3月11日の大震災以降、世の中の雰囲気が変わってしまいまし
た。長野市においても既にいろいろなところに影響が出ており、困
っていることは事実です。
震災のあった3月中旬は、新年度予算成立に向けて大詰めを迎え
ていた時期です。
新年度予算の具体的な手順についてお話ししますと、担当課が予
算編成に係る基本方針の下、半年以上も前から新年度事業について
議論・検討を行い、関係機関とも調整を重ね、本市にとって必要な
事業について予算要求を行います。その後、財政課が中心となって
編成作業を行い、市議会各会派のご要望も踏まえて原案を固め、最
終的に市長査定を経て、予算案を市議会に提出し審議が始まりまし
た。東日本大震災は、まさにそのとき発生したのです。
提出後は、たとえまだ議決がされていないとはいえ、この段階で、
行政として新たな提案や事業内容の大枠の変更は不可能でしょう。
それが行政のルールだと思っています。そして、3月市議会定例会
の最終日に議決していただいて、4月から執行していくこととなっ
たものです。
従って、未曽有の大震災が発生したから、当初予算の内容を一部
変更もしくは廃止して、その費用を被災地復興のために何とかしよ
う、何とかしなくてはと考えたとしても、予算決定までの手順など
を考えれば、問題が大きければ大きいほど、この時期に予算を組み
替えることは現実的にも時間的にも難しいのです。あえてやろうと
すれば、これまでの多くの関係部局や関係機関・団体との協議も含
めて、行政が一つ一つ積み上げてきたことを否定することになりか
ねませんし、準備不足で予算原案を組み立てることもできないでし
ょう。そのため、長野市としては、予備費を充当して見舞金1億円
を被災地に送ることにしました。
現に国においても、3月までに予算を決めるために、さまざまな
検討、調整そして決定を積み重ねてきているわけで、大震災が発生
したからといっても急な変更はできない。当初予算は決めたとおり
変更せず、震災対応は新たな補正予算で実行しましょう・・・とい
うことになったわけです(既に第一次補正予算は成立、第二次補正
予算も検討中とのことです)。
極論を言えば、国は独自の判断で、補正予算の財源を借金などで
確保することが可能ですが、地方自治体にはそうした余地はないわ
けです。
すぐ対応すべきというご意見はもっともな部分もありますが、こ
れまでの過程を独断で変更することはできません。方向転換するに
は議会との関係も含め、きちんと手続きを踏む必要があるわけです。
こうした中、先ほども述べましたが、長野市としては、災害など
の緊急時の支出に備える予備費全てを充てて、被災地への1億円の
見舞金を盛り込んだ平成22年度一般会計補正予算を3月市議会定
例会において議決していただき送金したほか、人的支援として消防
職員や保健師、事務職員などを派遣。また、市民の皆さんからご提
供いただいた多くの救援物資を被災地に搬送、大勢の皆さんからお
寄せいただいた義援金も日本赤十字社に寄託しました。新年度予算
は変更こそしていませんが、市としてできる支援には、既に全力を
注いでいます。
いずれにしても、当初予算については、本市にとって必要な事業
を予算化しているわけですし、被災地の復旧・復興支援とともに、
被災地以外の自治体が元気を出して取り組んでいかなければ、日本
全体の景気や雇用が沈んだままとなってしまいます。
今後、復興財源の確保のため、国からの補助金・交付金の減額と
いった影響が出るかもしれませんが、所要の財源の中で、市民の皆
さんの暮らしを守り、地域の活性化を図るべく、当初予算の着実な
執行に努めていかなければならないものと考えています。
さしあたり、国が第二次補正予算を組む段階で、財源が足りない
からという理由で、地方自治体へ影響を及ぼすような対応をするこ
ともあるかもしれませんが、そのときはそのときで、市議会とも相
談しましょうと申し上げています。
市民の皆さんが一番望んでおられること、それは地域の経済を元
気にし、雇用を増やすことであると感じています。そのために一番
効果があると思われるのは、公共事業をできるだけ行い、地域にお
金を流すことであろうと私は考えています。
避難して来られた人の受け入れも始めていますが、受け入れにつ
いては、それぞれの事情に応じた対応が必要であると考えています。
じっくり考えて対応しなければならないことがありますし、これか
らさらに多くの人を受け入れる必要があるでしょう。本番はこれか
らです。
最近、被災地の膨大な災害廃棄物(がれき)について、長野市で
どの程度処理できるかという問い合わせが、被災地の自治体から来
ています。遺体の火葬についても問い合わせがあったようです。
いずれにしろ、長期的な視点での対応が必要ですから、短期的に
対応できることは別にして、慌てて対処しようとするのではなく、
将来にわたる長野市の財政状況を考えながら引き続き被災地支援、
復興のために最大限対応していこうと決意しています。
話は少し変わります。
大震災後、日本中に自粛ムードが広がり、あらゆる業種が閉塞
(へいそく)感で苦しんでいます。長野市の重要な産業の観光では、
善光寺さんでさえ参拝客が激減しているとのことで、他は推して知
るべしです。長野オリンピック記念長野マラソン大会・長野車いす
マラソン大会が中止となったほか、私の大好きなスキーやAC長野
パルセイロの試合日程にも影響が出ました。
戸隠スキー場では、大きな余震の心配からお客さんの安全を第一
に考え、リフトの営業本数を減らしゲレンデエリアを縮小しました。
また、スキー場周辺の宿泊施設には春休みということもあり、多く
の予約が入っていましたが、ほとんどがキャンセルになってしまい
ました。聞くところによると、野沢温泉スキー場もお客さんが全然
いなかったとのことです。
私事ですが、3月12日(土)から13日(日)にかけて1泊2
日でスキーに行くつもりだったのですが、11日と12日未明に発
生した地震のため中止しました。その後も自粛し、3月中旬から4
月上旬までに予定していた週末のスキーも全てやめました。残念で
したが、仕方ありません。
毎年の例ですと、そろそろ私のスキーシーズン総決算を「かじと
り通信」に書く時期ですが、残念ながら今年は遠慮させていただき
ます。来年に期待してください。
観光資源の一つに数えているサッカーJFL(日本フットボール
リーグ)についても3月中旬に開幕する予定でしたが、大震災の影
響を考慮し、4月23日まで延期されました。
翌24日、昨年JFLに昇格したAC長野パルセイロの公式戦第
1戦(ホームゲーム)が、南長野運動公園総合球技場で開催されま
した。この試合の相手は千葉県市原市のジェフリザーブズです。J
2ジェフユナイテッド千葉の下部組織で、JFLに在籍して6年目
を迎えたチームと聞いていましたので、かなり緊張して観戦しまし
たが、見事4対0で圧倒的な勝利でした。新チームの結束は素晴ら
しい。滑り出し順調で、ホッとしました。
ただ、サポーター(観客)の数は、発表では2,200人余りで、
J2への昇格条件の一つとなる平均3,000人の目標には足りま
せんでした。もっと多くの皆さんに、球技場に足を運んでいただく
必要があります。
同日、松本山雅FCは、ブラウブリッツ秋田に逆転負けとのこと
でした。でも、観客は6,000人を超えていたとのことで、さす
がです。
30日、第2戦が行われました。相手は、その松本山雅。いわゆ
る信州ダービーです。
私は、この松本山雅がJFLでは圧倒的に強いと思っていますの
で、今回は胸を借りるゲームだと思っていました。アウェーの松本
市のアルウィンで行われたこの試合で、パルセイロは大健闘。前半
早い時間帯で1点先取。前半終了間際に同点にされ、後半は五分五
分の戦いだったのですが、やはり後半終了間際にゴールを決められ、
1対2で負けてしまいました。いずれもロスタイムでの出来事でし
た。最後はパルセイロが力尽きた感じでしたが、今後に十分期待で
きる試合展開だったと思います。1万1,000人を超えるサポー
ターの皆さんが球技場に足を運んでいただいたようで、次の長野市
のホームで行う信州ダービーも、大いに期待できそうです。
3試合目は、ホームに栃木ウーヴァFCを迎えて5月3日に開催
されました。
この試合も、パルセイロは前半早々に1点を先取。その後、両チ
ームが1点ずつを取り合い、2対1で見事今シーズン2勝目を挙げ
ました。今年のパルセイロは期待できます。
サポーターの数も、前回のホーム戦を約400人上回る
2,600人余り。
ぜひ、パルセイロの応援に来てください。みんなで盛り上がり、
そして、日本を元気にしましょう。