2009年6月4日木曜日

新たに「市政方針市民会議」が始まりました


 「市民会議」は、私が市長に就任した8年前まで、「みどりのテ
ーブル」という名称で長い間開催されてきた、歴史ある行政懇談会
です。私の就任から約半年後、平成14年度からは「元気なまちづ
くり市民会議」という名称にし、会議の形式も一部変更しましたが、
市民の皆さんと行政をつなぐ重要な会議として踏襲させていただき、
今日まで継続しています。

 この「元気なまちづくり市民会議」は、市内30地区で、各地区
の区長会や住民自治協議会の主催で開催していただいていることは
ご存じの通りです。
 最近では、私からの施政方針の説明と自由討議で構成した会議や、
ワークショップ形式の会議を行う地区もありますが、一般的な形式
の会議では、
(1)最初に市長がその年度の施政方針を説明
(2)地区の役員さん方が地域の意見を取りまとめ、あらかじめ提
  出いただいていた提案・要望事項について市の担当部長が回答
  (市の回答の前に、提案・要望事項を役員さんが発表する地区
  もあります)
(3)自由討議
(4)最後に市長の総括的な話
おおむね、このような形で行われてきました。

 出席者は各地区によって異なりますが、少ない地区で100人前
後、多い地区では200人を上回ります。

 私の市長就任以降は、区長さん方が地区で取りまとめた意見だけ
でなく、自由討議の時間を設けて、参加された皆さんから自由なご
意見も出していただけるように工夫してきたつもりです。また、よ
り分かりやすく説明させていただくために、スライドを使うことも
すっかりおなじみになったと感じています。
 会議の中では、予想外のご意見、あるいはその場で答えられない
ご要望やご質問が出されることもあります。このような場合には、
市役所に持ち帰って検討し、後日、支所を通してお答えするように
もしてきました。
 ただ、自由討議の時間がもっと欲しいというご意見を頂いていた
ことも事実です。

 本年度も6月30日を皮切りに、各地区の「元気なまちづくり市
民会議」が始まりますが、私は以前から、年度の早い時期、できれ
ば年度当初に、1年間の長野市の予算や重点的に取り組むべき課題
など、市の施政方針についてご説明したいと考えていました。
 と言いますのも、住民自治協議会や区長会をはじめとする市民の
皆さんのご理解をいただきながら市政運営を進めてまいりたい、進
めなければならないと考えてきたからです。
 しかし、会議の主催はあくまでも各地区の区長会や住民自治協議
会ですから、それぞれの事情によって、開催時期や内容を決めてい
ただくことが原則となります。それ故に、年度当初というのはなか
なか難しく、極端な例では、年度末の3月の開催となる地区もあり
ました。

 そこで、「元気なまちづくり市民会議」とは別に、年度当初に
「市」主催による新しい市民会議、すなわち「市政方針市民会議」
を開催することにしたのです。この会議では、1回の会議でその年
度の施政方針を全地区の皆さんにお話しすることにしたもので、今
年は、5月27日に長野市民会館で開催しました。

 この市民会議を開催したことにより、本年度の施政方針をあらか
じめお伝えすることができましたので、これから各地区で行われる
「元気なまちづくり市民会議」では、施政方針の説明は短縮、スリ
ム化、あるいは省略したいと考えています。そして、地域の皆さん
のご意見をじっくりお聴きすることを中心にして、これまで以上に
地区の意向に沿った地域主体の会議が実現できるようにしたいと思
っています。

 先日、このメルマガでもご報告させていただきましたが、4月
20日に、30地区の住民自治協議会の会長さんと市長の間で、協
働に関する基本協定を締結させていただきました。この協定は、3
月市議会で成立した「長野市及び住民自治協議会の協働に関する条
例」に基づいて取り交わしたもので、市と住民自治協議会が対等の
関係で協力し合う団体として正式に認知し合ったものです。

 長野市ホームページには、その時の記念写真が載っていますが、
改めて会長さん方のお顔を拝見しますと、皆さんとても張り切って
いただいていると感じています。会長さん方には、平成22年度か
らの本格的な活動を目前に控え、いろいろとご苦労も多いとは思い
ますが、各地区の住民自治協議会には、それぞれ十分な準備を進め
ていただきたいと思っています。
 そして、同時に「元気なまちづくり市民会議」も新たな段階に入
りますので、各地区独自の工夫をして、盛り上がるようにしていた
だけるとうれしく思います。

 戦後の高度経済成長時代は、国・県も含め、さまざまな市民要望
に対して行政サービスを拡大していく時代でもありました。
 しかし、右肩上がりの経済が終わり、少子高齢時代を迎えた現在、
大幅な税収増加が見込めず、社会保障費などの財政需要も増大して
いる中で、市民の皆さんの価値観の多様化、さらには、地方分権の
進展などに対応するためには、市政運営にも「選択と集中」「スク
ラップ・アンド・ビルド」という考え方が必要となっています。
 また、一方では、地球温暖化対策や、昨年からの世界的な不況に
対処するための経済対策、新型インフルエンザ対策など、地方自治
体としても取り組む必要がある世界規模の課題も山積している状況
です。

 このような中で、今後も持続的に発展していける地方自治体を構
築していくために、どういうシステムをつくっていくか。長野市が、
数年前から地方分権時代の地方中核都市の在り方について研究して
きた結果、行き着いたのが「都市内分権」です。そして、これを実
現するために、時間をかけて準備をしてきました。「都市内分権」
は、私が市政に取り組んでいく上での最大のテーマであり、何とし
ても成功させたいという思いを強くしています。

 しかしながら、これまでにない仕組みをつくっているのですから、
今後もさまざまな課題が生じてくるだろうと感じていることも事実
です。「都市内分権」を進める中では、市民の皆さんからさらにい
ろいろなご意見を頂けると思っていますので、それを基に考えると
いうことがこれからも繰り返されるかもしれません。
 私は、市民の皆さんの声に耳を傾け、必要なことを順次定めなが
ら試行錯誤を重ねることが、長野市における住民自治の発展につな
がるのだろうと思っています。そして、この積み重ねが、地方分権
時代にふさわしい長野市のシステムを形作っていき、将来的には
「住民自治基本条例」の制定につながっていくのだと考えています。

 いずれにしても目指すところは、「市民の皆さんと行政のパート
ナーシップ」であり、「地域コミュニティの再生」です。