2004年2月5日木曜日

浅川治水対策に関する知事の記者会見について


 1月30日(金)の記者会見で田中知事は、「浅川の河川整備計
画について、本年度の国への認可申請を断念する。平成16年度内
に改修着手の方針は変えず、できるだけ早く計画をたて、認可を得
る最大限の努力を行っていく」ことを明らかにしました。

 この会見を聞いて、何とも無責任極まる話に唖然としています。
なぜならば、

 1.出直し知事選で、知事は「浅川ダムの代替案はある」と公約
   し、当選しました。以来、既に1年半近く経っているのです
   が、具体的な代替案が何も出てこない。いまだに国に対し計
   画の申請すらできないということはどういうことなのでしょ
   う。どこかの国会議員さんは選挙公報に学歴詐称があったと
   いうことで、辞任すべきとか言われていますが、この問題は
   それより悪質な偽公約で、流域住民を危険にさらしたまま、
   いたずらに時間が経過しています。

 2.しかも、この時点で認可申請できないと言いながら、平成16
   年度事業着手の目標は変えないとおっしゃる。補足的に説明
   した県の青山出納長の話では、河川工事は秋から冬にかけて
   の渇水期に行うものなので、それまでに認可を得れば間に合
   うということだそうです。しかし、常識的に言って、仮に国
   の認可を平成16年度の早い時期に得たとしても(まず不可
   能でしょう。ダム中止方針表明から1年以上検討し、その間、
   国とも相談してきたにもかかわらず、いまだ新計画案ができ
   ないわけですから)、平成16年度の国の補助金は出ないと
   思われます。従って、現在の県の財政状況からすると河川改
   修は不可能だということになります。

 3.こうなった理由をいろいろおっしゃっています。

 (1)「先に発表した河川改修原案と流域対策原案を一生懸命検
    証・設計している」=>それならなぜ平成16年度予算で
    実行するなどという、その場限りの話をしたのですか?

 (2)「流域協議会の意見を尊重し計画に盛り込むために検討し
    ている」=>流域協議会の提言書をみれば、結論は、1日
    も早く国の認可がとれる原案を作ってくださいという以上
    のことは言っていません。

 (3)「橋のかさ上げ、護岸の勾配を現状より急にする案に対し、
    長野市の意見も検討している」=>当然でしょう。しかし、
    長野市とすれば、原案の不備を指摘していることと、市民
    の生命と財産を守るために現実的な解決を図るべきである
    と申し上げているのです(その考え方は既に申し上げてあ
    ります)。また、県が示した計画案が、道路、橋りょうな
    どにどのような支障を及ぼすのかということを、責任をも
    って説明すべきであります。

 (4)さらに、当面の対策として、1.河川維持の強化(堆積土
    の除去など通常のメンテナンスで当たり前のことです)、
    2.流出を抑制する各戸雨水貯留施設の推進(長野市では
    既に実施しているものです)、3.千曲川改修促進の要請
   (これももう何年も言われていることで、千曲川河川事務所
    の話では、少しずつ前進しているとのことです)の3点を
    挙げていますが、いずれも当たり前の話で、浅川の河川整
    備計画ができない理由と言えるものではありません。県は
    自己の発表の欺まん性を和らげるために、付け加えてみた
    としか思えません。

 以上、ちょっと言葉はきつくなってしまいましたが、知事の発言
はあまりにも無責任でありますし、この問題は流域住民の生命と財
産に関わる問題なのですから、単なる記者会見で発表して済むもの
ではなく、地元への謝罪は当たり前ですが、どういう責任をとるの
か、言い訳をせずに、きちんと説明する責任があります。

 平成14年8月の知事選でダム無しを基本政策として再選された
が故に、私としては、ダム計画や現在の河川改修計画に固執するこ
となく、代替案の発表を待っていました。当然あるとおっしゃった
改修案がすぐ出てくると思っていましたが、1年近く経てやっと発
表された河川改修原案及び流域対策原案なるものは、冷静に判断し
て流域の皆さんが了解できるものではないし、国の認可が得られる
とは思えませんでした。

 案の定、流域住民の皆さんも、発表された河川改修原案及び流域
対策原案には不満ですし、約6か月経っても国の認可申請ができな
い状況と思っています。長野市長としてどうすればよいのか、非常
に困っています。何を言っても知事は聞く耳を持たないのですから、
これは地方自治法の不備かも知れませんが、私には知事が良くおっ
しゃる「県と市町村は対等」という姿勢は微塵も感じられません。

 浅川治水対策として、もうひとつ困っていることがあります。そ
れは、北陸新幹線の車両基地を長沼地籍に造るとき、長野県、長野
市、鉄建公団(現鉄道建設・運輸施設整備支援機構)及び地元の皆
さんとが交わした4者確認書の存在です。

 現在の新幹線車両基地のある長沼地籍は、かつて幾度も水害に見
舞われ、地元の皆さんが大変苦労されてきた場所であります。この
ような冠水地帯に大きな車両基地を造ることは、周囲にさらに出水
する危険性があるため、車両基地建設に当たっては,ダム建設を条
件に理解していただいたという経過がありました。

 この確認書の存在を、もちろん県は知っていながら、現段階でも
何も手を打っていない。これは大変なことであって、地域の皆さん
から訴えられたら、間違いなく県、市及び鉄道建設・運輸施設整備
支援機構は、協定の不履行という点では負けです。それだけでなく、
新幹線が北陸へ向かって工事は進んでいますが、長野市分の設計協
議において、この問題は地元から要望事項として大きな課題の一つ
となっております。県がどう答えるのか、早急に結論を出してもら
いたい。開通までには、まだ時間があると思っているのでしたら、
大変です。このままではどうにもならないし、他県から厳しい批判
を浴びることにもなるでしょう。

 当面の対策として、本市としては、国が「継続扱い」としている
未改修部分を改修することを求めてまいりたいと思います。