2004年2月26日木曜日

市長の施政方針演説や挨拶について


 間もなく3月定例市議会が始まります。今回は施政方針演説を含
め、演説や議論のあり方について、私の考え方を述べてみたいと思
います。

 市議会での市長の施政方針演説がケーブルテレビの番組で、生放
送されるようになったのは、いつ頃からかよく覚えていませんが、
全て生放送されるようになった時、家族から「原稿を棒読みしてい
る姿は格好が悪い、原稿を見ないで堂々とやれないの?」と言われ
ました。

 私も原稿を読むことは好きではありません。できれば原稿を読ま
ずに自由に喋りたいと思うことはありますが、議会での施政方針演
説の場合は、かなりのボリュームがある上、政策担当の職員と一緒
に、細心の注意を払って組み立てているわけで、きちんと原稿を読
むことが大切だと思っています。また、市会議員さんにも私の読み
原稿を配布させていただき、多少の読み間違いがあってもご理解い
ただけるよう、また、聞き漏らしや誤解の無いように努めています。
私は、それが本来のやり方であろうと考えています。

 同様に、議会での質疑・討論につきましても、これも議会を面白
くする、あるいは活性化のために一問一答形式でやったらどうか、
という意見もいただいていますが、私は、議会というのは、議員さ
んからきちんとした質問をいただき、それに対し理事者が誠意ある
回答をすることが義務と考えていますので、議員の皆さんには、予
め質問内容を聞かせていただくようにお願いしています(駄目と言
われれば仕方がありませんが、その場合は、当意即妙の回答ができ
ず、「後日調べた上でお答えします」ということが多くなるでしょ
うね)。その代わり、回答は誠意をもってやろうということで、毎
晩遅くまで、多くの職員と一緒にヒアリングと回答文づくりを行っ
ています。私にとっては、議会での議論も気になりますが、このヒ
アリングの場が大変であると同時に、市政を勉強する最大の場であ
ると感じています。また、議会での質疑・答弁時間は、議員さんご
とに時間の制限がありますので、時間内に全ての質問に答えようと
しますと、原稿を読む以外は難しいようです。

 もう2年以上前になりますが、市長就任直後の平成13年12月
市議会のヒアリングでは、職員と私の議論が長引いてしまって、午
前0時前に帰宅したことはなかったように記憶していますし、時に
朝5時過ぎまで議論したこともありました。でも最近は私と職員と
の理念の共有ができたのか、あるいはどちらかが妥協するようにな
ったのか、早い時間に帰宅できるようになってきました。

 また、原稿を読むことを自分でも潔しと思わなかったが故に、答
弁の最中、アドリブでいろいろなことをお答えしたこともありまし
たが、結果はあまり良くなかったという反省があります。そして再
質問等の場合、これは予め原稿を用意することができませんので、
議論の中でつい激してしまうこともあり、議長さんから注意された
こともありました。

 議会以外でもいろいろな会合に出席して挨拶をさせていただく機
会が多くあります。数は多いし、会合の目的もそれぞれ違いますの
で、これも基本的には原稿を読ませていただいています。挨拶で申
し上げるべき内容に落ちがあっては申し訳ありませんし、それは失
礼です。担当課には箇条書きで良いから、要点は書いてほしいと頼
んでいます。

 地域の皆さんと地域の課題について懇談する「元気なまちづくり
市民会議」等で話をする場合、これは分かりやすくするためにプロ
ジェクターを使うようにしています。読み原稿を作るのと同じこと
ですが、市民の皆さんに分かりやすくしようということで、視覚に
訴えようとしてやっていることです。もちろん、私自身にとっても
スクリーンに映し出された資料を見ながら喋れるので、読み原稿と
同じ効果がありますし、特に地図や図表を使う場合には、絶大な効
果があって、参加された皆さんからは「分かりやすかったよ」と声
をかけていただき、嬉しく感じています。

 あまり多くはないのですが、諸団体から「市長講演」の依頼もあ
ります。30分から90分ぐらいの講演の要請が多いのですが、こ
れも予め系統別に、スライドを沢山作っておき、依頼団体の趣旨と
要請時間の兼ね合いで、その中から選んでお話しさせていただいて
います。行政というのは、結局のところ市民に理解していただくこ
とが重要ですから、時間の都合がつく限り出席させていただき、話
をさせていただくことにしています。

 喋るということとは少し違いますが、発刊以来、約2年を迎える
メールマガジンも、分かりやすく市民の皆さんに語りかける、ある
いは市長がどんなことを考えているかを知っていただくという意味
では、大変重要視しているものです。毎週配信するということは、
正直言ってきついのですが、まあ始めた以上仕方ないでしょう。市
政に関係ない趣味等のことを書いている部分もあり、若干お叱りを
いただいている部分もありますが、私の人間性を知っていただく意
味もあり、お許しいただきたいと思います。何人かの方から「メル
マガのゴースト・ライターは誰だ?」と言われていますが、正真正
銘、私が毎週書いています。ただ、広報担当等から若干クレームが
ついて訂正させられてはいますが・・・・・。

2004年2月19日木曜日

冬を元気に、そして景気を良くしたい


 昔から「にっぱち」と言って2月と8月は景気が悪い、という俗
説(?)があります。中でも2月は寒いし、正月の遊び疲れもあっ
て、どうも縮み傾向が強いようで、馴染みの飲み屋の女将も「2月
だからねえ・・・・」。確かに数字的にみても、長野の冬は厳しく、
昔は生産活動も鈍ったようですし、観光客も12月に入るとばったり
減ってしまうようです。雪が充分あって、スキー場がお客さんで満杯
ならありがたいのですが、スキー人口が激減しているようで、春暖
かくなる3月後半、彼岸の頃が待ち遠しいという方が多いのは事実
でしょう(スキー愛好者には申し訳ありません)。

 いつの頃からか、私は、2月のオリンピック開催を生かして「長
野の冬祭り」ができたら、それも2~3週間ぐらい続く祭りができ
たら長野の活性化に繋がるのではないかと考えていました。そして
長野オリンピック記念基金の援助をいただいて、試行錯誤しながら
記念行事をやっているうちに、札幌の雪まつりにも匹敵するような
素晴らしい祭りを創りたいと思うようになりました。望みは少し大
き過ぎるかもしれませんが、長野の活性化を目指す試みとして、長
期的な視点をもって、組織と資金集め、市民参加のシステムを整備
していければと考えています。

 今年は、6年前に長野オリンピックの開会式が行われた記念日の
2月7日前後に、大変多くのイベントが集中して開催されました。

(1)「第1回長野灯明まつり」(2/7~15)
   昨年から始まった、照明デザイナー石井幹子さんがプロデュ
   ースする「ゆめ常夜灯・善光寺五色のライトアップ」と一般
   参加の「ゆめ灯り絵展」を中心に様々なイベントが行われま
   した。長野青年会議所(JC)と地域の方々が協力して幻想
   的な雰囲気をかもし出し、多くの皆様にご覧いただくことが
   できました。長野にゆかりのある音楽家が集結する「ゆめ演
   奏会」や善光寺の文化に触れていただく「宿坊ゆめ茶会」など、
   地域色を生かしたイベントも行われ、このイベントは、県内
   外からの65万人を超える人々で賑わいました。
(2)「長野オリンピック記念 国際アイスホッケー大会 長野カ
   ップ2004」(2/6~8)
   この大会は、すでに4回目ですが、本年はカナダ、ロシア、
   カザフスタン、日本の4か国が参加。日本はカナダに勝って
   ビッグハットに初めて君が代が響きました。優勝はカザフス
   タンでした。アイスホッケーはまだまだマイナーな競技です
   が、長野はオリンピックのおかげでこのスポーツに取り組む
   若者はかなり増えてきたようです。日本アイスホッケー連盟
   の会長のお話では、将来、日本、中国、韓国、ロシアでアジア
   リーグを行う構想もあるようで、長野の若者にもぜひ活躍し
   てもらいたいものです。
(3)「第37回世界リュージュ選手権2004長野大会」(2/
    13~15)
   スパイラルで開催された世界選手権ですが、リュージュもま
   た、日本ではまだまだマイナーな競技で強い選手も少ないの
   が実情です。橇(そり)競技について若干の説明をいたします
   と、日本ではボブスレー・リュージュ連盟ということで、一緒
   に扱われていますが、長い歴史のある世界(特にヨーロッパ)
   では、リュージュ連盟とボブスレー連盟とに分かれている関
   係で、オリンピックでは両種目一緒に開催されますが、世界
   選手権等は別々の開催です(国際大会での上位入賞が期待で
   きるスケルトンは、残念ながらボブスレーの部門に入ってお
   り、今回の世界選手権では行われませんでした)。今回の大
   会では、男子・女子の一人乗り・二人乗り、そして国別対抗
   戦が行われましたが、参加22か国の中で、ドイツの圧倒的
   な強さを見せ付けられました。何の種目であれ、世界選手権
   が毎年のように行われる都市は、そうたくさんはありません。
   アジアで唯一のコースを持っていることが、長野での大会開
   催に貢献していることは明らかです。また、大会の運営には、
   長野市の協会の皆さん、「浅川スパイラル友の会」の皆さん
   の努力があり参加した選手の皆さんは喜んでおられたように
   思います。
(4)「第6回東口フェスティバル」(2/7~8)
   オリンピック・パラリンピックの期間中、身動きができない
   ほど多くの選手、ボランティア、観客が溢れた「ユメリア通り」
   を舞台に、芹田地区の主催で、商店会やいろいろな方々が協
   力して、感動を思い起こしながら、新しい街づくりに取り組
   んでいる姿は感動的でした。
(5)「長野オリンピック記念長野市民平和の日のつどい」(2/8)
   昭和60年に長野市は「平和都市宣言」を行い、以来、記念
   行事として毎年「つどい」を開催してきましたが、オリンピック
   後は〝開会式の日〟前後に合わせて行うことにより、オリンピック
   開催都市として、全世界に大きな感動の輪を広げ、同時に平
   和の尊さをアピールしています。本年はスペシャルオリンピ
   ックス(SO)日本の細川理事長さんと長野オリンピックに
   出場された堀井学さんを迎えて記念講演やトーク・ショーを
   開催しました。
(6)もんぜんぷら座「長野銀座文化祭」(2/7~8)
   長野銀座商店街振興組合さんが中心になって開催されたもの
   ですが、市内のいろいろな方々が協力して大変賑やかな催し
   が行われ、地下などは人が一杯で、とても楽しそうでした。
   もんぜんぷら座の新しい使い方を教えていただいたようにも
   思います。
(7)エムウェーブ「氷の彫刻展」(2/7~8)
   このイベントは、今年で4回目の開催となり、氷を使った軽
   井沢のイベントを参考にさせていただいてスタートした催し
   です。(株)エムウェーブを中心とした実行委員会の主催です
   が、スケート場のスピードリンクの中に様々な氷の彫刻があ
   り、子どもさんに大変人気があるようです。
(8)「第3回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲー
   ム・長野」のトーチラン(2/7)
   月末に行われるSOの国内大会のことは皆さんご存じと思い
   ますが、その宣伝と市内ムードの盛り上げのため、市内のト
   ーチラン(聖火リレー)を行いました。市役所を出発して、
   長野駅・もんぜんぷら座を経由してセントラルスクゥエアまで、
   約2Kmを知的発達障害のある方々を中心に警察と消防職員
   が伴走して走りました。開会式のある2月27日(金)には、
   セントラルスクゥエアから長野商工会議所前まで、そして、
   真島小からホワイトリング(開会式場)までトーチランが行
   われます。

 長野の市民だけで楽しむのはもったいないほどの盛りだくさんの
イベントで、市外からも多くの方にお出でいただいたことと思いま
す。長野灯明まつり関連では、灯り絵や写真のコンテストも行われ
ましたし、新聞報道ではこれら以外の様々なイベントも行われたよ
うです。

 長野は“世界のNAGANO”です。毎年、国際大会が必ず開催
されており、今後もいろいろな大会や催しが期待できます。

 2月の長野を賑やかに、元気なまちにしたい、そしてイベントの
開催が、普段の日の賑わいに繋がっていくことを期待しています。

2004年2月12日木曜日

行政改革の継続と民間活力の導入

  
 年初のメールマガジン(第90号)で、私が考えている今年の政
策を箇条書きで書かせていただきました。その中で、基本政策のう
ち「合併と都市内分権」については、メールマガジン91号・92
号の2週にわたってご説明申し上げました。

 今週は、今年の政策として2番目に掲げた「行政改革の継続と民
間活力の導入(聖域なき改革)」について書かせていただきます。
ただ、この分野については過去2年間に、私の主張をメールマガジ
ンの中で取り上げておりますので、重複する部分があるとは思いま
すがお許しください。

 行政改革をやらなくてはならない、そんなことは当たり前です。
大切なことは「目的は何か」、「どの分野の改革か」ということと
同時に「継続の努力」ということです。行政はどうしても肥大化し
たがる傾向がある。常時、無駄を廃し、簡素・簡潔な組織へ向けて
の努力をしていくことが必要です。

 私は、行政改革のポイントは次のようなものと考えています。

(1)行政が担う役割とサービスの範囲と質についての検討
(2)行政の直接サービス分野と民間委託等を含めた民間活力導入
   分野の区分の検討
(3)行政が行う事業のやり方のスリム化、新しいやり方の工夫
(4)行政組織の定員の検討
(5)行政職員の待遇の検討

 この5つをきちんと検討することが基本でしょう。

 もちろん、これらを検討して結論を出したとしても、固定的なも
のであってはなりません。時の経過、技術力の進化、あるいは法律
の改正などとも連動して変わっていくことも大切です。それが先に
述べた「継続の努力」ということです。

 長野市では平成14年度に行政改革大綱を策定し、平成15年度
には行政改革推進局を設置して内部努力を始めました。

 職員の待遇について申し上げますと、特別職については、現在、
公募委員を含めた特別職報酬等審議会で審議していただいています
し、一般職については、国家公務員の給与等の勧告を行う人事院勧
告がマイナスになっていることに準じ、市職員の給与も減額の方向
が出てきました。

 民間活力の導入については、行政内部だけの問題ではありません
から、市民の皆さんとの協働(コラボレーション)とパートナーシ
ップが大切です。加えて、市民の皆さんのご理解をいただくことが
大切と考えています。 

 市民の皆さんの一般的な概念としては、行政がやっている方が安
心という感覚があるようです。そういった行政に対する信頼は大変
ありがたいことであり、行政マンは「以って瞑すべし」ことではあ
りますが、行政より民間の方が進んでいる分野がどんどん広がって
いますし、残念ながら行政は自ら変わる行動原理が弱いのです(競
争が無いということが、その根本理由だと思います)。

 従来、行政が行ってきた事業に民間活力を導入する場合、私の考
えるその条件は3つです。すなわち、

(1)サービスの質を落とさない
(2)競争条件が存在する
(3)コストが下がる

 この条件にかなう事業は例外無く、民営化を含む民間活力導入の
対象であると考えています。

 具体的な方式は、

(1)民営化
(2)民間委託
(3)PFI
(4)TMO
(5)人材派遣   

 などが考えられますが、地方自治法の改正により、昨年9月に施
行されました「指定管理者制度」では、公共施設の管理運営につい
て、株式会社など民間事業者が行うことが可能となりました。これに
ついても、長野市における条例整備の準備を始めておりますし、現
在、日本中で導入が検討されている構造改革特区制度も、民間活力
の導入を主眼にしている制度と言えましょう。いろんな工夫をした
いと思います。

 民営化・民間委託の具体的な分野として、検討しているものは、

(1)学校給食センター
(2)保育所
(3)火葬場
(4)児童館をはじめ福祉の分野
(5)体育施設管理の分野
(6)公園の管理
(7)その他市有施設の維持・管理・運営

 そのほかに勤労者共済会等の外郭団体の在り方、農業共済制度や
交通災害共済等の制度の在り方問題、市営住宅の建設や管理、学校
経営などについても検討課題であると考えています。

 これらを含め現在、各部署で検討しているものは117項目、今
後、市民の皆さんのご理解とご協力をいただけるよう、きちんと説
明を申し上げ、「継続の努力」をしてまいります。

2004年2月5日木曜日

浅川治水対策に関する知事の記者会見について


 1月30日(金)の記者会見で田中知事は、「浅川の河川整備計
画について、本年度の国への認可申請を断念する。平成16年度内
に改修着手の方針は変えず、できるだけ早く計画をたて、認可を得
る最大限の努力を行っていく」ことを明らかにしました。

 この会見を聞いて、何とも無責任極まる話に唖然としています。
なぜならば、

 1.出直し知事選で、知事は「浅川ダムの代替案はある」と公約
   し、当選しました。以来、既に1年半近く経っているのです
   が、具体的な代替案が何も出てこない。いまだに国に対し計
   画の申請すらできないということはどういうことなのでしょ
   う。どこかの国会議員さんは選挙公報に学歴詐称があったと
   いうことで、辞任すべきとか言われていますが、この問題は
   それより悪質な偽公約で、流域住民を危険にさらしたまま、
   いたずらに時間が経過しています。

 2.しかも、この時点で認可申請できないと言いながら、平成16
   年度事業着手の目標は変えないとおっしゃる。補足的に説明
   した県の青山出納長の話では、河川工事は秋から冬にかけて
   の渇水期に行うものなので、それまでに認可を得れば間に合
   うということだそうです。しかし、常識的に言って、仮に国
   の認可を平成16年度の早い時期に得たとしても(まず不可
   能でしょう。ダム中止方針表明から1年以上検討し、その間、
   国とも相談してきたにもかかわらず、いまだ新計画案ができ
   ないわけですから)、平成16年度の国の補助金は出ないと
   思われます。従って、現在の県の財政状況からすると河川改
   修は不可能だということになります。

 3.こうなった理由をいろいろおっしゃっています。

 (1)「先に発表した河川改修原案と流域対策原案を一生懸命検
    証・設計している」=>それならなぜ平成16年度予算で
    実行するなどという、その場限りの話をしたのですか?

 (2)「流域協議会の意見を尊重し計画に盛り込むために検討し
    ている」=>流域協議会の提言書をみれば、結論は、1日
    も早く国の認可がとれる原案を作ってくださいという以上
    のことは言っていません。

 (3)「橋のかさ上げ、護岸の勾配を現状より急にする案に対し、
    長野市の意見も検討している」=>当然でしょう。しかし、
    長野市とすれば、原案の不備を指摘していることと、市民
    の生命と財産を守るために現実的な解決を図るべきである
    と申し上げているのです(その考え方は既に申し上げてあ
    ります)。また、県が示した計画案が、道路、橋りょうな
    どにどのような支障を及ぼすのかということを、責任をも
    って説明すべきであります。

 (4)さらに、当面の対策として、1.河川維持の強化(堆積土
    の除去など通常のメンテナンスで当たり前のことです)、
    2.流出を抑制する各戸雨水貯留施設の推進(長野市では
    既に実施しているものです)、3.千曲川改修促進の要請
   (これももう何年も言われていることで、千曲川河川事務所
    の話では、少しずつ前進しているとのことです)の3点を
    挙げていますが、いずれも当たり前の話で、浅川の河川整
    備計画ができない理由と言えるものではありません。県は
    自己の発表の欺まん性を和らげるために、付け加えてみた
    としか思えません。

 以上、ちょっと言葉はきつくなってしまいましたが、知事の発言
はあまりにも無責任でありますし、この問題は流域住民の生命と財
産に関わる問題なのですから、単なる記者会見で発表して済むもの
ではなく、地元への謝罪は当たり前ですが、どういう責任をとるの
か、言い訳をせずに、きちんと説明する責任があります。

 平成14年8月の知事選でダム無しを基本政策として再選された
が故に、私としては、ダム計画や現在の河川改修計画に固執するこ
となく、代替案の発表を待っていました。当然あるとおっしゃった
改修案がすぐ出てくると思っていましたが、1年近く経てやっと発
表された河川改修原案及び流域対策原案なるものは、冷静に判断し
て流域の皆さんが了解できるものではないし、国の認可が得られる
とは思えませんでした。

 案の定、流域住民の皆さんも、発表された河川改修原案及び流域
対策原案には不満ですし、約6か月経っても国の認可申請ができな
い状況と思っています。長野市長としてどうすればよいのか、非常
に困っています。何を言っても知事は聞く耳を持たないのですから、
これは地方自治法の不備かも知れませんが、私には知事が良くおっ
しゃる「県と市町村は対等」という姿勢は微塵も感じられません。

 浅川治水対策として、もうひとつ困っていることがあります。そ
れは、北陸新幹線の車両基地を長沼地籍に造るとき、長野県、長野
市、鉄建公団(現鉄道建設・運輸施設整備支援機構)及び地元の皆
さんとが交わした4者確認書の存在です。

 現在の新幹線車両基地のある長沼地籍は、かつて幾度も水害に見
舞われ、地元の皆さんが大変苦労されてきた場所であります。この
ような冠水地帯に大きな車両基地を造ることは、周囲にさらに出水
する危険性があるため、車両基地建設に当たっては,ダム建設を条
件に理解していただいたという経過がありました。

 この確認書の存在を、もちろん県は知っていながら、現段階でも
何も手を打っていない。これは大変なことであって、地域の皆さん
から訴えられたら、間違いなく県、市及び鉄道建設・運輸施設整備
支援機構は、協定の不履行という点では負けです。それだけでなく、
新幹線が北陸へ向かって工事は進んでいますが、長野市分の設計協
議において、この問題は地元から要望事項として大きな課題の一つ
となっております。県がどう答えるのか、早急に結論を出してもら
いたい。開通までには、まだ時間があると思っているのでしたら、
大変です。このままではどうにもならないし、他県から厳しい批判
を浴びることにもなるでしょう。

 当面の対策として、本市としては、国が「継続扱い」としている
未改修部分を改修することを求めてまいりたいと思います。