すっかり長野市の冬の風物詩となった「長野灯明まつり」が、今
年も2月11日~19日に開催されました。長野オリンピックの開
催を記念して誕生したこの祭りも今回で9回を数え、世界的にも有
名な照明デザイナーの石井幹子(もとこ)さんの企画により、善光
寺が平和の光でライトアップされました。
特に今回は、東日本大震災、栄村を中心とした地震などにより未
曽有の被害を受けた被災地の一日も早い復興を願い、これまでの五
輪にちなんだ5色の光に、平和の黎明(れいめい。夜明け)をイメ
ージした紫色とあけぼの色の2色を加えて、「復興と平和の黎明」
をテーマに制作されました。山門は青紫色とあけぼの色で夜から夜
明けを、仁王門は黄色と白色で夜明けから朝を表現し、一番奥の本
堂は赤色の光により、赤々と昇る太陽をイメージしたと石井さんか
らお聞きしました。
また、オープニングセレモニーには、福島県から長野市に避難し
ている子どもたちが招待され、カウントダウンに合わせて一緒に点
灯のスイッチを押しました。そして、ライトアップされた瞬間、山
門前に集まった皆さんから、「ウワー」という歓声が沸き起こりま
した。
ライトアップされた善光寺の本堂や山門を見上げながら、先ほど
の石井さんのお話を思い出し、作品の奥深さに感激しました。今回
は、この祭りに合わせて期間限定の山門夜間特別拝観が初めて行わ
れ、山門の上から門前町の夜景を楽しもうと、入り口には長蛇の列
ができていました。この祭りに新しい魅力が加わったとうれしく思
いました。今年は、昨年よりかなり多くの皆さんがオープニングセ
レモニーにお越しになり、祭りを楽しんでおられたように感じまし
た。
長野市の冬は、とても寒いこともあって、観光客が極端に減少し
ます。スキーやスケートを楽しむ人口が減ってきたことも原因でし
ょうか。市民の皆さんを含めて、この祭りをきっかけに、大いに冬
の長野市を楽しんでいただきたいものだと熱望しています。
市内の小学生などがデザインした切り絵を灯籠に張り、浮かび上
がる絵柄と灯(あか)りを楽しむ「ゆめ灯り絵展」も開催され、
750基の灯籠(昨年より100基多いそうです)が、表参道(中
央通り)の善光寺交差点から北野文芸座までの間とJR長野駅善光
寺口駅前広場に展示されました。今回のテーマは「平和」で、姉妹
都市であるアメリカ・クリアウォーター市の皆さんに加え、今回初
めて友好都市である中国・石家庄市の皆さんからも切り絵をご応募
いただき、全部で35点の作品をお寄せいただきました。ご応募い
ただいた皆さん、ありがとうございました。
「長野灯明まつり」が始まった日、トイーゴ広場では、「長野市
民平和の日のつどい」を開催しました。昭和60年の「平和都市宣
言」を記念してスタートしたこの事業も、今年で25回目を迎えま
した。「平和」をテーマに、今年も「灯明まつり」と同時開催する
ことができました。これからも、2つのイベントが融合し、「平和
の大切さ」を発信する冬の一大イベントに発展することを期待して
います。
「平和の祭典」といえばオリンピックです。長野オリンピックが
開催されて14年がたちますが、その時の感動を伝え、地域の活性
化につなげようと、今年も「東口フェスティバル」がユメリア通り
で12日に開催されました。長野オリンピックの翌年から毎年開催
され14回目ということですが、イベントを通じて、地域の連帯が
強まり、ふれあいの輪が広がっていると思います。
また、前日の11日には、JR長野駅東口駅前広場に2008年
に建てられた「長野オリンピック10周年記念メモリアルタワー」
をシンボルとした「メモリアルタワー祭り」が初めて開催され、地
域の元気とパワーを感じました。
「継続は、力なり」。これからも、冬のイベントとして、善光寺
口に劣らぬにぎわいが生まれ、大いに盛り上げていただきたいもの
です。
ここで、オリンピックの話題を2つ紹介します。
2018年冬季オリンピックの開催地が、韓国の平昌(ピョンチ
ャン)に決定したことは、皆さんもご存じのことと思います。2月
7日から10日にかけて、平昌の行政のトップである李(イ)郡守
(首長)さんが、県内のオリンピック会場や施設の視察にお越しに
なり、8日に長野市のボブスレー・リュージュ・スケルトン競技会
場のボブスレー・リュージュパーク(スパイラル)を視察されまし
た。視察前の懇談では、3回目の立候補で開催地に決定されたその
熱意と努力に敬意を表するとともに、同じアジアのオリンピック開
催都市として協力できることがあれば積極的に取り組みたいとお伝
えしました。また、具体的な話として、平昌では同競技会場がまだ
建設されていないとのことで、それならば完成までの間、合宿や練
習にぜひスパイラルを使用してもらえないかと提案してみました。
実は、これについては、塚田前市長さんが以前韓国を訪問した際に
韓国側にお話しされたり、昨年県議会議員さんが平昌を訪問した際
に、スパイラル活用を記載した私の親書をお渡ししていただいた経
過もあります。同競技人口が少ないと言われる中、平昌に施設が建
設されれば、日本と韓国で連携した大会なども開催される可能性が
高まり、競技者の裾野拡大につながるのではないかと感じています。
いずれにしても、平昌での冬季オリンピックが成功裏に開催され
ることを、同じアジアの開催都市として応援したいと思います。
もう一つは、14歳から18歳までの若者を対象としたオリンピ
ック、「ユースオリンピック」を長野に誘致してはどうかという話
題です。ユースオリンピックは、第1回夏季大会が2010年にシ
ンガポールで開催され、今年1月には第1回冬季大会がオーストリ
アのインスブルックで開催されました。今後は、2014年に第2
回夏季大会が中国の南京で、2016年に第2回冬季大会がノルウ
ェーのリレハンメルで開催される予定です。そこで、東京が
2020年の第32回オリンピック競技大会および第16回パラリ
ンピック競技大会に立候補していますので、長野市も同じ年のユー
スオリンピック第3回冬季大会に立候補してはどうかというもので
す。実は、最近こうした声をよく聞くようになりました。
まだ、具体的な話にはなっていませんが、とても夢のある話です
し、長野が再び感動の舞台になることは素晴らしいことですよね。
平和な社会の実現は、みんなの願いです。昨年経験した未曽有の
大震災の後、私たちは、平和の重みを一層実感しています。一人一
人が、平和を愛する気持ちを強め、広げていきたいと考えます。