2012年3月1日木曜日

3月市議会定例会での施政方針


 本年度を締めくくる、そして新年度のスタートに向けた3月市議
会定例会が、2月23日~3月19日の日程で開会しました。会期
が26日間と長期間になりますが、新年度予算案や諸議案を審議す
る重要な定例会ですので、精力的に取り組もうと気持ちを引き締め
ています。開会に先立ち、私の市政運営に臨む所信の一端と合わせ、
新年度の予算案と主な施策およびその大要について「施政方針」と
して申し上げました。説明時間が40分を超える内容であり、全て
を今回のかじとり通信で説明することはできませんが、以下要点を
絞ってお話しします。

 まずは、新年度予算案についてです。
 歳入については、基幹収入となる市税は、景気低迷による法人市
民税の減のほか、3年に1度の固定資産(土地・家屋)の評価替え
の年となるため、全体で559億7千万円と、対前年度比20億7
千万円の大幅な減を見込んでいます。また、財源不足を補う財政調
整基金などからの取り崩し額は、対前年度比8億円増の34億円を
見込み、市債は、返済時に償還額が100パーセント地方交付税で
措置される臨時財政対策債について対前年度比10億円増の70億
円とし、公共事業に充てる建設市債については99億9千万円で、
ほぼ前年度並みの発行額とするとともに、地方交付税措置のある有
利な市債の借り入れに努めました。

 歳出については、制度変更に伴う子ども手当の給付額縮減による
扶助費の減や、市債残高の減少に伴う公債費の減(これはすごく良
いことです)などにより、義務的経費が対前年度比21億1千万円
の大幅な減となった一方、普通建設事業費については、景気・雇用
対策に配慮し、ほぼ前年度並みの事業費を確保しました。

 予算編成方針に掲げた3つの優先施策には重点的に財源の配分を
行い、「エネルギーの適正利用」に3億1千万円、「文化芸術活動
への支援と文化の創造」に3億7千万円、そして「公共交通機関の
整備」に11億7千万円、総額18億5千万円の事業費を計上しま
した。
 また、大規模プロジェクト事業として、小・中学校耐震化事業に
63億9千万円、長野駅周辺第二土地区画整理事業に34億円、市
役所第一庁舎・長野市民会館建設事業に計4億7千万円など総額
119億8千万円の事業費を計上しています。

 これらの結果、平成24年度の当初予算額は、一般会計で
1,518億6千万円、そのほか、特別会計では10会計総額で
698億4千万円、企業会計では5会計総額で536億1千万円と
なりました。
 いずれにしても、「入りを量りて出ずるを為す」の基本理念の下、
健全財政を堅持しつつ、「選択と集中」により、めりはりのある予
算が編成できたものと考えています。

 次に、新年度に取り組む主な施策とその大要についてです。
(1)都市内分権の推進について
 住民自治協議会が本格的に活動を開始して、間もなく3年目を迎
えようとしています。さまざまな課題はあるものの、住民自治協議
会会長をはじめとする役員の皆さんのご尽力により、昨年度と比べ
少しずつ落ち着きを見せ始めているのではないかと感じています。
 一方で、会長などの役員任期が、1~2年と比較的短いことから、
住民自治協議会の自立・発展、そして継続性確保のため、事務局長
の雇用経費に係る補助について予算を計上しました。

(2)公共交通機関の整備について
 バス交通については、地域循環バス・空白型乗合タクシーなど9
路線の実証運行を2カ年にわたり行ってきた結果、新年度から7路
線を本格運行へ移行します。
 また、本年10月からは、バス共通ICカード「KURURU
(くるる)」の運用開始を予定しており、皆さんにご好評を頂いて
いる中心市街地循環バスぐるりん号については、車両の更新・増車
により現行20分の運行間隔を15分にするとともに、運行時間帯
も朝夕1時間ずつ拡大し、運行内容の充実を図ります。併せて、早
稲田大学が実施する電動バスの実証実験にも、積極的に協力してい
きます。
 なお、LRT(次世代型路面電車)など新交通システムについて
は、来年度に基礎調査を実施し、平成25年度中に方向性を決定し
たいと考えています。

(3)環境対策の充実、エネルギーの適正利用について
 これまでの太陽光発電システム設置補助に加え、太陽熱利用の普
及促進を図る補助制度を創設、電気使用量の大きい市有施設にデマ
ンド監視装置を導入、防犯灯のLED(発光ダイオード)化などを
推進します。さらに、市民の皆さんが再生可能エネルギーを気軽に
体感し、理解を深めていただけるよう、「次世代エネルギーパーク」
をエムウェーブに整備します。
 なお、長野広域連合が市内に建設を計画しているごみ焼却施設に
ついては、「環境影響評価書」が県により2月27日から縦覧に供
されています。市としても、建設予定地区の皆さんのご意見を十分
お聴きしながら、建設について同意していただけるよう鋭意努力し
たいと考えています。

(4)文化芸術活動への支援と文化の創造について
 文化芸術の担い手を育成するとともに、市民の文化芸術活動を支
援することにより、文化的風土を醸成し、「ながの」の個性と魅力
あふれる市民文化の振興を目指します。
 文化芸術に親しむきっかけづくりとして、親子で参加できる鑑賞
会などの「子どものための文化芸術プログラム」を実施するほか、
野外彫刻の設置数や「街角に音楽があるまちづくり事業」の実施回
数を増やしていきます。多くの市民の皆さんが身近に文化芸術に触
れる機会を設けることで、文化芸術活動の裾野の拡大と地域の活性
化を図りたいと考えています。

(5)中山間地域の活性化について
 「農業法人化事業」(長野市農業公社が実施)や、農産物に付加
価値を付ける「農産物加工施設等支援事業」、また、都市と農村の
交流を図る「小・中学生農家民泊誘致受入事業」については、引き
続き積極的に推進します。
 「新規就農者支援事業」については、事業初年度である本年度の
助成金交付対象者は、県外出身者を含め21人となりました。目標
としていた年間30人には達しませんでしたが、今後も広くPRを
続け、県内外から就農希望者を募ります。なお、新年度からは国も
新規就農を支援する「新規就農総合支援事業」を実施する予定であ
り、長野市の事業がその先駆けとなったものと自負しています。こ
うした国の事業も活用しながら、農業の担い手の確保・育成に努め
ます。

 そのほか、防災対策、新斎場の整備、産業基盤の整備、子育ち・
子育て支援、中心市街地の活性化、観光交流の推進、スポーツを軸
としたまちの活性化、魅力ある教育の推進などについて申し上げま
した。

 なお、スポーツを軸としたまちの活性化のうち、サッカー・AC
長野パルセイロについては、2月21日のJリーグ理事会において、
Jリーグへの準加盟が「審査継続」という残念な結果となりました。
パルセイロ側のJリーグへの入会目標年次と、市のスタジアム整備
の目標年次が不一致であったことが理由であるとの報告を受けてい
ます。今後は、ホームスタジアムである南長野運動公園総合球技場
の改修に向けた全体計画の検討を進めますが、準加盟が認められる
ようパルセイロ側とも協議し、少しでも早期に整備ができるよう努
めていきます。併せて、パルセイロ側には、経営安定化のためにも、
観客動員数と、サポーター数の増加への取り組みを求めていきます。

 さて、本定例会には、組織・機構の見直しの一つとして、現在の
産業振興部を分割し、商工観光部と農林部に再編するための条例改
正案を提出しました。
 平成16年度に産業振興部を設置して以来、商工観光行政および
農林行政を一元的に所管することで、商工・観光・農林業の施策の
連携強化や、情報の共有化による迅速な調整・対応を図ってきまし
た。その結果、グリーンツーリズムをはじめとする体験・体感型観
光への取り組みなどの効果が得られるとともに、「産業振興ビジョ
ン」の策定などによって、産業間連携の基盤が整ってきました。
 一方、各分野を取り巻く状況は大きく変化しており、例えば、観
光分野においては、平成27年の新幹線金沢延伸と善光寺御開帳に
焦点を当てた新たな観光誘客策の推進や、より広域的な観光に向け
た施策の展開が急務となっています。また、農業分野においては、
もうかる農業の実現を図るとともに、「ながのブランド」の農産物
を国内はもとより海外へも売り込む「攻めの農業」を展開していく
必要があります。
 こうしたことから、商工観光部門と農林部門のそれぞれに専任の
部長を配置し、より積極的な取り組みを強化するものです。

 以上の施政方針は、市ホームページに全文が掲載されていますし、
市議会の様子は、市ホームページのインターネット市政放送でもご
覧いただけます。
 ぜひ、多くの皆さんにご覧いただき、より一層市政への理解を深
めていただきたいと思います。