この定例会に関連した内容について、幾つか報告させていただきま
す。
(1)市議会での質問に「一問一答方式」が導入されました。
「一問一答方式」は、現段階ではまだ試行ということですが、市
議会の議論の活性化と分かりやすい議会運営を目指し、従来の「一
括質問・一括答弁方式」に加えて、新たに導入されました。どちら
の方式で質問するかは、質問する議員さんが選択することになって
います。
「一括質問・一括答弁方式」というのは、従来から行ってきた方
式で、はじめに議員さんが質問項目すべてをまとめて質問し、その
後、市長や各部局長などの執行部局側が質問項目について順次回答
する方式です。「一問一答方式」が加わった今回の議会でも、質問
議員18人のうち、7人の議員さんがこの方式を選択されました。
今回から導入された「一問一答方式」は、文字どおり1つの質問
項目ごとに執行部局側が回答するもので、これを制限時間の中で繰
り返しながら議論していく方式です。
この方式を選択されたのは、11人の議員さんでした。今回は、
議員さん・執行部局側ともに、まだこの方式に慣れていないという
こともあるのでしょう、それほど議論が活性化したということはな
かったように思いました。
ただ、質問に対してすぐに回答があるので、議場で傍聴されたり、
ケーブルテレビや市のホームページで議会の様子をご覧になったり
していた皆さんにとっては、分かりやすい部分もあったのではない
かと思います。
逆に、今回はそのような例はなかったのですが、執行部局側の当
意即妙の回答が増える可能性もあります。質問事項を十分検討して、
責任を持ってきちんとお答えするというのがこれまでの趣旨だった
のですが、今後、場合によっては、本来回答すべき内容から遠い回
答をしてしまう可能性もありそうです。執行部局としての資質もこ
れまで以上に問われることになります。
また、議員さんの質問数が多すぎて、時間内で収まらない場面が
多かったように思います。これには、執行部局側の回答が長すぎる
ことも要因の一つでしょう・・・しかし、長くなるのは、小泉元首
相のようなワンフレーズ・ポリティクスだと、質問者に納得してい
ただくのが難しいのではと考えてのことでもあるのですが・・・。
時間内に収めるためには、質問時間だけを制限して、回答時間は
フリーにするという方式の検討にも余地がありそうです(私は、執
行部局側には反問権があっても良いのではないかと思っています。
ただし、その反問に対する議員さんの回答時間の制限をどうするか
という問題もありますが・・・)。
「一問一答方式」の試行は12月市議会でも行うということです
ので、いろいろな場面を想定して研究していく必要があると思って
います。
(2)市議会議員の政務調査費を減額することになりました。
政務調査費は、議員さん個人に支給されている報酬とは別に、市
議会の各会派に対して交付している議員さんの調査・研究費であり、
議員一人当たり月額9万7千円が認められています。
この金額はそれぞれの市町村によって違っており、長野市の金額
は、同規模の中核市と比較すると中ぐらいなのですが、長野県内の
市で比較すると、圧倒的に高いことは事実です(中核市の平均は約
10万7千円。最高が東大阪市と熊本市の20万円、最低が豊田市
の3万1千円余。県内19市の平均は約1万4千円、長野市に次い
で高い松本市は2万円余です)。
長野市では、年2回、各会派に半年分の政務調査費をまとめて交
付し、年度末に精算することになっています。
昨年度の下半期に、各会派が実際に使った金額は、議員一人当た
りの月額に換算すると新友会5万3千円、共産党市議団8万4千円、
公明党市議団9万6千円、政信会8万3千円、市民ネット4万6千
円であり、予算額である一人当たり月額9万7千円と比較して、か
なり余らせていることは事実です。そして、余った分は市に返還さ
れており、翌年に繰り越すことはできないことになっています。
政務調査費の減額については、昨年の12月に市議会の中に「政
務調査費等検討委員会」が設けられ、検討されてきました。委員会
の中では熱心な議論があったようですが、市議会の各会派が主張す
る金額にはかなりの差があり、残念ながら意見は一致せず、その差
は埋まらなかったようです(ちなみに、最終的に各会派が主張され
ていた金額は、新友会6万円、共産党市議団8万5千円、公明党市
議団・政信会7万7千円、市民ネット8万2千円ということだった
ようです)。
議論は、今回の定例会の間も続けられ、最終的には、正副議長さ
んと議会運営委員会の正副委員長さんがまとめた「議員一人当たり
月額8万5千円」の案が全会一致で了承されたようです。また、附
帯事項として、今後も適時に金額を見直すことや、政務調査費の透
明性の向上、議員としての調査・研究活動の充実についても盛り込
まれたそうです。
政務調査費の金額を正式に変更するためには、市が設けている特
別職報酬等審議会の意見をお聴きし、その後、条例を改正するとい
う手続きを踏むことになるのですが、私としては、できることであ
れば、まず、議員さんの議論の中で金額や方向性を示していただく
ことが一番良いと思っていました。その意味で、今回、議会として
結論を出されたことは、とても良かったと思っており、附帯事項と
して盛り込まれたということで透明性の向上や調査・研究活動の充
実にも大いに期待したいと思っています。
(3)長野市・信州新町・中条村の合併協議会を設置することが議
決されました。
今回の合併については、今年1月に信州新町と中条村で住民意向
調査が行われて以降、2月には、両町村から長野市に対しての合併
協議の申し入れ、3月には3市町村での合同研究会の設置、という
経過で進んできました。
合同研究会は、合併するかどうかの判断材料を事務レベルで作る
ために設けた研究会です。研究会は、3月から8月までの間に常に
公開で9回開催し、約1,300項目の調整・協議を行ってきまし
た。
その間、市民の皆さん、市議会へもあらゆる情報を提供してきま
した。合同研究会での協議内容は、ホームページや広報ながのなど
でお知らせするとともに、「元気なまちづくり市民会議」や5会場
で開催した「市町村合併に関する市民会議」において、今回の合併
について説明させていただき、ご意見をお聴きしてきました。
市民会議では、私から直接ご説明させていただき、質問などにも
お答えしてきているのですが、ご質問やご意見の内容・趣旨などか
らすると、今回の合併を進めていくことについては、おおむねご理
解いただけたのではないかと思っています。
9月5日(金)には、信州新町の中村町長、中条村の久保田村長
にお越しいただき、合併協議会設置に向けた市町村長会議を開催し
ました。この会議は、これまでの合同研究会の協議結果を踏まえ、
今後さらに合併に向けての手続きを進めるか否かについて意見を交
わすために開催したものです。両町村長さんからは、「今後さらに
合併協議を進める」、「9月議会に合併協議会設置の議案を提出す
る」との意向が示されたことから、長野市としても同様の対応をと
ることをお伝えしました。
そして、今回の定例会に、追加議案として「合併協議会設置」と
「それに伴う補正予算」について提案し、議決いただきました。
信州新町・中条村の両町村議会でも合併協議会設置議案が可決さ
れたとのことですから、今後、3市町村の合併協議会を設置し、合
併するか否かの議論を始めることになります。
(4)市議会初の女性副議長が誕生しました。
今回の定例会の最終日、祢津栄喜議員が副議長を辞職されたこと
に伴い、議員さんによる副議長選挙が行われ、小林紀美子議員が第
53代副議長に当選されました。明治30年の長野市議会発足以来、
初めての女性副議長の誕生です。
さまざまな分野で女性が活躍されている現代社会の中にあって、
初めて女性副議長が誕生したというのは、少し遅いような気がしな
くもありません。しかし、今回それが実現したのですから、喜ばし
いことだと思っています。
小林副議長には、さまざまな形で市議会に新たな風を吹き込んで
いただけることを期待しています。
このほか、議員さんからいただいたご質問とそれに対する執行部
局としての回答など、今回の定例会に関しては、まだ、お知らせし
たいと思うことはあるのですが、今回は、以上の4点について報告
させていただきました。