2010年9月30日木曜日

暑かった9月、終わりました


 9月は暑かったですねえ・・・“残暑厳しき折”というのが枕こ
とばなのでしょうが、残暑というより真夏みたいな感じでした。と
ころが、下旬になって急に涼しくなり、時には肌寒くすら感じる日
が続いています。おかしな気候ですよね。

 6月から始まった市役所の夏の軽装、いわゆるクールビズですが、
4カ月を経過して今日で終了です。この期間、私は、“このスタイ
ルが制服”というつもりで徹底的にクールビズを貫き通してきまし
た。その点、失礼があったかもしれません。お許しください。
 明日からは、ネクタイに背広。従来のスタイルに戻るのは、まだ
まだ苦痛ですが、仕方ないですね。

 環境問題は、現在、わが国では景気回復と並んで最大のテーマで
す。クールビズの取り組みは小さなことかもしれませんが、多少の
暑さは我慢して、空調を調整して室内温度をあまり下げないように
する・・・本当は、ウォームビズの方が温室効果ガス削減には効果
があるのだそうですが、当然、クールビズだって効果があります。

 5年前、平成17年度に長野市内で排出された温室効果ガスは、
234万7,532トンだそうです。昨年末にまとめた「長野市地
球温暖化対策地域推進計画-低炭素社会アクションプラン-」では、
市内の温室効果ガス排出量を、これから10年後の平成32年度ま
でに平成17年度の排出量に比べて15%以上、40年後の平成
62年度までに同じく60%以上削減することを目標にしています。
 つまり、あと10年で市内の温室効果ガスの排出量を約35万ト
ン以上減らして199万5千トン以下に、40年後には約140万
トン以上減らして94万トン以下にするということです。

 何か雲をつかむような話で実感がわいてきませんが、例えばご家
庭で4キロワットの太陽光発電システムを設置すると、平均的な家
庭の全電力量を賄うことができ、温室効果ガスを約2トン減らすこ
とができるそうです。目標値どおり、温室効果ガスを35万トン削
減するためには、単純計算で17万5千軒のご家庭に太陽光発電シ
ステムを設置していただく必要があります。ただ、この17万5千
軒という数は、市内全世帯にシステムを設置していただいてもまだ
足りない、そういう数字です。

 「地域推進計画」では、太陽光発電を一戸建て住宅の15%に設
置して2万8千トンを削減、木質ペレット(注)を燃料にするペレ
ットストーブを一戸建て住宅の10%に設置して1万7千トン、次
世代省エネ基準の住宅が20%普及して1万7千トン、そのほか省
エネ家電・高効率給湯器、電気自動車やハイブリッド自動車、自家
用車通勤の半減、自転車通勤の普及・・・これらを積み上げて、目
標値を達成したいと考えていますが、簡単ではありません。

 この目標の達成に向け、長野市では、さまざまな取り組みを始め
ています。ごく一部だけですが、ご紹介します。

 9月3日、7月から公募していた「長野市地球温暖化防止活動推
進センター」事業を行う法人を、社団法人長野県環境保全協会に指
定しました。このセンターは、「地域推進計画」にまとめた66施
策を効果的に推進するために開設するものです。10月上旬から
TOiGO(トイーゴ)の向かい側、新田町交差点の角にある長野
県環境保全協会が「長野市地球温暖化防止活動推進センター」とし
ての活動を開始することになります。

 センターでは、地球温暖化対策の重要性の啓発や広報活動、市民
の皆さんの温暖化対策の実態調査、温暖化対策の相談窓口開設など
の活動を行うことになっています。
 今回、センターに指定させていただいた長野県環境保全協会は、
以前からさまざまな環境保全活動を行っている実績がありますから、
市民・事業者の温暖化対策に対する行動を、効果的、積極的に促し
ていただけるものと期待しているところです。

 「ながの環境パートナーシップ会議」の皆さんも頑張っています。
この組織は、市民、事業者、行政が連携して「長野市環境基本計画」
を推進していくために、平成13年に設立されました。
 さまざまな環境問題が私たちの日常生活や事業活動に起因してい
る以上、持続的発展が可能な環境に優しい社会にしていくためには、
従来の意識やライフスタイル、社会システムを変えていく必要があ
ります。つまり、環境問題を解決するためには、市民、事業者、行
政の三者が連携共同して活動していくことが必要だということです。
ながの環境パートナーシップ会議は、そのための組織として、三者
が参加して運営されています。

 この「会議」では、環境基本計画の具体的な実行プログラムとし
て策定した「アジェンダ21ながの」に基づいて活動しており、水
環境保全プロジェクト、生ごみの削減・再利用システムの構築プロ
ジェクト、太陽エネルギー普及促進プロジェクト、市民の森づくり
プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。

 また、この「会議」からは、建て替える市役所第一庁舎に「なが
の環境総合センター」を設置してはどうか、といったご提案も頂い
たところです。

 「地域推進計画」では、二酸化炭素の排出の少ない「エコカー」
の普及も促進することにしています。その一環として、9月1日、
市役所でも「電気自動車」を導入しました。電気自動車は、二酸化
炭素を一切排出しないため、今後の地球温暖化対策の有効な手段と
して大いに期待しています。

 家庭に起因する温室効果ガスのうち、自動車からの排出量は23
%を占めているそうです。電気自動車への転換は、地球温暖化対策
の大きな力となることは言うまでもありません。
 ただ、充電スタンドの設置や価格などの課題もあり、電気自動車
が広く普及するには、まだまだ時間がかかると考えられます。今回
は、行政として先導的な役割を果たそうということで、導入したも
のです。

 導入した電気自動車は、長野市清掃センターへ配置しました。清
掃センターには、ごみの焼却熱を利用して発電する設備のほか、太
陽光発電システムも設置しています。この車は、これらで発電した
電力を利用して充電し、走行性能の検証を兼ねて不法投棄パトロー
ルなどに使用しているほか、市民向けの啓発活動にも活用する予定
です。この車が、長野市の地球温暖化対策のシンボルの一つとなる
ことを期待しています。

 なお、車体に描かれているシンボルマークは、公募作品98点の
中から選定したものです。このマークは、今後導入していく電気自
動車にも使用していくほか、啓発資料などにも積極的に活用してい
きたいと考えています。

 このほかにも、いろいろな地球温暖化対策を進めなければなりま
せんが、費用対効果から、現時点で比較的有効だと考えられるのは、
太陽光発電を利用することや、バイオマスエネルギーを使うペレッ
トストーブ・ペレットボイラーなどを使用することです。これらの
利用が増加すると、その分、電力や化石エネルギーの使用を減らす
ことができ、温室効果ガスの排出削減につながります。ぜひ、皆さ
んのご家庭でもご検討ください。

 これからも、地球温暖化対策地域推進計画を着実に推進し、市内
の温室効果ガス排出をできる限り抑えていきたいと考えています。


(注)木質ペレット・・・木材を粉砕し、圧力をかけて成型した燃
  料。

2010年9月23日木曜日

史跡松代城跡附新御殿跡(真田邸)が公開されました


 9月18日、文化庁の本中眞主任文化財調査官、真田家14代当
主の真田幸俊さんをはじめ、多くの方々にご臨席いただき、史跡松
代城跡附新御殿跡(まつしろじょうあと つけたり しんごてんあ
と)の新御殿跡(真田邸)の公開記念式典を開催しました。地元松
代の皆さんには、工事などでご迷惑をお掛けしたことをおわびしな
がら、ようやく待望の「真田邸」公開再開の日を迎えたことを報告
し、共に喜び合いました。

 真田邸は、江戸末期の元治元(1864)年に建てられました。
明治元年の4年前のことです。その後、146年という時間の経過
により著しく傷みが進行していたことから、平成14年度に整備基
本計画を策定。発掘調査を経て、文化庁のご指導を頂きながら、平
成15年度から保存整備事業を実施してきました。

 敷地内にある「役人詰所」の解体修理工事など、一部の工事がま
だ残っているため、整備事業自体は来年度末まで続きますが、この
たび、御殿(主屋)部分と庭園の大部分の修理が完了したことから、
一般公開できるようになったものです。

 真田邸は、幕末期のいわゆる「御殿建築」で、敷地内には、主屋
や庭園、また表門や土蔵といった付属建物が一体のものとして残っ
ています。御殿建築自体が全国に数少ない上に、主屋だけでなく、
庭園や付属する建物などが全体として残っており、真田邸は、非常
に貴重な存在なのだそうです。昨今の歴史ブームが続く中、県内外
からも多くの方にお越しいただけるものと思っています。

 また、今回の事業では、真田邸を各種の講座会場などとしてもご
利用いただけるように、主屋の中と土蔵の一部に貸し出しスペース
を設けました。単に「見る」ための文化財でなく、「活用する」た
めの文化財として、地元の皆さんをはじめ、多くの皆さんに有効に
活用していただきながら、より一層のにぎわいを創出していただけ
れば幸いです。

 より多くの人に訪れていただける、そんな魅力的なまち「信州松
代」を、これからも皆さんとともに作り上げ、全国に向けて発信し
ていきたいと思っています。
 ついては、主要な「観光拠点」の一つとして、大勢の来訪が予想
されるこの真田邸を、皆さんのお力を頂きながら、ますます盛り立
てていきたいと考えています。真田邸を含めた松代の多くの文化財
が、今後も一層、地域の皆さんをはじめとする長野市民に親しまれ、
松代のまちが一層発展するよう頑張りましょう。

 そういえば、私の市長就任からしばらくして松代を訪問したとき、
“「長野市松代」というより「信州松代」の方が、なんとなくふさ
わしい感じがするのですが、いかがですか・・・”と言う意味のあ
いさつをしたことを思い出しました。
 長野市は多様性に富んだまちです。善光寺、松代、飯綱高原、戸
隠、鬼無里・・・合併した地区も含めて、さまざまな魅力を持って
います。「長野市」という名称は全体的な冠で、それぞれの地区が
その特徴を生かして情報を発信していくことが良いのではないか・
・・私はそんなことを感じています。松代の皆さんもそのことに賛
同して「信州松代」をロゴマークにしておられると思っているので
すが・・・。

 また、皆さんご存じのとおり、今年は「2010松代イヤー」で
あり、松代のまちの中では年間を通していろいろな企画が用意され
ています。数が多く、とても全部は紹介しきれませんが、これまで
に開催されたイベントを少しご紹介しましょう。
 詳しくは、松代イヤー実行委員会のホームページなどをご覧くだ
さい。

4月 東条あんずまつり、松代城春まつり、松代城本丸桜ライトア
   ップ、信州松代ウオーキング、浪漫人力車体験、西条のしだ
   れ桜めぐり、古城跡めぐり奇妙山コーストレッキング、童謡
   の歌碑巡り

5月 祝(ほうり)神社御柱祭、押し花体験教室、皆神山ピラミッ
   ド祭、松代藩文武学校旗争奪中学校選抜剣道大会・同学校杯
   争奪小学生選抜剣道大会、松代武家屋敷お庭拝見

6月 旧樋口家一般開放、松代藩文武学校弓術大会

7月 あんずの収穫・加工体験、真夏の太鼓競演

8月 長いもDE(で)おやつレシピコンテスト、お姫様の生活を
   体験、わくわく体験倶楽部

 以上が、春・夏のイベントの一部ですが、9月になり、すでに秋
バージョンに入っています。ある意味、今年の松代イヤーのハイラ
イトの季節を迎えたと思っています。
 秋には、松代藩真田十万石まつり(10月9日、10日)をはじ
めとして、松代の至る所で多くのイベントが企画されていますので、
皆さんにも楽しんでいただきたいものです。私も、馬に乗った姿を
皆さんにご披露できるかどうか・・・頑張ります。

 このような記念の年に、真田邸の新しい姿を皆さんにご覧いただ
けるのは、本当に喜ばしいことです。
 文武学校、松代城跡、旧横田家住宅、旧白井家表門、山寺常山邸、
旧樋口家住宅、旧前島家住宅、そして真田邸・・・これまで松代で
多くの保存整備事業を行ってきました。しかし、そのほかにも整備
しなくてはならない、保存しなくてはならない文化財は、まだ山ほ
どあります(例えば、象山ゆかりの旧松代藩鐘楼など)。そのほか、
松代に数多くあるお寺や町屋のことまで考えれば、あと100年は
かかりそうです。それまで私たちは生きているわけはありませんが
・・・今の流れを引き継いで行っていただければうれしいですね。

 真田邸の保存整備事業が完了すると、長野市が松代の歴史ある古
い町並みを生かし、文化と歴史の香りが高いまちにしようと努力し
てきたことが一区切り。今、花開かん、としていると感じています。
 まだまだこれからも、文化財の修復は続くと思いますが・・・こ
れからは、少しお金を回収させていただきたい。すなわち、さらに
多くの人に来ていただいて、入場料を払っていただければありがた
い、そして、もっと松代のまちで食べたり飲んだり、買い物もして
いただき、お金を落としていただけたらありがたいと感じています。
 そうなれば、松代のまちの整備について、もう少し予算が付けら
れるようになるはずです。

松代イヤー公式ページ: http://www.matsushiro-year.jp/

2010年9月16日木曜日

信州新町地区での移動市長室


 8月23日、みどりの移動市長室として、信州新町を中心に活動
している特定非営利活動法人「ふるさと」の皆さんと懇談させてい
ただきました。
 「ふるさと」は、指定管理者として長野市信州新町水防会館の管
理を行っています。そして、この会館をベースにして、ユニークな
事業に取り組んでいるということで、今回、訪問させていただくこ
とになりました。

 「ふるさと」の正会員は、13人。衣料品店を経営しておられる
理事長の黒岩さんをはじめ、全員、信州新町の商店主の方々です。
 以下は、皆さんからお聴きした話をまとめたものです。

主な活動内容(予定を含む)
(1)地域に根付いた「手づくりの冠婚葬祭」
(2)信州新町水防会館の指定管理
(3)お年寄りの生活支援(宅配事業)

活動の詳細
(1)手づくりの冠婚葬祭
 かつては葬儀といえば、地元のお寺や自宅で行われていました。
しかし、高齢化や生活様式の変化、式を取り仕切る年長者がいなく
なってしまったことなどから、信州新町地区でも長野市街地の葬祭
センターなどで行うことが多くなってきていたそうです。
 地元で葬儀が行われていたころには、仕出しや引き物、生花など
の需要がありましたが、地区外での葬儀となれば、それらも地区外
へ流出してしまいます。結果的には、信州新町地区の商店街の衰退
や、コミュニティーの弱体化につながっていったようです。

 このような状況の中、信州新町の商店街の店主(若だんな)が立
ち上がり、「ふるさと」を設立。地域に伝わる文化やしきたりを大
切にした「手づくりの葬儀」を請け負うことにより、地域経済やコ
ミュニティーの活性化を目指すことになりました。

 商店主の皆さんが葬儀を取り仕切るわけですが、メンバー13人
のうち9人が「葬祭ディレクター2級(厚生労働省認定)」の資格
を取得しているそうで、専門的なノウハウに基づいた運営をしてい
ます。
 地域の人が亡くなり、「ふるさと」に葬儀の依頼が入ると、メン
バーは各自の仕事を中断して、その日から通夜、葬儀の準備に着手。
水防会館で葬儀を行う場合、1階の会議室を式場、2階の大会議室
をお斎(とき)の席にするそうです。祭壇の組み立てなどの会場準
備に始まり、会葬御礼の印刷、料理の手配に至るまで、各自がてき
ぱきと役割を果たし、あっという間に準備が整ってしまうそうです。

 年間の葬儀請負件数は50~60件。お斎の料理から香典返しの
商品に至るまで、品物はすべて地元商店街から仕入れています。
 ちなみに、平成21年度の売上げは、なんと1億1,300万円
余り、地元商店街からの仕入れは約8,000万円。これだけの消
費を地元につなぎとめ、あるいは取り戻し、地元経済の活性化に結
び付けているのです。
 また、「顔見知り」の関係を生かして、生前、故人が好きだった
料理をお斎に出したり、地域のしきたりを継承したりすることも心
掛けているそうです。
 地域の人にとっても、葬祭費用が安い上、自宅に近い場所で行え
るというメリットがあります。「ふるさと」の皆さんが活動するよ
うになってから、葬儀の参列者も増えたそうです。

 このほか「ふるさと」は、結婚式を請け負ったことも4回ありま
す。葬儀同様、手づくりで親しみやすいと好評だったようです。

(2)信州新町水防会館の指定管理
 信州新町水防会館は、平成6年に信州新町が設置した施設で、会
議室などを有料で貸し出しています。長野市との合併前、「ふるさ
と」が信州新町から管理者として指定を受け、この施設の管理を行
うことになりました。本年1月の合併後も長野市がこれを引き継い
でいますので、現在も「ふるさと」がこの施設を管理しています。
 管理期間・・・平成21年4月1日~平成24年3月31日(3
カ年)

(3)お年寄りの生活支援(宅配事業)
 お年寄りの二人世帯、独り暮らし世帯を主な対象に、弁当や生活
物品を地元商店街で購入して宅配する事業で、活動開始に向けて準
備を進めているそうです。配達の際に言葉を交わすことで、安否や
健康状態の確認も併せて行い、離れて暮らす家族に、近況報告する
ことまで計画しています。
 また、配達員として、地域の元気なお年寄りや主婦の皆さんにお
願いすることも考えており、雇用創出効果もありそうです。

 この活動を始めるに当たっては、ながのまちづくり活動支援事業
補助金49万7,000円を見事に獲得。この補助金を活用して、
まずは、10軒を目標にスタートし、年度末までに30軒の受注を
目指しているそうです。今後は、補助金に頼らずに実施できるよう
にし、活動範囲も大岡、信更、七二会など、周辺地区へも広げてい
きたいと張り切っています。

 以上が、現地でお聴きした活動内容の概略ですが、若干、私の感
想を申し上げさせていただきます。

(1)信州新町の商店街は、とても頑張っていると感じました。理
  事長さんに言わせると、“店が無くなったら街が終わってしま
  う”、だから頑張っているのだそうです。
(2)このような事業ができるのは、長野市街地からの距離感が適
  当なのだろうと思います。そして、信州新町地区は、自立心が
  旺盛だと感じました。長野市の“西の都”に位置付けられてい
  くのではないでしょうか。
(3)「ふるさと」の構成員の皆さん全員が熱心で、全員が商店主
  と葬儀社という二枚看板をこなし、お客の信頼を得ているよう
  です。まさに“顔の見える”商売に徹しています。1億円を超
  える売り上げを達成しているのは、メンバーの団結力、そして、
  リーダーの力なのでしょう。

 昨年度、無作為抽出した市民5,000人を対象に実施した市の
「まちづくりアンケート」で、近所付き合いの程度について調査し
たところ、「何か困ったときに助け合う親しい人がいる」と答えた
人の割合は21.5%でした。平成15年度に行った同調査の回答
結果は30.0%であり、8.5ポイントの減となっています。
 同様に、独り暮らしや寝たきりの高齢者世帯への支援について、
「できる範囲で援助したい」と答えた人の割合は、平成15年度調
査の43.5%から今回35.2%と、8.3ポイント減少してい
ます。

 「コミュニティーの希薄化」が指摘されている昨今ですが、この
結果は、そのことを裏付けているようです。そのような状況の中で、
「ふるさと」の皆さんが取り組んでいる「手づくりの冠婚葬祭」や、
準備中の「お年寄りの生活支援」事業は、大変意義深いものと感じ
ており、心から敬意を表します。

 本年4月、各地区の住民自治協議会による活動が本格的に稼動し
ました。
 これにより、長野市の住民自治は新たなステージに入ったと考え
ており、各地区の特色を生かした地域づくりが、今後さらに進むも
のと期待しているところです。今後も「ふるさと」の皆さんが「も
うける」「新しい事業を興す」という視点を持ち、信州新町地区住
民自治協議会とともに、地域経済の活性化とコミュニティーの再生
に向けて活動を継続していっていただきたいと思っています。
 また、このような視点を持つ活動が他の地区で増えてくることも
期待しています。

2010年9月9日木曜日

長野市民会館の建設地について


 長野市民会館は、昭和36年に開館してから約50年が経過しま
した。そのため、老朽化に加え、施設の造りや設備面などで、観客・
主催者の双方にとって使いにくいものになっています。

 市では、平成19年から長野市民会館の在り方について検討を始
め、「長野市役所第一庁舎及び長野市民会館の在り方懇話会」、
「長野市民会館建設検討委員会」を組織して、有識者や公募委員の
皆さんにも検討をお願いしてきました。
 そして、本年2月に策定した市民会館基本構想では、質の高い文
化芸術拠点として建て替えることを決定したところです。この基本
構想では、新しい市民会館の基本理念を「人と環境にやさしい文化
芸術創造のステージ」とし、長野市の文化芸術の核(コア)となる
拠点施設にしたいと考えています。

 基本理念を実現するためのコンセプトとして掲げているのは、以
下の5つです。
(1)「文化芸術との出会いの場」として、質の高い音楽や演劇に
  対応でき、また、市民が気軽に芸術と触れ合える場所
(2)「子どもたちの文化芸術の育成の場」として、次世代を担う
  子どもたちが一流の芸術に触れ、また、自分たちもそこで演技・
  発表できる場所
(3)「長野を象徴する文化芸術拠点」として、長野の市民文化や
  まちの魅力を創造・発信していく場所
(4)「市民が集う、にぎわい交流拠点」として、練習室やギャラ
  リーなどを備え、常に市民が集まる場所、活用できる場所
(5)「環境建築拠点」として、温室効果ガスの排出やヒートアイ
  ランド化を抑制するなど、環境にやさしい場所

 これらの考え方を実現できるよう、芸術性が高い催事が開催可能
なホールや、催しがない日でも人々が集える練習室・リハーサル室・
ギャラリーなどを設置していきたいと考えています。

 また、6月からは、公募でお集まりいただいた「長野市民会館市
民ワークショップ」の皆さんに、長野市にはどんな市民会館が必要
なのか、ということで、市民会館の機能や役割・運営など、さまざ
まな視点で検討を進めていただいています。

 ただ、ここにきて当初の構想を一部変更することが必要になりま
した。7月8日のこのメルマガでもご報告させていただきましたが、
基本構想で予定していた権堂B-1地区の西街区に市民会館を建設
することが困難になったのです。
 このことを受け、権堂B-1地区市街地再開発事業準備組合から
は、長野大通りを挟んだ向かい側に位置する東街区で再開発事業を
実施したい、との提案を頂きました。市としても、東街区に建設す
ることが可能かどうか検証を重ねた結果、基本構想に示す文化芸術
の拠点にふさわしい施設を建設することが十分可能であるとの結論
を得るに至り、このたび、「建設地を東街区」とする方針案を固め、
お示しさせていただいたところです。
 なお、地権者の合意による再開発事業組合が設立できなかった場
合には、現在の市民会館がある場所を建設地とする方針に変わりは
ありません。

する中で、長野駅前、権堂B-1地区再開発事業予定地、現在地
(緑町)の3カ所に絞り、最終的に権堂B-1地区に建設すること
が一番良いということで、その方針を決めたものです。

 権堂B-1地区がある権堂町は、善光寺のおひざ元に位置してお
り、古くから人と人との交流によってはぐくまれてきました。この
ような歴史を踏まえると、新たな文化交流拠点としてこの地域の再
生を図ることは、中心市街地全体、長野市全体にとっても必要なこ
とと考えています。
 そして、第三地区の住民自治協議会会長さんおよび各区長さん、
長野商店会連合会など中心市街地の商店街の代表者の方々からも、
権堂B-1地区に建設される市民会館と連携・協力し、一丸となっ
て中心市街地活性化のためのまちづくりを進めていくとの意思表示
も頂いています。

 一方、権堂町は歓楽街の顔も持っており、文化施設の建設場所と
してはいかがなものかといったご意見を頂いていることも事実です。
しかし、権堂は古くから長野のまちの中心地であり、公共交通の便
も大変良いという側面も持ち合わせています。市民会館を含む再開
発を契機として、今後、住民の皆さんとともに、将来に向けてまち
づくりを真剣に考えていきたいと考えています。

 昭和30年代後半、東京オリンピック前後からモータリゼーショ
ンが進展し、郊外のロードサイドへの大型店の出店が増え始め、住
宅地もどんどん郊外に整備されるようになりました。その結果、中
心市街地はドーナツ化現象(注1)によって人口が減少し、商店も
減り、徐々に往時の力を失ってきてしまったのです。
 そうなった一番の理由には、中心市街地は地価が高くてコストが
掛かること、そして、モータリゼーションの進展に見合う駐車場ス
ペースが十分に取れないために新しい施設、業態が生まれなかった
ことがあると言えるでしょう。

 数年前、市内で、大型店の郊外出店計画が何件も申請されたこと
があります。
 これらの申請をどうするか、長野市としては随分迷いましたが、
国が農地をこれ以上減らさないようにという方針だったこと、長野
市としても基本的には、これ以上のスプロール現象(注2)は望ま
しくないと考えたことから、大型店は郊外ではなく、既存の市街地
へ出店してほしいという決断をしました(長野オリンピック開催の
ため、競技施設が郊外に造られたことで、農地が大幅に失われてい
たことも事実です)。
 これに対しては、地権者の皆さんを中心に随分しかられましたし、
経済界でも賛否両論があったようです。

 この決断により、すぐに市街地の開発が進めば良いのですが、急
に方向転換を図ることはなかなか難しいようです。
 そんな中でも市街地の再生は徐々に進展しています。時期は前後
しますが、もんぜんぷら座、TOiGO(トイーゴ)、長野駅前A
-3地区の再開発ビル「Nacs(ナックス)末広」の完成、そし
て市民会館建設・・・中心市街地の再生は、都市としての重要な顔
作りです。地価の下落などにより、コストを抑えることができる現
在は、中心市街地を再生する千載一遇のチャンスでもあるのです。

 権堂B-1地区の再開発についてですが、関係権利者の方々もお
おむね事業にご理解いただいていると聞いていますので、市民会館
を含む事業の実現に支障はないと考えています。
 私としては、本来、市民会館が持つ文化芸術を振興する機能に加
え、市民会館と商店街との相乗効果による市街地の活性化、善光寺
や長野駅前だけではない「まちの広がり」など、まちづくりの効果
にも期待しているところです。

 今回の建設地の方針案に関する詳細は、「広報ながの」9月1日
号、または市ホームページをご覧ください。市民会館の建設地は、
この方針案についてお寄せいただいた市民の皆さんからのご意見の
ほか、建設検討委員会や市議会のご意見をお聴きした上で、決定し
たいと考えています。

長野市民会館建設地の方針案:
http://www.city.nagano.nagano.jp/pcp_portal/contents?CONTENTS_ID=21274

(注1)ドーナツ化現象・・・都心部の人口が減って周辺部の人口
   が膨れ上がる現象。
(注2)スプロール現象・・・都市郊外に宅地が無秩序・無計画に
   広がってゆく現象。

2010年9月2日木曜日

8月に完成した素晴らしい施設の紹介


 8月7日、篠ノ井二ツ柳にある西部保育園の新園舎のしゅん工式
を行いました。
 旧園舎は、昭和46年度の建設で、建物が老朽化していたこと、
また地域の保育需要が増えて手狭になってきたことから改築を行っ
たものです。新園舎は、平成20年度に地盤調査・実施設計を実施、
平成21年度に建設工事を行い、今年の3月に完成しました。その
後、仮設園舎を建てていた園庭の整備工事を行い、7月末に完成し
たことから、この日のしゅん工式となったものです。

 新園舎は、敷地を有効に活用できる「コ」の字型とし、できる限
り自然光を取り入れるなど、子どもたちが安全で快適に、そして楽
しく過ごせる施設となるように配慮しました。
 また、保育室や遊戯室、廊下などに木材を多く使うことで、木の
ぬくもりが感じられる優しい空間に仕上げています。中でも遊戯室
は、木に囲まれたログハウスのような楽しい雰囲気です。
 そして、太陽光発電設備も設置しました。太陽光発電を取り入れ
ることで、温室効果ガスの削減を図るとともに、子どもたちの環境
学習にも活用できるようになっています。

 昨今の社会情勢は、少子高齢化の進行、人口減少時代への移行な
ど、かつてない厳しさを見せていますが、今後も、保育需要に応じ
た保育園の規模と配置の適正化を図るとともに、公立保育園の民営
化を推進し、民間活力を活用したさらなる保育サービスの向上と保
育の充実に努めていきたいと思っています。

 8月20日、長野駅前A-3地区第一種市街地再開発事業による
再開発ビル「Nacs(ナックス)末広」が完成して、しゅん工式
が行われました。
 このA-3地区を含む長野駅前A地区については、長野市で最初
の再開発事業として、昭和49年に都市計画決定をしていました。
それから数えても36年ですが、実際に計画が持ち上がったころか
らすれば、40年を優に越す長い年月が経過しています。

 都市計画決定後、社会経済状況も激変しましたし、関係権利者の
意向も揺れ動いたのでしょう。この長野駅前A地区の再開発事業は、
なかなか事業化に踏み出せませんでした。
 しかし、冬季オリンピックを迎えるために、市の玄関口にふさわ
しい整備をしなければということで、A地区全体を3つの地区に分
割、すなわちA-1、A-2、A-3に分け、それぞれで再開発組
合を組織して事業が進められてきました。

 平成9年には、A-2地区の商業・業務ビル「ウエストプラザ長
野」がオリンピックに辛うじて間に合い、続いて平成18年には、
A-1地区でマンションと商業施設の複合ビル「A-one City
(エーワンシティ)」が完成。そしてこのたび、ホテルと商業施設
からなるA-3地区の「Nacs末広」が完成したことにより、再
開発事業全体の完成を見ることができました。

 ここに至るまでの間、資金面や権利者間の調整など、さまざまな
困難を乗り越えて事業を進めてこられた関係者のご努力に対しては、
心から敬意を表しています。
 特に、「Nacs末広」を運営する株式会社末広町ビルディング
の水品社長さんのしゅん工式でのあいさつにもありましたが、私の
親友故青木恵太郎氏の努力には、本当に頭が下がる思いでした。ご
自分を無にして、ひたすら再開発事業の推進に全力を傾けられたこ
とを私は知っています。一昨年、完成を前にお亡くなりになってし
まったことが、本当に残念です。しゅん工式の会場で奥さんにお会
いしましたので、ビルの完成に対する心からの祝意とともに「残念」
ということを申し上げました。
 青木さんが経営しておられたのは、「末広化粧品店」というお店
です。「Nacs末広」と名付けたのは、“末広町”という町名も
ありますが、水品社長さん方が青木さんの功績を残したいと思って
くださったのではないか・・・私は勝手にそう信じています。

 完成した「Nacs末広」には、屋上緑化、太陽光発電、LED
照明などのエコビルにふさわしい設備や、多目的トイレ、授乳室が
設置されるなど、人と環境に優しい配慮がなされています。
 また、既存の「ウエストプラザ長野」との一体感と回遊性を高め
るとともに、将来的に駅との連絡性が向上することも視野に入れ、
歩行者用デッキとエレベーターも設置されました。このように、長
野駅前として必要な都市機能の向上を図っていただいたことに対し
ても、感謝申し上げるところです。

 この再開発事業は、中心市街地、特に善光寺表参道のにぎわいの
再生や長野駅前の環境整備にも重要な役割を果たすことから、長野
市としても国・県の補助を頂きながら支援をしてきました。併せて、
関連する公共施設として、歩道への融雪設備の設置、高速バス停留
所の移転整備も行っています。

 このたびの「Nacs末広」の完成により、長野駅前A地区のハ
ード面の整備は完了しましたが、これは新しいまちづくりのスター
トにすぎないと感じています。整備された建物が、長野市の玄関口
の顔として市民の皆さんに愛され、街のにぎわい創出につながるこ
とを心から祈っています。

 話はまた変わります。
 8月30日、都市計画道路栗田安茂里線の工事が完了し、めでた
く開通式を迎えました。これもひとえに、地権者をはじめとした地
域の関係団体や地元の皆さんのご支援のたまものと、まずもって厚
くお礼申し上げます。
 加えて、工事を安全に進めていただいた施工者の皆さん、この開
通式の準備をしていただいた開通式実行委員会や関係者の皆さんに
も感謝を申し上げなければいけません。

 栗田安茂里線は、文字通り、栗田地区と安茂里地区を結んでおり、
東(あずま)通りを起点に、長野駅東口線、国道117号などと交
差して国道19号に至る、全長3,130メートル、幅員12~2
2メートルの市街地南部を東西に横断する主要幹線道路です。
 この日、開通した区間は、東通りから芹田支所北側までの約37
0メートルで、平成9年度の事業着手以来、13年を費やして開通
の運びとなりました。

 この地域には、ビッグハットなどのコンベンション施設や、芹田
小学校、信州大学工学部などの教育施設が立地しています。この道
路は、これらの施設の間を結ぶ地域の幹線道路としても、その役割
は重要です。また、近い将来、長野駅東口周辺の都市計画道路が開
通することで、この地域の渋滞緩和が進むとともに、生活道路の交
通環境がさらに向上することでしょう。
 今後とも、都市機能を支える道路ネットワークの構築や身近な生
活道路の整備を推進し、安全で暮らしやすいまちづくりに取り組ん
でいきますので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。行政と
して一生懸命努力していきます。