2003年6月26日木曜日

地方交付税について(2)


 先週は、地方交付税(以下「交付税」とします。)の仕組みにつ
いてお伝えさせていただきました。

 さて今週は、国における財政再建の推進の中で、この交付税がど
のように変わろうとしているのかをお伝えしたいと思います。

 現在、国ではこの交付税を減額しようという動きがあり、このこ
とは地方にとっては大変なことです。

 小泉首相のいわゆる三位一体の改革というのは、「国の補助金・
負担金を廃止・縮減」「地方交付税の減額」「地方への税源移譲」
の3つを同時にやろうということなのです。

 地方自治体にとって、補助金・負担金、そして交付税を減らされ
てもそれに見合う税源がもらえるなら別に困らないのですが、どう
もそうはならない。アドバルーン的発言とは思いますが、塩川財務
大臣が「補助金を廃止して、その70%を地方に税源移譲する」と
発言されましたが、では残りの30%はどうなるのですか?それを
減らされたら地方は立ち行かなくなる、と心配していた訳です。

 確かに国の財政事情を考えれば、多少の減額は仕方ないとは思い
ますが、市町村は、国や県と違い、住民の皆さんとダイレクトに接
している訳で、現在やっている事業を止めると国や県が言っても、
市町村は「はい、そうですか」とは言えない部分があるのです。

 そうした中で、先週の18日、国の経済財政諮問会議が開催され、
首相の指示により、改革は、2006年度までの3年間で、地方へ
の補助金・負担金を約4兆円削減し、その約80%を税源移譲する
こと、また、交付税は、見直しにより総額抑制するとの原案がまと
められました。しかし、具体的な内容は先送りされ、これからの予
算編成での検討ということです。

 長野市の平成15年度の一般会計(当初予算)の中で、独自財源
(地方税)の占める率は43.2%ですが、小さな町村では5%前後
のところがあり(豊野町19.8%、大岡村4.9%、戸隠村8.7%、
鬼無里村5.0%)、不足分は交付税に頼っている割合が高くなる
訳です。その交付税を減らすというのですから大変です。

 小さな自治体にとって、税源移譲といっても税源そのものがない
のですから、やりようがないのです。

 私は、将来的に考えるならという前提ですが、小さな自治体の税
源として考えるとすれば「きれいな水」「きれいな空気」「癒し」
等を都会へ売ってやる、あるいはそういう山村の役目に対し、都会
人から負担金をもらう、といった発想しかないと考えています。

 山や川、そして湖や森林が無ければ都会は成り立たないことは自
明の理だと私は思っています。ただ現段階でそれを主張しても合意
は得られないし、きちんとした法的根拠を作るのが難しいでしょう。
とすれば、当面は都市と周辺町村が合併して共存を考えることが、
一番良い解決法であろうと考える訳です。

 以上、市町村合併をせざるを得ない一番の理由は、最近、国や県
が「財政再建のため、市町村へ今まで通りの財政支援は出来ません」
と言い出したことにあるということが、お分かりいただけたのでは
ないでしょうか。