6月10日に平成23年6月長野市議会定例会が開会しました。
以下は、開会に当たっての私のあいさつの内容(骨組み)です。
3月議会からわずかな時間しかたっていないのですが、震災対応
など、総合行政として触れておかなければならないテーマがかなり
多いという印象です。大ざっぱなテーマだけ書いてみましたが、お
読みいただければ、大体はお分かりいただけるのかなと思っていま
す。
なお、市ホームページに全文掲載してありますので、ご覧くださ
い。
http://www.city.nagano.nagano.jp/upload/1/shomu_sicho2306.pdf
「はじめに」
(1)未曽有の大災害となった東日本大震災と長野県栄村を中心と
する地震の発生、そして福島第一原子力発電所の事故への本市の
対応
(2)長野市の平成22年度一般会計決算見込み
(3)市役所第一庁舎および長野市民会館の建て替え
「市の動向」
(1)優先施策および市政運営の共通課題
・都市内分権の推進(住民自治協議会事務局体制の強化、地域やる
気支援補助金)
・公共交通機関の整備(循環バス・乗合タクシー実証運行、長野電
鉄活性化協議会)
・環境対策の充実、エネルギーの適正利用(自然エネルギー普及促
進、ごみ焼却施設)
・子育ち・子育て支援の推進(放課後子どもプラン、下氷鉋保育園
の民間委託)
・中山間地域の活性化(農業法人化、農家民泊、野生鳥獣被害防止、
新規就農者支援)
・産業基盤の整備(第二東部工業団地、震災緊急支援資金、住宅リ
フォーム補助)
・魅力ある教育の推進(不登校対策、学校施設の耐震化)
・スポーツを軸とした活性化(ながの夢応援基金、サッカースタジ
アム整備)
(2)その他の施策
・観光振興(イヤーキャンペーン、観光客の復調と積極的な誘客)
・中心市街地の活性化(権堂B-1地区)
・上下水道事業(老朽施設の更新、下水道使用料賦課漏れ)
・災害対応(5月末の大雨)
「結び」
・長野市の節電対策と市民・企業への協力のお願い
以上、議場では40分ぐらいの説明でしたでしょうか。いずれも
長野市にとって重要な施策で、何が重要ですかと聞かれたら、全て
ですとしか答えられないのですが・・・。
この中で、今まであまり皆さんにお伝えしてこなかったことを中
心にいくつかお話しさせていただきます。
まずは、サッカースタジアムの件です。
南長野運動公園には、立派な総合球技場があり、そこをホームグ
ラウンドにしてAC長野パルセイロが活躍していることは、皆さん
ご存じのことと思います。
AC長野パルセイロが勝ち進んでいくと、当然次はJリーグに昇
格しようとの夢が膨らみます。ただ、現状では、Jリーグに昇格す
るためには、以下のようなハードルがあります。
(1)JFL(日本フットボールリーグ)には18チームが所属し
ていますから、対戦相手は17チーム。ホームアンドアウェー方
式のリーグ戦ですから、17チームと2試合ずつで、年間34試
合戦う必要があります。そして、その中で上位の成績を勝ち取る
必要があり、4位以上でないと昇格できないそうです。
(2)ホームゲームの観客動員数が、1試合平均3,000人以上
であることが必要です。
(3)J2の仕様では1万人以上、J1の仕様では1万5,000
人以上を収容できるサッカースタジアムが必要ということです。
しかも、この人数を収容するための観客席については、椅子席で
1万席以上が必要で、芝生席などを含めることができません。将
来的には、全席を一つ一つ独立した席にすることが必須条件とな
る可能性が高いそうです。
さらに、スタジアムの設備としては、ナイトゲーム時の
1,500ルクス以上の照度の照明、運営に必要な選手控室や予備
的な部屋も必要になるそうで、このほかにも、チーム経営の安定度
や、行政が具体的な支援内容を文書で示すことなど、条件はいろい
ろあるようですが、まあ難しいのは前記の(1)、(2)、(3)
です。
これらの条件が整っていないと、たとえJFLで優勝してもJリ
ーグには昇格できないのだそうです。
特に、スタジアムの要件については、「昇格したら造ります」で
は、通用しないとのことですから、大変です。
議会では、これらの事情を踏まえて、研究を始めましょうという
意味で、述べさせていただきました。
次に、本市の平成22年度一般会計決算見込みについてです。
基幹収入となる市税については、法人市民税が景気の復調によっ
て増額となりました。一方、所得のあった次の年に納めていただく
個人市民税は、残念ながら低調でしたが、市税トータルで580億
円ほどが見込まれ、おおむね前年度並みの収入になるようで、あり
がたいことです。
また、地方交付税や臨時財政対策債(地方交付税の振替財源)に
ついても大幅に増額が図られたほか、国の経済対策による補正予算
の有効活用や効率的な予算執行により経費の節減に努めたことなど
から、年度当初に予定していた財源の不足を賄うための基金からの
繰入金13億円についても、取り崩さずに財政運営を行える見通し
となりました。
これらの結果、実質収支額については、26億円程度の金額を確
保でき(企業でいえば黒字)、本年度に繰り越して、補正財源とし
て活用できる見通しとなっています。
さらに、基金については、新たに「ながの夢応援基金」および
「過疎地域自立促進基金」を創設したほか、当初の目標に沿って、
「庁舎整備基金」に5億円、合併特例債を原資とする「地域振興基
金」に10億円を積み増しするなど、今後の財政需要に備えた計画
的な積み立てができました。また、市の借入金である市債について
も、年度末の残高は、対前年度比60億円減の1,380億円ほど
となる見込みであり、残高を年間の一般会計の予算規模の範囲内
(平成22年度一般会計当初予算は、約1,465億円)に早くし
たいという私のひそかな目標が達成でき、財政の着実な改善が図ら
れたと感じています。
引き続き「入りを量りて出ずるを為す」の基本理念の下、将来に
わたって必要かつ安定した市民サービスの提供と健全財政の堅持に
努めてまいります。
次に、市役所第一庁舎および長野市民会館の建て替えについてで
す。
策定を進めていた両施設の「建設基本計画」については、3月1
日から4月4日までの約1カ月間、パブリックコメントを実施し、
皆さんから頂いたご意見を反映して、4月7日に決定しました。
基本計画の決定は、建設地の変更も含めて、これまで長い期間、
議会をはじめ市民の皆さんから伺ったご意見や長野市民会館建設検
討委員会、長野市民会館市民ワークショップなどでの議論を積み重
ねてきたことの成果であり、一つの節目であると考えています。
東日本大震災の発生により、市民の皆さんの中に、両施設の建設
についてのご心配やご懸念の声があることは十分に承知しています。
未曽有の大災害から3カ月となった今も、被災者の皆さんが困難な
状況にあることは、心が痛み、一日も早い復興を願っています。
市としても、被災地への人的支援や物的支援、また被災者の受け
入れなどを行っているところですが、今後も可能な限りの支援を続
けていきたいと考えています。
一方、今回の大地震で、市民の安全を守り、災害に強いまちづく
りを進めることの重要性も改めて認識し、安全・安心でしっかりと
した公共施設の整備は不可欠であると感じています。また、本市の
将来を見据え、元気なまちづくりに必要な施策や事業を継続して行
うことも、市政をあずかる立場として、大変重要であると考えてい
ます。
庁舎および市民会館の建設は、本市の将来にとって必要かつ重要
な事業であり、これまでの議論や検討の積み重ねを重く受け止め、
市としては計画に沿って進めていきたいと考えています。ご心配い
ただいている財源の問題に関しても、現時点で特段の変更は見込ま
れないことから、震災の影響を考慮して延期していた設計者選定作
業を6月下旬から開始し、10月ころには基本設計に着手したいと
考えています。
また、庁舎の最適な面積やレイアウトなどを計画するため、オフ
ィスコンサルタントを公募し、プロポーザル方式で選定しました。
これから、基本設計に向けて調査などを進めていきます。
また、一昨日、庁舎および市民会館建設の賛否を問う住民投票条
例制定の直接請求に向けた署名簿が、選挙管理委員会に提出されま
した。本事業については、これまで長い時間をかけて市民の皆さん
のご意見をお聴きし、その上で議会との協議を経て方針を決定して
おり、議会制民主主義のルールにのっとって進めてきたものです。
従いまして、今後も事業の実施に向けては、引き続き市民の皆さん
に丁寧に説明しながら、議会との緊密な連携の下で進めていく予定
です。
このほか環境、中山間地域、公共交通などの分野についても一生
懸命にお話ししたつもりです。ぜひ、市ホームページをご覧くださ
い。
最後に、皆さんもご存じのとおり、中部電力浜岡原子力発電所の
全面停止に伴う電力不足が深刻化しています。この夏を乗り切るた
めにも、無理のない範囲で、ぜひ節電にご協力いただくようお願い
します。