(ROBOMEC 2008 in NAGANO)
先日、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門主催の
「ROBOMEC(ロボメック)2008 in NAGANO(ロボ
ティクス・メカトロニクス講演会)」という珍しい、でも素晴らし
い大会が長野で開催され、その懇親会にお招きいただきました。こ
の講演会は、平成元年に第1回が開催されたそうで、今回は20年
目の節目の会とのことでした。
この「ロボティクス・メカトロニクス」というのは、あまり聞き
慣れない名前なのですが、「ロボティクス」とはロボット工学、
「メカトロニクス」とは機械工学と電子工学を統合した分野とのこ
と。もともと、この技術分野は、なるべく人手を省き、効率的な生
産システムにしようとする自動化技術の中から誕生し、産業の発展
に貢献してきたものなのだそうです。
そのため、今回の講演会も、今後とも産業発展に貢献できる技術
と工学を創出し続けることを意図したとのことで、「持続的な産業
発展を支えるロボティクス・メカトロニクス」というテーマが設け
られていました。
今回は、信州大学繊維学部の先生や学生の皆さんが組織委員会の
中心となり、運営に活躍されたようです。日本中から若い技術者が
集まってきており、講演会自体には1,500人以上の参加があっ
たそうで、懇親会にも会場いっぱいの方々が出席されていました・
・・・年配のどなたかがおっしゃっていましたが、今日は日本中の
“エジソン”がすべて長野に集まっていると言っても過言ではない
そうで、日本のロボット工学やメカトロニクスに関する最先端の研
究者が交流している、若さあふれる会合でした。
講演会の内容は、門外漢の私にはチンプンカンプンですが、セイ
コーエプソンの生産技術開発本部の福島米春氏と金沢大学医学部教
授の渡辺剛氏による特別講演、いろいろな部門の表彰、そして、さ
まざまな研究を発表する数多くの講演などが3日間にわたって繰り
広げられたようです。
講演の題目をパンフレットから、幾つかご紹介しますと、
「倒れ込み抑制効果を利用した受動歩行規範二足ロボットのアシ
スト制御」
「送り駆動系の微小変異領域での数学モデル」
「機構的優位性を持つヒューマノイドの身体進化」
「レスキューロボットにおけるマルチ生体情報計測システム」
「月面探査ローバの移動機構の検討」
・・・こんな感じの題目がずらりと並んでいます。これらはほんの
一部で、全部で1,000を超える講演があったそうです。私がお
聴きしても恐らく全く分からないのでしょうが、何かすごく大切な
先端技術の研究であるということだけは、感じることができました。
そして、そんな重要な大会を長野で開催していただいたというこ
とも、大変光栄でした。いずれ、この大会の成果が世に出てくるで
しょうから、楽しみです。
(エコマラソン2008長野)
一昨年でしたか、篠ノ井西中学校の部活動で、箕田大輔教諭の指
導の下、エコカーをつくって大会に出場していることを、このメル
マガでも紹介させていただきました。
箕田先生は、現在も、選択授業や部活動で「1リットルのガソリ
ンで何キロメートル走れるか」という低燃費を追求するエコカーを
製作しながら、ものづくりの楽しさ、環境との共生をテーマとする
教育活動を幅広く実践しておられる先生です。
今までの主な活動を、記録から紹介しますと、
・平成16年に3台の車をつくり、その後5台に増やして活動を広
げ、生徒たちの創意工夫と研究により、最高で1リットル当たり
777キロメートルの走行距離を記録(これらの活動が評価され、
トヨタ財団の助成を受けることになったようです)。
・そのおかげで、平成19年には、エコカー発祥の地である英国で
の大会に出場、1リットル当たり976キロメートルの走行距離
を達成(世界の強豪を相手に49チーム中9位の成績)。
・さらに同じ年、広島で行われた「スーパーマイレッジ・カー・チ
ャレンジ」では、1リットル当たり1,269キロメートルの走
行距離を記録。
そして、現在も、さらなる燃費向上を目指して研究を続けている
とのことです。
今後は、篠ノ井西中学校の活動をベースにして、広く全国の中学
生らがチャレンジできるイベントを持続的に開催したいと、大変意
欲的です。
そして、今年の9月13日~14日には、エムウェーブの外周コ
ースを使って、「エコマラソン2008長野」を開催する予定との
こと(主催:エコマラソン長野実行委員会)。さらに、来年以降も
連続開催していこうと意気込んでいます。この大会が、高校野球の
甲子園のように、エコカーをつくっている全国の中学生らが、競っ
て出場を目指すあこがれの大会になっていくと、素晴らしいですね。
箕田先生が平成17年に出版した『モーターボーイズ!』という
本を読ませていただきました。「車づくりに懸けた中学校2年間の
汗と感動の物語」という副題付きで、本の帯には、“お~動いた!
俺たちのつくったクルマが本当に動いたよ!”とあります。
先生の子ども時代の無鉄砲な経験から、マイレッジマラソンとの
出会い、見よう見まねでの車製作、大学院時代の鈴鹿サーキットへ
の挑戦、長野県公立中学校の教員として採用、そして中学生との車
づくりの格闘・・・楽しい、そして先生の情熱の塊が胸を打つ本で
した。
素晴らしい実績はもちろんですが、私が特に感心したのは、地域
全体が篠ノ井西中学校の活動を支持し、応援していることです。こ
れには、学校としての応援態勢や、校長先生、箕田先生の人柄もあ
るのでしょうが、鉄工所の方が古鉄をくださったり、自転車店を経
営する方のアドバイスがあったり、応援団をつくって鈴鹿まで出掛
けたり・・・それがトヨタ財団やホンダなど、地域を越えたさらに
幅広い支援につながっていったのだと思います。
今年度から文部科学省が、「学校支援地域本部事業」という事業
を始めています。この事業では、地域住民による環境整備、学習支
援、登下校安全確保などの活動を通じて、学校支援体制を整備し、
地域の教育力の活性化を図ることを目指しているのですが、すでに
篠ノ井西中学校では実現してしまっているのではないかと私は感じ
ました。