9月29日の日曜日に「元気なまちづくり市民シンポジウム」を
長野市民会館で開催しました。当日は、猪瀬直樹さんを迎えて「民
営化の時代」と題し基調講演をして頂きました。
猪瀬さんについてはすでにご存知の方も多いこととは思いますが、
長野市出身で長野高校、信州大学を経て作家として活躍されていま
す。さらに、現在では政府税制調査会委員、そして道路関係四公団
民営化推進委員会委員として大活躍をしておられる方です。失礼か
もしれませんが、「民営化の権化」と言っても良い方であろうと私
は思っています。
私は一年前の市長選の時から、一貫して常用してきた政策手法と
して「行政に民間発想を入れる」と言いつづけてきました。そのた
めにこのシンポジウムに誰を呼ぶかについては、多分迷ったのでし
ょうが、彼を講師と選任した長野市の企画政策部の感覚は悪くない
なあ、と感じています。まさに呼びたかった人、そしてテーマでし
た。
この講演会は、本年度第三次長野市総合計画の後期基本計画の策
定に当たり、いろんな方のご意見をお聞きする、いわゆるパブリッ
クコメント(注)の一環としてのシンポジウムでした。
(注)パブリックコメント=行政機関などの意思決定過程において
広く国民に素案を公表し、それに対して出された意見・情報を考慮
して意思決定を行うもの
長野市の第三次総合計画は、平成11年度から平成22年度まで
の12年間の計画です。それを前期と後期に分けて、平成15年度
までが前期基本計画、平成16年度から後期基本計画がスタートす
る予定でした。しかし、私が市長に就任した平成13年11月の時
点で長野市をとりまく環境は、この計画を策定した時期と大きく変
わっており、この計画をそのまま継続することは、無理になってい
ると判断しました。しかし、本市の基幹となる計画ですので、変更
には膨大な資料と審議会等における十分な検討が必要であったこと
から、平成14年度は前期基本計画に従った予算組みを基本にしま
した。その代わり平成14年度中に、後期基本計画を策定して、一年
前倒ししようということを決定し、策定作業に取り組んできたわけ
です。
猪瀬さんの話は、聞く人によって感じ方はいろいろでしょうが、
「何故、今、民営化か―単に四公団の話ではない、日本人のライフ
スタイルの変更なのだ、このままでは日本は活力を失う、日本全体
が社会主義化している。大人になること、それはリスクを受け入れ
ることだ。諏訪の「御柱」、岸和田の「だんじり」などは命がけだ
けれど、それは大人になる通過儀礼として必要なのだ。今はその通
過儀礼がない。子どもに言う前に大人がリスクを受け入れなくては
・・・。」
「みんなサラリーマンになってしまった、変化の無い人生を皆が
求めている(それは行政が膨らみすぎたから)、将来に不安がある
から人生のはず、という当たり前のことを日本人は忘れている・・
・。」
私の受け取り方は、皆さんと違うかもしれませんが、彼の話に大
変感激しました。彼の話を長野市に移して考えることの重要性を考
えさせられました。言いかえればこのくらい乱暴な意見の持ち主で
ないと、改革は出来ないのだろうな、と思いました。
猪瀬さんの講演の後は、元信越放送アナウンサーの武田徹さんが
コーディネーター、猪瀬さんがコメンテーターで、総合計画審議会
の塚田俊之会長(長野県経営者協会副会長)、立浪澄子同審議会副
会長(長野県短期大学助教授)、石川利江さん(ISHIKAWA
地域文化企画室代表)、そして私も加わって「元気なまちを目指し
て~未来のために長野改革~」をテーマにパネルディスカッション
を行いました。
それぞれ経済界、福祉、教育、文化・芸術の方面で活躍されてい
る皆さんの実体験を踏まえた有益なお話を伺うことができ、大変有
意義なパネルディスカッションになったと思います。
このシンポジウムを通じ、改めて「元気なまち」に向けて、市民
の皆さんとのパートナーシップにより、積極的に長野改革を実行し
ていこうと気持ちを新たにしました。
引き続き皆さんのご協力をお願いします。