2013年7月18日木曜日

道路と公共交通


 ここしばらく、長野市のソフト部門の事業についてかじとり通信
でお話ししてきました。今回は少し変わって、公共事業のうちでも
一番遅れていると思われる「道路」について考えてみましょう。

 道路をはじめ、インフラと言われるものはいろいろあります。イ
ンフラは、私たちの生活に無くてはならない資源といってもよいで
しょう。電気・ガス・水道は、今の生活を豊かなものにしてくれて
います。これらは、公共団体・機関あるいは民間の大企業が、戦前
・戦後を通じて収益事業としてのモデルを確立し、頑張って整備を
進めてきましたので、100パーセント完璧ではないのでしょうが、
豊かな社会のベースはできていると多くの国民は感じていると思い
ます。

 そこで、電気・ガス・水道以外のインフラで、多くの人が必要だ
なあ、あるいは改良したいなあ、と感じているものは何でしょうか
・・・「道路」、そしてそこに関係する「公共交通」と言ってよい
と思います。

 まずは、道路についてです。道路には、国道、県道、市道・・・
そのほかに、道路法が適用されない私道もあることは、皆さんご存
じのとおりです。今は舗装道路が当たり前ですが、昔はひどい状態
で、国が豊かになるにつれて、少しずつ良くなってきました。例え
ば、昔、バスガイドさんが、道路を「洗濯板」なんて表現していた
ことをご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 市内で考えたとき、これから先、早く整備したいなあと考える道
路は、次のとおりです。
(1)国道406号の西長野地区の道路整備(改良)
  長野県自治会館付近から茂菅大橋までの道路を早く整備して、
 戸隠・鬼無里方面に向かう道を安全で快適な道にしたい。
(2)都市計画道路「川中島幹線」
  川中島町四ツ屋地区から篠ノ井布施高田地区までの間に計画さ
 れている道路で、既に国道19号南バイパスの川中島町上氷鉋か
 ら今井ニュータウンまでの約1.7キロメートルが供用されてい
 ます。この度、篠ノ井高等学校の東側から南へ約600メートル
 の区間について整備を計画しています。国道18号に並行するこ
 の道路を整備することは、国道18号の渋滞解消にも有効でしょ
 う。
(3)相生橋の架け替えと取り付け道路の整備
  山王小学校西側の裾花川に架かる相生橋は、私の子どものころ
 から全然変わってない橋です。すなわち、車の少ない時代の橋で、
 建設後78年が経過し劣化が進んでいるということで、現在は、
 安全な通行のために5トンの重量制限をしています。
(4)広域ごみ焼却施設の建設に合意いただいた大豆島地区の道路
 網
  大豆島地区の基幹道路となる構想路線の早期建設、大豆島小学
 校と松岡地区を結ぶ市道への歩道設置など、まちづくりにつなが
 る道路網を整備していきたいと考えています。
(5)東外環状線「国道18号長野東バイパス」
  つい先日、エムウェーブ付近から柳原地区を結ぶ東外環状線建
 設促進期成同盟会総会が行われ、多くの来賓の皆様にもご出席い
 ただきました。ここ数年、十分な国の予算がなかなか付きません
 でしたが、昨年度補正額7億円、本年度当初予算額7億円と、合
 計14億円の予算が付きました。その前は年間4億円程度だった
 ものが、一挙に数年前の状況に戻り、整備実施のめどが付いてき
 ました(アベノミクスの政策である15カ月予算の影響が大変大
 きいのです)。
(6)県営農道「上水内北部地区豊野幹線」(通称:広域農道北信
 五岳道路)
  この道路は、長野市の立ヶ花橋から信濃町と長野市吉の長野荒
 瀬原線を結ぶ広域農道です。田中知事の時代、農道なんていらな
 いということで予算が大幅に削減されるなど冷遇され、事業の存
 続が心配されていました。
  現在、平成28年度全線開通の予定で工事を進めていますが、
 開通すると、長野市の北の玄関口として、中野インターチェンジ
 から善光寺をはじめ、飯綱、戸隠などを結ぶ幹線道路となります。
(7)都市計画道路「北部幹線」
  上松地区から穂保地区の国道18号まで、延長約6.1キロメ
 ートルに計画されている道路です。現在湯谷小学校付近からJR
 信越線までの約3.1キロメートルが供用されていて、長野工業
 高等専門学校南側の、JR信越線前で行き止まりになっています。
 さらに東に延長して、古里小学校南までの区間が平成29年度に
 完了する予定です。

 そして、「道路」と切り離すことができない関係にあるのが「公
共交通」で、私は常々「公共交通は、まちのインフラだ」と主張し、
「公共交通の再生」にも積極的に取り組んできました。自家用車の
普及に伴い、存在感が少し薄れているのでしょうが、お年寄りや障
害者、車を運転されない人にとっては、ものすごく重要なインフラ
です。しかし、これまで経験したことのない人口減少時代に突入し、
乗車人員増が見込めず、なかなか合理的なビジネスモデル(適当な
対価があって経営が成り立つことを指しています)ができない悩み
があります。

 ただ、道路・公共交通といっても、高速道路や新幹線といった広
域的で大掛かりなものから市道や市内乗り合いバスなどの規模の小
さなものまで、あまりにも多種多様な手段があります。どこまで地
方ができるのか、完璧なビジネスモデルができなかったと言えるの
でしょう。有料道路や専用道路ができたり・・・乗り物もいろいろ
な発明や改良などがされましたし、市民からの要望も、鉄道、バス
に関するものから、自転車や新交通システムについてなどさまざま
です。また、高速移動が重要という人もいれば、のんびり移動する
方がいいなあという人もいらっしゃいます。

 道路は安全・安心のまちづくりには欠かせないものであることは
当然です。交通安全についても、道路の道幅、路面の状態、山の方
へ行けば交通の支障になる木を切ってほしいなどという要望も頂き
ますし、冬の除雪もあります。災害があった場合、倒木や建物倒壊
などで道をふさいでしまうことも心配されます。避難路や救援物資
の輸送路の安全確保なども考えておかなくてはならないことです。

 さらに、視点を変えてみますと、電気・ガス・水道の3大インフ
ラは、水道を除いて民間事業者が主体で、効率の良い整備や供給が
ンフラの全体を民間事業者が主体になって整備するという発想があ
ってもよいのではないかと考えています。民間事業者が主体になっ
たほうが、はるかに効率が良く整備できるのでは・・・。行政と民
間の役割分担は、時代とともに変化していくものだと思っています。

 もう一つの大インフラは「通信」でしょう。「通信」の正体が、
私の中ではいまひとつはっきり定まっていないのですが、インター
ネットという怪物の出現により急速に発展しているこの分野は、今
後5大インフラを上回る大インフラに育つでしょう。ゆくゆくは、
インターネット世界と非インターネット世界に大別される世界が訪
れるのではないか・・・。そんな予感がしています。