地域の身近な課題などについてのご意見やご要望を、私が出席し
て市民の皆さんからお聴きする本年度の「元気なまちづくり市民会
議」は、昨年6月の篠ノ井信里地区を皮切りに、先月の大豆島地区
まで市内全地区で計29回開催され、本年度の日程を全て終了しま
した。また、新年度の施政方針・重点施策・予算などについて説明
する「市政方針市民会議」や、男女共同参画社会の実現を目指し意
見を交わす「しなのき市民会議」、中山間地域の活性化について意
見を交わす「中山間地域市民会議」、外国籍の皆さんを対象にした
「国際交流市民会議」、そして私が市内各地に出向き、意見交換を
する「移動市長室」も合わせると、全部で39回出席したことにな
ります。
会議は、ご出席いただいた皆さんから、いろいろなご意見を頂き、
それに対して市側が答え、最後に私が総括的な話をする形式が多い
のですが、市の回答や説明に皆さんがどのような印象をお持ちにな
ったのか、気になるところです。
その他、このような市民会議以外にも、道路建設や河川改修など
の期成同盟会の総会や長野広域連合が建設を計画しているごみ焼却
施設についての大豆島地区での会議などにも出席し、さまざまな形
で意見交換をさせていただきました。
ご出席いただいた皆さん、お忙しい中、ありがとうございました。
このように地域の皆さんの声を直接お聴きすることに加え、各住
民自治協議会(住自協)の活動の支援を担当する職員(地区活動支
援担当職員:各支所長などが兼務しています)からも各住自協の状
況を聴こうと情報交換会を行いました。既存団体を残して活動をス
タートした所や、反対に全部解散して新たな組織をつくった所、住
民の皆さんに住自協をより身近に感じてもらうために広報紙を充実
した所、地区活動10年構想を作成した所、他の住自協との交流を
始めた所、地区の特徴を生かした花いっぱい運動やホタルの再生な
どの活動に取り組んでいる所、また、住自協事務局の運営を円滑に
するために事務局長を置きたいが、その費用が捻出できないといっ
た話もありました(この費用については、新年度予算に計上しまし
た)。
各住自協とも状況はさまざまですが、住自協の役員の皆さんが一
生懸命取り組んでいる様子が報告されました。
その中で、「これは、どうにかしないと将来大きな問題になるな」
ということが話題になりました。それは、高齢者の一人暮らしなど
による「孤立化」です。
中山間地域では、地域の担い手として期待される若い世代が都市
部に移り住むことで、高齢化が著しくなり、高齢者の一人暮らし世
帯が増えています。「家の前の道路の草刈りや除雪ができない」
「移動手段がなく、買い物や地区の会議にも行けない」といった問
題が起こっていることは市民会議でもお聴きしていましたが、支援
担当職員からの報告によると、「人口の減少により、将来的には、
区の統合の検討が避けられない集落や、中には消滅してしまう集落
もありそうだ」とのことです。
そして孤立化は、中山間地域に限ったものではなく、都市部でも
じわじわと進行しています。特に、マンションやアパートでは、隣
近所の関係が希薄で、隣に住む人が誰だか知らない、何か異変が起
こっても誰も気が付かないということを耳にします。そういう意味
では、むしろ中山間地域の方が「誰が住んでいるか分かるから、ま
だいいのではないか」といった話にもなりました。
孤立化による最悪の結果が孤独死です。先日、さいたま市で親子
とみられる3人が餓死しているのが見つかったという痛ましい事件
がありましたが、近年、こうした誰にも気付かれずに亡くなる孤独
死が増えており、一つの社会問題となっています。個人情報保護が
足かせとなり、必要な情報を入手できない、悲惨な結果を招く前に
手が打てないといったことが背景としてあることも事実です。
各住自協では、東日本大震災の後、防災に対する住民の関心や意
識が高まり、地区の防災活動が盛んになったとの報告も支援担当職
員からありました。防災マップを作成したり、一人暮らしの高齢者
の避難方法を考えたりするなどの取り組みが積極的になされている
とのことです。住民同士のネットワークが広がり、そして「絆」が
強くなるこうした活動は、孤立化を防ぐ一つの方法だと思います。
いずれにしても、住自協の活動の推進と地域のコミュニティーの
再生は、大変重要であることをあらためて強く認識しています。旅
行に出掛けて家を留守にしたらお土産を買ってくるような、とれた
野菜などをお裾分けするような隣同士のお付き合いがあれば理想な
のでしょうが・・・。しかし、隣同士のお付き合いも人口減少など
の理由により困難な地区などには、例えば、民生委員さんや郵便・
新聞配達の皆さんなどと連携したネットワークをつくるなど、何ら
かの方法で住民同士がつながっているシステムを構築する必要があ
ります。国、地方自治体、関係機関が連携して、早急に対応策を考
えなくてはいけない案件だと感じています。
一方、本年度の「年代別懇話会」(昨年度初めて開催しました)
では、中山間地域の持つ魅力を将来の長野市の発展につなげてはど
うかといった話題を中心に話し合われました。
この懇話会は、「長野市の将来にどんな夢を描くのか。自分が市
長だったらどんな市にしたいのか」といった長野市の将来像につい
て、公募に応じていただいた皆さんを中心に幅広い年齢層の皆さん
が集まり夢を語り合う場です。18~39歳のグループ(コーディ
ネーターは、昨年、長野青年会議所理事長を女性で初めて務められ
た加藤恵美子さん)と、40歳以上のグループ(こちらのコーディ
ネーターは、フリーパーソナリティーの武田徹さん)の2つに分か
れ、昨年10月の「顔合わせ会」と「キックオフ・トーク」からス
タートし、各グループ4回の懇話会を重ね、先月15日に各グルー
プが成果を発表し合いました。
双方が導き出した将来の長野市発展のキーワードは、「都会には
ない豊かな自然」です。特に、自然に囲まれた「里山」での生活を、
もっと外に向けてアピールしてはどうかというものです。ゆっくり
と流れる時間、便利さからの脱却、不便さを楽しみながら、あえて
手間暇掛けた生活を送ろう。非日常的な癒やしの空間の演出が大事
だとのことでした。これらを、18~39歳のグループでは、「長
野のおばあちゃんちへようこそ」、40歳以上のグループでは「昭
和村」とタイトルを付けて、発表しました。
また、18~39歳のグループが提案した「学生オーベルジュ」
は、面白いと話題になりました。オーベルジュとは、宿泊施設を備
えたレストランのことで、これをヒントに、学生が「食」と「おも
てなし」について学ぶ高等教育機関を設置してはとの提案であり、
長野県短期大学の4年制化に併せて、新学科の開設を検討してはど
うかという踏み込んだものでした。
メンバーの皆さんは、生業の傍ら懇話会に出席してくれました。
大変だったと思いますが、最後にこうした機会を与えてくれたこと
への感謝の言葉を頂き、充実した懇話会にすることができて良かっ
たと思いました。
長野市は、「元気なまちづくり市民会議」をはじめとして、いろ
いろな形で市民の皆さんと対話しています。これらを通して、地域
の活動の様子、困っている問題、解決しなければならない課題、将
来のまちの在り方などをお聴きし、議論しながら長野市の施策に反
映しています。
「みんなの声が『ながの』をつくる」・・・私のキャッチフレー
ズです。