2011年1月27日木曜日

臨時市議会を開きました


 現在、わが国の経済は、景気の足踏み状態が続き、要となる雇用
環境の面では、若年層を中心に失業率が依然として高水準で推移し
ており、円高の長期化とデフレ経済の進行、加えて、海外経済の減
速などによる景気の腰折れが危惧される中、先行きが不透明で不安
な状況下にあります。

 国では、このような厳しい経済情勢と先行きの悪化懸念を踏まえ、
昨年10月の閣議で「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」
を決定しました。内容としては、懸案であるデフレからの脱却と景
気の自律的回復に向けた道筋を確かなものとするため、補正予算を
通じて、雇用や人材の育成、新成長戦略の推進・加速、子育て支援
や福祉などの強化、そして公共事業などの地域活性化を柱とした追
加経済対策を強力に推進しようというものです。

 この閣議決定を踏まえて成立した国の補正予算では、緊急総合経
済対策として総額4兆8,000億円余りが計上されました。この
中では、地方公共団体への支援策として、「きめ細かな交付金」と
「住民生活に光をそそぐ交付金」という、地域の目線に立った2つ
の「地域活性化交付金」が創設されています。

 「きめ細かな交付金」は、地方公共団体が地域の活性化ニーズに
応じて、ハード事業のみならずソフト事業も含めたきめ細かな事業
を実施することにより、地元の中小企業や零細事業者の仕事量を確
保して雇用の拡大につなげ、地域における景気浮揚などを目指すた
めの交付金です。

 また、「住民生活に光をそそぐ交付金」は、住民生活に大事な分
野でありながら、光が十分に当てられてこなかった分野を支援する
もので、消費者行政や弱者対策・自立支援、そして“知の地域づく
り”の3つの分野への積極的な取り組みを促し、地域の活性化を目
指すための交付金とのことです。

 これを受けて、本市においても、当該補正予算にかかる関連事業
を速やかに実施するため、1月18日に市議会臨時会を招集し、本
市に交付される「地域活性化交付金」の約4億円に、再算定による
普通交付税4億3,000万円余りの追加交付額を加え、これら国
からの交付財源を最大限に活用した、総額12億6,000万円余
りの補正予算案を編成して提出、議決していただきました。
 議決していただいた補正予算の概要は、以下のとおりです。

・道路・河川などの整備経費
  生活道路のカーブミラーの維持補修、舗装・側溝の改良、排水
  機場・雨水調整池の改修、篠ノ井瀬原田沢・信更久保沢の地す
  べり対策、地域公園の危険遊具更新など

・社会福祉、商工観光、教育文化施設など、多岐にわたる施設の改
 修や機器整備経費
  ふれあい福祉センターの倉庫扉改修、湯福老人福祉センターの
  床改修、ビッグハットの空調設備改修、若里市民文化ホールの
  ブラインド交換、エムウェーブの消防設備改修、小・中学校普
  通教室の天井などへの扇風機設置、支所や社会体育館、市営住
  宅の屋根改修、防火水槽改修など

・住民生活に光をそそぐ3つの分野の経費
  消費者トラブル対策、DV(ドメスティックバイオレンス)予
  防、自殺対策、スクールセクハラ防止、小・中学校の図書整備、
  中間教室や特別支援教育に必要な備品類の購入、外国籍児童生
  徒の学習用備品類の購入、長野市ものづくり支援センターのク
  リーンルーム改修、長野図書館・南部図書館の図書整備、環境
  衛生試験所の検査機器の更新など

 以上、交付金の趣旨を踏まえた経費のほか、国の補正予算に連動
した関連事業として、子宮頸(けい)がんワクチン接種事業などの
実施に要する経費も計上しました。

 これらの補正予算計上に当たっては、緊急総合経済対策の実効を
上げるため、早期に(できれば年度内、遅くも新年度前半に)執行
できる事業を選択しています。加えて、その実施においては、前金
払い制度の活用など、経済対策の効果を速やかに波及させることを
念頭に、地域経済の実需を喚起することに重点を置きました。

 当然のことながら、切れ目のない政策対応を行うことが重要であ
り、現在編成中の新年度予算と合わせて、本市における経済の安定
と雇用の確保を図り、元気の出る地域社会の実現に向けた地域活性
化への取り組みを、さらに推進していきたいと考えています。もち
ろん国や県との緊密な連携の下に、事業の円滑な執行を図ることも
重要だと考えています。

 この市議会臨時会には、補正予算案のほか「長野市民会館等条例
の一部を改正する条例」も議案として提出させていただきました。
 この議案は、市役所第一庁舎および長野市民会館の建て替えに向
け、現在の長野市民会館の供用を本年4月1日から廃止するための
条例改正であり、新年度当初予算に計上する予定の現市民会館の建
物解体費や、新第一庁舎および新市民会館の建設事業費に密接に関
連しています。

 本来、この議案は、市民の皆さんへ周知する期間を確保するため
にも、新年度予算案を提出する3月定例会より前の定例会に提出す
べきであったと思っています。しかし、建設地の関係から先の12
月定例会までに提出することができませんでした。今回、国の補正
予算の関係で、臨時会の開催が必要になりましたので、この機会を
捉えて提出させていただいたものです。
 すなわち、先月27日に、議会や市民の皆さんのご意見を伺う中
で、「現在地を中心に建て替える」など4つの基本的な考え方に基
づく「望ましい配置案」を取りまとめることができたことを受け、
今臨時会での審議をお願いしたものです。

 この長野市民会館の供用廃止条例の議決は、特に重要な施設の廃
止ということで、出席議員の3分の2以上の賛成が必要な特別議決
でした。
 私は当初、廃止してもすぐに建て替えるのだから、廃止条例は不
必要ではないかとも思っていました。しかし、地方自治法の公の施
設の廃止に関する考え方としては、「建て替え期間が相当長期にわ
たり、社会通念からして住民の一時的な利用不能と考えるのが困難
な場合は、条例措置をせざるを得ないことになる」と示されていま
す。長野市民会館の場合、建て替え期間は約4年間です。地方自治
法の考え方からすると、この間、市民の皆さんが利用できない状態
が続くことは、一時的とは言えないと判断するに至り、県にも相談
させていただく中で、この廃止条例を提案させていただくことにな
ったものです。

 採決の結果、39人の出席議員のうち、32人に賛成していただ
き、長野市民会館の供用廃止が決まりました。十分な賛同を頂いた
こと、感謝しています。
 ご賛同いただけなかった議員さんは、長野市民会館の建設そのも
のに反対しておられ、また、議決に当たっての反対討論では、「市
はこの議決により、現市民会館建設を取り壊し、新市民会館を建設
することの同意を議会から得たことになる・・・」との認識も示し
ていらっしゃいました。

 廃止条例が可決されたことで、市民の皆さんには、しばらくの間、
長野市民会館がない状態になってしまい申し訳ありません。しかし、
4年後には、きっと素晴らしい市民会館ができるはずです。ご期待
ください。

 昭和36年に完成した長野市民会館は、多くの市民の皆さんの思
い出が詰まっている建物です。私的なことで恐縮ですが、長野市民
会館の外壁のれんがは、当時、私の父が経営していた会社の職人さ
んが積んだ物なのです。その点、父の跡を継いだ私としては、ある
意味寂しさも感じていますが、新しく生まれ変わることの意義を大
切にして、期待していきたいと思っています。

 平成27年4月供用開始を目指して、今後とも新たな市民会館の
建設に鋭意取り組んでいきます。何とぞご理解くださいますようお
願いいたします。