2009年2月5日木曜日

臨時市議会を開催します


 国会で第二次補正予算が決まったことを受けて、それを執行する
ため、そして、その準備もあることから、本日、急きょ市議会臨時
会を開催することになりました。景気が極端に悪化、さらに急速に
落ち込んでいくという予測もある中で、長野市として何ができるか
悩んできたわけですが、市町村の力でできることは、規模も小さく、
限られてしまうということで、迅速な手段はなかなかとれない状況
が続いてきました。

 そこへ、国の第一次に続いて第二次補正予算が決まったのですか
ら、政策の当否は別として、とにかく早く取り入れて、少しでも生
活の安定と景気の回復に役立てたい、そんな思いで取り組んできた
わけです。

 景気の悪化について、若干状況をお話しします。
 1年前の今ごろ、確かにサブプライム問題は表面化していました
が、景気の落ち込みはそれほどでもなく、雇用問題もそれほど深刻
では無かった、今とは全く違う状況でした。6月ごろでしたか、私
にも、このメルマガで、サブプライム問題について生意気な議論を
する余裕があったように思います。
 9月にアメリカの大手証券会社リーマン・ブラザーズが倒産した
ことが直接のきっかけだったでしょうか、アメリカだけでなく、日
本、ヨーロッパ、そしてアジアの新興国まで、経済状況は大変なこ
とになってきました。

 デカップリング論というのがあるそうです。アメリカの景気が悪
くなっても、中国、インド、ブラジルなど、新興国の経済は好調で
多極化している、だから問題ないと言う説だそうです。しかし開け
てみたら、アメリカの輸入量にみんなが頼っていた、まさに一極集
中だったことを証明してしまったわけです。
 麻生首相がダボス会議で、アジアの成長力を強調されていますが、
それが現実になるには、まだ時間がかかるというのが実感です。

 この不況は、特にモノづくりの現場に強く現れているように思い
ます。流通業は、ある品物が売れなくなれば何とか売れるものを探
す努力をして、付加価値を上げ、生き残りを目指すことが可能かも
しれません。しかし、モノづくりの現場には生産設備がありますか
ら、簡単に転業はできません。好調な時は利益が上がりますが、注
文がなくなると利益は極端に減ってしまう、親会社の動向によって
はゼロになってしまうことさえ考えられるわけです。モノづくり企
業の難しいところでしょう。

 もちろん輸出企業にとっても、円高が進行していますから(円高
だけでなく、世界不況で需要が落ちていることもありそうです)厳
しい状況です。モノづくり・輸出産業・・・これが日本の中心産業
と言っても言い過ぎではないのですから、日本全体が苦しくなって
しまったと言ってよいのでしょう。

 不景気の波は、長野市にも当然押し寄せてきています。長野県の
スケールで見ると、中南信の不況は長野市より深刻なようです。そ
れは、モノづくり産業が圧倒的に多いからだと言われています(山
高ければ谷深し、ということかもしれません)。
 そういう意味では、長野市はモノづくりが弱かったが故に、中南
信と比較すれば、今のところ不況の影響は少ないとも言えるのでし
ょう。

 しかし、1月末になって、ある金融機関のトップが来庁され「長
野にも容易ならざる事態が起きている、企業にお金が無くなってき
ている、『New Money』を用意できないだろうか」との相
談がありました。金融機関のトップが乗り出してこられるというの
は、おそらく初めてだろうと思います。それだけ深刻であると、私
も認識しました。

 今回提案する補正予算には、長野市として精一杯の景気対策(も
ちろん国の政策の応援もあってのことです)を盛り込んだつもりで
す。ただ、景気を良くするためには、市内のお金の回りを良くする
と同時に、広い意味での公共事業の拡大が一番効果があると思うの
ですが、これは、急には難しいということを理解していただきたい
と思います。
 なぜなら、公共事業は、例えば道路一つとっても、その必要性の
検討・合意、地権者交渉、設計、入札など、工事開始前に十分な準
備をしないとならないのです。ましてや、これから建て直そうと考
えている市役所第一庁舎は、景気を考えれば一日も早く発注したい
のですが、おそらく、準備に2年ぐらいかかるのではないかと感じ
ています。
 すなわち、準備が完了しているものしか発動できないが故に、新
年度予算で計画している事業を前倒しして、ここで補正予算に入れ
ることが精一杯ということになるわけです。

 問題の定額給付金ですが、以前のメルマガでも書かせていただい
たとおり、政策の当否は別として、緊急事態にあるわけですから、
市民のためには一日も早く給付すべきです。故に、国会のねじれ現
象から実現にはまだ時間がかかりそうですが、可能になったらすぐ
給付できるように、準備のための予算を補正予算に組み込みました
(後で国が補てんしてくれるはずです)。
 この給付金には、子育て応援特別手当もあって、長野市全体では
約61億円に上るとのことです(前に書いたときは、58億円余と
申し上げたかと思いますが、それは子育て応援分を含んでいない数
字でした)。
 政府は、何をやっても、多分“ばらまき”と批判されるのですか
ら、こうなれば自信を持って、できるだけ早く市民の皆さんにお届
けできるようにしていただきたい。効果が無いなんてことは、絶対
に無いと思います。

 この定額給付金について、一つお願いがあります。予算が執行さ
れましたら、遠慮なくお受け取りください。分かりづらい話で申し
訳ないのですが、これは市民お一人お一人に給付されるものですか
ら、もし、遠慮されて受け取らないという方が出ますと、その方の
分は長野市のものになるのではなく、国へ返金することになってし
まうのです。ですから、そんなお気持ちがある方は、受け取った上
で有効にお使いいただくか、長野市にご寄付いただければ(ふるさ
と納税制度もご利用いただけます。そのほか、福祉団体などでも結
構です)、それはそれでありがたいなあと思っています。

 そのほか補正予算には、中小企業の資金繰りに対する応援分も含
んでいます。そして、補正予算の総額規模は、15億7,608万
円です。