀬直樹氏の発言として、大赤字で悩んでい
る本州四国連絡橋公団の総裁の年俸が2500万円と書いてありま
した。退職金はどうなのか知りませんが、昔、国の官僚は組織を渡
り歩いてその度に大変な金額をもらっているという話を聞いたこと
があります。公団の総裁の仕事がどれだけ大変かは知りませんが、
本来的には公務員OBの二度目のお勤めでしょう。国にはそんな機
関がたくさんあるのだろうなあと思いながら許せない気分になって
しまいます。
昔から、公務員は清貧に甘んじているから権力を与えられる。そ
して勲章も立派なものが与えられるのだと教わってきました(ただ、
最近は民間でも良い勲章が欲しいと運動するようですから、随分変
わってしまったようです)。
長野市にも外郭団体はたくさんあって、そこの管理者は職員OB
にお願いしていることが多いのですが、報酬は二度目のお勤めとい
うことで、現役時の2分の1から3分の1ぐらいの金額です。それでも
皆さん、仕事に意義を見出して頑張ってもらっています。せめて現役
の職員の平均ぐらいは支払いたいと思ってはいますが・・・。
今年の人事院勧告は初のマイナスということだそうですが、ようや
くかというのが私の感想です。平成18年度から公務員制度も変わ
り、業績評価とか成果配分の考えや降格という民間では当たり前
の発想が入るようです。いささか遅いとは思っていますが、徐々に
行政も変わるようです。
最後に、私は長野市長選に立候補するに当たり、「長野改革」と
いう言葉を標榜してきましたが、私の目指す「改革」とは、民営化
のみを指して言っている訳ではありません。もちろん長野市が行っ
ている事業の中で民営化可能なものは全て民営化したい。具体的
には、既に行政と民間が同じことを競合的にやっている分野、ある
いは採算的に考えて十分民間でやれそうな事業、民間の方が良い
サービスを提供できそうな事業、そういうものを今検討しています。
でも、改革はそれだけではありません、まず長野市職員の意識改
革に取り組んでいます。例えば
1.何か新しい提案があった場合、行政の人はまず出来ない理由を
探してしまうことが多い。そうではない、まずやることを前提
に考えよう。結果的に出来ないかも知れないが、まずはやるこ
とを前提に考える癖をつけよう。
2.スピードを上げよう。どうもお役所仕事は時間がかかる。
時と場合によっては朝令暮改は悪いことではないと考えよう。
3.情報公開に伴う説明責任は、説得責任も伴う。
4.財政問題を常に考えて取り組もう。
5.現場主義に徹しよう。
まあこんな点に力を入れて意識改革に取り組んでいます。
以上、私の考えている改革の本質です。私は確実な形で民間発想
を行政に入れることを念頭に力一杯取り組んでいきます。