2010年9月23日木曜日

史跡松代城跡附新御殿跡(真田邸)が公開されました


 9月18日、文化庁の本中眞主任文化財調査官、真田家14代当
主の真田幸俊さんをはじめ、多くの方々にご臨席いただき、史跡松
代城跡附新御殿跡(まつしろじょうあと つけたり しんごてんあ
と)の新御殿跡(真田邸)の公開記念式典を開催しました。地元松
代の皆さんには、工事などでご迷惑をお掛けしたことをおわびしな
がら、ようやく待望の「真田邸」公開再開の日を迎えたことを報告
し、共に喜び合いました。

 真田邸は、江戸末期の元治元(1864)年に建てられました。
明治元年の4年前のことです。その後、146年という時間の経過
により著しく傷みが進行していたことから、平成14年度に整備基
本計画を策定。発掘調査を経て、文化庁のご指導を頂きながら、平
成15年度から保存整備事業を実施してきました。

 敷地内にある「役人詰所」の解体修理工事など、一部の工事がま
だ残っているため、整備事業自体は来年度末まで続きますが、この
たび、御殿(主屋)部分と庭園の大部分の修理が完了したことから、
一般公開できるようになったものです。

 真田邸は、幕末期のいわゆる「御殿建築」で、敷地内には、主屋
や庭園、また表門や土蔵といった付属建物が一体のものとして残っ
ています。御殿建築自体が全国に数少ない上に、主屋だけでなく、
庭園や付属する建物などが全体として残っており、真田邸は、非常
に貴重な存在なのだそうです。昨今の歴史ブームが続く中、県内外
からも多くの方にお越しいただけるものと思っています。

 また、今回の事業では、真田邸を各種の講座会場などとしてもご
利用いただけるように、主屋の中と土蔵の一部に貸し出しスペース
を設けました。単に「見る」ための文化財でなく、「活用する」た
めの文化財として、地元の皆さんをはじめ、多くの皆さんに有効に
活用していただきながら、より一層のにぎわいを創出していただけ
れば幸いです。

 より多くの人に訪れていただける、そんな魅力的なまち「信州松
代」を、これからも皆さんとともに作り上げ、全国に向けて発信し
ていきたいと思っています。
 ついては、主要な「観光拠点」の一つとして、大勢の来訪が予想
されるこの真田邸を、皆さんのお力を頂きながら、ますます盛り立
てていきたいと考えています。真田邸を含めた松代の多くの文化財
が、今後も一層、地域の皆さんをはじめとする長野市民に親しまれ、
松代のまちが一層発展するよう頑張りましょう。

 そういえば、私の市長就任からしばらくして松代を訪問したとき、
“「長野市松代」というより「信州松代」の方が、なんとなくふさ
わしい感じがするのですが、いかがですか・・・”と言う意味のあ
いさつをしたことを思い出しました。
 長野市は多様性に富んだまちです。善光寺、松代、飯綱高原、戸
隠、鬼無里・・・合併した地区も含めて、さまざまな魅力を持って
います。「長野市」という名称は全体的な冠で、それぞれの地区が
その特徴を生かして情報を発信していくことが良いのではないか・
・・私はそんなことを感じています。松代の皆さんもそのことに賛
同して「信州松代」をロゴマークにしておられると思っているので
すが・・・。

 また、皆さんご存じのとおり、今年は「2010松代イヤー」で
あり、松代のまちの中では年間を通していろいろな企画が用意され
ています。数が多く、とても全部は紹介しきれませんが、これまで
に開催されたイベントを少しご紹介しましょう。
 詳しくは、松代イヤー実行委員会のホームページなどをご覧くだ
さい。

4月 東条あんずまつり、松代城春まつり、松代城本丸桜ライトア
   ップ、信州松代ウオーキング、浪漫人力車体験、西条のしだ
   れ桜めぐり、古城跡めぐり奇妙山コーストレッキング、童謡
   の歌碑巡り

5月 祝(ほうり)神社御柱祭、押し花体験教室、皆神山ピラミッ
   ド祭、松代藩文武学校旗争奪中学校選抜剣道大会・同学校杯
   争奪小学生選抜剣道大会、松代武家屋敷お庭拝見

6月 旧樋口家一般開放、松代藩文武学校弓術大会

7月 あんずの収穫・加工体験、真夏の太鼓競演

8月 長いもDE(で)おやつレシピコンテスト、お姫様の生活を
   体験、わくわく体験倶楽部

 以上が、春・夏のイベントの一部ですが、9月になり、すでに秋
バージョンに入っています。ある意味、今年の松代イヤーのハイラ
イトの季節を迎えたと思っています。
 秋には、松代藩真田十万石まつり(10月9日、10日)をはじ
めとして、松代の至る所で多くのイベントが企画されていますので、
皆さんにも楽しんでいただきたいものです。私も、馬に乗った姿を
皆さんにご披露できるかどうか・・・頑張ります。

 このような記念の年に、真田邸の新しい姿を皆さんにご覧いただ
けるのは、本当に喜ばしいことです。
 文武学校、松代城跡、旧横田家住宅、旧白井家表門、山寺常山邸、
旧樋口家住宅、旧前島家住宅、そして真田邸・・・これまで松代で
多くの保存整備事業を行ってきました。しかし、そのほかにも整備
しなくてはならない、保存しなくてはならない文化財は、まだ山ほ
どあります(例えば、象山ゆかりの旧松代藩鐘楼など)。そのほか、
松代に数多くあるお寺や町屋のことまで考えれば、あと100年は
かかりそうです。それまで私たちは生きているわけはありませんが
・・・今の流れを引き継いで行っていただければうれしいですね。

 真田邸の保存整備事業が完了すると、長野市が松代の歴史ある古
い町並みを生かし、文化と歴史の香りが高いまちにしようと努力し
てきたことが一区切り。今、花開かん、としていると感じています。
 まだまだこれからも、文化財の修復は続くと思いますが・・・こ
れからは、少しお金を回収させていただきたい。すなわち、さらに
多くの人に来ていただいて、入場料を払っていただければありがた
い、そして、もっと松代のまちで食べたり飲んだり、買い物もして
いただき、お金を落としていただけたらありがたいと感じています。
 そうなれば、松代のまちの整備について、もう少し予算が付けら
れるようになるはずです。

松代イヤー公式ページ: http://www.matsushiro-year.jp/