トレッキングをご存知ですか。山や川辺、あるいは湖周辺や野原
でも良いと思いますが、ハイキング、あるいは登頂を目的とせずに
山を歩く。特にこうしなければいけないという義務を持たずに野山
を歩いて楽しむ、こんな感じでしょうか。海外では広大な土地を何
日間もテントを担いで歩くロングトレールという本格的なものもあ
るそうです。
私は、自分の選挙運動やその後の行政懇談会などで市内各地を巡
らせていただき、山、川、景色の素晴らしさ、自然の美しさ、空気
のうまさなどに触れ、本当に長野が誇れるものはこれではないか!
と改めて感じました。もちろん長野の魅力といえば、善光寺や松代
などの歴史的、文化的な価値、さらにはオリンピック施設を中心と
した近代的な施設など、いろいろあるのですが、これらと組み合わ
せたあの自然の美しさは素晴らしい資産であり、これを利用しない
手はないと考えました。
考えてみれば私の子どもの頃、すなわち昭和20年代の頃の遠足
といえば、この善光寺平周辺の山々でした。葛山、頼朝山、神代桜、
飯綱、富士の塔、旭山、ブランド薬師など、どれも懐かしい時代の
懐かしい名前ではありませんか。私の記憶は生まれた場所の関係で
どうしても北に偏りますが、長野市の周辺は素晴らしい自然の宝庫
なんです。バスで行く遠足より、自分の足で汗を流し、歩く早さで
景色を眺めながら近くの山を登ってみましょう。小田切や七ニ会か
ら見る北アルプスの山並み、長野市の街区を見下ろす気分は本当に
素晴らしいです。そして、そこにはあまり知られてはいないけれど、
その地域独特の歴史、文化が埋もれています。歩きながらそれらを
訪ねるのも素晴らしいではありませんか。
中山間地の活性化が求められております。農業や林業の再生によ
る地域の活性化はもちろん大切ですが、トレッキングコースを作っ
て都市部の人と交流し、その地域のことを知っていただくことも一
つの策ではないでしょうか。自然保護団体の意見でも「トレッキン
グコースは開発ではない。それより折角コースを作っても、放って
おけば一年で山にもどってしまう、メンテナンスが大変でしょう」
という見解でした。長野の自然が復元力に恵まれた素晴らしい場所
だという証しなのでしょう。
時代のムードが変わって、大型バスの観光旅行は減少気味で、親
しい人同士あるいは家族で旅行を楽しむ人が増えています。折から
の健康ブームもありトレッキングには絶好の機会になってきている
と私は考えるのです。最近の小・中学校の遠足はバスに乗って出か
けることが多いと聞いています。山々を歩くことは、子供達にとっ
ても身の回りの自然を見つめ直すことにも役立つような気がします。
二年前、私は飯山の関田山脈で「信越エキゾチック・トレッキン
グ委員会(小山邦武飯山市長が委員長)」を作って、コース設定の
お手伝いをしてきました。このコースは、日本有数のブナ林をもつ
素晴らしい場所で、今も少しずつトレッキングの輪が広がっており、
冬でも楽しめるようです。その前例を参考にしながら連携をとり、
長野では善光寺平周辺トレッキングとか、長野広域連合を視野に千
曲川右岸、左岸コースとか、いろいろ考えられるのではないでしょ
うか。
もちろん難しい問題はあるでしょうが、ぜひ挑戦してみたいテー
マです。地元の皆さんと良く相談する中で、上級・中級・初級と難
易度によって三つぐらいのコース設定をし、市民みんなで参加して
みると楽しいでしょう。
先日、七ニ会の陣場平へ行ってきました。あそこには青少年山の家
(宿泊施設)やグラウンドもあるのですが、今は利用者がほとんどな
くて、「取り壊そう、いや壊すな」と議論があるところです。私は約
2時間ぐらいかけて山の中を歩きましたが、素晴らしいところです。
地元の歴史もいろいろな言い伝えが残っているようで、調べてみると
面白そうです。「この陣場平もトレッキングコースの一つになるかな」
と、楽しく心地よい汗をかいて、帰りにおやきをご馳走になり帰って
きました。