今年は、松代が生んだ偉人・佐久間象山(1811~64)の生
誕200年に当たります。
前回のかじとり通信で、童門冬二先生に、かつて佐久間象山の本
を書いてほしいとお願いしたエピソードに少し触れましたが、10
月8日・9日に開催された「松代藩真田十万石まつり」も、佐久間
象山生誕200年記念にふさわしい趣向を凝らした祭りとなりまし
た。
9日に開催された祭りのメーン行事である「真田十万石行列」の
出陣前のイベントでは、東京都板橋区の西洋流火術鉄砲隊保存会の
皆さんによるオランダ式砲術演武が披露されました。1841(天
保12)年に、現在の板橋区高島平で砲術家・高島秋帆(しゅうは
ん)により国内初のオランダ式銃陣演習が行われ、それを再現しよ
うと結成されたのが同保存会です。天保時代当時を思わせる洋風の
軍服を着ての実演でした。佐久間象山の砲術の師である江川英龍
(ひでたつ)が高島の弟子であったことが縁となり、今回ご参加い
ただいたとのことで、会場となった松代城跡二の丸公園に火縄銃の
音がとどろき、その迫力に圧倒されました。保存会の人の解説によ
ると、当時の西洋と日本の戦術の違いは、西洋は、銃の弾から体を
防御することよりも機敏に動くことを重視したため服装は軽装で、
それに対して日本は、重装備。こうした西洋の考え方、戦術を日本
で初めて取り入れたのが高杉晋作で、高杉は奇兵隊を創り出したと
のことでした。
真田十万石行列でも、今年は佐久間象山隊が組まれ、門下生の坂
本龍馬、勝海舟に扮(ふん)した皆さんも加わり、総勢約300人
が秋の城下町を練り歩きました。佐久間象山役は、長野商工会議所
の加藤会頭さんで、普段掛けている眼鏡を外し、口ひげを付けた加
藤さんは、何となく肖像画で見る佐久間象山に似ていました。そこ
まで見越しての人選であったかは分かりませんが、当の本人はくし
ゃみの連発。付けひげで鼻元がくすぐったかったようで、偉大な佐
久間象山になりきるのは大変だったようです。
行列には、前述の板橋区西洋流火術鉄砲隊保存会の皆さんも参加
し、バグパイプや小太鼓の音が小気味よく城下町に鳴り響き、祭り
ムードを盛り上げていました。その他、戦国ブームを反映して、そ
れぞれ好みの甲冑(かっちゅう)を身にまとった「戦国武将あこが
れ隊」も、沿道の皆さんに大変人気でした。あこがれ隊の皆さんの
多くは、厚紙などで甲冑を自作したとのことでしたが、立派な甲冑
でした。
もちろん、行列には、真田家歴代藩主の隊も組まれ、7代藩主幸
専(ゆきたか)隊、8代藩主幸貫(ゆきつら)隊、9代藩主幸教
(ゆきのり)隊も登場しました。私も7代藩主幸専に扮して馬に乗
り、松代の城下町を練り歩きました。8代藩主幸貫には真田家14
代当主の真田幸俊さんが扮して騎乗され、沿道から大きな声援を受
けていました。それにしても、幸俊さんの乗馬姿は本当に様になり
ます。さすが、「お殿様」です。
午後1時に松代城跡太鼓門を出発した行列は、途中30分ほどの
休憩を挟んで、午後4時に松代城跡に戻りました。「市長さん、お
疲れさま。大変でしたね」と何人もの皆さんから声を掛けていただ
きました。馬に乗っているだけだから楽だろうなんて言わないでく
ださい。体力には自信のある私も馬を下りるのがやっとなぐらい疲
れました。しかし、一番疲れたのは、やはり「槍(やり)振り隊」
の皆さんではないでしょうか。主に20代から30代で結成する地
元の「槍振り隊保存会」の皆さんが、この祭りに向けて練習を積ん
でいらっしゃることは新聞記事で知っていました。いくら若い皆さ
んとはいえ、先端に大きな毛を付けた長さ3メートルほどの槍を、
向かい側の隊員に投げ渡すのですから、大変です。今回私の隊の前
がちょうど槍振り隊でしたので、ずっと後ろから見ていましたが、
やはり沿道のお客さんの注目度はとても高く、槍振り隊が近づくと
大きな拍手で迎えていました。まさに、祭りの花形で、勇壮な演技
は、素晴らしかったです。
その夜は、更北地区の八幡原史跡公園で恒例の「川中島古戦場ま
つり花火大会」が開催されました。少し肌寒くも感じましたが、会
場には多くのお客さんが詰め掛け、屋台も50店は出ていたでしょ
うか。とにかく盛況でした。特に、花火が連続で打ち上げられるス
ターマインを多くのお客さんが楽しみにしているようで、打ち上げ
後は一層大きな拍手が沸き起こっていました。また、軽快な音楽と
花火が共演するミュージックスターマインも圧巻でした。「花火は、
多くのお客さんを引き付ける魅力を持っているなあ」と、あらため
て感じました。
前日の8日に、2011篠ノ井イヤー事業として、篠ノ井駅前で
松本蟻ケ崎高校書道部の皆さん24人による書道パフォーマンスが
行われました。第4回書道ガールズ甲子園で見事3位に輝いた“書
道ガールズ”のパフォーマンスを一目見ようと、開始時刻が近づく
につれ、会場には多くの人が集まり、地面に敷かれた大きく真っ白
な紙の周りには二重三重に人垣ができました。
うわさの書道パフォーマンスは、私がイメージしていたものとは
かなり違っていて、紙の周りをぐるりと囲んだ書道ガールズが、金、
銀のボンボンを両手に軽快なリズムの音楽に合わせステップを左右
に踏む中、1人または2人が交代しながら書き、最後は、墨を含む
と10キログラム以上あるという大筆で一気に書き上げるというも
のでした。若さあふれる元気いっぱいの華やかな書道パフォーマン
スに、集まった皆さんから拍手喝采が沸き起こりました。篠ノ井は、
有名な書家・川村驥山(きざん)が晩年を過ごしたゆかりの地です。
「書のまち篠ノ井」を盛り上げる企画としては、大成功だったので
はないでしょうか。
同じ日、エムウェーブ前の広場では、「2011長野市農業フェ
アinエムウェーブ」が開催されました。
この行事も毎年恒例になっており、多くのお客さんが集まってい
ました。出店している農業関係の団体も、単に農産物や商品の宣伝
をするだけでなく、ある程度その売り上げにも貢献しているのでは
ないかと感じました。
農産物の販売促進を図るには、現段階では、篠ノ井の軽トラ市、
TOiGO(トイーゴ)広場の「ザ・ぎんざ・にぎわい市」などと
いったような“市”やイベントを各地で定期的に開催し、定着させ
ていくことが一番効果的なのかなあと思っています。
少し前になりますが、中心市街地でも秋のイベントとして9月3
日に「ながの大道芸フェスティバル」、9月23日~25日に「T
OiGO 秋祭り」、10月2日に「2011善光寺表参道秋まつ
り」が開催されました。
「ながの大道芸フェスティバル」と「2011善光寺表参道秋ま
つり」は、歩行者天国となった中央通りなどで、長野市中央通り活
性化連絡協議会や長野商店会連合会などが主体となり実施され、
「TOiGO 秋祭り」は、地元商店会などが主体となり、TOi
GO広場を中心に行われたイベントです。
この中でも「ながの大道芸フェスティバル」は、一番古くから開
催されているイベントで、今回が14回目となります。私も様子を
見に出掛けてみましたが、市民の皆さんにもすっかり定着してきた
ようで、多くの人出がありました。大道芸の芸人さんに話を聞くと、
「長野のお客さんがうまくなった」という言い方をされていました。
お客さんが長野の大道芸を育てている、また、お客さんが「投げ銭」
をすることにかなり慣れてきたともおっしゃっていました。
長野の秋祭りが、本当に盛んになってきています。市民の皆さん
が、一生懸命長野市を盛り上げるために、頑張っています。
以前から、「長野市では、毎日どこかで何かやっているよ」、そ
んなイベント都市にしたいと思っていました。一歩ずつ実現に近づ
いているように感じています。