長野市選出の県議会議員さんは10人いらっしゃいます。9月
26日、県議会開会中にもかかわらず、このうち9人の議員さんに
ご出席いただき、本市が抱える課題に係る要望と意見交換をさせて
いただきました。本市からは、市議会の正副議長さん、副市長、教
育長、上下水道事業管理者、各部局長、関係課長が出席しました。
開会に当たり、私と石田治一郎県議会議員さんがそれぞれを代表
してあいさつをした後、本市から要望事項として、以下の8項目を
提出しました。
(1)長野県短期大学の4年制大学への移行後の大学像について
長野県短期大学の4年制大学移行に当たって、魅力ある大学を目
指すとともに、平成24年度末に閉校予定の後町小学校敷地活用の
検討を求めたものです。
7月に県の「長野県短期大学の将来構想に関する検討委員会」か
ら「長野県短期大学を改組し、新たな公立4年制大学への転換が必
要」との結論が県知事へ報告され、知事は最大限これを尊重すると
発言されました。今後、県において具体的な学部学科、運営体制、
規模などの基本構想策定に向けた検討が行われるとともに、大学開
学のための組織づくりが進められると思います。そこで、本市とし
ては、若者が街なかに集い、行き交うことで新たなにぎわいが生ま
れ、活気に満ちあふれる街とするためにも、閉校後の後町小学校敷
地の活用について前向きにご検討いただきたいと要望しました。そ
して、本市も長野県短期大学の所在地として最大限の協力をしてい
きたいとお伝えしました。
(2)サッカースタジアムの整備について
JFL(日本フットボールリーグ)のAC長野パルセイロは、現
在18チーム中単独2位と大健闘しており、J2への昇格条件の一
つである「JFLシーズン4位以内」も現実味を帯びてきました。
しかしながら、「ホームゲーム1試合平均観客数3,000人以上」
や「Jリーグの基準を満たすサッカースタジアム(収容能力がJ2
では1万人以上、J1では1万5,000人以上など)の確保」と
いった昇格条件を満たしていないことから、たとえ4位以内を確保
してもJ2に昇格することはできない状況にあります。
同じJFLの松本山雅FCにはJリーグの基準を満たす県営のホ
ームスタジアム“アルウィン”があることから、スポーツによる長
野県の振興に向けた北信地域の核として、Jリーグの基準を満たす
サッカースタジアムの整備を要望しました。
もちろん、勝負事ですから、今後どんな展開になるか予測はでき
ませんし、来季以降のことなど全く分からないことです。しかし、
長野市、そして北信地域から、Jリーグで活躍するチームが誕生す
ることは、多くの市民の皆さんが望んでいることでしょうし、長野
市としてもぜひ実現したいプロジェクトです。
(3)北陸新幹線の延伸に伴う要望について
一つ目は、平成26年度に金沢市まで延伸される北陸新幹線の名
称についてです。本年5月に、県内沿線31市町村で構成する北陸
新幹線長野県沿線広域市町村連絡協議会が、「長野」を入れた呼称
とすることを求める決議をし、国やJR東日本へ要望書を提出して
いるほか、平成21年3月には長野県商工会議所連合会などの商工
関係団体がJR東日本に対し同様の要望をしています。これを受け、
県内の新幹線沿線市町村の総意として、「長野」を入れた呼称とす
るよう、県が先頭に立ちJR各社へ積極的な運動展開をするよう要
望したものです。
二つ目は、金沢延伸後にJRから経営分離される長野以北並行在
来線について、県において基本スキームの着実な推進が図られるこ
と、存続に要する費用が沿線市町の過度な財政負担とならないこと、
そして、利用促進につながる新駅の設置について県の積極的な支援
が得られることを要望したものです。新駅については、本年8月に
沿線地区などの皆さんから、JR北長野駅と三才駅間での設置につ
いて要望を頂いています。今後、本市において新駅の収支予測や建
設費などの調査を実施し、その有効性を確認していく予定です。
(4)公共交通網の充実について
最も基本的な社会基盤である公共交通が、利用者減少に伴う採算
性の悪化により衰退の一途をたどっており、各市町村は住民の生活
を支えるため、これまで以上に地域公共交通を確保・充実する施策
を展開していく必要があります。
そのためには、県による新たな財政支援制度の創設と、これまで
どおりの財政支援を要望するとともに、車両購入費などに対しても
現在の制度を拡充するなど積極的な財政支援を要望しました。
(5)新規就農者の確保・育成対策への支援拡充について
農業後継者・担い手不足に対する対策は喫緊の課題であり、本市
では本年度から、市内外から就農希望者を募り、農業の担い手を確
保・育成するため、研修費助成や営農資金助成を行う「新規就農者
支援事業」を先駆的に実施しています。しかし、現状ではこの制度
を利用した新規就農者数が年間目標に達していないことから、県農
業改良普及センターなどの関係機関やメディアを通して幅広く事業
の広報を行う必要があると考えています。
一方、新規就農者の育成に当たっては、国、県、市の連携が不可
欠であることから、県においても県農業大学校での実践学習や販売
・経営指導などの教育課程の充実のほか、県の「農業担い手育成基
金」および「里親農家への支援制度」の拡充を要望したものです。
また、国が検討している「新規就農総合支援事業」の平成24年度
からの着実な実施に向け、国への働き掛けを強く要望しました。
(6)野生鳥獣対策について
野生鳥獣対策としての防護柵設置事業に対しては、市内各地区か
ら事業実施の要望が多く出されています。しかし、活用している国
の「鳥獣被害防止総合支援対策交付金」については、平成24年度
以降の事業継続が不透明であることから、事業の継続と事業費の拡
充について、国へ強く要望していただくようお願いしました。
また、県の「野生鳥獣総合管理対策事業」のうち個体数調整事業
については打ち切り補助ではなく、実績(捕獲頭数)に応じた補助
金の交付と一頭当たりの補助金額の増額を要望したものです。
野生鳥獣捕獲については、狩猟者の労力や経費の負担が大きいた
め、県補助金に本市独自の嵩(かさ)上げを行っているのが現状で、
県の打ち切り補助に伴う本市の負担が非常に大きくなっています。
特に、本市の野生鳥獣被害の特徴として、イノシシによる被害が被
害総額の30%以上を占め、大変大きくなっています。これに対し
県の本年度予算は、ニホンジカ捕獲報奨金がイノシシ捕獲報奨金を
上回る状況になっており、ニホンジカ捕獲報奨金が前年度比約
1.8倍の1,500万円と増額であるのに対し、イノシシ捕獲報
奨金は、前年度比半減の85万円となっています。
一方、本市の本年度の県補助金の交付見込みは、ニホンジカは、
120頭の捕獲に対し、県補助は59頭分。これに対し、イノシシ
は、480頭の捕獲に対し、県補助は29頭分となっており、イノ
シシの捕獲頭数に対する県の補助が極めて少ない状況が分かります。
(7)県管理道路の整備促進について
県管理道路は、都市基盤の強化、広域連携による産業・経済の活
性化に極めて重要であり、その多くは震災対策緊急輸送路に指定さ
れているため、防災・減災の観点からもその整備は急務です。しか
し、本市内の県管理道路の改良率は、平成22年4月1日現在で、
県平均77.3%を大きく下回る70.1%であるため、渋滞対策、
交通安全対策を含めた重点的な整備を要望しました。
主な要望箇所としては、長野電鉄屋代線廃止に伴う代替路線とし
て、バスの定時運行が求められている国道403号について、関崎
橋東詰交差点改良、松代町岩野地区と若穂綿内地区の整備のほか、
本市の東外環状線の一部を構成する県道三才大豆島中御所線のエム
ウェーブから五輪大橋までの間について、早期4車線化と五輪大橋
の無料化などを要望しました。
(8)災害に強い県管理の砂防・河川施設の整備ならびに浅川治水
対策促進について
流域住民の生命・財産を守り、安全・安心な地域づくりを推進す
るため、県施工の基幹的な砂防、地すべり対策、河川施設整備など
について、一層強力な取り組みを要望しました。東日本大震災や栄
村を中心とした地震、また、各地で発生する集中豪雨により多くの
土砂災害や浸水被害が発生しており、本市においても、今後災害発
生が懸念されます。
県内の砂防・河川施設の整備率は依然として低く、さらに年々、
県の砂防・河川事業の予算額が急速に減少している状況です(砂防
事業は、ここ10年で半減となる約106億円。河川事業は、ピー
ク時の平成10年度の約2割に当たる約85億円)。
なお、浅川の主な内水対策である排水機(ポンプ)については、
平成28年度までに最低3基の増設を県に要望しました。また、内
水対策計画は、「千曲川の水位が計画高水位を超えないこと」を前
提に計画されています。しかし、既往最大流量となった昭和58年
9月の洪水に対応する千曲川河川整備の時期が明確になっておらず、
地元の皆さんは豪雨時の浅川の排水ポンプ停止に対し不安を抱いて
います。
以上、8項目の要望をさせていただきました。
その後、いろいろ懇談させていただきましたが、県議会議員の皆
さんからは、特に異論はなく、本市の要望実現に対し、ご努力いた
だけそうな雰囲気で、私は意を強くしたものです。なお、懇談の席
では、太陽光発電システムの設置場所として要望が強い荒廃農地の
利用についてや、県内の動物園で一番規模の大きい茶臼山動物園、
そして先日募集を行った住宅リフォーム補助金についても、意見交
換させていただきました。