2010年12月2日木曜日

最近の出来事4題


 今回は、ここ最近の出来事で、皆さんにご報告しておいた方が良
いと考えていることについて、まとめて書かせていただきます。

(1)消防広域化
 10月26日、消防広域化研究協議会の正副会長会議があり、消
防広域化の枠組みなどの方向性について協議を行いました。この研
究協議会は、消防組織法の改正と国の指針を受けて県が策定した
「消防広域化推進計画」に基づいて設置されたもので、東北信地域
の消防広域化について協議を進めていました。

 この日の協議で達した結論は、国が示した期限である平成24年
度末までに東北信地域の消防組織を統合・広域化することは困難で
あるということです。今後は、「将来的な一本化」を視野に東北信
地域内の連携を保ちながら、消防本部ごとに調査研究を重ねていく
ことになりました。ただし、「消防救急無線のデジタル化」につい
ては、東北信地域で一本化して整備していくことにしています。

 今回の結論に達するまでには、研究協議会の総会や正副会長会議
のほか、検討会や研究会を設けて検討を進めてきました。あらため
て申し上げるまでもありませんが、消防を取り巻く環境の変化や大
規模災害などに備えるためにも、消防体制の整備・確立は必要なこ
とです。
 しかし、研究を進める中では、管轄人口や面積、組織規模、財政
規模の違いなどから、広域化によるメリットの大きい地域と小さい
地域があること、また広域化した場合の災害対応面、組織運営面、
財政負担面などの問題が浮き彫りになってきたことも事実です。特
に組織運営面では、二交代制・三交代制など、現状の勤務体制の相
違も課題になりました。
 また、市町村合併とは違い消防組織の統合は、現場組織であるが
故に合理化ができないという事情もあります。すなわち、人員を削
減すると、現段階では、どうしても住民サービスの低下に直結して
しまう可能性があるのです。これらのことを克服できなかったこと
が、今回の結論に至った大きな要因だと思っています。

 研究協議会では、東北信地域に暮らす110万人の住民の皆さん
が、より充実した消防サービスを受けられるよう研究してきました
が、その結果は、必ずしも県の計画と一致するものではありません
でした。しかし、これまで手間をかけて検討・協議してきたことは、
決して無駄ではなく、将来、必ず役に立つと信じています。
 今後とも、「将来的な東北信地域の一本化」を視野に、調査研究
を重ねることができればと思っています。

(2)長野森林組合 長野市林業経営構造対策事業 しゅん工式
 11月8日、鬼無里地区にある長野森林組合の「おが粉製造施設」
のしゅん工式にお招きいただきました。
 林業を取り巻く環境は、厳しい状況が続いていますが、森林には
二酸化炭素の吸収源や災害防止などの役割のほか、木質バイオマス
燃料供給源としての利用についても期待が高まっていることはご承
知のとおりです。

 森林の持つ多面的機能を維持・管理するためには、間伐を進める
ことが重要であり、本市でも、国・県の支援や森林組合のご協力を
頂きながら、積極的に取り組んでいます。
 しかしながら、間伐材については、木材価格の低迷や搬出コスト
が高いことなどから、本市の間伐材の約8割が現場に切り捨てられ
たままになっているのが現状で、有効活用されていません。このた
びしゅん工したおが粉製造施設は、このような間伐材の利活用に道
を開くもので、今後、間伐材の搬出が進み、有効活用できるように
なるものと期待しているところです。

 長野市では、「すべての政策に環境の屋根を架ける」ことを政策
の一つとして取り組んでいます。今回、おが粉製造施設がしゅん工
し、間伐材などの木質ペレット燃料化が可能になったことで、バイ
オマス資源を活用した自然エネルギー利用の拡大による温室効果ガ
ス削減に向けて、大きな効果を見込むことができます。また、木材
を利活用した新たな産業の育成にもつながることでしょう。

 このように、おが粉製造施設は、林業経営構造の確立を図るため
のツールであるほか、バイオマス資源の利用拡大による循環型社会
を構築するツール、さらには、地域における新たな雇用創出につな
がるツールとしても効果が期待できると考えています。ちょっと期
待しすぎかもしれませんが、それぐらい、本市にとって大変意義深
いものと考えており、この施設の設置については、市としても最大
限の支援をしてきました。

 この施設導入により生産されるペレットは、地域材100%の
「Nagano・Pellets(長野ペレット)」の名称で、市
内を中心に東北信地域にも販売することになっています。このほか
おが粉は、キノコ培地としての需要も多いようです。
 長野市としても、このたびの施設完成に合わせ、市有施設へのペ
レットボイラー導入を進め、ペレット需要拡大に努めていくことに
しています。

(3)涌池史跡公園しゅん工式
 11月25日、信更地区に涌池史跡公園がしゅん工しました。こ
の地域では、弘化4(1847)年の善光寺地震により、斜面崩壊
という大災害を経験しています。涌池史跡公園は、この経験を風化
させることなく、末永く後世に語り継ぎ、防災意識の高揚に役立て
たいという涌池区民の皆さんの熱意により、県の「元気づくり支援
金」を活用して区民の皆さんが整備したものです。

 樹木の伐採や草刈り、遊歩道整備、石積みなど、区民の皆さんの
参加によりしゅん工に至ったということでしたが、事業の決算書を
見せていただきますと、県の「元気づくり支援金」、区の予算から
の支出のほか、経費の面においても各戸が一定の負担をされている
ようです。
 公園にある桜の木や周辺の草木については、これから大きくなっ
ていくだろうと期待を込める部分もありますが、行政が造る公園に
勝るとも劣らない、見事な出来栄えだと思いました。しゅん工式に
は、お年寄りから若者まで、地域を挙げて大勢の皆さんが参加され
ていたことからも、皆さんの思い入れが感じられます。獅子舞の披
露もありました。

 この事業を進めてきた信更地区住民自治協議会会長でもある涌池
区長の村田憲一さんをはじめ、役員の皆さんのリーダーシップには、
感激しているところです。そして、しゅん工式でのあいさつでも申
し上げさせていただきましたが、涌池区の皆さんの取り組みは、長
野市が目指す自治のモデルともなる素晴らしい取り組みだと思って
います。

(4)ふるさとNAGANO応援団
 11月26日、都内で「ふるさとNAGANO応援団」の意見交
換会を開催しました。
 応援団のメンバーの皆さんには、任期3年でお願いしていました
ので、本年でいったんその任期が来たわけです。そこで、メンバー
の皆さん全員に継続をお願いしたところ、ご快諾を頂いたことに加
え、新たに7人の皆さんにも加わっていただくことができました。
 メンバーの皆さんは、何らかの形で長野市とご縁を結んでおられ
る方々ですので、今後も、その高い見識で長野市へのアドバイス、
そして長野市のPRをしていただくようにお願いしたところです。
“長野市の存在をもう一段高めたい”そのことへの支援を期待して
います。

 意見交換会では、私から長野市の現状を説明させていただいた後、
意見交換に移ったのですが、今までにも増していろいろなご意見を
頂くことができ、外から見た長野市という視点で、勉強させられる
ことが多かったと感じています。その後の交流会での会話を含め、
大変有意義な会合でした。メンバーの皆さんには心から感謝いたし
ます。
 なお、メンバーの皆さんは、今回新たにお願いした方々を含め、
以下のとおりです(50音順)。

青木擴憲さん(株式会社AOKIホールディングス代表取締役会長)
荒井寿光さん(東京中小企業投資育成株式会社代表取締役社長)
井浦秀夫さん(漫画家)
猪瀬直樹さん(作家、東京都副知事)
碓井光明さん(明治大学大学院法務研究科教授、東京大学名誉教授)
恩田乾次郎さん(株式会社ウイングメディカル代表取締役社長)
加藤和年さん(株式会社ながの東急百貨店顧問)【新メンバー】
金井政明さん(株式会社良品計画代表取締役社長)
北村晴男さん(弁護士)
小島秀康さん(国立極地研究所教授)
齋藤宣彦さん(医師)
眞田幸俊さん(慶應義塾大学理工学部准教授)
佐野幸男さん(株式会社協和エクシオ NTT営業本部長)
島田博文さん(コムシスホールディングス株式会社相談役)
清水愼一さん(株式会社ジェイティービー常務取締役)【新メンバー】
鈴木善統さん(日本電子計算機株式会社常務取締役)
高野 登さん(元ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日本
       支社長)
竹元正美さん(外務省特命全権大使(査察担当))【新メンバー】
田中信義さん(キヤノン株式会社顧問、東北大学特任教授)
鶴田康則さん(日本OTC医薬品協会理事長)
童門冬二さん(作家)
徳永 保さん(文部科学省国立教育政策研究所長)【新メンバー】
飛田紀久子さん(広報アドバイザー、「千曲川草誌」編集・発行)
永澤征治さん(長野朝日放送株式会社特別顧問)【新メンバー】
中村 健さん(信越化学工業株式会社取締役)
夏目雄平さん(千葉大学大学院理学研究科教授)
幡野保裕さん(郵船クルーズ株式会社顧問)
服部信孝さん(順天堂大学医学部脳神経内科教授)
花岡信昭さん(拓殖大学大学院地方政治行政研究科教授)
飛田和緒さん(料理家)
松木則夫さん(東京大学大学院薬学系研究科教授)
丸田義晴さん(財団法人全国法人会総連合事務局長)
三神万里子さん(ジャーナリスト、キャスター、信州大学経営大学院
       客員准教授)【新メンバー】
宮林茂幸さん(東京農業大学地域環境科学部長)【新メンバー】
持田澄子さん(東京医科大学教授)
山田真美さん(作家)
依田 巽さん(株式会社ティーワイリミテッド代表取締役会長)