長野オリンピック記念基金からの助成が平成21年度で終了した
ことは、以前も報告させていただきましたが、長野市ではこの基金
に替わる新たな基金の創設を考えています。今回は、このことにつ
いて書かせていただきます。
長野市では、第四次総合計画において、「スポーツを軸としたま
ちづくりの推進」を重点施策の一つに掲げ、オリンピックを契機に
得たスポーツに関する豊富な資源を生かし、国際大会や全国大会な
どのスポーツ大会を開催するとともに、市民が気軽にスポーツを楽
しめる環境づくりを推進しています。
中でも、オリンピック開催都市として、長野オリンピックの歴史
を後世に伝え、子どもたちに夢と希望を与えるためにも、また、エ
ムウェーブ・スパイラルの両施設がナショナルトレーニングセンタ
ー(NTC)に再指定されたことからも、両施設をはじめとするオ
リンピック施設を活用して、自他共に認める“ウインタースポーツ
の拠点”を目指したいと考えています。そのためには、新たな基金
の創設が必要だと思っています。
長野オリンピック記念基金は、オリンピック開催によって生じた
剰余金46億8,422万円を長野県の基金として積み立てて運営
されてきたもので、長野オリンピックを記念した事業の実施や冬季
スポーツ競技大会の開催への助成など、スポーツの振興に重要な役
割を果たしてきました。
この基金の運営に当たってきたのは、平成10年12月に設立さ
れた長野オリンピックムーブメント推進協会です。協会では、基金
から毎年4億円程度を補助金として受け、それを活用して長野市や
長野県内をはじめ、北海道や青森県で開催された競技大会などへ助
成してきました。
長野市関連では、おおむね毎年2億円程度の助成金を頂いてきま
した。これまでの主な活用実績としては、スピードスケートワール
ドカップや世界フィギュアスケート選手権など冬季スポーツを中心
とする競技大会開催のほか、長野オリンピック記念長野マラソン、
長野灯明まつり、オリンピックデーラン長野大会など、オリンピッ
クムーブメントの普及事業の実施、スパイラル・ビッグハットを使
用した選手強化育成事業などがあります。
しかし、長野オリンピック記念基金の残高が少なくなったことか
ら、平成21年度をもって基金からの助成事業は終了となってしま
いました。
一方、NTC指定により、アイスリンクの製氷費用や施設維持に
かかわる光熱水費、トレーニング機能にかかわる費用、選手強化に
かかわる人件費などが国から助成されることになります。しかしな
がら、施設維持費全額というわけにはいきません。長野市の負担も
かなりの金額になっています。
“ウインタースポーツの拠点”を目指すために、長野市が行って
きた主な取り組みは、大きく次の3点です。
(1)全国中学校スケート大会の10年間継続開催
平成19年度から10年間、全国中学校スケート大会を長野
市で開催することになっています。これにより、スケート競技
の普及と選手強化を図る予定です。
この大会は、現在、日本のトップアスリートとして活躍して
いる多くの選手が、中学生時代に出場して優勝した大会であり、
長野市内のジュニアの選手たちも、この大会への出場を目標に
してもらいたいと思っています。
そして、長野市出身の強い選手を生み出すこと、さらには、
大会中エムウェーブやビッグハットをお客さんでいっぱいにす
ることができれば、素晴らしいのですが・・・。
(2)国内外トップレベルの大会の計画的な誘致・開催
今後も国内外トップレベルの大会を計画的に誘致・開催して、
青少年が間近で観戦できるようにしたいと考えています。これ
により、冬季スポーツへの関心を高め、国際感覚を養い、豊か
な心をはぐくむ環境を提供するとともに、大会運営への積極的
な市民参加を目指し、スポーツボランティアの育成を図ってい
きます。
(3)世界レベルで戦えるアスリートの育成・強化
経験・実績のある指導者を市職員として採用し、エムウェー
ブスケートクラブや市立長野高校スピードスケート部の指導を
行っています。ジュニア期からそれぞれの段階に応じた的確な
トレーニングを実施することにより、将来的に世界レベルで戦
えるアスリートを育成・強化することを目指しています。
また、AC長野パルセイロのアイスホッケーチームの子ども
たちも頑張っています。
長野オリンピック記念基金からの助成が終了してからも、安定的
にこれらの取り組みを継続していくためには、どうしても新たな仕
組みが必要です。そこで、新たな基金として、「長野市冬季競技振
興基金」(愛称「ながの夢応援基金」)を創設することにしました。
この基金は、長野オリンピック記念基金の残余金からの配分金1
億4,000万円余を原資に、長野市からも5年分として3億円を
積み立て、さらに企業や個人の皆さんにも寄附金のご協力をお願い
して創設したいと考えています。
また、基金の目的や基金への協力を広くアピールするなど、この
基金を応援・サポートしていただくために、「ゆめ舞台応援プロジ
ェクト・ながの」を8月22日に立ち上げました。このプロジェク
トには、バンクーバーオリンピックスピードスケート競技のメダリ
ストである長島圭一郎さんや加藤条治さんなど、冬季競技の選手や
競技連盟の皆さんにも参加していただいています。
「ながの夢応援基金」の活用先として現在考えている具体的な取
り組みは、以下のとおりです。
(1)全日本スピードスケート距離別選手権大会、全国中学校スケ
ート大会、長野オリンピック記念長野マラソン大会など、市内
で開催される競技大会への助成
(2)冬季競技の選手育成・強化、指導者の育成・確保につながる
事業への助成
(3)長野灯明まつりやオリンピックデーラン長野大会など、長野
オリンピック記念イベントへの助成
「ながの夢応援基金」の創設により、長野オリンピック開催で開
いた世界への扉をさらに大きく開き、オリンピックレベルで活躍で
きる長野市出身選手を育成するとともに、冬季オリンピック開催都
市としての存在感を示していきたいと考えています。そして、オリ
ンピック開催都市として、さらに輝き続けるために、これからもオ
リンピック資産を大切にしていく決意です。
関係する条例や補正予算案などは、市議会9月定例会に提案する
ことにしており、現在準備を進めています。議決いただけましたら、
今後、企業や市民の皆さん、あるいは、長野市以外にお住まいで長
野を応援していただける方々にも、広く基金への協力をお願いして
いく予定です。その際は、ぜひともよろしくお願いします。
ところで、今シーズン、AC長野パルセイロが好調です。北信越
フットボールリーグ一部で、今季の優勝が事実上確定し、11月に
開催される全国地域リーグ決勝大会への切符をほぼ手中にしたので
す。また、全国社会人サッカー選手権大会北信越大会でも優勝し、
全国大会への出場権も確保しました。
次は、天皇杯へ続く長野県サッカー選手権大会の決勝で、宿敵、
松本山雅FCとの信州ダービーです。
現段階で、AC長野パルセイロへの支援については、この「なが
の夢応援基金」とは別だと考えています。理由は、長野オリンピッ
クと直接的な関係が無いからです。
ただ、12チームで戦う全国地域リーグ決勝大会を勝ち抜くと、
来年はJFL(日本フットボールリーグ)への昇格、そしてさらに
J2、J1への階段を目指していくことになるわけで、市民の皆さ
んの大きな応援が必要になります。行政としても、スタジアム整備
などで支援する必要がありそうです。そのときは、また考えましょ
う。
具体的な支援については、以前、周辺自治体のご協力を頂いて
「ホームタウンながの推進協議会」という組織を立ち上げています
ので、この組織の出番になりそうです。
何かと市民の皆さんの応援をお願いすることが多く恐縮ですが、
私も頑張ります。長野市の政策、「スポーツを軸としたまちづくり」
に向けて全力を挙げていきます。