2009年6月18日木曜日

御開帳総決算


 57日間にわたって開催された「善光寺御開帳」ですが、5月
31日をもって閉幕となりました。最終日は、日曜日のせいもあっ
たかと思いますが、回向柱の前も、本堂の中も、境内も、参道も、
人・人・人・・・。大変な混雑でした。

 3月末、松代から奉納された回向柱の受け入れ式に始まり、回向
柱建立式、前立本尊御遷座式、御開帳開闢(かいびゃく)大法要、
中日庭儀大法要(浄土宗・天台宗)、結願(けちがん)大法要など、
期間中、善光寺境内では、盛大に行事が執り行われてきました。
 期間を通しての参拝客は、673万人。前回、長野新幹線開業後
初めての御開帳だった平成15年の628万人を45万人も上回っ
て、史上最高です。

 100年に一度と言われる世界的な経済危機の中にもかかわらず、
このように大勢のお客さまにお越しいただくことができました。こ
れは、善光寺イヤーとして集中的なキャンペーンを展開してきたこ
とや、善光寺御開帳奉賛会をはじめ、観光事業者や地元の皆さんの
熱意ある活動があったからこそ結び付いた大きな成果だと思ってい
ます。加えて、高速道路の「休日はどこまで走っても1,000円」
の効果も貢献したようです。
 経済効果も当初の予測よりかなり大きかったのではないでしょう
か。

 松代から奉納され、本堂前に建てられた回向柱前の長い行列。仁
王門の下まで、いや、休日には大門町までつながっていました。そ
して、長い時には3時間という信じられないほどの待ち時間を経て、
柱に手を触れて祈っておられる姿、本当に尊い姿があったと思いま
す。
 御印文頂戴(ちょうだい)や、内陣参拝、お戒壇巡りにも、長い
長い行列ができていました。

 私が城山小学校3年生の時(昭和24年)、御開帳に合わせて平
和博覧会が善光寺周辺で行われました。当時はまだ、終戦後の混乱
から立ち直っていない時期でしたが、かなりの人出があったことを
記憶しています。
 それから現在まで、7年に一度の御開帳を私は何度も経験してき
ましたが、今回ほどの人出は初めてです。善光寺さんの魅力、信仰
の対象としての存在感、まさに脱帽です。

 御開帳との関係には濃淡がありますが、期間中、長野のにぎわい
に相乗効果を発揮したと思われるイベントがたくさんありました。
幾つかご紹介します。

「桜の季節、ながのウエルカムガーデン、善光寺花回廊」
 長野の4月は桜のシーズンですが、長い冬が終わって春を迎え、
桜以外の花も一斉に咲き乱れました。長野駅前広場の“ながのウエ
ルカムガーデン”、中央通りを中心とした“善光寺花回廊”、いず
れも市民の皆さんのご協力によりできた素晴らしいイベントです。
 なお、“ながのウエルカムガーデン”ですが、先週から、会場を
市役所に移して継続していただいています。このガーデンをつくっ
ていただいてから、市役所がとても柔らかな雰囲気になりました。

「長野マラソン」
 「信毎マラソン」から「長野オリンピック記念長野マラソン」に
なり、今年で11回目になりました。関係者の連携、多くのボラン
ティアの皆さんのおかげにより、日本有数のマラソン大会に成長し
ています。マラソン発祥の地、ギリシャのアテネマラソンと姉妹提
携を結んでいることも、長野マラソンの名を高めているのかもしれ
ません。

「篠ノ井大獅子奉納」
 御開帳行事の一つとして、今回初めて行われたのですが、5月
10日、篠ノ井地区の二つの大獅子が、中央通りから善光寺山門ま
で練り歩きました。威勢良く、迫力もある素晴らしい獅子舞で、奉
納行列には、篠ノ井地区の皆さんが燃えて、予定していた1,000
人を大きく上回る1,800人を超える皆さんの参加があったとの
ことです。松代地区の皆さんによる回向柱奉納行列に匹敵するよう
なにぎやかな行列にしてくださったことで、これまで以上に多くの
市民の皆さんがかかわって善光寺御開帳を盛り上げることができ、
本当に良かったと思っています。

「松代藩文武学校旗争奪中学校選抜剣道大会・松代藩文武学校杯争
奪小学生選抜剣道大会」
 このイベントもすっかり定着してきました。大会に参加している
のは、全国でも剣道の強豪校と言われる学校の小・中学生の皆さん
です。5月23日に行われた開会式は松代城の太鼓門の前、そして、
翌日の決勝戦は文武学校が舞台ということで、「剣の道」にゆかり
のある雰囲気もあり、皆さんのあこがれの大会になってきているよ
うです。

「布引伝説ウオーキング」
 小諸市にある布引観音は、「牛に引かれて善光寺参り」の伝説に
より、善光寺とのご縁が深いことは有名です。5月23日、この伝
説にちなんだウオーキング大会が小諸市観光協会の主催で開催され
ました。大会では、約1,500人もの皆さんが、懐古園から善光
寺まで、最長64キロメートルのコースを完歩されたそうです。ゴ
ールでは、完歩された皆さんをお迎えするために芹澤小諸市長もお
越しになりました。長野市からは、酒井副市長に出迎えてもらいま
した。

「弥栄(やさか)神社御祭礼の屋台巡行」
 5月24日、10カ町の屋台が練り歩き、中心街は祭り一色にな
りました。昔は、京都・高山と並んで日本3大祇園祭といわれたこ
ともあったそうです。ただ、近年は、引き手が不足して苦労してい
たとのことですが、今回は、小学生が大いに力を貸してくれたよう
です。御開帳終盤の大きなイベントとして、大変盛り上がりました。

「戸隠神社式年大祭」
 戸隠神社の宝光社の神様が、中社の神様にお会いになる行事との
ことで、戸隠神社最大のお祭りだと聞いています。毎回、善光寺御
開帳と同じ時期に行われてきたそうで、4月26日から5月20日、
戸隠地区も式年大祭で大いににぎわいました。

「“ながのいのち”アンテナショップ」
 長野市農業公社が、昨年から進めている農産物の地域ブランド
「ながのいのち」のアンテナショップが、5月10日、中央通りの
「表参道まちの駅」内に開店しました。この出店により、「ながの
いのち」ブランドの販売促進、新たな商品の創出、情報発信につな
がることはもとより、ここが中山間地域の生産者と都市部の消費者
が交流を深める場になれば良いと思っています。

「長野市野外彫刻賞授賞式」
 5月27日に長野市野外彫刻賞授賞式を開催しました。長野市の
野外彫刻賞は、昭和48年度に創設され、以来今日まで続いていま
す。今年の受賞作品は、トイーゴの南側にある上千歳広場に設置し
た、原透先生の「時間塊7」という石の彫刻です。
 市内に設置されている野外彫刻賞受賞作品は、これで137点に
なりました。

 大いににぎわった今回の御開帳でしたが、期間中、新型インフル
エンザ問題が発生し、国内にも感染者が出たことで、その影響がと
ても心配されました。ただ、幸いにも御開帳期間中に長野で感染者
が出なかったこと、これは大変ありがたかったと感じています。連
日、国内各地から大勢の方々にお越しいただいていましたから、そ
の分、感染が確認される可能性も高いのではないかということで態
勢を整えていましたが、ひとまずほっとしました。
 これも善光寺さんの御利益かな・・・などと、勝手に考えていま
す。