5月にスタートした「市町村合併に関する市民会議」は、7月21
日の若里市民文化ホールで一応の締めくくりになりました。最終回
は、少し工夫しようということで、長野青年会議所の若林理事長に
任意合併協議会委員の立場で、長野県青年国際交流機構の樋口会長
に合併建設計画策定委員会委員の立場で参加していただき、意見を
述べていただきました。
全体的に申し上げますと、まず長野市民の合併に関する機運は低
調でした。広報ながのやホームページでお知らせし、また、各区長
さん、民生委員・児童委員さん方にお願いして出席依頼をしたので
すが、11回の開催でお集まりいただいた方が1,000名ぐらい
でした。
理由は様々であろうと思います。まず、今回の合併は、人口でい
えば約2万人の増であり、合併協議を進めている1町3村のそれぞ
れの事務事業や各種制度についても、実質的には長野市に合わせて
いただくことが大部分で、長野市民の実生活にとってほとんど影響
がないことがあげられると思います。また、もう決まったような話
で、わざわざ聞かなくても良いと考えられた方もいたのでしょうか。
長野市とすれば多くの方に出席していただきたいということで努
力をしてきたことですし、今後、法定合併協議会に移れるかどうか
の最終決定は、長野市としての方針をきちんとお示しし、議会に委
ねることになります。
市民会議において寄せられた意見と、それに対してお答えした長
野市としての考え方について、その主なものを列挙してみますと
1.長野市の姿勢は消極的過ぎるのではないか、もっと周辺市町村
に働きかけ、将来の政令指定都市を視野に入れるべきではない
かというご意見をいただきました。このことについては、確か
に一理あるご意見であり、将来計画としてはそう有るべきだと
私もお答えしています。しかし、長野広域連合18市町村では、
今回の合併は、それぞれの市町村で考えようということが合意
されていましたし、一番大きな都市である長野市からの申し入
れは圧力になるとも考え、消極的ともいわれる姿勢をとったも
のです。ただ、今回の合併の期限が平成17年3月という意味
は、国の財政的な援助を受けられる期限であって、合併そのも
のの期限ではありません。更に大きな合併を目指すとすれば、
それからでも充分可能です。
2.借金が多く、高齢化率が高い町村と合併することは、財政的に
心配があるというご意見も多く聞かれました。確かに長野市も
含め、どこの市町村も同じ悩みを抱えていることは事実です
が、高齢化率で言えば合併した場合0.6%ぐらいは進行しま
すが、30年後の推計では0.1%しか変わらないということ
をお話ししました。借金についても、もちろん増えることは事
実ですが、長野市の借金ははるかに多額であり、収入もあるわ
けで、合併したから財政が苦しくなるということでは無いとお
答えしました。
3.合併特例債等で行う新たな投資は、返済時に国が面倒をみると
いっても、結局、それは我々の税金であり、無駄な投資をすべ
きではないというご意見もありました。ごもっともなご意見で
あり、不必要、あるいは無駄な投資をするつもりは全くありま
せんし、そんなお金もありません。ただ箱物はいらないとは思
いますが、道路については合併の効果、一体性の確保のために
必要があるのではないでしょうか。いずれにしろ、今後、いか
に効率的かつ素晴らしい新市建設計画を策定して合意するか、
任意合併協議会に課せられた任務でしょう。
4.合併を契機に、行政もリストラクチャリング(再構築)が大切
で、大きな行政府を作るべきでないというご意見には、全面的
に賛意を表しました。具体的には、町村側の特別職(三役)、
議員(定数・在任の特例措置がありますが)については、編入
合併の場合、原則全て失職です。それだけに合併の申し入れと
いうのは、受ける側は真摯に受け止める必要があると考えてい
ます。一般職の場合は、全員長野市職員になりますので、一時
的には職員数が増えることは避けられませんが、重複する管理
部門のスリム化を図り、専門的な職種や市民サービスの部門に
重点的に職員を配置しながら、採用を抑制したり、あるいは、
職員が独立して市のサービスの民営化推進に貢献してくれる、
そんな気概のある職員が現れることも期待しています。
5.域内分権(都市内分権)については、その重要性を指摘する方
が多かったと思います。これは、国も今回の合併を推進する立
場から、地方制度調査会が「合併する市町村に、何らかの住民
自治組織を残す必要がある」と発表しており、長野市では合併
する町村だけではなく、現行の長野市全域に住民自治組織を作
り、行政を住民の皆さんの目線となるべく近い所で行いたいと
考え、今、庁内組織でいろいろ検討をしています。大変大きな
問題ですから、今日、明日実現とはいきませんが、合併町村の
皆さんもかなり期待されているようですから、なるべく早く目
途をつけたいと考えています。一番難しいのは、全体を大きな
行政にしないことだと考えています。
また、参加された方々にアンケート調査を実施したところ、合併
にあたり期待することとして、1.豊かな自然と生活環境に恵まれ
た魅力あるまちづくり、2.県都・地方中核都市としての更なる発
展、3.広域的な課題への適切な対応、4.行財政運営の効率化、
が主なものでした。反面、心配されることとしては、1.市民の負
担が増えるかもしれない、2.市民サービスが低下するかもしれな
い、3.市民の声が届きにくくなるかもしれない、といったものが
主なものでありました。市民の皆さんのこうした期待にお応えでき
るよう、また、心配が現実にならないように常に念頭におきなが
ら、合併作業を進めていきたいと考えています。
以上、市民会議が一段落した段階での報告とさせていただきます。
今後、現在の調整作業を継続し、新市建設計画の目途をつけ(長野
市議会議員選挙もありますので、日程はかなり厳しいものがありま
すが)、年末までには法定合併協議会へ移行できるように最善を尽
くします。その間、情報は綿密に市民のみなさんにお伝えしていき
たいと考えています。