長野市議会議員一般選挙が終了し、今後4年間の議会の枠組みが
決定したことになります。
今回の選挙は、定数39人に対し46人が立候補し激戦でしたが、
残念なことに投票率は前回の49.71%を3.39ポイント下回
る46.32%でした。
いずれにしても、当選した皆さまにお祝い申し上げるとともに、
市長と議会という二元代表制の下、お互いに長野市民の負託に応え
るべく協力し、あるいは意見を交わしながら、長野市の発展と市民
福祉の向上に努めていきたいと考えています。
9月13日、東日本大震災で被災された宮城県の被災状況を視察
してきました。
悲惨な被害状況は、既にテレビや新聞で見ていますし、いろいろ
な解説も聞いていますので、状況はおおむね把握しているつもりで
す。長野市としても被災者の受け入れなど精いっぱいの支援をさせ
ていただいています。しかし、今後の本市の防災や被災地の支援を
考えていく上で、現地の状況を一度は自分の目で見ておいた方が良
いと思いましたし、ぜひ見るべきだとのご意見も頂いていましたの
で、震災から半年が経過したこの時期なら訪問してもあまりお邪魔
にならないだろうと考え、出掛けたものです。また、長野市職員が
現地に入って行政事務のお手伝いをしていることを広く皆さんに知
っていただく良い機会にもなるだろうとの思いもありました。
今回は、長野市からの派遣職員が業務に従事している塩竈(しお
がま)市を主に、被災現場を駆け足で見させていただきました。
塩竈市では、2日前に市長選挙が終わったばかりで、そんな時期
の訪問でご迷惑だったかもしれませんが、佐藤市長さん、内形(う
ちがた)副市長さん、そして市民総務部長さん以下多くの職員の皆
さんが対応してくださいました。市長さんからは、長野市職員の支
援に心からの感謝を頂き、私も「長野市職員が何らかのお手伝いが
できたとすればうれしく思います」とお答えしました。
今後は、いよいよ復興に向けてのお手伝いということで、道路や
下水道施設の設計などを行う技術職員の派遣要請を頂いていますの
で、引き続き精いっぱい協力させていただくことを約束してきまし
た。
一つ驚いたのが、塩竈市役所庁舎の耐震化工事が大震災発生の数
日前に完成したばかりであったとのことで、びっくりしました。し
かし、その工事は庁舎の半分だけで、残りはまだやっていなかった
が、建物への被害はなかったとのこと・・・もう一度びっくりでし
た。
続いて、塩竈市職員の案内で、被害が大きかった寒風沢(さぶさ
わ)島へ小型船で渡り、漁協の役員さんの説明を聴きながら徒歩で
現地を見て回り、最後に漁協の事務局でお話を聴きました。塩竈市
の本土側は、この島をはじめとする島々が防波堤の役割を果たして
くれたので被害が少なかったとのことで、その分、島の被害は大変
なものであったことを確認してきました。
島から戻って、車で10分ほど移動し、塩竈市の隣の多賀城市を
訪問しました。多賀城市は、3月11日の大震災発生の翌日、長野
市消防局を中心とした長野県の緊急消防援助隊が最初に活動した地
域の一つです。また、菊地多賀城市長さんは、全国史跡整備市町村
協議会の会長を務めておられ、私も同協議会副会長としてのお付き
合いがありましたので、今回訪問したものです。市長室で懇談しま
したが、同協議会事務局長の菊地多賀城市教育長さんも同席されま
した。
奈良・平安時代に陸奥国府「多賀城」が置かれたため、同市は、
多賀城跡をはじめ多くの文化財や名所が市内各地に残る由緒ある歴
史の街です。今回の震災では、そうした貴重な文化財も被害を受け
ています。7月に東京で開催された同協議会予算対策懇談会でも、
多賀城市をはじめ被災した各地の文化財の被害状況の報告と併せ、
それらの修理・復旧、そしてそのための国への予算要望について、
菊地会長さんを中心に話し合いを行いました。
なお、多賀城市では、復興に向けて住宅などの高台移転が検討さ
れているようですが、この場合も埋蔵文化財調査が必要になり、
「そのための予算をどうしたらよいか頭を抱えている」とのことで
した。復興までには、解決しなければならない問題が山積している
ことをあらためて感じました。
多賀城市の後は被害が大きかった名取市へ行きました。ここ名取
市も、塩竈市同様、長野市消防局が活動した場所です。車窓からの
視察でしたが、所々に積み上げてある巨大な瓦礫(がれき)の山。
そして、水田は青々としているのですが、それは稲ではなく、伸び
放題になった草、草、草。海水をかぶっているため、塩抜きをしな
ければ稲の作付けはできないそうです。
塩を抜く方法として、現段階では二つの方法が考えられており、
一つは水を流し入れて代かきなどにより表土を洗う方法、もう一つ
は重機で表土を削り、新たに土を入れる方法だそうです。しかし、
前者の場合、費用は10アール当たり約5万円掛かるそうですが、
その他に洗った後の水を流す排水路の整備が必要になるとのことで
す。また、後者では10アール当たり約40万円とかなり費用が掛
かるとのことで、いずれの方法も現実的にはかなり困難だと感じま
した。報道などでは大きく取り上げられていないと思いますが、と
ても大きな問題です。
今回の短い視察では、判断できないこともありますし、被害が大
きかった三陸海岸方面へは行っていません。ましてや、福島第一原
発のことは皆目分かりませんから、私の意見を述べることは差し控
えるべきと思いますが・・・。
しかし、私はちょっと違った見方をしてきました。それは、被災
地の復興の早さ、そして復興に向けた街の勢いです。震災から半年
が経過しましたが、想像していた以上に被災地の皆さんは頑張って
いる印象で、すごいパワーを感じました。実際の生活再建、企業活
動の再生までにはまだ多くの時間が必要でしょう。しかし、前泊し
た仙台駅前の夜のにぎわいなどは、どこに被害があったのか全く分
からないほどで、さすがに政令指定都市だと思いました。居酒屋風
のとある飲み屋の前には、順番待ちの行列ができていました。人々
のパワーと街の力強さを感じました。原発問題さえ収束のめどが立
てば・・・、復興・再生は早いと信じることができました。
話は変わりますが、JFL(日本フットボールリーグ)で、AC
長野パルセイロが健闘しています。
9月11日の対Honda FC戦は、0対0の状態が続くスト
レスがたまる戦いぶりで、結局はそのまま引き分け。しかし、19
日の対横河武蔵野FC戦では2対0で快勝。ついにトップの
SAGAWA SHIGA FCに、勝ち点で1ポイント差まで肉
薄しました。
現在の好成績を見て、いよいよJリーグへ準加盟申請を出す条件
の整備に手を付ける必要が出てきたように思います。
J2への昇格には、スタジアムの整備やホームゲームの1試合平
均観客数3,000人以上(これまでのホームゲームの1試合平均
観客数は、2,100人強)など難しい課題があるのですが、まず
はJリーグに対し、Jリーグ入りを目指していますという意思表示
をし、Jリーグの審査を受けて、Jリーグ準加盟クラブとして承認
してもらう必要があります。準加盟クラブになると、Jリーグ本加
盟に向けた専門家の指導や助言が受けられるようになります。また、
意思表示をしっかりしないと、チームから良い選手が流出してしま
う心配もあるとのことで、“前へ”という姿勢を示すことも大切な
のだそうです。
なお、準加盟クラブになると、年間120万円の会費(J2へ昇
格すると年間2,000万円)が必要になるそうですので、クラブ
経営の柱である入場料収益を得るための観客数の増加は、やはり大
きな課題だと思います。
さらに、準加盟申請には、行政の応援姿勢があることなども明記
する必要があるとのことで、次の一歩を踏み出すかどうか、悩みは
続きます。
スポーツの話題をもう一つ。9月8日のかじとり通信で、各種ス
ポーツの世界大会や全国大会に出場する皆さんを紹介しましたが、
ちょうどそのかじとり通信を配信した後に、第12回少年世界空手
道選手権大会と第54回小学生・中学生全国空手道選手権大会に出
場した選手の皆さんが、その結果報告に来てくれました。世界大会
では、金メダル1つ、銅メダル3つ。全国大会でも、金メダル1つ、
銀メダル1つ、銅メダル2つと素晴らしい成績です。特に、両大会
での金メダルは、中学2年生の関きららさんが“形(かた)の部”
で優勝したものです。皆さんがあまりにも優秀な成績を収められま
したので、報告させていただきました。
一昨日に東海地方、昨日は関東地方に大きな被害をもたらした台
風15号は、日本列島を縦断し、東北地方も直撃しました。東日本
大震災の被災地が復興に向けて頑張っている中、追い打ちを掛ける
ような自然の猛威です。
今年は大変な年になってしまったなあと自然に対するある種の無
力感を覚えるとともに、あらためて、行政としての危機管理体制の
強化と一人一人の災害に対する備えの重要性を強く感じています。