市議会3月定例会が始まりました。その初日、私から説明させて
いただいた新年度の施政方針の中で、現在の懸案事項について、こ
れまでの議論を整理する形で触れさせていただきました。
私から申し上げたのは、次のような内容です。
まず、市役所第一庁舎と長野市民会館の建て替えについてです。
昨年12月27日、議会や市民の皆さんのご意見などを伺う中で、
「現在地を中心に建て替える」ことなど、4つの基本的な考え方に
基づく両施設の「望ましい配置案」をまとめました。さらに、1月
18日の市議会臨時会では、本年4月1日から長野市民会館の供用
を廃止するための「長野市民会館等条例の一部改正」を、特別議決
により可決していただいたところです。
その後、両施設の「建設基本計画案」の策定作業を進めてきてお
り、このほどまとまりました。この計画案は、施設の設計を行うた
めの基盤となるもので、昨年2月に策定した基本構想をさらに一歩
進め、両施設の一部を合築することを加えたほか、具体的な施設の
内容や機能などについて盛り込んでいます。
計画案の内容については、「広報ながの」3月1日号への掲載、
チラシの全戸配布によりお知らせするほか、市ホームページや支所・
市立公民館などで閲覧できるようにして、市民の皆さんへの情報提
供に努め、約1カ月間、ご意見を伺っていくことにしています。
なお、3月10日には、長野市民会館で説明会を開催する予定で
す。
今後、4月上旬には、頂いたご意見を反映して「建設基本計画」
をまとめ、「基本設計」へと進んでいくことになります。設計者の
選定に当たっては、設計者の創造性、技術力、提案力を活用できる
プロポーザル方式による選定が最適であり、市内事業者の参画につ
いても十分検討する予定です。新年度当初には、建築やホール設計
に携わる専門家による設計者選定委員会を設置し、設計者の選定を
進めていくことにしています。
いずれにしましても、第一庁舎の建て替えに当たりましては、基
本構想の理念に沿ってワンストップサービスやユニバーサルデザイ
ンの導入、防災拠点としての機能の確保などにより、市民の皆さん
の利便性が向上し、環境にも十分配慮した施設となるようにし、平
成26年度内のしゅん工を目指していきます。
また、長野市民会館につきましては、本市の文化芸術の振興を図
っていくための4つの役割「育む、楽しむ、創る、つなぐ」を実現
できる施設となるようにし、平成27年4月の開館を目指して鋭意
取り組んでいきます。
次に、公共交通機関の整備についてです。
バス交通については、「長野市公共交通活性化・再生協議会」が
本年度、地域循環バス・空白型乗合タクシーなど10路線の実証運
行を行ってきました。そのうち、既存路線の再編として実施した篠
ノ井信里と長沼の2路線については、新年度から本格運行に移行す
ることになっています。協議会では、この2路線を除く8路線につ
いて、本年度の実証運行の結果に基づき、今後の方向性を協議して
きました。
その結果、利用が極めて低調だった古里地区の「通勤時間帯バス」
は継続しないことになったものの、他の7路線については、運行経
路などを一部見直した上で新年度においても実証運行を行うことに
しています。また、新たに「茶臼山動物園線」を加えるとともに、
中心市街地循環バス「ぐるりん号」への電動バス導入の可能性を調
査する実証実験も行う予定です。
バス共通ICカードの導入については、システム開発に着手した
ところであり、平成24年度の運用開始を目指し、引き続きシステ
ムの構築を進めていくことにしています。
長野電鉄屋代線については、去る2月2日に開催された「第12
回長野電鉄活性化協議会」において、「バス代替によって地域の交
通手段を確保する」との決定がなされました。
長野電鉄活性化協議会では、一昨年5月の設立以降、住民アンケ
ートや観光モニタリング調査、関係団体ヒアリングなどを踏まえて
総合連携計画を策定。本年度は、この計画に基づいて、沿線住民の
利用意識の向上および沿線以外の住民の屋代線存続意義の理解促進
を図りながら、運行本数の増便をはじめ、パークアンドライド、サ
イクルトレイン、割引回数券販売、利用者アンケート、市民意向調
査などの実施と評価を行い、併せて、新たな運営スキームへの移行
について検討するなど、さまざまな協議を行ってきました。
今回の決定は、利用者の皆さんにとって大変厳しいものと感じて
います。しかし、決定自体は、協議会が協議を積み重ねてきた結果
であり、私としては厳粛に受け止めたいと思っています。
その後、2月24日に第13回協議会が開催され、代替運行に関
する基本的な考え方が示されたところです。今後、市としては、地
元の皆さんと十分協議し、沿線住民の皆さんの移動手段として公共
交通が確保できるよう、責任を持って対応したいと考えています。
なお、今定例会では、これらの課題だけでなく、新年度予算につ
いても議論が進んでいます。平成23年度当初予算案は、一般会計
で82億9,000万円の大幅増となる1,547億6,000万
円という、大変大型の予算になったことは先週のメルマガでもご報
告させていただきました。
長野市として1,500億円を超える当初予算を組んだのは久々
で、オリンピックの準備段階だった平成6、7年度以来のことにな
ります。長野市の税収が増えて、このような大きな予算が組めたの
であれば大いに歓迎すべきです。
しかし、今回はそうではなくて、地方交付税が国全体で5,00
0億円増えたことで、長野市への配分も14億円増の250億円を
見込んでいる、というようなことが背景にあるのです。加えて、支
出面では、子ども手当や生活保護費など、扶助費が増えていること
も事実です。
以前から申し上げているとおり、市民の皆さんが今一番望んでい
ること、つまり、景気を浮揚させ、雇用を増やすために、行政とし
てできること、やらねばならないことは、市内にお金を回すことで
す。これが重要であると感じていますので、この時期にこのような
大型予算を組めたことは、何よりだったと思っています。