2011年2月24日木曜日

長野市の未来に向けて


◇長野市の未来を語ろう「みんなでトーク2010・ながの」ファ
 イナル・トーク
 2月10日の夜、昨年の秋から開始した新しい懇話会「みんなで
トーク2010・ながの」のファイナル・トークを開催しました。
この懇話会は、今後の長野市をデザインするために、長野市は何を
目指していくべきか、長野市の将来にどんな夢を描くのか、といっ
たことをあらゆる年代の皆さんが語り合う中で、長野市のこれから
の「旗印」を一緒に探していきたい、そんな思いから創設したもの
です。
 開始から約5カ月間、18~29歳、30~49歳、50歳以上
の三つの世代に分かれて公募市民と市職員が集まり、自由に意見を
出し合う中で、長野市の将来を描いていただきました。

 この日のファイナル・トークは、その成果を披露していただくた
めに開催したものです。それぞれの世代を代表する3人の皆さんの
発表を聴かせていただきましたが、いろいろな議論があったという
ことをはじめ、仲良くなって懇親会をやったこと、善光寺を見学し
たこと・・・楽しい報告がありました。もっと時間があれば良かっ
たとの感想もありました。
 私とすれば、市民の皆さんと市職員が同じ目的に向かい、同じテ
ーブルで話し合えたことも良かったと思っています。

 最年長の50歳以上のグループからは、「都会の人は何を求めて
いるのか」との視点から、広域連携などによる定住人口の増加策、
観光振興などによる交流人口の増加策をはじめ、農業に魅力を感じ
るまちづくり、郷土愛・地域愛を育むまちづくりなどについて語っ
ていただきました。

 30~49歳のグループは、責任世代としての自覚、自給自足の
街、自立を強調されていました。街に眠っている宝物、長野にしか
ないもので、食べていけるブランドを育成する、そして観光客にお
金を落としていただく仕組みづくりなどにより、地域や産業を活性
化し、市民の皆さんの満足度を高めたい、そういう意味での金メダ
ルを目指したいとのこと。何よりも「自分たちが長野を愛している
か」ということの大切さについて、熱を込めて発表されました。

 18~29歳のグループは、善光寺や中心市街地などを実際に歩
き、中央通りを“善光寺・ザ・夢公園”にしようという大変ユニー
クな計画を発表されました。歩行者天国にした中央通りでマルシェ
(市場)などさまざまなイベントを開催し、そこで全市民が観光大
使になって、長野市の魅力を伝えよう・・・。そんな発表でした。

 三世代とも熱心に提案してくださいました。すぐにも採用できそ
うなこと、ちょっと無理だなあと思われることなどいろいろでした
が、長野市の政策に大いに参考にしていきたいと思っています。

 長野市は、オリンピックの成功に代表されるように“おもてなし”
の心を持っており、来訪された人に優しく、そしてボランティアが
盛んで、いろいろな大会やイベントの運営も上手です。
 ただ、残念ながら“場所貸し”になっていて、市民が主役になっ
ていないと感じています。戦国時代、上杉氏と武田氏が戦った川中
島の合戦は有名ですが、長野市はその頃から“場所貸し”だったの
ではないかと思っています。
 どんなことで可能になるのかは分かりませんが、そろそろ長野市
民が舞台の中央へ躍り出す場面を作りたい・・・最後に私から、こ
んな夢を語らせていただき、本年度の「みんなでトーク」を終了し
ました。

 一朝一夕に「旗印」を見つけることは容易ではありません。おそ
らく試行錯誤しつつということになるとは思いますが、私とすれば、
来年度以降も市民の皆さんや市職員と未来を語り合える場をあらた
めて設けていきたいと考えています。

◇「ゆめ舞台応援プロジェクト・ながの」基金活用事業選考会
 このプロジェクトは、「ながの夢応援基金」の活動をサポートし
ていただくために、昨年8月にスタートしたものです。
 「ながの夢応援基金」は、長野オリンピック記念基金の助成が平
成21年度で終了したことを受け、その後どうするか検討した結果、
昨年9月に創設した基金で、これからも長野オリンピックの歴史を
途切れることなく後世へ伝えるとともに、長野市からオリンピック
に出場できる選手を育成していくことなどを目的としています。
 基金は、長野オリンピック記念基金からの寄付金(基金の残金の
一部)に加えて長野市からの積立金、そこに個人や企業の皆さんか
ら頂いた寄付金で造成し、5年間で5億円を活用できるよう、現在、
さまざまな皆さんにご協力をお願いしているところです。

 このようにこの基金は、さまざまな皆さんの思いがこもっている
大切な基金ですから、活用に当たっては、行政だけで勝手に活用先
を決めるべきではないと考えています。そこで、「ゆめ舞台応援プ
ロジェクト・ながの」の構成メンバーのうち、財団法人日本オリン
ピック委員会(JOC)や長野商工会議所、長野市教育委員会など
からなる「基金活用事業選考会」をつくり、話し合いをしながら活
用先を決めることにしたのです。
 2月14日に開催した第1回の選考会には、JOCの市原専務理
事、商工会議所の加藤会頭さん等々に出席していただきました。資
金の集まり具合が分からず、まだ、全体構図が描けないということ
もあり、詳細を決めることはできませんでしたが、今後、議論を深
めてより有効な事業へ活用することを前提に、基本方針だけをご了
解いただきました。

 今後、この決定をベースに、この基金を大きく育て、長野市から
多くのオリンピック選手が生まれることを期待しています。

◇平成23年度当初予算案
 先月から、新年度予算編成のヤマ場である市長査定に取り組んで
きました。
 このたびまとまった当初予算案は、大規模プロジェクト事業の本
格化と生活保護費など社会保障関係費の伸び、子宮頚(けい)がん
などのワクチン接種費が増えたことなどにより、一般会計で82億
9,000万円の大幅増となる1,547億6,000万円となり、
景気対策、地域活性化にも配慮した大型予算になりました。

 歳入については、地方交付税が国全体で5,000億円の増額と
なったことから、本市においても14億円増の250億円を見込ん
でいます。しかし、市税については、企業業績に改善が見込まれる
ものの、依然として厳しい雇用情勢が続いていることなどから、前
年度とほぼ同額と見込まざるを得ず、その意味では厳しい予算編成
となりました。

 歳出については、「子育ち・子育て支援の推進」「エネルギーの
適正利用」「公共交通機関の整備」の3つの優先施策に予算総額の
8.7%、134億5,000万円を、小・中学校の耐震化事業や
長野駅周辺第二土地区画整理事業など、7つの大規模プロジェクト
事業に予算総額の7.8%、120億7,000万円を優先的に配
分することとし、めりはりのある予算としました。

 予算の編成に当たっては、将来を見据え、安定した財政運営に配
慮する意味においても「選択と集中」を徹底して施策を厳選しまし
た。また、財源については、国・県の補助制度のほか、交付税措置
のある有利な市債や、将来の財政支出に備えて積み立ててきた基金
の有効活用などにより、健全財政を堅持できるよう心掛けたつもり
です。

 予算を執行するには、3月市議会で議決していただかなければな
りませんが、この予算により、新年度も市民サービスの充実に努め、
地域の特色を生かした魅力と個性があふれるまちづくりにまい進し
たいと考えています。
 ただ、国の交付金・補助金を見込んで編成している予算でもあり
ますから、市議会で議決していただいたとしても、国会で成立しな
いことには執行できない内容も多く含んでいます。速やかな国の予
算成立を願いたいものです。