2011年5月26日木曜日

地域活性化推進員


 中山間地域のある市内13地区に配置している「地域活性化推進
員」の活動について報告します。
 少し前の話になりますが、活動を始めてから2年目が終了する地
域活性化推進員の皆さんとの懇談会を、各地区の住民自治協議会
(住自協)の会長さんなどにも同席していただき、3月24日に開
催しました。
 当日は、全推進員に平成22年度の1年間の活動報告と平成23
年度の主な施策と事業について説明をしてもらい、その後、住自協
の会長さんからもご意見を頂きました。人口が減少している地域で
の活動ですが、さまざまな施策・事業実施について知恵を絞り、そ
れぞれ一生懸命に努力をしていることに感激しました。また、住自
協の会長さんはじめ関係の皆さんのご協力に対しても大変ありがた
く思いました。

や集落維持の支援などを目的としてスタートし、この3月末で丸2
年が経過したところです。それぞれの地域の実情に応じた支援を行
っており、話を聴く中で、ようやくある程度の成果が見え始めてき
たと感じているところです。

 推進員の役割は、地域に入り、何が必要で、何に取り組むべきか
を住自協をはじめ、地域の皆さんと話し合いながら自分で判断し、
地域と一体になって取り組んでいくことです。

 ただ、活動は多方面にわたることが多く、一人の推進員ができる
ことに限度があると感じていることも事実です。そこで住自協が必
要な人材を雇用してくだされば良いと思っているのですが、そのた
めの補助を増やすべきかどうか、住自協の平成22年度決算が出そ
ろったところで決めたいと担当の地域振興部などと相談していると
ころです(推進員とは別に、市内32地区全ての住自協から、事務
局の人件費が足りないと言われていましたので、こちらは平成23
年度当初予算で措置しました)。

 推進員の配置は、解決策のなかなか見いだせない中山間地域の課
題に対処することはもちろん、地域のコミュニティーの再生に向け
て、初めて職員を配置するという人的支援を行ったものですが、ま
だまだ課題が多いと認識しています。

 中山間地域の活性化に向けては、人的支援だけではなく、平成
23年度の予算においても、多額の関係予算を計上しています。具
体的には、中山間地域支援事業(*1)、中山間地域輸送システム
運行費補助金(*2)、野生鳥獣被害防除対策事業補助金(*3)、
中山間地域等直接支払制度(*4)などですが、これら主なソフト
事業を合計すると、3億円以上の予算を計上しています(道路整備
事業などのハード事業に係る予算は除きます)。
 いずれにしても、市内の中山間地域の面積は、市域の4分の3を
占めているわけですから、できる限りの活性化対策、支援を行って
いくつもりです。

 今回の懇談会の最後、総括として以下のことを申し上げました。
(1)今回の大震災で、社会がどう変わるか予測が付かない、柔軟
に対応してほしい。
(2)住自協は、地域経営の視点から、地域でもうける仕事にも手
を出してほしい。
(3)住自協には、自由に使える資金もある程度提供している。使
途は特に制限していないので、人の雇用、パソコンの購入なども含
め、柔軟な発想で活性化に役立たせてほしい。これについては住自
協決算が発表されてから、意見を申し上げたい。

 地域ごとに行った事業について、主なものを列挙してみますと、
都市部の小学生や中学生を中心とした農家民泊事業の手伝い、野生
鳥獣被害防除のための緩衝帯の整備、ごみの不法投棄パトロール、
トレッキングコース整備、遊休農地の活性化、自主防災会、地域の
祭りなど地域団体事業への協力、集落点検マップの作成とその更新、
新規就農者支援、野生鳥獣被害防除対策の地区内での話し合いの実
施、やまざと支援交付金を活用した事業計画(草刈り、側溝清掃、
野ねずみ駆除、除雪など)の策定、農業体験や地域の自然や歴史に
親しむグリーンツーリズム事業への協力などがあります。
 農家民泊事業については、既に13学校、1,940人を受け入
れ、訪れた人も受け入れ側も大変貴重な体験をしたそうです。台湾
からの学生を受け入れた地域もあるとのことです。

 こうして、主なものだけ並べてみましてもやることはたくさんあ
ります。行政は縦割りで仕事をしていると言われますが、推進員は、
全て総合的に考えて取り組んでいることが分かると思います。そう
なのです。中山間地域の皆さんからは、人口減で悩み、何をやるに
も人手がないという嘆きをお聴きしています。そこを補うために、
推進員を配置させていただいたのです。
 住自協の会長さんや支所長などと連絡を取って、できることは何
でも取り組む姿勢が大切だと思います。本庁各課にはその支援に回
ることを命じています。

 地区内のボランティア育成も大切ですが、地区外からのボランテ
ィアの受け入れも検討したい項目です。さらには、企業関係の皆さ
んとの協働作業も生まれれば、素晴らしいですね。
 「買い物難民」なんていう言葉も出てくる状況ですから、いろい
ろ工夫が必要でしょう。
 平成23年度の目玉事業の一つである新規就農者支援事業も、専
業農業者を育成する事業ですから、数年後には大きな戦力になるは
ずだと考えています。

 実は新規就農者に対しては、もうかなり前から支援を行ってきま
した。1人に年間10万円を支援する制度を利用した就農者は、過
去10年で約100人に上ります。追跡調査を行いましたら、ほと
んど全員が現在も農業に従事しており、大変良い制度だと思いまし
た。ただし、新規就農者といっても、その多くの方が農家の後継者
であったため、対象者をもっと広げ、外からの就農者を増やし、よ
り魅力ある農業を育てようと考えました。その結果、支給額を月に
最大10万円に増額し、そして最も大事なポイントは、農業につい
て根本的に勉強してもらうため、農業大学校などへの研修を義務付
け、これに対しても支援することとしたことです。そして、やはり
「もうかる」農業をしてほしい。もうからなければ仕事は長続きし
ない。「もうける」こと。これが活性化だと思っています。

 同席した住自協の会長さんからは、おおむね推進員には良くやっ
てもらっているとの評価を頂いたと感じています。一人では無理が
ある、できたら人員を増やしてほしいという、行政にとっては頭の
痛いご意見もあるようで・・・。それぞれの地域の平成22年度の
事業報告、決算報告を見て、そして「やる気」を見て、検討したい
と思っています。
 中山間地域という「やまざと」の持つ魅力や資源を生かし、総合
的な振興施策を展開していきたいと思っています。

*1:中山間地域支援事業
 人口の減少と少子高齢化が進行している中山間地域の互助機能の
向上を図るため、地域住民が行う課題解決の活動に対し支援金を交
付するもの
*2:中山間地域輸送システム運行費補助金
 中山間地域への生活交通確保策として、市内6地区の各運行組織
が主体となって実施する乗合タクシー運行に対し、補助金を交付す
るもの
*3:野生鳥獣被害防除対策事業補助金
 市内19地区の「有害鳥獣対策委員会(協議会)」が行う防除対
策事業に対し、補助金を交付するもの
*4:中山間地域等直接支払制度
 耕作条件の不利な中山間地域において農業生産活動が継続的に行
われるために交付金を支払うもの