2009年6月25日木曜日

長野市の上下水道事業(1)


 長野市では、今年の4月1日から、庁内の上水道事業と下水道事
業の所管を統合し上下水道局へ事業を一本化しました。
 このことをお聞きになり、「え!上下水道局以外でも水道や下水
道事業をしていたの」と思われる方もいらっしゃると思います。ご
もっともなことで、公営企業として行っている上下水道事業以外の
事業をご存じの方は、あまり多くないのではないでしょうか。

 実は、産業振興部(農業関係)や環境部、各支所が行っている事
業、個人が行っている事業もあり・・・そのほか、県営水道がある
こと、合併により旧町村の事業を引き継いだこと、国の施策がいろ
いろに分かれていることなどが原因で、長野市の上下水道事業は大
変複雑なシステムになっていました。
 このたび、ようやく一本化できた、と言って良いと思います(ま
だ県営水道や合併処理浄化槽のこともありますので、すべてではあ
りませんが)。

 2年ほど前になりますが、篠ノ井山布施地区の農業集落排水事業
(下水道)が完成し、一連の農業集落排水事業がすべて完了したこ
とを機に、このメルマガで、長野市の下水道事業について紹介させ
ていただいたことがあります。

 その中では、
(1)長野市の公共下水道事業は、昭和28年から始まっているこ
  と。
(2)現在の長野市では、公共下水道事業(特定環境保全公共下水
  道を含む)、農業集落排水事業、合併処理浄化槽事業の、大き
  く三つの事業により、全戸水洗化を目指していること。
(3)長野市の下水道整備工事は、平成24年度までにほぼ完了す
  る予定であること。
(4)以下のような課題があること。
  ・工事が難しい場所の整備に向けた努力が必要。
  ・市民の皆さんに下水道管を接続していただかなくてはならな
   い。
  ・敷設から50年以上経過している下水道管もあり、不断のメ
   ンテナンスが重要になっている。
  ・市民の皆さんにご負担いただく料金が、公共下水道・農業集
   落排水など、事業の種別によって異なっている。
  ・上下水道局の健全経営、技術研究の継続が必要。
というようなことを書かせていただきました。

 このメルマガ以降、今回までに進展したこととして、二つのこと
が挙げられます。
 一つは、現在進めている下水道事業の進ちょく状況です。以前ご
紹介させていただいたときの公共下水道事業人口普及率(平成18
年度末)は73.8%、農業集落排水・合併浄化槽を含めた全体の
普及率は83.7%でした。
 それから2年経過した平成20年度末では、公共下水道事業人口
普及率は84.1%(10.3%増)、全体の普及率は88.7%
(5.0%増)にまで整備が進みました。

 平成24年の工事完了に向けて、さらに努力していきたいと考え
ています(ただ、公共下水道を整備することにしている区域の中に
も、費用対効果の面から公共下水道事業での整備が困難だと考えら
れるところもあります。今後は、合併処理浄化槽の設置にすること
を含め、あらためて市民の皆さんを交えて効率的な整備手法を検討
していく必要があると考えています)。

 もう一つは、課題として挙げさせていただいていた料金の問題が
解決したことです。これまで事業の種別によって異なっていた料金
体系ですが、4月の上下水道局への事業統合に合わせ、すべて公共
下水道の料金体系に統一しました。農業集落排水が整備されている
地区にお住まいの皆さんの中には、値下げになった方も多いと思い
ます。

 ただ、実際のコストとしては、公共下水道に比べて規模が小さい
農業集落排水・合併処理浄化槽が割高であることは事実です。しか
し、同じ水洗化であるのに、お住まいの場所によって料金が異なっ
てしまうことは不公平だということで、公共下水道側の経営にとっ
ては、若干不利ではありますが、このたびの統一となったものです。

 皆さんにとって、下水道の整備手法ということはあまり身近な話
ではないと思いますので、ここで少し説明させていただきます。

 まず、公共下水道ですが、以下の3つの方式があります。
(1)単独公共下水道
   地方公共団体が単独で整備・管理する下水道で、主として市
  街地(都市計画区域)で整備する方式です。長野市では、おお
  むね第一から第五、芹田、古牧、三輪、吉田、大豆島、安茂里
  地区の汚水を大豆島地区の「東部浄化センター」で処理してい
  ます。

(2)流域関連公共下水道
   複数の市町村が共同で整備・管理する方式です。長野市が関
  係する千曲川流域関連公共下水道は、県が下水道幹線と終末処
  理場を整備管理し、そこへ市町村が公共下水道を接続するとい
  う方式で、市町村は、整備面積に応じた建設費用と汚水の量に
  応じた処理費用を県に支払っています。
   この流域下水道には、上流処理区と下流処理区があります。
  上流処理区は、篠ノ井、川中島、更北地区と、松代地区の一部
  のほか、千曲市や坂城町が対象で、更北地区にある「アクアパ
  ル千曲」で処理。下流処理区は、おおむね古里、朝陽、柳原、
  長沼、若槻、若穂、豊野地区のほか、須坂市や小布施町、高山
  村を対象に、長沼地区にある「クリーンピア千曲」で処理して
  います。

(3)特定環境保全公共下水道
   観光地などの環境保全を目的とする公共下水道で、市内では
  芋井(飯綱高原)、若穂、松代、戸隠、鬼無里地区の一部で採
  用しています。飯綱高原の汚水は「東部浄化センター」、若穂
  ・松代の汚水は「クリーンピア千曲」、戸隠、鬼無里は単独の
  処理場で処理しています。

 農業集落排水事業というのは、農村地域振興の一環として、公共
下水道で整備できない地域を対象に農林水産省が進めてきた水洗化
事業です。市内には、浅川、芋井、篠ノ井、七二会、信更、豊野、
戸隠、鬼無里地区に21カ所あり、それぞれ単独の処理場で汚水を
処理しています。

 合併処理浄化槽は、各戸に個別の浄化槽を設置して水洗化するも
ので、下水道管を敷設することが費用対効果や技術的に難しい離れ
た場所にお住まいの方々を対象に設置をお願いしています。また、
下水道区域内でも下水道管の敷設までに時間がかかる場所にお住ま
いの方々にもご利用いただいています。

 市内の合併処理浄化槽には、市町村設置型と個人設置型とがあり
ます。
 市町村設置型というのは、行政が浄化槽を設置・管理し、お住ま
いの方からは、使用料金を頂く方式です。これは、旧戸隠村と旧鬼
無里村が実施していた方式で、ご利用いただけるのは現在も両地区
だけになっています。
 これに対して個人設置型というのは、個人が費用を負担して浄化
槽を設置・管理する方式で、戸隠・鬼無里以外の地区が対象です
(設置費用が高額になるため、設置工事に対して補助金を交付し、
負担を軽減する制度があります)。
 このように、市町村設置型と個人設置型では費用をご負担いただ
く仕組みが大きく異なっていますので、いずれ何らかの統合を考え
なくてはいけないでしょう。

 これまでは、国土交通省所管の公共下水道は「上下水道局」、農
林水産省所管の農業集落排水事業は「産業振興部」、環境省所管の
合併処理浄化槽事業は「環境部」というように、補助制度などを所
管する国の省庁に合わせて市役所の担当部署も異なっていたわけで
す。
 水洗化という同じ目的の事業を行いながら、庁内に幾つもの担当
部署があるのは、以前から不合理だと思っていましたし、市民の皆
さんに対応する窓口の分かりやすさという点でも問題があったと思
っています。
 今回、個人設置型の合併処理浄化槽(環境部所管)を除き、上下
水道局に一元化することで、これもほぼ解消することができました。

 来週は、上水道事業についてご報告します。

2009年6月18日木曜日

御開帳総決算


 57日間にわたって開催された「善光寺御開帳」ですが、5月
31日をもって閉幕となりました。最終日は、日曜日のせいもあっ
たかと思いますが、回向柱の前も、本堂の中も、境内も、参道も、
人・人・人・・・。大変な混雑でした。

 3月末、松代から奉納された回向柱の受け入れ式に始まり、回向
柱建立式、前立本尊御遷座式、御開帳開闢(かいびゃく)大法要、
中日庭儀大法要(浄土宗・天台宗)、結願(けちがん)大法要など、
期間中、善光寺境内では、盛大に行事が執り行われてきました。
 期間を通しての参拝客は、673万人。前回、長野新幹線開業後
初めての御開帳だった平成15年の628万人を45万人も上回っ
て、史上最高です。

 100年に一度と言われる世界的な経済危機の中にもかかわらず、
このように大勢のお客さまにお越しいただくことができました。こ
れは、善光寺イヤーとして集中的なキャンペーンを展開してきたこ
とや、善光寺御開帳奉賛会をはじめ、観光事業者や地元の皆さんの
熱意ある活動があったからこそ結び付いた大きな成果だと思ってい
ます。加えて、高速道路の「休日はどこまで走っても1,000円」
の効果も貢献したようです。
 経済効果も当初の予測よりかなり大きかったのではないでしょう
か。

 松代から奉納され、本堂前に建てられた回向柱前の長い行列。仁
王門の下まで、いや、休日には大門町までつながっていました。そ
して、長い時には3時間という信じられないほどの待ち時間を経て、
柱に手を触れて祈っておられる姿、本当に尊い姿があったと思いま
す。
 御印文頂戴(ちょうだい)や、内陣参拝、お戒壇巡りにも、長い
長い行列ができていました。

 私が城山小学校3年生の時(昭和24年)、御開帳に合わせて平
和博覧会が善光寺周辺で行われました。当時はまだ、終戦後の混乱
から立ち直っていない時期でしたが、かなりの人出があったことを
記憶しています。
 それから現在まで、7年に一度の御開帳を私は何度も経験してき
ましたが、今回ほどの人出は初めてです。善光寺さんの魅力、信仰
の対象としての存在感、まさに脱帽です。

 御開帳との関係には濃淡がありますが、期間中、長野のにぎわい
に相乗効果を発揮したと思われるイベントがたくさんありました。
幾つかご紹介します。

「桜の季節、ながのウエルカムガーデン、善光寺花回廊」
 長野の4月は桜のシーズンですが、長い冬が終わって春を迎え、
桜以外の花も一斉に咲き乱れました。長野駅前広場の“ながのウエ
ルカムガーデン”、中央通りを中心とした“善光寺花回廊”、いず
れも市民の皆さんのご協力によりできた素晴らしいイベントです。
 なお、“ながのウエルカムガーデン”ですが、先週から、会場を
市役所に移して継続していただいています。このガーデンをつくっ
ていただいてから、市役所がとても柔らかな雰囲気になりました。

「長野マラソン」
 「信毎マラソン」から「長野オリンピック記念長野マラソン」に
なり、今年で11回目になりました。関係者の連携、多くのボラン
ティアの皆さんのおかげにより、日本有数のマラソン大会に成長し
ています。マラソン発祥の地、ギリシャのアテネマラソンと姉妹提
携を結んでいることも、長野マラソンの名を高めているのかもしれ
ません。

「篠ノ井大獅子奉納」
 御開帳行事の一つとして、今回初めて行われたのですが、5月
10日、篠ノ井地区の二つの大獅子が、中央通りから善光寺山門ま
で練り歩きました。威勢良く、迫力もある素晴らしい獅子舞で、奉
納行列には、篠ノ井地区の皆さんが燃えて、予定していた1,000
人を大きく上回る1,800人を超える皆さんの参加があったとの
ことです。松代地区の皆さんによる回向柱奉納行列に匹敵するよう
なにぎやかな行列にしてくださったことで、これまで以上に多くの
市民の皆さんがかかわって善光寺御開帳を盛り上げることができ、
本当に良かったと思っています。

「松代藩文武学校旗争奪中学校選抜剣道大会・松代藩文武学校杯争
奪小学生選抜剣道大会」
 このイベントもすっかり定着してきました。大会に参加している
のは、全国でも剣道の強豪校と言われる学校の小・中学生の皆さん
です。5月23日に行われた開会式は松代城の太鼓門の前、そして、
翌日の決勝戦は文武学校が舞台ということで、「剣の道」にゆかり
のある雰囲気もあり、皆さんのあこがれの大会になってきているよ
うです。

「布引伝説ウオーキング」
 小諸市にある布引観音は、「牛に引かれて善光寺参り」の伝説に
より、善光寺とのご縁が深いことは有名です。5月23日、この伝
説にちなんだウオーキング大会が小諸市観光協会の主催で開催され
ました。大会では、約1,500人もの皆さんが、懐古園から善光
寺まで、最長64キロメートルのコースを完歩されたそうです。ゴ
ールでは、完歩された皆さんをお迎えするために芹澤小諸市長もお
越しになりました。長野市からは、酒井副市長に出迎えてもらいま
した。

「弥栄(やさか)神社御祭礼の屋台巡行」
 5月24日、10カ町の屋台が練り歩き、中心街は祭り一色にな
りました。昔は、京都・高山と並んで日本3大祇園祭といわれたこ
ともあったそうです。ただ、近年は、引き手が不足して苦労してい
たとのことですが、今回は、小学生が大いに力を貸してくれたよう
です。御開帳終盤の大きなイベントとして、大変盛り上がりました。

「戸隠神社式年大祭」
 戸隠神社の宝光社の神様が、中社の神様にお会いになる行事との
ことで、戸隠神社最大のお祭りだと聞いています。毎回、善光寺御
開帳と同じ時期に行われてきたそうで、4月26日から5月20日、
戸隠地区も式年大祭で大いににぎわいました。

「“ながのいのち”アンテナショップ」
 長野市農業公社が、昨年から進めている農産物の地域ブランド
「ながのいのち」のアンテナショップが、5月10日、中央通りの
「表参道まちの駅」内に開店しました。この出店により、「ながの
いのち」ブランドの販売促進、新たな商品の創出、情報発信につな
がることはもとより、ここが中山間地域の生産者と都市部の消費者
が交流を深める場になれば良いと思っています。

「長野市野外彫刻賞授賞式」
 5月27日に長野市野外彫刻賞授賞式を開催しました。長野市の
野外彫刻賞は、昭和48年度に創設され、以来今日まで続いていま
す。今年の受賞作品は、トイーゴの南側にある上千歳広場に設置し
た、原透先生の「時間塊7」という石の彫刻です。
 市内に設置されている野外彫刻賞受賞作品は、これで137点に
なりました。

 大いににぎわった今回の御開帳でしたが、期間中、新型インフル
エンザ問題が発生し、国内にも感染者が出たことで、その影響がと
ても心配されました。ただ、幸いにも御開帳期間中に長野で感染者
が出なかったこと、これは大変ありがたかったと感じています。連
日、国内各地から大勢の方々にお越しいただいていましたから、そ
の分、感染が確認される可能性も高いのではないかということで態
勢を整えていましたが、ひとまずほっとしました。
 これも善光寺さんの御利益かな・・・などと、勝手に考えていま
す。

2009年6月11日木曜日

AC長野パルセイロの前半戦終了


 北信越フットボールリーグは、5月末日で本年度の前半戦の戦い
を終了。AC長野パルセイロは、1部リーグ全8チーム中、3位で
折り返しました。
 サッカーのリーグ戦の順位は、試合に勝つと勝ち点3、引き分け
ると勝ち点1、負けると勝ち点0を加算するという独特の計算方法
で決定します。最終的に勝ち点が最も多いチームが優勝、同点の場
合は得失点差で決まることになっています。
 パルセイロの成績は、7試合で4勝0敗3引き分けの勝ち点15
(得失点差21)です。

 1位は、新潟のJAPANサッカーカレッジ(J.S.C)で勝
ち点17(得失点差7)、2位は松本山雅FCで勝ち点16(得失
点差11)、4位はツエーゲン金沢で勝ち点13(得失点差18)
です。残りの4チームの勝ち点は、サウルコス福井が9、あとはす
べて6以下ですから、優勝争いはおおむね上位4チームに絞られて
きたと言ってもいいでしょう。
 パルセイロは1位と2点差ですから、逆転は十分可能だと思って
います。

 ただ、今シーズン当初から心配されていた「決め手不足」が、な
かなか解消できていないのは事実です。4強のぶつかり合いが激し
くなる後半戦は、よほど気を引き締めていかないと、連覇は苦しく
なるのではないかと心配です。

 それにしても、第1戦のFC.上田ジェンシャンとの引き分けが
痛かった・・・。上田の関係者の方々には誠に失礼ですが、パルセ
イロにとっては、絶対に勝たなくてはいけない、引き分けてはいけ
ない試合だったと思います。結果論ですが、あの試合で勝っていれ
ば勝ち点で首位に並び、得失点差で1位だったはずです。
 勝負に「“たら”“れば”は禁句」ということは百も承知してい
ますが、それにしても惜しかった。開幕戦で硬くなってしまったの
でしょうか。

 残りの引き分け2試合の相手は、松本山雅とJ.S.Cでした。
これらは強豪ですから、引き分けても仕方がないところかもしれま
せん。しかし、両試合とも、終盤までパルセイロがリードしていた
のです。
 どちらの試合も私は、グラウンドで最後まで応援することができ
なかったものですから、現地から携帯電話のメールで逐次試合の模
様を送ってもらっていたのですが・・・同点にされたとの一報には、
本当にガックリでした。

 ただ、強敵の松本山雅はJ.S.Cに負けていますから、どこに
も負けていないのは、J.S.Cとパルセイロだけです。この点が
大きな期待です。リーグ後半戦では、順位を上げ、必ず優勝してく
れるものと信じています。

 多くのサポーター、そして、スポンサーをしていただいている多
くの企業・団体のためにも、何としても頑張って、今年こそはJF
L(日本フットボールリーグ)への切符を手にしてほしいと思いま
す。

 昨年のメルマガでも書かせていただいたことがありましたが、パ
ルセイロが目指しているJFLについて、ここで少し触れてみたい
と思います。
 日本のサッカー界は、上から順にJ1、J2、JFL、地域リー
グ、都道府県リーグという階層になっています。パルセイロが参加
している北信越フットボールリーグは地域リーグですから、まずは
上位のJFLに昇格することがパルセイロの目標です。JFLへ昇
格しなくては、J2もJ1もありませんので、JFL昇格は絶対に
通過しなくてはならない関門なのです(AC長野パルセイロサポー
ターズフォーラムのチラシによりますと、JFLというのは「日本
のアマチュアサッカーのトップリーグ」という位置付けだそうです。
プロサッカーリーグは、J1、J2のみということになります)。

 JFLへ昇格するには、「全国地域リーグ決勝大会」で上位に入
る必要があります。
 この全国地域リーグ決勝大会へ出場する道は二つあります。一つ
は、パルセイロが属する北信越リーグで優勝すること。もう一つは、
「全国社会人サッカー選手権大会」で優勝することです(優勝しな
くても行ける場合もあるようです。例えば、出場権を得たチームが
辞退した場合などですが、あくまでも例外的なケースだそうです)。
 この二つの道のうちパルセイロは、北信越リーグで優勝すること
に重点を置いているようです。

 全国地域リーグ決勝大会に出場できるのは、全国でたった16チ
ームだけなのですが、この決勝大会での戦いが厳しいのです。
 まずは、一次リーグ。16チームが4組に分かれて、3日間連続
試合というハードなリーグ戦を行います。この3連戦を制した4チ
ームが決勝ラウンドに進むことができるのですが、決勝ラウンドの
リーグ戦では再び3日間の3連戦をこなさなくてはなりません。し
かも、一次リーグと決勝ラウンドの開催地が異なりますので、移動
も必要になります。これを勝ち抜いて初めてJFLに昇格できるの
です。
 勝ち抜くためには、選手層を厚くして、レッドカードを受けない
ようフェアプレーに徹しないといけない・・・厳しいですよね。

 昨年のパルセイロは、この大会の1次リーグで敗れてしまったこ
とで、残念ながら決勝ラウンドには進めず、JFLへの昇格も逃し
てしまいました。でも、あともう一歩というところまで行ったので
すから、今年は大いに期待しているわけです。ぜひ勝ち抜いて、
「スポーツを軸にしたまちづくり」を掲げている長野市の大きな柱
になってほしいと願っています。

 ただ、JFLに昇格すると、それはそれで悩みは大きくなりそう
です。具体的には、選手の強化は当然ですが、グラウンドの整備、
特に観客席の収容人員を増やさなくてはならないのです。
 ちなみに、現在の基準では、JFLで5,000人、J2で1万
人、J1で1万5,000人分の固定の観客席が必要とのこと。パ
ルセイロのホームグラウンド、南長野運動公園の総合球技場の固定
観客席は現在のところ2,000人分ですから、行政としては頭が
痛いことに・・・。

 しかし、JFLに昇格しないことには、そんな悩みも関係ありま
せん。とにかく皆さん、スタジアムに出掛けてパルセイロを応援し
てください。悲願のJFL昇格を果たすために、皆さんの熱い応援
をよろしくお願いします。
 グラウンドの整備や観客席のことは心の隅に置いておき、JFL
への昇格が決まったら、あらためて考えましょう。

2009年6月4日木曜日

新たに「市政方針市民会議」が始まりました


 「市民会議」は、私が市長に就任した8年前まで、「みどりのテ
ーブル」という名称で長い間開催されてきた、歴史ある行政懇談会
です。私の就任から約半年後、平成14年度からは「元気なまちづ
くり市民会議」という名称にし、会議の形式も一部変更しましたが、
市民の皆さんと行政をつなぐ重要な会議として踏襲させていただき、
今日まで継続しています。

 この「元気なまちづくり市民会議」は、市内30地区で、各地区
の区長会や住民自治協議会の主催で開催していただいていることは
ご存じの通りです。
 最近では、私からの施政方針の説明と自由討議で構成した会議や、
ワークショップ形式の会議を行う地区もありますが、一般的な形式
の会議では、
(1)最初に市長がその年度の施政方針を説明
(2)地区の役員さん方が地域の意見を取りまとめ、あらかじめ提
  出いただいていた提案・要望事項について市の担当部長が回答
  (市の回答の前に、提案・要望事項を役員さんが発表する地区
  もあります)
(3)自由討議
(4)最後に市長の総括的な話
おおむね、このような形で行われてきました。

 出席者は各地区によって異なりますが、少ない地区で100人前
後、多い地区では200人を上回ります。

 私の市長就任以降は、区長さん方が地区で取りまとめた意見だけ
でなく、自由討議の時間を設けて、参加された皆さんから自由なご
意見も出していただけるように工夫してきたつもりです。また、よ
り分かりやすく説明させていただくために、スライドを使うことも
すっかりおなじみになったと感じています。
 会議の中では、予想外のご意見、あるいはその場で答えられない
ご要望やご質問が出されることもあります。このような場合には、
市役所に持ち帰って検討し、後日、支所を通してお答えするように
もしてきました。
 ただ、自由討議の時間がもっと欲しいというご意見を頂いていた
ことも事実です。

 本年度も6月30日を皮切りに、各地区の「元気なまちづくり市
民会議」が始まりますが、私は以前から、年度の早い時期、できれ
ば年度当初に、1年間の長野市の予算や重点的に取り組むべき課題
など、市の施政方針についてご説明したいと考えていました。
 と言いますのも、住民自治協議会や区長会をはじめとする市民の
皆さんのご理解をいただきながら市政運営を進めてまいりたい、進
めなければならないと考えてきたからです。
 しかし、会議の主催はあくまでも各地区の区長会や住民自治協議
会ですから、それぞれの事情によって、開催時期や内容を決めてい
ただくことが原則となります。それ故に、年度当初というのはなか
なか難しく、極端な例では、年度末の3月の開催となる地区もあり
ました。

 そこで、「元気なまちづくり市民会議」とは別に、年度当初に
「市」主催による新しい市民会議、すなわち「市政方針市民会議」
を開催することにしたのです。この会議では、1回の会議でその年
度の施政方針を全地区の皆さんにお話しすることにしたもので、今
年は、5月27日に長野市民会館で開催しました。

 この市民会議を開催したことにより、本年度の施政方針をあらか
じめお伝えすることができましたので、これから各地区で行われる
「元気なまちづくり市民会議」では、施政方針の説明は短縮、スリ
ム化、あるいは省略したいと考えています。そして、地域の皆さん
のご意見をじっくりお聴きすることを中心にして、これまで以上に
地区の意向に沿った地域主体の会議が実現できるようにしたいと思
っています。

 先日、このメルマガでもご報告させていただきましたが、4月
20日に、30地区の住民自治協議会の会長さんと市長の間で、協
働に関する基本協定を締結させていただきました。この協定は、3
月市議会で成立した「長野市及び住民自治協議会の協働に関する条
例」に基づいて取り交わしたもので、市と住民自治協議会が対等の
関係で協力し合う団体として正式に認知し合ったものです。

 長野市ホームページには、その時の記念写真が載っていますが、
改めて会長さん方のお顔を拝見しますと、皆さんとても張り切って
いただいていると感じています。会長さん方には、平成22年度か
らの本格的な活動を目前に控え、いろいろとご苦労も多いとは思い
ますが、各地区の住民自治協議会には、それぞれ十分な準備を進め
ていただきたいと思っています。
 そして、同時に「元気なまちづくり市民会議」も新たな段階に入
りますので、各地区独自の工夫をして、盛り上がるようにしていた
だけるとうれしく思います。

 戦後の高度経済成長時代は、国・県も含め、さまざまな市民要望
に対して行政サービスを拡大していく時代でもありました。
 しかし、右肩上がりの経済が終わり、少子高齢時代を迎えた現在、
大幅な税収増加が見込めず、社会保障費などの財政需要も増大して
いる中で、市民の皆さんの価値観の多様化、さらには、地方分権の
進展などに対応するためには、市政運営にも「選択と集中」「スク
ラップ・アンド・ビルド」という考え方が必要となっています。
 また、一方では、地球温暖化対策や、昨年からの世界的な不況に
対処するための経済対策、新型インフルエンザ対策など、地方自治
体としても取り組む必要がある世界規模の課題も山積している状況
です。

 このような中で、今後も持続的に発展していける地方自治体を構
築していくために、どういうシステムをつくっていくか。長野市が、
数年前から地方分権時代の地方中核都市の在り方について研究して
きた結果、行き着いたのが「都市内分権」です。そして、これを実
現するために、時間をかけて準備をしてきました。「都市内分権」
は、私が市政に取り組んでいく上での最大のテーマであり、何とし
ても成功させたいという思いを強くしています。

 しかしながら、これまでにない仕組みをつくっているのですから、
今後もさまざまな課題が生じてくるだろうと感じていることも事実
です。「都市内分権」を進める中では、市民の皆さんからさらにい
ろいろなご意見を頂けると思っていますので、それを基に考えると
いうことがこれからも繰り返されるかもしれません。
 私は、市民の皆さんの声に耳を傾け、必要なことを順次定めなが
ら試行錯誤を重ねることが、長野市における住民自治の発展につな
がるのだろうと思っています。そして、この積み重ねが、地方分権
時代にふさわしい長野市のシステムを形作っていき、将来的には
「住民自治基本条例」の制定につながっていくのだと考えています。

 いずれにしても目指すところは、「市民の皆さんと行政のパート
ナーシップ」であり、「地域コミュニティの再生」です。