昨年12月、長野市・豊野町・大岡村・戸隠村及び鬼無里村は、
それぞれの市町村議会の議決を経て、法定合併協議会を設置しまし
た。
ここに至るまでの1年間、2つの任意合併協議会を立ち上げ、合
併する場合の条件整備(事務事業の調整、新市建設計画の策定等)
をしてきましたが、基本的な合意ができましたので、いよいよ地方
自治法と合併特例法に基づく法定合併協議会に舞台を移して、本格
的な合併協議を行うことになったものです。
任意合併協議会の運営については、事務局は各市町村から選ばれ
た職員が集まって、協議会に諮る原案を調整しました。協議会のメ
ンバーには議員さん、各種民間団体の代表の方、行政の理事者、外
郭団体の代表、そして附属機関の新市建設委員会には、公募の委員
さんもお願いして検討をしてきました。会議内容を全て公開したこ
とはもちろんですが、住民の皆さんの認識や理解を深めるために、
ホームページを開設したり、広報紙を全戸配布したり、あるいは地
域懇談会や市民会議の開催、11月には合併シンポジウムを開催す
る等、できる限りの努力をしてまいりました。
当然のことながら、市町村合併に疑問をもっておられる方々から
反対意見が出されましたし、賛成者の中にも、長野市は政令指定都
市を目指し、もっと積極的に周辺自治体に呼びかけるべきである、
といったご意見もいただきました。
もっと積極的に、というご意見に対しては、
1)今回の合併は、それぞれの自治体があくまで自主的に判断す
べきこと
2)長野市との合併は、自治体の規模が違いすぎるが故に、原則
的には新設合併は無理で、編入合併にならざるを得ないこと。
また、当時18市町村が長野広域連合をつくっていろいろな
広域行政に取り組んでいる状況の中で、長野市の圧力と思わ
れる行動は慎むべきであったこと
3)私が市長就任当時、長野広域連合の中では、当時の更埴市、
戸倉町、上山田町が数年前から合併の話し合いが進んでおり
(現在千曲市として発足)、長野広域連合全体を範囲とした
合併を提唱することは、すでに準備が進んでいる自治体合併
の邪魔をすることになること
4)それぞれの自治体の判断で、長野市と合併することが良いと
判断され、申し入れをいただいた場合は、真摯に検討するこ
と
この4つが長野市の基本的なスタンスでした。
反対意見については、それぞれの自治体で対処しましたが、長野
市の場合は、ほとんどなかったと認識しております。任意合併協議
会終了後、住民投票を行ったり、あるいは住民意向を調査するため
のアンケート調査を行った町村もありました。そして、それぞれ合
併賛成が多数という結果を得て、法定協議会への移行を議決したわ
けです。
長野市内では、確かに2,500項目以上の事務事業の調整内容
を市民の皆さん一人ひとりに全て理解していただくことは難しいと
は感じていましたが、過去の市議会の議論、市民アンケート、市民
会議・シンポジウム等に出された意見を参考にしながら、市民にと
ってはそれほど大きな変化はないと判断し、12月の市議会で全会
派一致の議決を得て、法定協議会への移行を決めたものです。現時
点までは順調に進んでいる、と考えています。
ただ、敢えて申し上げておきますが、合併の議論はまだ「合併決
定」ではありません。結婚の過程に例えれば、恋愛期間を過ぎて結
納を結んだ、そんな状況でしょう。破談になる可能性はありますし、
現に法定合併協議会を設置した後、協議の枠組みから離脱した市町
村の例はいくつも報道されています。合併調印が済んで、それぞれ
の議会が議決するまでは分からない、努力してまいりましょうとい
う事です。
以上、法定合併協議会に至るまでの経過について述べさせていた
だきました。来週は、合併論議の中で併行して考えるべき課題であ
る「都市内分権」という考え方について、お話しさせていただきた
いと思います。