9月は暑かったですねえ・・・“残暑厳しき折”というのが枕こ
とばなのでしょうが、残暑というより真夏みたいな感じでした。と
ころが、下旬になって急に涼しくなり、時には肌寒くすら感じる日
が続いています。おかしな気候ですよね。
6月から始まった市役所の夏の軽装、いわゆるクールビズですが、
4カ月を経過して今日で終了です。この期間、私は、“このスタイ
ルが制服”というつもりで徹底的にクールビズを貫き通してきまし
た。その点、失礼があったかもしれません。お許しください。
明日からは、ネクタイに背広。従来のスタイルに戻るのは、まだ
まだ苦痛ですが、仕方ないですね。
環境問題は、現在、わが国では景気回復と並んで最大のテーマで
す。クールビズの取り組みは小さなことかもしれませんが、多少の
暑さは我慢して、空調を調整して室内温度をあまり下げないように
する・・・本当は、ウォームビズの方が温室効果ガス削減には効果
があるのだそうですが、当然、クールビズだって効果があります。
5年前、平成17年度に長野市内で排出された温室効果ガスは、
234万7,532トンだそうです。昨年末にまとめた「長野市地
球温暖化対策地域推進計画-低炭素社会アクションプラン-」では、
市内の温室効果ガス排出量を、これから10年後の平成32年度ま
でに平成17年度の排出量に比べて15%以上、40年後の平成
62年度までに同じく60%以上削減することを目標にしています。
つまり、あと10年で市内の温室効果ガスの排出量を約35万ト
ン以上減らして199万5千トン以下に、40年後には約140万
トン以上減らして94万トン以下にするということです。
何か雲をつかむような話で実感がわいてきませんが、例えばご家
庭で4キロワットの太陽光発電システムを設置すると、平均的な家
庭の全電力量を賄うことができ、温室効果ガスを約2トン減らすこ
とができるそうです。目標値どおり、温室効果ガスを35万トン削
減するためには、単純計算で17万5千軒のご家庭に太陽光発電シ
ステムを設置していただく必要があります。ただ、この17万5千
軒という数は、市内全世帯にシステムを設置していただいてもまだ
足りない、そういう数字です。
「地域推進計画」では、太陽光発電を一戸建て住宅の15%に設
置して2万8千トンを削減、木質ペレット(注)を燃料にするペレ
ットストーブを一戸建て住宅の10%に設置して1万7千トン、次
世代省エネ基準の住宅が20%普及して1万7千トン、そのほか省
エネ家電・高効率給湯器、電気自動車やハイブリッド自動車、自家
用車通勤の半減、自転車通勤の普及・・・これらを積み上げて、目
標値を達成したいと考えていますが、簡単ではありません。
この目標の達成に向け、長野市では、さまざまな取り組みを始め
ています。ごく一部だけですが、ご紹介します。
9月3日、7月から公募していた「長野市地球温暖化防止活動推
進センター」事業を行う法人を、社団法人長野県環境保全協会に指
定しました。このセンターは、「地域推進計画」にまとめた66施
策を効果的に推進するために開設するものです。10月上旬から
TOiGO(トイーゴ)の向かい側、新田町交差点の角にある長野
県環境保全協会が「長野市地球温暖化防止活動推進センター」とし
ての活動を開始することになります。
センターでは、地球温暖化対策の重要性の啓発や広報活動、市民
の皆さんの温暖化対策の実態調査、温暖化対策の相談窓口開設など
の活動を行うことになっています。
今回、センターに指定させていただいた長野県環境保全協会は、
以前からさまざまな環境保全活動を行っている実績がありますから、
市民・事業者の温暖化対策に対する行動を、効果的、積極的に促し
ていただけるものと期待しているところです。
「ながの環境パートナーシップ会議」の皆さんも頑張っています。
この組織は、市民、事業者、行政が連携して「長野市環境基本計画」
を推進していくために、平成13年に設立されました。
さまざまな環境問題が私たちの日常生活や事業活動に起因してい
る以上、持続的発展が可能な環境に優しい社会にしていくためには、
従来の意識やライフスタイル、社会システムを変えていく必要があ
ります。つまり、環境問題を解決するためには、市民、事業者、行
政の三者が連携共同して活動していくことが必要だということです。
ながの環境パートナーシップ会議は、そのための組織として、三者
が参加して運営されています。
この「会議」では、環境基本計画の具体的な実行プログラムとし
て策定した「アジェンダ21ながの」に基づいて活動しており、水
環境保全プロジェクト、生ごみの削減・再利用システムの構築プロ
ジェクト、太陽エネルギー普及促進プロジェクト、市民の森づくり
プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
また、この「会議」からは、建て替える市役所第一庁舎に「なが
の環境総合センター」を設置してはどうか、といったご提案も頂い
たところです。
「地域推進計画」では、二酸化炭素の排出の少ない「エコカー」
の普及も促進することにしています。その一環として、9月1日、
市役所でも「電気自動車」を導入しました。電気自動車は、二酸化
炭素を一切排出しないため、今後の地球温暖化対策の有効な手段と
して大いに期待しています。
家庭に起因する温室効果ガスのうち、自動車からの排出量は23
%を占めているそうです。電気自動車への転換は、地球温暖化対策
の大きな力となることは言うまでもありません。
ただ、充電スタンドの設置や価格などの課題もあり、電気自動車
が広く普及するには、まだまだ時間がかかると考えられます。今回
は、行政として先導的な役割を果たそうということで、導入したも
のです。
導入した電気自動車は、長野市清掃センターへ配置しました。清
掃センターには、ごみの焼却熱を利用して発電する設備のほか、太
陽光発電システムも設置しています。この車は、これらで発電した
電力を利用して充電し、走行性能の検証を兼ねて不法投棄パトロー
ルなどに使用しているほか、市民向けの啓発活動にも活用する予定
です。この車が、長野市の地球温暖化対策のシンボルの一つとなる
ことを期待しています。
なお、車体に描かれているシンボルマークは、公募作品98点の
中から選定したものです。このマークは、今後導入していく電気自
動車にも使用していくほか、啓発資料などにも積極的に活用してい
きたいと考えています。
このほかにも、いろいろな地球温暖化対策を進めなければなりま
せんが、費用対効果から、現時点で比較的有効だと考えられるのは、
太陽光発電を利用することや、バイオマスエネルギーを使うペレッ
トストーブ・ペレットボイラーなどを使用することです。これらの
利用が増加すると、その分、電力や化石エネルギーの使用を減らす
ことができ、温室効果ガスの排出削減につながります。ぜひ、皆さ
んのご家庭でもご検討ください。
これからも、地球温暖化対策地域推進計画を着実に推進し、市内
の温室効果ガス排出をできる限り抑えていきたいと考えています。
(注)木質ペレット・・・木材を粉砕し、圧力をかけて成型した燃
料。