先日、表記の会合を持たせていただきました。
長野市選出の県議会議員さんは10人いらっしゃいます。県議会
全体では57人ですので、人数からするとかなりの割合を占めてい
ることになりますから、長野市の考えをご理解いただくことが大切
だということで、昨年から定期的に開催させていただくことにした
会合です。
当日は、残念ながらお二人が公務のためにご欠席でしたが、8人
の議員さんにご出席いただきました。市側からは、市議会議長、副
議長、市長、副市長のほか、関係部局課長が出席し、意見交換をさ
せていただきました。
今回は、その懇談でのテーマと市側の見解を中心に、報告させて
いただきます。
まず、県議会議員さん側から、「長野県短期大学(県短)の4年
制大学への移行について」提案がありました。
このテーマは、村井県知事誕生以来お願いしている・・・という
より、何十年も前からの長野市の“悲願”というべきものであり、
県議会議員さんから提案していただいたことは、大変ありがたいこ
とでした。
以下、この問題について長野市の見解をまとめて記します。
・県短の4年制大学移行に対する長野市としての見解について
道州制についての議論などもいよいよ本格化し、大きな流れとし
て地方分権が進むなか、長野市は地方の中核都市として、文字通り
その「拠点性」をこれまで以上に向上させていく必要があります。
そのための方策の一つとして、大学などの高等教育機関立地による
都市機能の充実という点が挙げられると考えています。
地方中核都市の拠点性という面では、金沢市、熊本市などが、そ
の好例として挙げられます。金沢市は8大学(短期大学含む)・学
生数約19,000人、熊本市は9大学(短期大学含む)・学生数
約26,000人となっており、こうした大学の存在が地域のにぎ
わいという面だけでなく、都市としての活力維持に寄与していると
ころは大きいと考えています。
長野市は、6大学(短期大学含む)・学生数約5,000人。多
くの若い学生が市外・県外へ流出しているのが現状です。
また、長野市には、信州大学工学部、長野工業高等専門学校(長
野高専)などの技術系学部や、信州大学教育学部、清泉女学院大学・
短大、県短などの教育系学部などが存在していますが、政治・経済・
経営系学部が少ないということが指摘できます(県内には信州大学
経済学部などもありますが、長野県全体としてもこの分野はもっと
必要だと思います。特色を求めるならスポーツや観光分野も欲しい
ところです)。
長野市では現在、産学行連携を進めるために、県短をはじめ、信
州大学や長野高専と包括連携協定を締結し、各大学とのつながりを
強めていますが、政治・経済・経営系の分野が弱いということは日
ごろから感じている点です。
一方で、少子化の影響から、私立大学などで入学者の定員割れと
いった事態が散見される「大学冬の時代」のなか、新たに4年制大
学を誘致することは、非常に難しいと判断していることも事実です。
現状では、県短のこれまでの実績と評価に根ざした伝統の力「県
短ブランド」を生かし、加えて4年制に移行(併設というべきかも
しれません)していくことがもっとも現実的であり、大学としての
発展も期待できる考え方・進め方であると考えています。
ただ、現在は「県立」として立派に運営されており、評価も高い
短大ですから、現段階で長野市あるいは外部からいろいろ申し上げ
ることは礼を失することであると承知しています。今後、持続可能
で、魅力ある大学としてのデザイン設計は、こうした長野市として
の主張を理解していただき、県短の将来性を考えた上で、まずは県
において検討していただく必要があると考えています。
その際に、求められれば長野市は、県短が所在している自治体と
して、そうした調査・研究に参画させていただき、場合によっては
財政面も含め側面から支援させていただく立場であると考えていま
す。
ただ、県立である以上、長野市が直接的にお手伝いするわけには
いかないことも事実です。結局、長野市がお手伝いさせていただく
ためには、資本や運営などに市の参加が可能になる「独立行政法人
化」が必要であると思っています。
財政面の話とすれば、「ぜひ大学を誘致したい」という悲願実現
のため、市議会の議決を経て、故柳原元市長の時代から数年間にわ
たって基金を積み立ててきました。
これは、大学を誘致するには、おそらく100億円ぐらい用意し
なくてはいけないだろうという話から積み立ててきたのですが、誘
致できる可能性が低くなったことから、現在は追加の積み立てを停
止しています。この基金からは、清泉女学院大学ができる時に1億
5千万円を拠出しただけですから、現在は、おそらく13億5千万
円ぐらい残っているはずです。
議会の議決を経なくては、はっきりとは言えませんが、県短の4
年制移行に向けた支援の一環として使うことは、目的に合致してい
ると考えています。
以上のことのほか、県の包括外部監査や県短の同窓会の動向など
も含めてまとめますと、
(1)長野市としては、拠点性を高め、活性化を求め、県民の学習
熱に応える必要性から、また、大学生の県外流出が多いという
状況から、4年制大学を熱望している。ただ長野市単独では不
可能である。
(2)県の包括外部監査の意見にあるとおり、短大は長期的に考え
た場合には衰退の可能性がある。そこで清泉女学院短大が清泉
女学院大学を併設した前例は、大変参考になる。
(3)県の責任で移行ができればありがたいが、現在は財政的に厳
しく、難しいと思われる。長野市としては、できる範囲でお手
伝いをしてでも実現したい。
(4)六鈴会(県短同窓会)も、過去熱心に陳情を繰り返している。
(5)県の動きを注視し、期待している。
以上が長野市の見解であり、議員さん方にもおおむねご理解いた
だけたと思っています。
懇談会では、県短の問題に続いて、長野市側の提出議題を一括し
て説明させていただきました。
(1)テレビ難視聴地域解消事業補助金の交付について
(2)持続可能な地域公共交通の再構築について
(3)中山間地域活性化のための取り組みについて
(4)地球温暖化対策の推進について
(5)商工団体の統合について
(6)東環状線の4車線化および五輪大橋の無料化について
(7)県道塩崎バイパス全線供用開始について
(8)市営水道と県営水道との統合について
(9)善光寺御開帳について
(10)「ながの御穀膳」について
項目が多くて恐縮ですが、読んでいただければ、ご理解いただけ
ると思いますので、詳細は省かせていただきます。
いずれも県と長野市の関係において、市としてぜひお願いしたい
こと、あるいは検討していただきたいことをお話させていただきま
した。もちろんこのほかにも、例えば並行在来線や県道の問題など、
大きな問題もあるのですが、十分お分かりいただいていることです
ので、今回は上記の10項目に絞って話題にさせていただきました。
県都である長野市は、長野県との協力関係が欠かせません。また、
長野市だけのエゴと思われることは、遠慮しなくてはならないと自
戒しながらも、県議会議員さん方と協力して、素晴らしい長野市、
そして、素晴らしい長野県をつくるために努力する決意です。
なお、9月1日に県議会文教企業委員会の議員さん方が県短を現
地視察されました。これに合わせて私も県短にお伺いして、県短の
4年制大学移行に関する陳情書をお渡しし、前述の趣旨を委員会の
議員さんに説明させていただきました。
当日は、県短の同窓会である六鈴会の会長さん方もお越しになっ
ており、県外への学生の流出を防ぎたいといった主旨で、同じく県
短の4年制大学移行について陳情していらっしゃいました。
長野市や同窓会の思いをぜひご理解いただき、悲願の実現に向け
て、一歩でも二歩でも前進させていただきたいと願っています。