2002年6月6日木曜日

ペイオフについて


 この4月1日から始まったペイオフという言葉を知っていらっしゃい
ますか?要は銀行等の金融機関にある預金は、一預金者が一金
融機関につき1,000万円までしか国は保証しないという制度です。
実際は国の保証ではなく、預金保険機構の保証のようですが、これ
は大変なことです。今まで銀行が潰れるなんてあまり実感をもって
考えていなかったでしょうし、まあ潰れたって銀行の預金は国が保
証しているのだから、どこへ預けておいても同じと、大方の人は考
えていたと思うのです。
 しかし、グローバルスタンダードの時代を迎え、金融機関のみな
らず、全ての企業が世界を相手に競争していかなければならない。
そんな時代に全ての預金を国が保証しているのでは、金融機関が
それに甘えてしまい、自らの経営努力をしていかない。国が保証を
やめれば、銀行が倒産したとき、預金も無くなってしまうわけですか
ら、預金者はそういう危ない金融機関には預けない、あるいは預金
を下ろしてしまう。すなわちその結果として不健全な金融機関が自
然に淘汰されるということなのです。お金持ちにとっては厳しい時
代、金融機関の安全性を自分の責任で判断しなくてはならない、そ
ういうことなのです。
 ただ当面保証されないのは、定期性の預金だけで、普通預金や
当座預金は1年間は全額保証してくれるということなので、この4月
から定期を解約して普通預金に切り替える人が続出しているよう
です。
 預金保険機構への保険料率の改定などから、銀行も困って普通
預金の金利を極限まで下げてしまいました(そのうち、預かり賃を
いただくことになるかも知れません)。まぁ定期の金利も大変低い
ですから、下げてもあまり影響はないのかもしれませんが。

 個人の預金は、おのおのの責任で判断するとして、長野市の預金
はどうしたらよいか、これは大問題です。市民の皆様からお預かり
している大切な公金ですから、ハイリスク、ハイリターンは現段階
では求めにくい。すなわち、危険がたとえ僅かでもあってはいけな
いと考えています。
 長野市は借金があるのだから借金と預金の両建てにしていければ
心配はない、いざとなったら相殺すればよいと私は当初考えていま
した。しかし甘かった!借金は銀行だけでなく、一番大きいのは国
から借りているのです。
 それと例えば中小企業に制度資金を貸すためにいろいろな銀行に
長野市が預金をして、金融機関はそれを元に何倍かの資金を企業に
貸している制度ですが、結構いろいろな金融機関に預託しているの
です。その金融機関からは借金がなく預金だけでした。(長野市は
相殺が可能となるよう、新たに借入れを行いました。)
 その他、実質的に長野市が全責任を持っている組織でありながら、
法的な代表者は市長ではない、そんな外郭団体が長野市にも結構
あり、それらの預金も相殺は出来ない。さらに、市民の皆さんの税
金なども、いろいろな銀行などを通して長野市に入ってくるので悩
んでいます。
 幸い、普通預金が一年間はペイオフ対象ではないので、一応は普
通預金で対応することで、当面は問題ないのですが、来年以降の解
決にはなりません。公的預金はペイオフ対象からはずすべき、とい
うことが国会で議論された時期もありますが、どうも立ち消えになっ
てしまったみたいです。しかし、国の預金は最終的には日本銀行に
預けられ、その分については全額保証されるわけですから、地方公
共団体の公的預金についてもある程度の保護をしていただきたい。

 現段階では、長野県内の金融機関は大変健全であるといわれて
おり、心配しなくても良いとはいわれておりますが、でも昨年の上田
商工信組破綻の例もあります。あの時は、幸いまだペイオフ解禁に
なっていなかったので、長野市だけでなくすべての預金は保護され
ましたので、事なきを得ましたが、今後絶対にないとは言えないの
が実態でしょう。行政も自己責任を問われる時代であることは承知
しています。
 将来的には利回り等を考えて、有利な資金運用をすべき状況も生
まれてくる、しかし、現段階では行政にそのノウハウがないし、ある
金融機関が危ないからといって預金の引き下ろしをやったらどうな
るでしょうか?地元金融機関倒産の引き金を引くことにもなりかね
ないので、慎重な対応が必要でしょう。

 長野市では、今後も健全な行財政運営を推進するため、全国の市
により構成されている全国市長会等を通じ、地方自治体における公
金の保護を国に要請するとともに、公金の運用及び安全性の確保に
おいて最大限の努力をしてまいります。