現在長野市が、新市民会館・新市役所第一庁舎建設事業、長野駅
善光寺口駅前広場整備事業、さらには南長野運動公園総合球技場整
備事業などの10事業を「大規模プロジェクト事業」として推進し
ていることは、これまでも皆さんにお知らせしてきました。また、
こうしたハード部門の事業のほか、都市内分権の推進、中山間地域
の振興、公共交通機関の再生といったソフト部門についても取り組
みを進めています。ハード部門については、市議会や市民の皆さん
のご理解を得る中、おおむね順調に進んでいると実感しています。
それとともに、これからはソフト部門に、より力を入れていく必要
があり、ハード部門を最大限生かすためにもソフト部門を充実させ
ることが重要なポイントだと考えています。
こうした中、ソフト部門の「いいとき(飯綱・戸隠・鬼無里)構
想」と「文化・芸術活動の進展」に新たな動きが生まれました。
まずは、「いいとき構想」についてです。いいときエリアは、冬
はスキー、夏はハイキングやキャンプとにぎわっていますが、そこ
に新たな魅力を追加していく必要があると感じていました。6月
15日に飯綱高原と戸隠高原で開催された「春季いいとき乗馬エン
デュランス馬術大会2013」は、その新たな魅力として「乗馬」
が加われば素晴らしいなあと予感できるイベントでした。
エンデュランスとは、乗馬競技の一つで、長い距離を速さだけで
はなく、できるだけ馬に負担を掛けないで走るレースです。9月に
は、同じコースを利用して、長野市で初めて全日本エンデュランス
馬術大会が開催されます。今回は、その全日本大会のプレ大会とし
て、60キロメートルと80キロメートルの2種目の競技が開催さ
れました。長い距離を走る競技でしたが、事故もなく無事に終了し
たとのことで、選手の皆さんには、本番に備えてコースの感触をつ
かんでもらえたのではないかと思っています。また、飯綱高原乗馬
倶楽部や地元の皆さんも、運営について自信を深めたのではないで
しょうか。さらに、木曽義仲が300の兵馬を休めたと伝えられる
岩窟「木曽殿アブキ」がある鬼無里地区も含めたコースになれば、
物語も膨らみ、素晴らしい景色・コースと相まって、屈指の競技会
場になるかもしれません。
ゆくゆくは、「飯綱高原といえば乗馬」あるいは「いいとき乗馬」
と言われるように、乗馬がグリーンシーズンの目玉になってほしい
と願っています。
「文化・芸術活動の進展」については、すでにマスコミ報道でご
存じの方も多くいらっしゃると思いますが、このたび、新市民会館
の芸術監督に、あの久石譲さんをお招きすることが内定し、大きく
新たな一歩を踏み出そうとしています。
本市では、「新市民会館」の建設を契機に、本市の文化芸術活動
を大きく花開かせようと「ながの文化ビッグバンプロジェクト構想」
を展開しています。これは、人を、文化を、都市を育むという「育
む」をコンセプトの中心に据え、「楽しむ」「創る」「つなぐ」を
テーマに、豊かな文化に支えられた「文化力あふれるまち 長野市」
の実現を目指していくものです。そして、このプロジェクトを推進
するため、新市民会館の芸術面の最高責任者として、事業の企画・
演出、総合監督などを担っていただく芸術監督に、久石さんをお招
きしたわけです。
「日常の中に音楽が普通に入ってくることが一番いい」「ここ
(長野市)でしかできないことをきちんとやることが大事」。これ
は、記者会見での久石さんの言葉ですが、「なるほどなあ」と私は
感慨深く聞き入っていました。
また、記者会見には、城東小学校合唱団36人の皆さんが駆け付
けてくれて、久石さん作曲の長野パラリンピックのテーマソング
「旅立ちの時」を歌って歓迎してくれました。堀内教育長の話だと、
なんでもこの日のために急きょ放課後の通常の練習に加えて準備を
してくださったとのことです。合唱団の皆さんは大変だったと思い
ますが、素晴らしい歌声が会場に響き渡り、久石さんもこのサプラ
イズの演出にとても感動され、子どもたちに歩み寄り、握手を交わ
されていました。
芸術監督の選定に当たっては
1 音楽を中心として幅広いジャンルに対応できる人
2 あらゆる世代を対象として事業展開できる人
3 「長野らしさ」を演出できる人
4 強い発信力を有する人
以上4つの視点から検討しました(理屈っぽい話で申し訳ありま
せん・・・しかし私は、久石さんの名前が出たときには、こんな理
屈はどうでもいいという気になってしまいました)。
久石さんは中野市出身で、映画音楽をはじめとした幅広い音楽ジ
ャンルで作曲を手掛けられている一方、指揮者・ピアニストとして、
また自ら映画監督もされるなど多彩な分野でご活躍されています。
中でも、宮崎駿(はやお)監督のアニメ映画の音楽を数多く担当さ
れており、子どもから大人まで幅広い年代に支持されています。ま
た、長野パラリンピック冬季競技大会では、演出の総合プロデュー
サーとしてご尽力いただき、本市との縁も大変深い方です。長野市
全体を舞台として「久石ワールド」を思う存分展開していただきた
いと思っています。そして、「ながの文化ビッグバンプロジェクト」
を通じて、長野市ならではの芸術文化を育み、全国へ、そして世界
へ「長野」を発信していきたい。そんな、夢と期待を抱いています。
なお、久石さんの芸術監督としての正式就任は、新市民会館の運
営を担う「(仮称)長野市文化芸術振興財団」が設立される本年
10月を予定しています。
新市民会館の建設と久石さんの芸術監督就任は、長野市の文化芸
術振興の大きな転換点となります。これを契機として、市民の皆さ
んとともに「文化力あふれるまち 長野市」の実現を目指していき
たいと考えています。