市長就任以来、二期目。その折り返し点のこの時期に当たり、私
の政策を総括し、今後どのような施策に力を入れていくべきかを考
えてみました(現在の予算規模が大きいとか小さいということとは
関係ありません)。
まず、市政運営に当たっての鷲澤5原則とでも言ってよいと思い
ますが、私には絶対に譲れない原則があります。すなわち重要政策
を決定する場合に、常に以下の5原則に照らし、この原則に反する
ことは「やらないぞ!」と決意していることです。
(1)入りを量りて、出ずるを為す(財政の健全化、ストックに頼
らない市政運営は重要課題です。未来の子どもたちに借金を残す
ことは、極力避けるべきことです。)
(2)市民とのパートナーシップ(行政がすべてをやることは不可
能な時代です、市民の皆さんと一緒に汗をかいていきましょう。
また皆さんの意見に耳を傾けます。)
(3)簡素で、分かりやすく(とかく行政のことは分かりにくいと
いう批判がありますし、重要なことの決定に当たって透明度が足
りないという批判は常に付きまとっています。どうしたら市民の
皆さんに分かりやすい行政ができるか、頭を悩ましています。)
(4)民間活力の導入(これは時代の流れです。(2)のこととも
関連がありますが、行政をいかにスリムにするか、民間経営のノ
ウハウをいかに活用していくか、私が市長に就任させていただい
た使命であろうと考えています。)
(5)「無私」「他利」の精神(行政の長とすれば、当たり前のこ
とですが、人間は弱いものですから、多かれ少なかれ、自分がか
わいい。ある決断が自分にとってどうなのか、とか、将来自分に
とって不利になるとか、邪魔になるとか・・・一切考えていませ
ん。長野のために、日本のためにと、常に考えています。)
以上の5原則に反する行動は絶対にやらない、私の不動の決意で
す。
でも、5原則はいわば理念ですから、これだけですべて解決でき
るとは思っていませんし、相互に矛盾している場面も出てきます。
具体的な諸問題に対処するに当たっては、この5原則に照らしなが
ら政策判断をしていくことになります。
そこで現段階としてやらなくてはならないテーマを私なりに整理
してみました。
(ア)方向性が見えない難問
物事を解決するためには、落としどころを考えながら取り組むこ
とが重要ですが、以下の問題はまだそれがよく分かりません。広く
皆さんの意見を聞きながら、取り組んでいきたいと考えているテー
マです。
(1)中山間地域の活性化(何度かメルマガでも取り上げているこ
とですが、決定打が無くて困っています。しかし、長野市の市域
の70%が中山間地域ですから、ここを元気にしなくては、駄目
だと思っています。思い切った施策が必要です。)
(2)広域行政と行政改革(長野市から、県の地方事務所と長野広
域連合の統合を提案させていただいていますが、これはそう簡単
な問題ではありません。ただし実現すれば大きな合理化になり、
地方公共団体にとって最大の行政改革になると私は信じています。
将来の道州制をにらんでの提案として、じっくり県と市町村の在
り方を検討してみたいと思っています。ちなみに広域連合は市町
村の集合体と考えられていますが、現在の地方自治法上では、広
域連合に県も参加できるようです。)
(3)北陸新幹線開業に伴う並行在来線経営問題(この問題は、新
幹線が北へ延伸した場合、JRは長野・直江津間の経営を切り離
す・・・すなわち営業しないということは、国と長野県との合意
事項です。JRの運営を考えた場合、赤字路線をそのまま経営す
ると、国鉄の二の舞いになる。また、JRは主要都市間の高速交
通に徹するということからみれば事情は理解できますが、雪深い
地域の生活路線であること、JR貨物が上越、糸魚川方面から大
量の貨物の輸送をしていること、鉄道は自動車に比べ環境にやさ
しく、将来のためには、必要であり大切な路線と考えられること
・・・などから、私は廃線という選択肢は無いと思っています。
ただ、乗車人員が少ない問題、除雪に要する費用が多額であるこ
と、長野県と新潟県にまたがっていること・・・などで今のとこ
ろ、現状の長野・直江津間だけでは、経営が成り立つ可能性が見
えません。落としどころが見えていないというのが実情です。)
少し前まで、このジャンルに浅川治水問題も入っていたのですが、
今回は省きました。
(イ)方向性は見えているものの難問
一応の方向は決め、全力を挙げて努力していますが、ご理解いた
だくまでには時間が必要な分野です。
(1)広域連合ごみ焼却施設建設(建設候補地として大豆島地区の
松岡二丁目を選定し、現在地元地域にお願いしている段階です。
第一段階として環境アセスメントの実施について申し入れさせて
いただいています。)
(2)公共交通機関の再構築(環境問題、高齢社会、いろいろな面
から公共交通機関を何とかしなくてはいけません・・・お金を掛
ければ良いという問題だけではなく、実際に利用していただかな
くては何にもなりませんし、もちろん採算性が必要です。有効な
手立てが無いものか、悩んでいます。)
(3)都市内分権(平成18年度を都市内分権元年と位置付けて、
まずは市内30地区に住民自治協議会をつくっていただくように、
要請してきました。年度内にできたのは、若槻・松代・安茂里・
古牧の4地区でした。ほかの地区でも準備は進んでいるとお聞き
していますが、まだまだこれからと感じています。特に中山間地
域は中心となる人材が不足しているということで、別の支援策を
考えなくてはならないのでは・・・と考えています。)
(4)企業誘致(福祉・医療・教育・まちづくりなどに必要な収入
を得ることが重要であり、そのためには、景気を良くして税収を
上げていく必要があります。それには、企業活動を活発化し、雇
用を増やさなくては税収は上がりません。既存の企業にも頑張っ
ていただきたいことはもちろんですが、企業誘致も大切な施策と
考えています。自然環境の豊かさ・東京とのアクセスの良さ・・
・などの特徴を生かしながら、立地環境を整備し、営業活動をし
ていくことが必要です。)
(5)民間資金の活用(財政の健全化が叫ばれる中、行政が新たな
投資をしにくくなっていることは事実です。そこで、民間の資金
を利用させていただくこと、すなわち財政の民営化が今後重要施
策になってきます。長野市では県内唯一の施策として、PFIと
いう方式を試みてきました。若穂の「湯~ぱれあ」で大変好評を
いただいています。第二、第三のPFI事業、あるいはそれに準
ずる事業への取り組みのほか、市民の行政サービスに対する資金
面での参加についても考えています。)
(ウ)やらなくてはならないテーマ
(1)ストックに頼らない財政構造の構築
(2)電子市役所と地域の情報格差解消(インターネットサービス
の拡充と高速ブロードバンド環境の整備支援)
(3)観光立市(観光が長野市を元気にするための施策として、大
切です。)
(4)ものづくり(即効性は難しいのですが、元気の基本です。)
(5)職員の意識改革(民間感覚を意識付ける、フォア・ザ・市民
の徹底、スピード感)
(6)中心市街地の活性化(長野の魅力を高めるために、にぎわい
を求めて商店街と協力)
(7)歩いて暮らせる生活圏(車に頼らない生活を目指すために、
都市計画の重要な目標)
(8)教育(学校教育だけでなく、生涯学習にも力を入れます。)
(9)福祉(現在でも市の支出予算では最大項目です。行政=福祉
の発想は大切にします。)
(10)農業公社を軌道に乗せる。
平成18年度は、第四次長野市総合計画、改定都市計画マスター
プラン、産業振興ビジョンなど市政における根幹的な計画を作りま
した。計画は作っただけでは意味がありません。新年度はまさに実
行の年にしなくてはなりません。
市の職員を信じ、また、市民の皆さんが支援してくださっている
ことを信じ、とにかく全力を尽くします。よろしくお願いします。