2009年1月29日木曜日

うれしい報告がありました


 先日、NPO法人「ながのこどもの城いきいきプロジェクト」の
皆さんから、もんぜんぷら座にあるこども広場「じゃん・けん・ぽ
のまち・くらしづくり活動賞」の子育て支援活動部門に応募したと
ころ、「内閣官房長官賞」を受賞されたのだそうです。

 この「あしたのまち・くらしづくり活動賞」という賞は、財団法
人あしたの日本を創る協会、読売新聞、NHKなどの共催により、
地域の課題を解決するために取り組んでいる市民の活動などを顕彰
するために毎年実施しているのだそうです。
 この賞には、子育て支援活動部門以外にも、まち・くらしづくり
活動、企業の地域社会貢献活動という部門もあり、部門ごとに内閣
総理大臣賞、内閣官房長官賞各1件のほか、主催者賞などがあると
のこと。今回、報告に来ていただいた「ながのこどもの城いきいき
プロジェクト」の皆さんからは、「内閣総理大臣賞をもらいたかっ
たのですが・・・」と、ちょっと遠慮気味に話がありましたが、実
質2位の賞なのですから素晴らしいものです。

 「ながのこどもの城いきいきプロジェクト」は、平成9年に市内
の小児科医有志を中心に発足した会が前身で、乳幼児を持つ親と子
の子育てサロン、こどもの心とからだの相談室などの活動をしてき
たNPO法人で、「じゃん・けん・ぽん」を開設当初の平成15年
6月から(平成18年4月からは市の指定管理者として)運営して
いただいています。
 この皆さんからは、私が市長に就任した当時から“こどもの城”
の必要性などについて要望をいただいてきましたから、活動経過な
どはある程度理解しているつもりでした。ただ、今回いただいた資
料を拝見し、認識を新たにしたこともありましたので、ここで少し
ご紹介させていただきます。

 会の設立のきっかけは、前理事長で小児科医の有吉徹先生が「診
察に来る子どもたちや親の様子がおかしい」と問題提起したことに
始まるのだそうです。
 それは、「母親が仕事と家庭との両立に悩んで疲れ果て、それが
子どもに影響して夜泣きなどの症状となり、診察を受けに来る例が
増えているのではないか」というもの。そして、「これは、小児科
医だけでは受け止められない。対応するには、ほかの職種の人たち
とも一緒になって、東京の青山にある“こどもの城”のような子育
て支援拠点を長野にもつくる必要がある」という考えを話したとこ
ろ、ほかの小児科のお医者さんの意見も一致したのだそうです。

 その後、長野市ボランティアセンターを拠点に子どもに関する課
題に取り組んでいた「こどもプロジェクト」の方々とも合意し、一
緒に「ながのこどもの城づくりを進める会」を設立、活動が開始さ
れました。NPOとしての法人格を取ったのは平成14年とのこと
です。

 会では、乳幼児を持つ親と子の子育てサロン、こどもの心とから
だの相談室の開催に加え、学習会の開催や情報誌の発行、子育て中
の親の意識調査も行うなど、設立当初から精力的な活動をされてき
ました。さらに、市に対しては「こどもの城」の必要性を提案して
いただいてきたのです。当時は、決まった活動拠点がなかったこと
から、ふれあい福祉センターの会議室などを利用していたそうです。

 そして、平成14年に市がもんぜんぷら座を取得したことにより、
会の提案がようやく実を結び、長野市版の“こどもの城”、こども
広場「じゃん・けん・ぽん」が誕生することになりました。
 「じゃん・けん・ぽん」の運営では、それまでの活動と会のネッ
トワークを生かして、小児科のお医者さんをはじめ、助産師、栄養
士、臨床心理士、保育士、歯科医師など、専門家の支援体制やほか
の団体との連携関係をつくり、相談の場を設けたり、さまざまな情
報を提供したりするなど、積極的な事業展開をしていただいていま
す。単に、乳幼児と保護者のための遊びと交流の場、というわけで
はないのです。

 また、「子育て中のお母さんのためのリフレッシュ講座」、「休
日マタニティーセミナー」、「こどもの活動に取り組む人材育成事
業」、「チャイルドライン事業」など、新規の取り組みにも積極的
です。

 今回は、これらの一連の活動が評価されたようです。やや難解で
すが、「内閣官房長官賞」の受賞理由には、「地域住民の子育て課
題に対し、子育て支援活動を地域住民と心通う連携により、専門職
のスキルを活用し、より健やかで安心安全な子育て、より科学的な
子育てのために効果的に機能しており、子育て支援のモデルである」
と書かれていました。

 「じゃん・けん・ぽん」開設以来の利用者は、昨年の3月に30
万人を超え、現在すでに35万人に達しています。この数は、「な
がのこどもの城いきいきプロジェクト」の皆さんの取り組みが、い
かにニーズをとらえた事業であったのかを証明していると言えるで
しょう。
 私も、仕事でもんぜんぷら座に行った際には、ガラス越しにのぞ
いて見るのですが、いつもにぎわっていると感じています。また、
利用者の皆さんからも高い評価をいただいているようです。「じゃ
ん・けん・ぽん」は、小さなお子さんを持つお母さんたちのよりど
ころとして、大変有意義な場所になったのではないでしょうか。

 ただ、当然と言えばそうですが、お聞きしますと、このようにな
るまでには、さまざまなご苦労もあったとのことで、行政を巻き込
むことも大変だったようです。行政の壁が厚く、聞き入れてもらえ
ないことも多く、根気強く話をしていただいたそうです。

 さまざまな視点から、行政の子育て・子育ち支援が求められる今
日ですが、この施設が長野市にあることは、「ながのこどもの城い
きいきプロジェクト」の活動なくしては語れないと思っています。
もっと言えば、「ながのこどもの城いきいきプロジェクト」の活動
がなければ、長野市のこども広場は、まだ誕生していなかったかも
しれません。
 小児科のお医者さんの問題提起から、市民有志の皆さんの活動に
発展し、行政を巻き込んできたこの活動はとても素晴らしいと思い
ますし、それが評価されたことは、長野市としてもとてもうれしい
ことです。

 平成22年度からは、住民自治協議会での活動が本格的に始まり
ます。住民自治協議会では、これまでも、地域の課題を解決するた
めの独自の活動に取り組んでいただいています。そのような活動が、
今回の「あしたのまち・くらしづくり活動賞」でも評価していただ
けるようになれば、活動の励みになると思っています。

 なお、市内には、篠ノ井こども広場「このゆびとまれ」という、
「じゃん・けん・ぽん」と同様の施設がもう一つあります。こちら
の運営は、現在のところ市の職員による直営ですので、私とすれば、
早くこの施設にも指定管理者制度を導入したいのです。
 市としての正式な手続きは、これからですが、「ながのこどもの
城いきいきプロジェクト」のように積極的な団体が名乗りを上げて
くださることを期待しています。