篠ノ井イヤーと信州新町イヤーは、ここまで順調に展開していま
す。
今回は、それぞれのイヤーキャンペーンの事業に位置付けられて
いないものもありますが、現在、地域の皆さんが一生懸命に取り組
んでいるいくつかの活動を紹介します。
7月1日、篠ノ井地区の唐臼公民館で、介護予防に取り組んでい
る団体「唐臼はつらつ倶楽部」の活動に参加し、参加者の皆さんと
一緒に体操をしてきました。このクラブの代表は柳原静子さんで、
篠ノ井イヤーの仕掛け人の一人です(伺ったのは、「みどりの移動
市長室」の一環です)。
市では、地域での介護予防活動を応援しています。こうした活動
を活発にするには中心となるリーダーが大切ということで、介護保
険課が介護予防リーダー養成講座を開設して一生懸命に介護予防リ
ーダーの養成に取り組んでいます。講座の受講者は多いようですが、
活動の輪を地域に広げるという面では、もう一歩のようです。そん
な中で、柳原さんは講座を受講された後、早速地域で介護予防と認
知症予防を目指したクラブを立ち上げられました。長野市でも先駆
的な取り組みです。
今回私が体験した「唐臼はつらつ体操」は、高齢者を対象とした
もので、決して無理をしない楽な動きを独自に考案されたとのこと
です。約20人の集まりでしたが、体操するときは、やり方の説明
や1、2、3・・・の号令をみんなで役割分担して行っていました。
それが皆さんのやる気を喚起し、長続きする要因になっているのか
もしれません。ただ、クラブの参加者全員が女性で、伺った当日は、
地区の区長さん一人だけが男性でした・・・。
顔が見える仲間ができて、皆さんの元気の源になっているようで
す。
篠ノ井駅前の軽トラ市は、6月26日で2回目が終了し、どの参
加者の商品も完売とのことで、素晴らしい成果です。
順調にいっている理由の一つに、篠ノ井の商店街とのコラボレー
ションがあるとのことでした。たしかに、商店街の皆さんと軽トラ
市の参加者の関係は、場合によっては商売敵になるわけですから、
コラボレーションをしていくための工夫は絶対に必要です。これま
で、軽トラ市を開催した地区は他にもあるそうですが、長続きせず、
自然に衰退してしまったという話を聞きました。
篠ノ井駅前の軽トラ市は工夫の一つとして、軽トラ市参加者が出
店料として実行委員会(主催者)側に2,000円を払い、主催者
側は、領収書の代わりとなるのでしょうか、篠ノ井の商店街のみで
使える商品券2,000円分を渡します(一種の地域通貨ですよね
)。軽トラ市参加者が商店街でその商品券を使うと、商品券は主催
者側に還流されて、現金化される・・・。こんな仕組みのようです。
主催者側はまったくのボランティアですが、町のにぎわい、商店
街の振興、そして品物を供給する農家や商店などの営業支援と一石
三鳥のアイデアだと感心しました。
7月9日には、信州新町の「カラー花まつり・ジンギスカンまつ
り」にお招きいただきました。サフォーク料理で有名な「さぎり荘」
周辺で行われたこのお祭りには、地元の皆さんが出店して、カラー
のほかにもいろいろな特産品や郷土食などが販売され、多くの人で
にぎわっていました。
「カラー」という花は、信州新町の農家約70軒が生産・出荷し
ているそうで、町内では一大産業になっています。以前は150軒
以上の農家の皆さんが取り組んでいて、農協を通じて主に東京、名
古屋、大阪方面の市場に出荷していたそうで、花の値段もかなり高
かったようです。
現在、主に栽培されている「ジャンボ黄カラー」は、同町越道の
尾澤貞雄さんが、それまで栽培していた「ジャイアントカラー」と
いう品種から良い物を選び出し、農協が新たに「ジャンボ黄カラー」
と名付けて売り出したものとのことです。他に「ブラックアイビュ
ーティー」という品種も栽培されています。残念ながら、今は往時
の勢いとまではいかないようですが、これからも信州新町の特産品
として夢をかけて頑張っていただきたいものです。
ジンギスカンは、何といっても信州新町のブランドです。サフォ
ーク(羊の肉専用種)は、「ひつじの町」「ジンギスカンの町」づ
くりのため、昭和57年に導入され、信州新町の「肉めん羊生産組
合」の皆さんが飼育しているサフォークの肉をステーキやしゃぶし
ゃぶなどの料理として「さぎり荘」で味わっていただくことができ
ます。
また、ジンギスカン料理は昭和10年代に料理講習会でそのおい
しさを味わった人たちが徐々に広めていったものといわれています。
現在は、信州新町のジンギスカン街道10店舗で味わえ、お買い求
めいただくことができますし、地元事業者の「むさしや食品(有)」
のジンギスカンは県内外でも販売されています。
官民共同でジンギスカンブランドを築いてきたと言ってもよいの
ではないでしょうか。
同じ日の9日、信更地区で平成19年度から4年かけて整備を進
めてきた「花の里信更センター」が完成し、竣工(しゅんこう)式
が行われました。山の中ですが、住民の皆さん総出のお祝いでした。
私も地域の子どもたちと一緒に記念植樹をさせていただきました。
ここで咲いた花を切り花として出荷し、もうけていただくことを期
待したい・・・とあいさつしました。まだまだこれからでしょうが、
皆さんの努力が実を結ぶことを期待したいと思います。
信更地区では、1847年の善光寺地震の際に発生した虚空蔵山
(こくぞうやま)の崩壊による大災害の記憶を後世に残そうと、少
し前になりますが、地区住民の力で素晴らしい公園を造られました。
また、今回お聞きしたことですが、住民の一人、中島忠徳さん
(長野シルバー人材センター理事長)が、自宅周辺の1,200坪
という広大な敷地をご夫婦二人で見事に管理されており、素晴らし
いオープンガーデン(庭園)となっているそうです。
「花の里信更センター」を整備された「元気な信更町花の里実行
委員会」と中島さんは、昨年度、市の「ながの花と緑大賞」を受賞
されています。
信更地区もなかなか元気です。
話は変わりますが、若槻地区でホタルがたくさん出ているという
話をお聞きし、妻と二人で出掛けました。
若槻地区の地元有志や住民自治協議会が、地区内の土京(どきょ
う)川に生息するホタル再生のために、その生息環境の改善などの
取り組みを続けることにより、ホタルがたくさん生息できるように
したものです。地区内外の皆さんに、ホタルが舞う癒やしの空間を
提供することを目指して、見事に成功されました。
私もホタルはあちこちで見たことがありますが、この若槻地区ほ
どたくさんのホタルが舞っているのを見たのは初めてです。ホタル
には主に「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」の2種類あることは、
皆さんご存じのことと思いますが、ここでは両方のホタルが仲良く
共存しており、こうした地域は珍しいとのことです。環境整備には
以前からホタルについて市内各地で指導しておられる長野ホタルの
会会長の三石暉弥(てるや)さんのご指導もあったそうですが、本
当に見事な乱舞でした。
若槻地区の土京川におけるホタル関連の取り組みは、かなり前か
らのようで、その経過を簡単に触れてみます。
平成に入って、上野地区にお住まいの方が、土京川にホタルがい
ることを確認し、有志を募って観察を開始したとのことです。平成
3年「ホタルを観(み)る会」が発足し、以来、観察会や川の清掃
などが継続されてきました。
平成6年・7年の水害による土京川の河川復旧工事に当たっては、
管理者である県に「ホタルの生息環境を確保した工事」を申し入れ、
これが実現したそうです。
平成18年4月、若槻地区住民自治協議会が発足し、ホタル再生
プロジェクトが提言されました。平成20年度から清掃活動を通し
て住民自治協議会自然環境部のホタルプロジェクトチームの活動が
軌道に乗り、ホタルサポーターの募集などが行われました。その年
からは、勉強会や観察会が開催され、観察会前には「ホタルを呼ぶ
集い」としてオカリナ演奏や講演会なども実施されているようです。
平成22年度、「ホタル鑑賞公園づくり事業」で、市の「地域や
る気支援補助金」を獲得。土京川のホタル生息地の鑑賞路約500
メートルの整備、草刈り・下枝の刈り込み、危険箇所にロープや案
内灯・足元灯などの簡易照明を設置しました。
また、ホタルの観賞時期を迎える前に、川辺の清掃、地区内への
チラシの配布、のぼり(桃太郎)旗の作成、駐車場用地借用などの
準備を重ね、「土京川ホタルの里整備記念の集い」の開催に合わせ
て、ホタルキッズクラブも参加してホタル籠(かご)作りなどを実
施したそうです。
土京川のホタルの特徴は、地元の資料を見ますと、土京川に長年
すみ付いており、一切人の手が加えられていない、生まれも育ちも
土京川だそうです。
当日は、住民自治協議会の大村道雄さんが案内してくださり、丁
寧に説明してくださいました。
かなり長い距離の川筋を一緒に歩かせていただき、川筋の一番奥
(川下)でお別れしたのですが、その際「帰りにホタルの数を数え
ていきますので、ここでお別れします」との言葉にはびっくりしま
した。大村さんの熱心さには心を打たれました。
今年のホタルが舞う時期は、6月20日前後から7月20日ごろ
までだそうです。夢がありますねえ・・・若槻地区の住宅街で、ホ
タル鑑賞ができるなんて・・・。毎年楽しませてもらえそうです。