2013年7月25日木曜日

県19市副市長会議へ出席して


 現在、長野市では平成27年に向けて、大規模プロジェクト事業
を推進している真っ最中であることは、前回5月に私のメールマガ
ジンでも書かせていただきました。平成27年はあくまで通過点で
あり、長野市に今ある活力を、一過性のものとして終わらせるので
はなく、その先をしっかり見据え、さらなる持続的発展を遂げてい
きたいと常に考えているところです。

 さて、県内各市で認識している当面の諸問題や国・県への要望事
項について議論をする場として毎年開催されている「長野県19市
副市長・総務担当部長会議」が、今年は7月5日に岡谷市で開催さ
れました。当日は、各市から提出された30議題などについて活発
な議論が行われました。長野市から提出した議題は、一部共同提出
も含めて次のとおりです。

1 バリアフリー化等、公共交通の利用環境改善に対する支援につ
いて
 地域の公共交通には、大きく2つの役割があると考えています。
一つ目は、高速道路や新幹線、基幹道路のように、大量の人や物を
運び産業を育てる、いわば地域の活力を培うためのもの。二つ目は、
自ら自動車を運転できなくとも高齢者や障害者などの皆さんが買い
物や通院など、その地域で安心して暮らせるためのものです。いわ
ば、社会福祉施策の一つとして位置付けてもよいかもしれません。
現実にはもう一つ、三つ目と言ってもいいかもしれませんが、若い
人や勤労者が通学・通勤の手段とするものがあります。このように、
それぞれの地域でさまざまな人々が暮らしていくには、とりわけ高
齢化が進む本市のような地域では、公共交通を持続的に維持してい
くことが不可欠であり、そのために公共交通の利用を促進するため
の利用環境の改善が必要です。
 しかし、それには多額の事業費を要するため、交通事業者の経営
が厳しさを増す中で、なかなか進んでいかない状況にあります。こ
のため、国の補助制度を活用するとともに、地方自治体も支援しな
がらこれらの事業に取り組んでいるところではありますが、国の補
助金の減額に対応するため、事業を縮小、または断念せざるを得な
い事態も発生しています。
 日本のさまざまな地域で、活力をもって、安心して国民が暮らす
ためには、地域の知恵を生かしながら、バリアフリー化など生活交
通の利用環境を改善することに、官民一体となって強力かつ計画的
に取り組んでいくべきであると考えています。地域が取り組むこれ
らの事業に対する支援のため、国において十分な予算を確保してい
ただくよう要望しました。
 今後、人口が減少していくのをただ待っているのではなく、将来
に向けた公共交通の利用環境改善と利用促進を通じて地域生活の定
着を図るためには、どうしても国の財政支援が必要です。長野市は、
地域公共交通の維持に向け、積極的に取り組んでいきたいと考えて
います。

2 狭あい道路整備等促進事業補助制度の期間延長について
 長野市内に数多く存在する幅員4m未満の狭あい道路は、安全で
良好な市街地と居住環境を形成していく上で大きな課題となってい
ます。通行や環境衛生の向上、また消防・救急活動の円滑化を図る
ためには、幅員4m以上への拡幅整備を促進する必要があります。
ただ、事業を推進していく上で、事業費のうち国の補助金が大きな
ウエートを占めているのが現状です。狭あい道路整備等促進事業制
度は、2009(平成21)年度に創設され、2013(平成25)
年度までの事業について補助することができることとなっています
が、いまだに多くの狭あい道路が存在することから、事業を安定的
に継続実施するため、制度期間延長について昨年度に引き続き再度
提案をさせてもらいました。

3 風疹予防接種助成費用の補助について
 東京圏、大阪圏を中心に、風疹は全国的に流行しており、妊娠中
の風疹ウイルス感染による赤ちゃんの先天性風疹症候群の発症も報
告されています。しかし、任意での予防接種に対する費用助成は交
付税措置がなく、市町村の負担となっています。本年の県内の風疹
患者数は、既に昨年1年間の2倍以上となっていて、予防接種によ
り赤ちゃんの先天性風疹症候群を防止するためにも、任意の予防接
種を受ける際の費用について、市町村が助成できるよう、国、県に
よる補助金を交付する制度の創設を要望させていただきました。ま
た、風疹は今年だけのものではなく今後も流行する危険性はありま
すので、しっかりとした制度をお願いしたいと要望いたしました。

4 国の循環型社会形成推進交付金による市町村への財政支援につ
いて
 循環型社会形成推進交付金制度は、市町村などが実施する廃棄物
処理施設整備に必要な財源を確保する上で欠くことのできない制度
です。廃棄物処理施設は、国土を美しく保ち、安全、安心な暮らし
を支えるために必要不可欠な基幹インフラです。とりわけごみ焼却
施設や最終処分場の整備事業は、長期にわたって地元協議や説明会
などを行った上で建設同意に至るため、同意を得た時期には、現有
施設の老朽化が進んでおり、早急な施設整備が必要となる場合が多
々あります。技術の進歩とともに安全性が格段と確保されるように
なった一方で、施設建設費用が高額化しており、事業を計画的に行
うためには、安定した国の財源確保と継続した財政支援が必要不可
欠です。
 また、ごみ処理施設設置地域の住民の皆さんのご理解をいただく
ためには、施設周辺や地域環境整備も欠かせず、施設整備以外に係
る負担も相当なものであることから、全ての施設整備について新た
に取得する用地費および補償費を交付金の対象とするとともに、周
辺環境施設整備費用についても新たに交付金の対象とすることを要
望しました。

5 地方特定道路整備事業の継続について
 地方特定道路整備事業は、市道のうち、緊急に対応しなければな
らない道路区間を早急に整備することで、市民生活の向上や地域の
振興発展を図るもので、その財源には、交付税措置のある起債が充
当できるものです。本市ではこの事業を活用して、安全安心な道路
空間の確保および交通の円滑化などを進めています。
 しかし、この事業は2012(平成24)年度までの措置という
ことで、十分な議論がないまま今年度から廃止となってしまいまし
た。このため、地方の財政負担が増大し、必要としている道路整備
が計画どおり進められない状況となっていることから、本事業の継
続を要望しました。

 以上、今回の会議で採択された各提出議題については、本年8月
29日、30日に佐久市での開催となる第133回長野県市長会総
会へ提出されることとなりますので、さらなる活発な議論を期待し
たいと思っています。

 さて、去る6月24日、長野県において「新県立大学基本構想」
が決定されました。7月5日のこの副市長会議においても、県の県
立大学設立準備室の職員の方から、その内容について説明がありま
した。
 私も当初から県企画部長として設立を担当し、また昨年度からは
長野市副市長としてオブザーバーの立場で県立大学設立準備委員会
に携わらせていただきました。困難な作業を経て構想をまとめてい
ただいた県の県立大学設立準備室の皆さんには本当に感謝申し上げ
ます。
 一部新聞報道にもありますように、基本構想については、必ずし
もこれを是としないさまざまなご意見の方々がいらっしゃいますが、
ぜひ県民みんなが喜んでもらえるような大学を目指してさらなる努
力をお願いしたいと思っています。
 今回決定したものは基本構想でありますので、やっと入口に立っ
た段階です。まだこれから実務的にもさまざまな山があるかとは思
いますが、開学時期の目標であります平成29年4月に向けて、着
実に準備を進めていただきたいと思っています。私は大いに期待し
ています。

2013年7月18日木曜日

道路と公共交通


 ここしばらく、長野市のソフト部門の事業についてかじとり通信
でお話ししてきました。今回は少し変わって、公共事業のうちでも
一番遅れていると思われる「道路」について考えてみましょう。

 道路をはじめ、インフラと言われるものはいろいろあります。イ
ンフラは、私たちの生活に無くてはならない資源といってもよいで
しょう。電気・ガス・水道は、今の生活を豊かなものにしてくれて
います。これらは、公共団体・機関あるいは民間の大企業が、戦前
・戦後を通じて収益事業としてのモデルを確立し、頑張って整備を
進めてきましたので、100パーセント完璧ではないのでしょうが、
豊かな社会のベースはできていると多くの国民は感じていると思い
ます。

 そこで、電気・ガス・水道以外のインフラで、多くの人が必要だ
なあ、あるいは改良したいなあ、と感じているものは何でしょうか
・・・「道路」、そしてそこに関係する「公共交通」と言ってよい
と思います。

 まずは、道路についてです。道路には、国道、県道、市道・・・
そのほかに、道路法が適用されない私道もあることは、皆さんご存
じのとおりです。今は舗装道路が当たり前ですが、昔はひどい状態
で、国が豊かになるにつれて、少しずつ良くなってきました。例え
ば、昔、バスガイドさんが、道路を「洗濯板」なんて表現していた
ことをご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 市内で考えたとき、これから先、早く整備したいなあと考える道
路は、次のとおりです。
(1)国道406号の西長野地区の道路整備(改良)
  長野県自治会館付近から茂菅大橋までの道路を早く整備して、
 戸隠・鬼無里方面に向かう道を安全で快適な道にしたい。
(2)都市計画道路「川中島幹線」
  川中島町四ツ屋地区から篠ノ井布施高田地区までの間に計画さ
 れている道路で、既に国道19号南バイパスの川中島町上氷鉋か
 ら今井ニュータウンまでの約1.7キロメートルが供用されてい
 ます。この度、篠ノ井高等学校の東側から南へ約600メートル
 の区間について整備を計画しています。国道18号に並行するこ
 の道路を整備することは、国道18号の渋滞解消にも有効でしょ
 う。
(3)相生橋の架け替えと取り付け道路の整備
  山王小学校西側の裾花川に架かる相生橋は、私の子どものころ
 から全然変わってない橋です。すなわち、車の少ない時代の橋で、
 建設後78年が経過し劣化が進んでいるということで、現在は、
 安全な通行のために5トンの重量制限をしています。
(4)広域ごみ焼却施設の建設に合意いただいた大豆島地区の道路
 網
  大豆島地区の基幹道路となる構想路線の早期建設、大豆島小学
 校と松岡地区を結ぶ市道への歩道設置など、まちづくりにつなが
 る道路網を整備していきたいと考えています。
(5)東外環状線「国道18号長野東バイパス」
  つい先日、エムウェーブ付近から柳原地区を結ぶ東外環状線建
 設促進期成同盟会総会が行われ、多くの来賓の皆様にもご出席い
 ただきました。ここ数年、十分な国の予算がなかなか付きません
 でしたが、昨年度補正額7億円、本年度当初予算額7億円と、合
 計14億円の予算が付きました。その前は年間4億円程度だった
 ものが、一挙に数年前の状況に戻り、整備実施のめどが付いてき
 ました(アベノミクスの政策である15カ月予算の影響が大変大
 きいのです)。
(6)県営農道「上水内北部地区豊野幹線」(通称:広域農道北信
 五岳道路)
  この道路は、長野市の立ヶ花橋から信濃町と長野市吉の長野荒
 瀬原線を結ぶ広域農道です。田中知事の時代、農道なんていらな
 いということで予算が大幅に削減されるなど冷遇され、事業の存
 続が心配されていました。
  現在、平成28年度全線開通の予定で工事を進めていますが、
 開通すると、長野市の北の玄関口として、中野インターチェンジ
 から善光寺をはじめ、飯綱、戸隠などを結ぶ幹線道路となります。
(7)都市計画道路「北部幹線」
  上松地区から穂保地区の国道18号まで、延長約6.1キロメ
 ートルに計画されている道路です。現在湯谷小学校付近からJR
 信越線までの約3.1キロメートルが供用されていて、長野工業
 高等専門学校南側の、JR信越線前で行き止まりになっています。
 さらに東に延長して、古里小学校南までの区間が平成29年度に
 完了する予定です。

 そして、「道路」と切り離すことができない関係にあるのが「公
共交通」で、私は常々「公共交通は、まちのインフラだ」と主張し、
「公共交通の再生」にも積極的に取り組んできました。自家用車の
普及に伴い、存在感が少し薄れているのでしょうが、お年寄りや障
害者、車を運転されない人にとっては、ものすごく重要なインフラ
です。しかし、これまで経験したことのない人口減少時代に突入し、
乗車人員増が見込めず、なかなか合理的なビジネスモデル(適当な
対価があって経営が成り立つことを指しています)ができない悩み
があります。

 ただ、道路・公共交通といっても、高速道路や新幹線といった広
域的で大掛かりなものから市道や市内乗り合いバスなどの規模の小
さなものまで、あまりにも多種多様な手段があります。どこまで地
方ができるのか、完璧なビジネスモデルができなかったと言えるの
でしょう。有料道路や専用道路ができたり・・・乗り物もいろいろ
な発明や改良などがされましたし、市民からの要望も、鉄道、バス
に関するものから、自転車や新交通システムについてなどさまざま
です。また、高速移動が重要という人もいれば、のんびり移動する
方がいいなあという人もいらっしゃいます。

 道路は安全・安心のまちづくりには欠かせないものであることは
当然です。交通安全についても、道路の道幅、路面の状態、山の方
へ行けば交通の支障になる木を切ってほしいなどという要望も頂き
ますし、冬の除雪もあります。災害があった場合、倒木や建物倒壊
などで道をふさいでしまうことも心配されます。避難路や救援物資
の輸送路の安全確保なども考えておかなくてはならないことです。

 さらに、視点を変えてみますと、電気・ガス・水道の3大インフ
ラは、水道を除いて民間事業者が主体で、効率の良い整備や供給が
ンフラの全体を民間事業者が主体になって整備するという発想があ
ってもよいのではないかと考えています。民間事業者が主体になっ
たほうが、はるかに効率が良く整備できるのでは・・・。行政と民
間の役割分担は、時代とともに変化していくものだと思っています。

 もう一つの大インフラは「通信」でしょう。「通信」の正体が、
私の中ではいまひとつはっきり定まっていないのですが、インター
ネットという怪物の出現により急速に発展しているこの分野は、今
後5大インフラを上回る大インフラに育つでしょう。ゆくゆくは、
インターネット世界と非インターネット世界に大別される世界が訪
れるのではないか・・・。そんな予感がしています。

2013年7月11日木曜日

新たな魅力を売り出します


 先週のかじとり通信で、動き出した長野市のソフト部門の一つと
して、文化・芸術活動の進展を挙げ、久石譲さんの新市民会館芸術
監督内定についてお話ししました。こうした文化芸術の振興に併せ
て、これからは、「スポーツ」「緑育」を中心に、本市の持ってい
る多くの魅力を掘り起こし、磨き上げ、そして都市としてのブラン
ド力を一層高めることが重要だと感じています。そして、こうした
多くの魅力を市民の皆さんに再認識していただき、自分たちが暮ら
す地域への愛着を深めてもらうとともに、その魅力を広く全国に発
信し、観光交流人口、さらには定住人口の増加を図り、元気で活力
あふれる長野市をつくっていきたいと考えています。

 こうした願いを込めて、本市では「シティプロモーション事業」
に取り組み始めています。具体的な取り組みとして、プロモーショ
ン活動を市民の皆さんに知っていただき、今後の事業展開へ積極的
に参画していただく気運醸成を図るため、6月11日「この街だい
すき」という新聞広告を掲載し、専用ホームページも開設しました。
また、地下100メートルから取水した地下水を「長野の命水(め
いすい)」と命名し、販売(500ミリリットル・100円)を始
めました。
 
 新聞広告には、「人」に注目してプロモーションを進めていきた
いという思いから、前述の久石譲さん、AC長野パルセイロトップ
チームの美濃部直彦監督とレディースの本田美登里監督、そして
「ながの緑育協会」愛称「ながの花と緑そして人を育てる学校」校
長として「緑育」に取り組んでいただいている矢澤秀成(ひでなる)
さんをはじめ、各分野でご活躍されている皆さんを「長野市の顔」
として掲載させていただきました。ご覧になられた方も多いと思い
ます。
 今後は、こうした皆さんの「人」を引き付ける力をお借りしなが
ら、本市を広くPRしていきたいと考えています。

 美濃部監督が率いるトップチームは、現在JFL(日本フットボ
ールリーグ)2位と優勝を狙える位置で頑張っていますし、レディ
ースもシーズン当初はなかなか思うような結果が出ていませんでし
たが、本田監督の考えが浸透してきたのでしょう、最近5試合は4
勝1分の成績で、さすがと思わせる強さを見せてくれています。私
もホームの試合は全て観戦していますが、両監督の力量が徐々に発
揮されてきていると感じています。
 7月9日には、長野商工会議所をはじめ多くの団体、法人などに
より、パルセイロを支援する「長野後援会」が設立されました。チ
ームを強力にバックアップする応援体制も着実に整ってきています。

 ながの緑育協会の矢澤さんもすごい人気で、2年目の今年も「な
がの緑育マイスター」の養成講座には、全国から人が集まってきて
います。今後は、活動の拠点としている篠ノ井中央公園や茶臼山だ
けでなく、長野市北部の地域でもぜひ教室を開催しようという声が
上がっています。そこで、先週末7月5日から7日まで、この春閉
校となった後町小学校の教室を利用して「ペチュニア展」を開催し
ました。70種類のペチュニアを展示し、矢澤さんの解説もあり、
多くの皆さんにご来場いただけました。さらに「緑育」を全国に向
けて発信していきたいと夢は膨らみます。

 長野市といえば善光寺、松代、戸隠・・・ということで、今まで
は場所そのものが魅力の源泉でしたが、これからは「人」に焦点を
当てることを考えました。古くは佐久間象山、松井須磨子、恩田杢
(もく)など、きら星のごとき偉人もいらっしゃいます。過去の方
々は当然として、新しい人にも大いに活躍していただく場をつくり
たいと思っています。そのことが長野市の魅力を高めることにつな
がると思うのです。

 いにしえの時代から長野冬季オリンピックの時代まで、長野市に
は多くの人々が訪れ、おもてなしの心は脈々と市民に受け継がれ、
私たちの体に染み込んでいるように思います。ただ残念ながら、長
野市民自らが主役にはなっていなかったのではないか・・・私はそ
う感じています。

 善光寺に参詣される善男善女、上杉・武田の川中島合戦、そして
長野冬季オリンピック・・・いずれも長野市は、「場所貸し」が主
な出番だったように思うのです。テニスで有名なイギリスのウィン
ブルドンも、昔は地元イギリス出身の選手が活躍したそうですが、
最近では活躍するのは外国人ばかりになってしまった。これを失礼
な言い方ですが「ウィンブルドン効果」と言うそうで、長野市も同
様なのかなあ・・・などと考えていましたら、「ウィンブルドン 
イギリス勢77年ぶりの栄冠」という報が飛び込んできました。な
んというタイミングでしょう・・・驚きました。

 今回のウィンブルドンでの快挙に、地元イギリスはすごい盛り上
がりのようです。長野市でも、いつか主役が誕生し、街中が歓喜に
あふれる・・・素晴らしいですよね。
 今後、ソフト部門の事業を積極的に推進することにより、長野市
出身の芸術家、音楽家、そしてスポーツ選手など、その世界の第一
線で活躍する人物が長野市から出てほしい。そして、多くの市民が
憧れ、みんなで応援できれば、一層「元気なまち ながの」が盛り
上がるでしょう。

2013年7月4日木曜日

動き始める長野市の新たな魅力


 現在長野市が、新市民会館・新市役所第一庁舎建設事業、長野駅
善光寺口駅前広場整備事業、さらには南長野運動公園総合球技場整
備事業などの10事業を「大規模プロジェクト事業」として推進し
ていることは、これまでも皆さんにお知らせしてきました。また、
こうしたハード部門の事業のほか、都市内分権の推進、中山間地域
の振興、公共交通機関の再生といったソフト部門についても取り組
みを進めています。ハード部門については、市議会や市民の皆さん
のご理解を得る中、おおむね順調に進んでいると実感しています。
それとともに、これからはソフト部門に、より力を入れていく必要
があり、ハード部門を最大限生かすためにもソフト部門を充実させ
ることが重要なポイントだと考えています。
 こうした中、ソフト部門の「いいとき(飯綱・戸隠・鬼無里)構
想」と「文化・芸術活動の進展」に新たな動きが生まれました。

 まずは、「いいとき構想」についてです。いいときエリアは、冬
はスキー、夏はハイキングやキャンプとにぎわっていますが、そこ
に新たな魅力を追加していく必要があると感じていました。6月
15日に飯綱高原と戸隠高原で開催された「春季いいとき乗馬エン
デュランス馬術大会2013」は、その新たな魅力として「乗馬」
が加われば素晴らしいなあと予感できるイベントでした。

 エンデュランスとは、乗馬競技の一つで、長い距離を速さだけで
はなく、できるだけ馬に負担を掛けないで走るレースです。9月に
は、同じコースを利用して、長野市で初めて全日本エンデュランス
馬術大会が開催されます。今回は、その全日本大会のプレ大会とし
て、60キロメートルと80キロメートルの2種目の競技が開催さ
れました。長い距離を走る競技でしたが、事故もなく無事に終了し
たとのことで、選手の皆さんには、本番に備えてコースの感触をつ
かんでもらえたのではないかと思っています。また、飯綱高原乗馬
倶楽部や地元の皆さんも、運営について自信を深めたのではないで
しょうか。さらに、木曽義仲が300の兵馬を休めたと伝えられる
岩窟「木曽殿アブキ」がある鬼無里地区も含めたコースになれば、
物語も膨らみ、素晴らしい景色・コースと相まって、屈指の競技会
場になるかもしれません。
 ゆくゆくは、「飯綱高原といえば乗馬」あるいは「いいとき乗馬」
と言われるように、乗馬がグリーンシーズンの目玉になってほしい
と願っています。

 「文化・芸術活動の進展」については、すでにマスコミ報道でご
存じの方も多くいらっしゃると思いますが、このたび、新市民会館
の芸術監督に、あの久石譲さんをお招きすることが内定し、大きく
新たな一歩を踏み出そうとしています。
 本市では、「新市民会館」の建設を契機に、本市の文化芸術活動
を大きく花開かせようと「ながの文化ビッグバンプロジェクト構想」
を展開しています。これは、人を、文化を、都市を育むという「育
む」をコンセプトの中心に据え、「楽しむ」「創る」「つなぐ」を
テーマに、豊かな文化に支えられた「文化力あふれるまち 長野市」
の実現を目指していくものです。そして、このプロジェクトを推進
するため、新市民会館の芸術面の最高責任者として、事業の企画・
演出、総合監督などを担っていただく芸術監督に、久石さんをお招
きしたわけです。

 「日常の中に音楽が普通に入ってくることが一番いい」「ここ
(長野市)でしかできないことをきちんとやることが大事」。これ
は、記者会見での久石さんの言葉ですが、「なるほどなあ」と私は
感慨深く聞き入っていました。
 また、記者会見には、城東小学校合唱団36人の皆さんが駆け付
けてくれて、久石さん作曲の長野パラリンピックのテーマソング
「旅立ちの時」を歌って歓迎してくれました。堀内教育長の話だと、
なんでもこの日のために急きょ放課後の通常の練習に加えて準備を
してくださったとのことです。合唱団の皆さんは大変だったと思い
ますが、素晴らしい歌声が会場に響き渡り、久石さんもこのサプラ
イズの演出にとても感動され、子どもたちに歩み寄り、握手を交わ
されていました。

 芸術監督の選定に当たっては
1 音楽を中心として幅広いジャンルに対応できる人
2 あらゆる世代を対象として事業展開できる人
3 「長野らしさ」を演出できる人
4 強い発信力を有する人
 以上4つの視点から検討しました(理屈っぽい話で申し訳ありま
せん・・・しかし私は、久石さんの名前が出たときには、こんな理
屈はどうでもいいという気になってしまいました)。

 久石さんは中野市出身で、映画音楽をはじめとした幅広い音楽ジ
ャンルで作曲を手掛けられている一方、指揮者・ピアニストとして、
また自ら映画監督もされるなど多彩な分野でご活躍されています。
中でも、宮崎駿(はやお)監督のアニメ映画の音楽を数多く担当さ
れており、子どもから大人まで幅広い年代に支持されています。ま
た、長野パラリンピック冬季競技大会では、演出の総合プロデュー
サーとしてご尽力いただき、本市との縁も大変深い方です。長野市
全体を舞台として「久石ワールド」を思う存分展開していただきた
いと思っています。そして、「ながの文化ビッグバンプロジェクト」
を通じて、長野市ならではの芸術文化を育み、全国へ、そして世界
へ「長野」を発信していきたい。そんな、夢と期待を抱いています。
 なお、久石さんの芸術監督としての正式就任は、新市民会館の運
営を担う「(仮称)長野市文化芸術振興財団」が設立される本年
10月を予定しています。

 新市民会館の建設と久石さんの芸術監督就任は、長野市の文化芸
術振興の大きな転換点となります。これを契機として、市民の皆さ
んとともに「文化力あふれるまち 長野市」の実現を目指していき
たいと考えています。