2007年4月19日木曜日

中山間地域について


 国土交通省が実施した市町村アンケートによると、10年以内に
全国で422集落が消滅する可能性があるとのことです。422集
落の詳細はよく分かりませんが、長野市も70%が中山間地域です
から、もしかしたら幾つか入っているかもしれません。

 3月市議会定例会で、質問にお答えし、次のようなことを申し上
げました。
 「中山間地域の活性化は、根本的な解決が難しい中で、今後とも
高齢化が進む中山間地域の生活やコミュニティの崩壊を食い止める
ため、行政がどのように住民の生活を支援していけるか、私は、荒
廃しつつある中山間地域の農林業を担いながら、地域に居住し、住
民自治協議会活動へ参画するなど、必要な人材を確保する、新たな
中山間地域への生活支援制度の創設を検討するよう、関係部局に指
示した次第です。」

 この件は、数年前から、庁内では議論していたテーマですが、な
かなか難しくて答えが出ないのです(答えのないことを書くことは
いけないという意見もありますが、広く意見を求めたいという意味
でご理解いただきたいと思います)。中山間地域の市民の皆さんが
集まっていろいろな事例を発表しあったり、早稲田大学と共同研究
をしたり、私自身としては素晴らしい活動をしている地域を視察し
たり・・・国も中山間地域等直接支払制度を導入したり、集落営農
を応援する制度をつくったり、いろいろ工夫はしているのですが。

 個々にみれば、素晴らしい活動があり、頑張っている集落はある
のですが、しかし、こうすればよいという決定打はなかなか見つけ
ることができません。日本中で悩んでいろいろやっています。

 都市内分権を進める上でも、市街地と中山間地域では同じように
は進められないということを感じています。すなわち中山間地域で
は人が流出してしまうため、活動をしていくのに、その中心になる
リーダーが不足してしまうのです。

 従って、根本的には中山間地域で生活ができるような環境をつく
ることを目標にしなくては解決にならないというのが、私の持論で
す。

 自分たちの地域は自分たちでつくることを目標に、都市内分権を
進めながら、その中で、どんな支援策が出せるか、財政状況が厳し
い中ですから、なかなか難しいのですが、農業公社の設立も決まっ
たことですから、思い切った政策を打ち出したいと考えています。

 以前に議会で中山間地域に市営住宅を造ったらどうかという意見
をいただいたことがあります。そのときは、無理だとお答えしたの
ですが・・・合併した大岡地区には菜園付き住宅やクラインガルテ
ン(滞在型市民農園)という施設があります。市営住宅という事業
ではありませんが、住宅を造って地区外から居住者を求めたという
点では、同じような試みです。現実に大岡地区の住民は増えたので
す・・・。長野の市街地に1時間以内で出て来れるのですから、農
業や林業だけにこだわらなければ一つの選択肢かもしれません。

 私の狭い知識ですが、アメリカの社会をみていると、比較的お金
持ちの人が中山間地域に住んでいるように感じます。行政に頼らず、
自力で生活するには、大金持ち、そして自然が好きな人でないと難
しいのかもしれません。でも高齢になったら・・・災害があった
ら・・・。

 農業で生活が成り立つことが一番良いのですが、平地の農業でも
なかなか難しいのに、中山間地域の厳しい環境の中では・・・。
 林業も日本では経営が厳しい産業になってしまいました。昔は、
山持ちという言葉は、金持ちの代名詞だったのですが・・・(最近
少し事情が変わってきているようですが)。

 中山間地域は、道路の整備不足、情報格差がある、病院が遠い、
買い物が不便、銀行や郵便局が無い、学校や文化施設・公共施設な
どの生活インフラが十分でない・・・弱点が多くあるのも事実です。
一方で、中山間地域には、緑豊かな自然環境が広がっており、きれ
いな空気や清らかな水流もあって、人々の「癒やしの空間」になり
得る条件は整っています。また、文化なども数多く継承されており、
これらをうまく生かしていければよいと思うのですが・・・。

 ただ、こういう地域ですので、個人負担、行政コストが掛かり過
ぎる、移住していただく方がよいのではないか・・・要するに中山
間地域に人が住まなくてもよいかという考えが無いわけではないで
しょう。しかし、住んでいる方にとっては愛着のある故郷なのです。
なかなかほかの地域へ行くことはできないと思うのです。

 同時に、人が住まなくなった地域はどうなるか、これは大変です。
まず土地が荒れ土砂災害が発生しやすくなり、有害鳥獣も活動範囲
が広がり、人の生活に悪影響を及ぼすことは必然です。森林の保水
力が低下し、下流地域は利水にも影響が出るでしょうし、流木や土
砂によって水害になりやすくなるはずです。豊かな景観が失われ、
危険も伴うことになりそうです。中山間地域、特に里山は、きちん
と手入れをすることが大切だと言われています。

 こういう中山間地域をどうしたら良いか・・・前にも書いた通り、
決定打を見つけるのは難しい・・・。解決法としては、中山間地域
はきれいな水、きれいな空気を都会の企業・住民に提供していると
いう発想だと、私は思っています。高知県、岡山県をはじめとして、
24の県で採用されている森林環境税の発想ですが、これは県単位
でやっても規模が小さくて駄目だと思います。日本全体で、特に東
京や大阪を巻き込んで、きちんとした目的のある税にして、その税
を中山間地域に資金として投入することが必要だと考えています。

 しかし、今すぐできるとは思っていません。でもいずれは実現し
たいと考えています。それまでの間、どうするか、地域の中でどん
な支援ができるか、真剣に考える時期になっているのです。長野市
域の70%が中山間地域なのですから・・・。
 このテーマはこれから時々取り上げていきたいと考えています。