連休前のことになりますが、4月20日から28日まで、姉妹都
市アメリカ・クリアウォーター市を訪問してきました。昨年、姉妹
都市提携50周年ということで、同市からヒバード市長、市議会議
員の皆さんなどによる訪問団をお迎えしましたので、今回はその答
礼の意味もあって、三井市議会議長、堀内教育長、そして公募によ
る市民訪問団の皆さんと一緒に訪問してきました。
成田からダラスで乗り換えてマイアミ空港へ。飛行機が4時間以
上も遅れ、少々疲れましたが、翌日は、クリアウォーター市と同じ
フロリダ州のマイアミ市で農業視察をさせていただきました。
温暖な気候、広く平坦な土地、民間活力を最大限生かした産業づ
くり・・・。その多くは、日本でまねすることは、かなり難しいで
しょうが、一つ、観賞用の魚の養殖に興味が引かれました。
マイアミ・デイド郡の担当者の案内で見せていただいたのは、ア
ンジェル・ハチェリーという孵(ふ)化場です。ここでは、日本の
錦鯉もたくさん飼っていましたが、アフリカのタンガニーカ湖に生
息する「アフリカン・シクリッド」と総称される小さくきれいな魚
など、さまざまな観賞魚をたくさんの水槽の中で養殖していました。
世界中から観賞用の魚を取り寄せて、卵から孵(かえ)して成長さ
せ、世界中に出荷しているのだそうです。
従業員は、ご主人夫婦を含めて6人ぐらいということでしたので、
家内工業的な経営と言っていいのでしょう。はっきりとはお答えい
ただけませんでしたが、結構もうかっているようです。販路さえ確
保できれば、規模的には中山間地域向きの産業として有望かなあ・
・・そんなことも感じました。
ご主人は、日本の有力な養殖関係者とコラボレーションしたいよ
うなことをおっしゃっていましたし、錦鯉の産地として有名な新潟
県の旧山古志村(長岡市)にも行ったことがあるとのことでした。
マイアミではこのほか、クリアウォーター市を含むフロリダ州を
管轄する在マイアミ日本国総領事館を表敬訪問し、並木総領事と懇
談させていただきました。
並木総領事のお話によりますと、フロリダ州には、日本の自治体
と姉妹都市提携をしている都市が大変多く、9都市もあるそうです。
ただ、長野市とクリアウォーター市のように、毎年継続的に交流を
続けている都市は極めてまれで、総領事館としても、大切に支援し
ていきたいとのお言葉を頂きました。
そういえば、前回、45周年を記念して訪問した時にも、当時の
総領事さんがクリアウォーター市まで来てくださったことを思い出
しました。
クリアウォーター市での、市および同市姉妹都市協会が主催した
式典や会議には、ヒバード市長や4人の市議会議員をはじめ、多く
の市民の皆さんが集まってくださり、友好と親善を深めることがで
きました。
特に感銘を受けたのは、平成19(2007)年の夏、交換留学
高校生として長野市を訪れたベンジャミン・ポップ君から、りゅう
ちょうな日本語で歓迎のあいさつを頂いたことです。彼は、長野市
を訪問したことで日本が好きになり、帰国後に進学した大学で日本
文化を専攻し、一生懸命日本語を勉強したのだそうです。将来は、
どんな形でもいいから長野市で働きたい、そんな希望も語ってくれ
ました。
両市の交流が、生き生きと根付いていることを知り、大変うれし
く感じました。
50周年を記念して製作した六文銭をあしらった「赤い甲冑(か
っちゅう)」の贈呈式では、市民訪問団の一員として参加してくだ
さった北沢さんがはかまと着物に着替え、英語で甲冑の説明をして
くださいました。北沢さんは、松代で文化財ボランティアとして来
訪客の案内をされているとのことで、豊富な知識を生かした素晴ら
しい英語解説に、盛大な賞賛の拍手を浴びていました。
この記念品ですが、40周年の時は、長野市から善光寺の梵鐘
(ぼんしょう)を模した「鐘」をお贈りしています。50周年を記
念した今回も、日本ならではの、そして節目の年にふさわしいイン
パクトのある品をと考え、海外でも人気のある「サムライ」をイメ
ージする甲冑の複製をお贈りすることにしたものです。
今回、市民訪問団として参加してくださったのは、北沢さんのほ
か、団長を務めていただいた馬場さんをはじめとした8人の皆さん
です。皆さんそれぞれの思いを胸に、公式行事やホームステイを体
験され、さまざまな形で交流を深めていただきました。
このたびの訪問に際し、半世紀にわたる両市の交流をあらためて
振り返って感じたことは、今回参加してくださった皆さんをはじめ、
多くの市民の皆さんに支えられてきたということです。特に、当初
から両市の交流を支えてきていただいた長野国際親善クラブの小出
会長さんには、感謝申し上げなければいけないと思っています。
交流行事の合間には、クリアウォーター市があるピネラス郡内お
よび周辺の環境政策に関する施設をいろいろ見せていただきました。
視察したのは、ごみ焼却施設、汚水処理・肥料製造施設、そしてタ
ンパ湾の水質浄化の状況などです。
処理方法などは、長野市と大きな違いは無いようですが、ごみの
焼却灰を丘のように野積みにしていることが大きく異なりました。
広大な土地があるからできるのだろうなと、国情の違いを感じまし
た。また、汚水処理により発生する汚泥を肥料として販売している
こと、そして、その製造施設の大きさにも驚きました。
クリアウォ-ターからニューヨークへ。
メトロポリタン美術館は、私にとって2度目の訪問でしたが、や
はり時間が足りませんでした。果たして、ゆっくり見る機会はある
のでしょうか。
そして、グラウンド・ゼロ。複雑な思いでした。すでに新たな開
発が始まっていましたが、あまりにも多くの命を奪った現場である
が故に、遺族の理解がなかなか得られなかったそうです。亡くなら
れた方々のご冥福をお祈りするとともに、本市の平和都市宣言でも
掲げている「全世界の恒久平和を希求する」という思いを新たにし
ました。
ニューヨークで印象に残ったことは、大きく二つです。中心街の
マンハッタンでは、ほとんどの道路が一方通行であること。そして、
いわゆる「イエローキャブ」しか市内のタクシー営業ができないこ
と・・・これらをそのまま導入したいということではありませんが、
公共交通の再生と自家用車の在り方を考える上で、このような考え
方は長野市でも参考になるかもしれないと思っています。
日本に戻って連休に入り、中央通りを中心に善光寺花回廊が開催
されました。
5月2日のオープニングセレモニーでは、実行委員長である長野
商店会連合会の渡辺会長、顧問である長野商工会議所の加藤会頭と
一緒に参加させていただきましたが、中央通り一帯は大変な人出で
した。長野の春の風物詩としてすっかり定着してきたようです。
この中央通りですが、数年前から市民の皆さんと研究を進めてき
た結果、本年度から大改造に着手することになっています。完成す
れば、さらに歩行者に優しい道路になりますし、花回廊をもっと盛
り上げることができるはずです。
5月3日、中条地区で虫倉山開山祭が行われました。信州百名山
の一つである虫倉山。合併前から一度登ってみたいと思っていまし
たが、チャンスがなかったのです。開山祭には、地元から招待を頂
いて出掛けました。
この日の登山には、遠方からも含めて350人もの人が参加され
たようです。今年は、登山道が改良され山頂へのアクセスがよくな
ったそうですが、大変険しいコースや、楽に登れるコースなど、何
本も登山ルートができているそうです。
そして、開山祭もさることながら、この日、中条地区では、地区
を挙げて「さぁさ、よっとくらえ 長野市中条 となりの村の道め
ぐり」というお祭りに取り組んでおられました。天気に恵まれ、北
アルプスの見事な景色を背景に、菜の花が咲き乱れ、こいのぼりが
泳ぐ・・・おいしい手打ちそばと山菜料理、素晴らしい雰囲気を堪
能しました。
地区内10会場でさまざまなイベントが繰り広げられていたので
すが、特に、第5回信州発動機運転会というイベントにはびっくり
しました。うまく表現することはできませんが、愛好家の皆さんが
それぞれ自慢の昔のエンジンを持ち寄って、廃校になった小学校の
グラウンドで動かしているのです。私個人とすれば、人生観が変わ
るような錯覚に陥りました。
この「となり村の道めぐり」、1日だけではもったいない・・・
もっと長い期間開催できる要素を持った魅力あるお祭りだと感じま
した。